▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『●Welcome to my house. 』
セレシュ・ウィーラー8538)&(登場しない)

 豪邸に併設された庭でお茶をする少女二人、とは微笑ましい光景である。
 ――実年齢は迷子な上に、話題が魔術について、だとしても。
 その内の一人が、幼い口調で口を開いた。
「ふぅ、セレシュ。今帰る位なら泊まっていきなさいよ」
 今から帰る位なら、と言うのはどういう基準なのか甚だ不明である。
 が、セレシュと呼ばれた金髪の少女、セレシュ・ウィーラー(8538)はそうやなぁ、と頷いた。
 ゾンビの淹れた紅茶を飲む……確かに日は暮れ、メモの文字がぼんやりとぼやけて見辛くなっていた。

「ほな、お言葉に甘えるわ」
「やったー、私の料理の腕が鮮やかに発揮されるのね」

 いつものパターンからすると、とんでもない事に巻き込まれそうである。
(「まさか、スケルトンで出汁とったりせぇへんやろなぁ?」)
 魔術師なら、ありそうである。
 出来る事なら、食材としては出てきて欲しくないなぁ、とひそかにセレシュは祈るのだった。



「死霊術は、永遠のロマンよね」
 肉を食べながら、魔術師は言った。
 意外と普通に食べれる物を用意してきた魔術師。
 ゾンビが調理を手伝っているのが気になったが、セレシュはそのくらいで死にはしない。
 ゴルゴーンである彼女は、食事を摂らずとも生きていける。
「ハンバーグ食べながら、口にする話題じゃないけどなぁ」
「これは、ただのお肉」
 向かい合ってする食事は、思いの他、楽しいものだった。
 くるくると表情を変える魔術師は、見ているだけで面白いし――まるで、妹が出来たかのようだ、と思う。
 相手の実年齢どころか、名前も『魔術師の真名は、明かすものじゃない』とキッパリ言い切る為、不明であるが。
「まさか、人肉とか入って無いやろなぁ」
「流石に入って無いわよ、ゾンビやスケルトンは調理を手伝わせただけ。手袋付けさせると、べたつかなくていいのよ」
 ……何が、と聞くのはやめた。
 このハンバーグ、美味しいなぁ、と意識を目の前の料理に向ける。
「でも、久しぶりに誰かと食べる料理って、美味しいー」
 料理人の腕かしら? と言う問いかけに、あからさまに褒めて欲しいオーラが漂ってきて、セレシュは苦笑しつつ頷いた。
「せやなぁ、めっちゃ美味しいわぁ」
 生来、人懐っこい性格なのだろう……例え、IO2の人間を殺していても。
 それは虚無の世界側の人間だから仕方がないとして、人前で魔術を使ったりと言うのは何とかならないのだろうか。
「そう言えば、前みたいに人前でも魔術使うん?」
「当然よ、なんで私が気を使わなきゃならないの」
「まあ、そうなんやけどなぁ――」
 適当に相槌を打ちながら、確かに此れはIO2に目を付けられるのも分かる気がする。

「食器洗うんやったら、手伝うで」
 食事も終わり、立ちあがったセレシュだったが目の前でフル稼働している食器洗浄機を見て、納得する。
 確かに、食器を洗うと言う面倒くさい事を魔術師が好む訳がなかった。
「ちなみに、拭くのはスケルトンに任せているわ……さあ、行くわよセレシュ」
 何処へ……?
 と聞く間もなく、セレシュは魔術師に引っ張られて魔術師の部屋にいた。
 目の前には、お洒落な服が沢山掲載されているファッション雑誌。
「セレシュは絶対、ゴスロリ似合うと思うのよ!」
「……嫌やで、着ぃひんで?」
「……チッ」
 なにゆえ、他人の家に来てゴスロリを着なければいけないのか。
 とは言え、アッサリ引きさがられると不気味である。
 ――何故、あっさり引き下がったのか、それは後で知る事になるのだが。



 湯船を張った、広々としたバスタブの中でセレシュは軽く伸びをした。
 大理石でマーライオンを象った置き物からは、絶えず温かなお湯が出てくる。
「何か、こう……同僚に見られてる気がするなぁ」
 別段マーライオンに魂が宿っていたり――と言う事はないのだが、ゴルゴーンである身としては守り神繋がりでねぎらいたくなる、というものなのだ。
 トントン、とノックが聞こえて、セレシュは眼鏡をかけ、入口の方を振り返った。
 スケルトンが『背中を流しましょうか』と書かれたプラカードを下げて、入って来るところだ。
 瞳と眼窩があうと、照れくさそうに頬骨を両手の骨で挟む――嫌だわ、照れくさいわ、と言ったところか。
「間にあってるわ! 鬱陶しい」
 あまりにも鬱陶しい為、備えつけられた椅子を投げる――ガラガラと音を立てて、スケルトンはバラバラに朽ちた。
 そして慌てて再構築すると、プラカードを持って帰っていく……要らぬ気づかいだと言う事が分かったらしい。
「興醒めやわ」
 呟きつつ、タオルで身体を拭きながら、バスルームを出る。
「へ?」
「あ……」
 眼鏡を拭きつつ、前を向けばこっそりセレシュの服をドレッシーな衣装とすり替えようとしていた魔術師。
 セレシュが、ウッカリ眼鏡なしで凝視してしまった為、彼女の身体が灰色の石に変わる。
「うわ、やってもうた……ってか、何してんねん」
 思わずツッコミを入れ直しつつ、慌てて石化を解除する――魔術師は嘆息するように息を吐いて言った。
「すり替えてから、出て来なさいよね!?」
「そこが問題なん? いや、ごめん、うちが悪かった。生活圏被ると、時々ウッカリで石化させてしまうねん」
「面倒な能力ねぇ」
 石化させられた事は、対して怒ってはいないらしい。
 いや、有無を言わさずドレッシーな衣装を押し付けている辺り、上手い口実が出来た、と思っているのか。
(「まあ、ええか」)
 白とピンクのドレスに袖を通しながら、セレシュは心の中で呟くのだった。



 夜――。
 物音が聞こえて、セレシュは飛び起きた。
 隣に置いてあった護身用の剣を引っ掴み、屋敷内を歩く。
 何があったのか……ゾンビやスケルトン、見ればウィスプと言った亡霊の類も目にする事が出来る。
「きゃー!」
 魔術師の悲鳴は、断続的に続いていた――魔力は感じられないが。
「どないしたん!?」
 ダン、とドアを蹴り開け、中を覗き込む――IO2の襲撃だろうか、だが、その割には静かな。
「窓、窓からゾンビが覗いてるー! それ、死亡フラグなんだからやめなさいよ! きゃー、出た!」
 大きなテレビには、古い洋館を歩く人物――所謂、ホラー映画の類である。
「……おやすみ」
「ちょっと、セレシュ。一緒に見なさいよ!」
「いや、ゾンビもスケルトンも飼ってるやん」
「アクセサリーよ、他人の死霊は嫌いなのよ。うちのゾンビ達はお洒落にだって気を使って――いや、セレシュ行かないで」
 縋りついてくる魔術師に、溜息一つ。
 はいはい、と頭を撫でて隣に座り、二人でホラー映画を見るのだった。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
【8538 / セレシュ・ウィーラー / 女性 / 21 / 鍼灸マッサージ師】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛

セレシュ・ウィーラー様。
発注ありがとうございました、白銀 紅夜です。

此方こそ、お手数をおかけして申し訳ありませんでした。
きっと、魔術師の名前は魔術に関わるので秘密なのだと思います。
ボケとツッコミのようなやり取り、段々深まる友情を楽しんで頂けたらと思います。

では、太陽と月、巡る縁に感謝して、良い夢を。
PCシチュエーションノベル(シングル) -
白銀 紅夜 クリエイターズルームへ
東京怪談
2012年11月12日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.