▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『●菊の花祭り 』
クラーク・エアハルト(ga4961)
 秋の季語は、菊の花だそうです。
 広場の周辺には、菊で出来た人形や動物、大きく咲いた菊が飾られています。
 喧騒に疲れたら、こちらの菊のお花畑で、休憩出来ます。静かな環境なので、のんびり出来ます。
 のんびりしすぎて、時々すみっこで寝ているヤギさんがいたり、そのヤギさんを枕にしている人もいますが、気にせずに。
 そうそう。静かで二人っきりになれるので、意中の方を誘うには、いい雰囲気が演出できるかもしれませんね。


〜菊の園を楽しむ〜
「久しぶりのお出かけだね?」
 広場に咲く大きな菊を眺めながらクラーク・エアハルト(ga4961)は愛妻のレオノーラ・ハンビー(gz0067)と共にゆっくりと歩く。
 秋の花である菊の広がる景色と共に二人の時間を楽しむように一歩ずつゆっくりと歩幅を進めていた。
「ふふ、和服の方がよかったかしら?」
愛しい夫の腕に寄り添い、レオノーラは上目遣いでクラークを見て微笑む。
「どっちも素敵なのですよ」
甘える子供のようにクラークは答えると視線を今一度景色に巡らせた。
 花畑が広くあるのも魅力だが、アクセントにフラワーアレジメントで白い菊をパンダやウサギに、黄色い菊をネコやヒヨコにして飾っているのが見事だった。
 どうせなら義理の娘も誘ってこれば良かったと思うほどである。
「あの人形、可愛いわ」
 レオノーラがクラークから離れて駆け寄った先には動物たちのようにフラワーアレジメントで小さな女の子に飾られたものだった。
「こういう花とかはあまり見たことないけど……綺麗だね。人形みたいな形もすごいね」
 クラークもその細かい業に感心する。
 静かに眺めて歩くだけだが、落ち着いた空気が心地よかった。
「お祭りの雰囲気も嫌いじゃないけど、静かな方が好みかな?」
「ふふ、私も同じよ。ゆっくりと見て回りましょう」
 二人は手をつなぎ、他の観光客と共に歩いた。

 ***

「結構いろいろ見れたね? 少し歩き疲れたりしてない?」
 ふいにクラークが私の顔を覗きこみながら尋ねてきた。
「そんなことはないわよ。クラークこそ、いつも撮っている写真は今日はいいの?」
 眼帯で隠れていない瞳が不安げだったので、私は軽く彼の額を小突いて答える。
「そうでした。今日も撮るのですよ」
 すぐに表情を緩めたクラークは大きな菊の花が咲いているところや、さっき見てきた菊の動物達を撮影しはじめた。
 きっと今日はいないあの子のため何だろうなと思うと、子煩悩っぷりが今から垣間見えていて可笑しい。
「ふふふ……」
 思わず笑っているとパシャリと撮影音が鳴った。。
「レオノーラの笑顔もばっちりゲットなのです」
「もう、仕方ない人ね。ほら、一緒にとりましょう」
 不意打ちされて悔しくもあったけれど、撮り終えた彼の屈託の無い笑顔を見ると怒る気もなくなる。
 昔の同僚からはずいぶん丸くなったといわれるのはこういうところがあるからかしらね。
 自分の携帯電話を取り出すと互いに寄りあって一枚写真を撮ろうとする。
「ほら、ハイチーズ」
 腕を組んでギリギリ入るとこを狙ってシャッターを切った。
 
 ***
 
「あ、ヤギが寝てる……なんだかゆったりした雰囲気だね」
 思い出をしっかり収めた後、歩くとヤギの寝ているエリアに二人は辿りついていた。
 温かい日差しと小川のせせらぎが聞こえるこの区画は絶好の昼寝ポイントらしい。
 草むらの上で、ベンチで、木陰で様々な人がひと時の安らぎを得ている。
「本当気持いい風が吹いているわ」
 私が髪をかきあげて風を感じていると急に横のクラークが躓いてよろめいた。
 手を伸ばして倒れるところを防いだものの、流石に心配になって顔を覗く。
「ちょっと、大丈夫?」
「ん、ちょっと……疲れてたのかも……少しだけ、休ませて……」
「いいわよ、じゃあ折角だから膝枕でもする?」
「う……ん……」
 うつらうつらとし始めているクラークに肩を貸しつつベンチに腰掛ける。
 そして、膝の上に彼の頭を乗せるようにゆっくりと寝かせた。
「膝枕、初めてかな?」
「そうね。こうしてクラークを愛でるのは初めてよ」
 目を細めて力を抜くクラークの髪を優しく梳いて私は答える。
 膝の上にかかる重さは苦にならない程度で、横たわる彼を見ると昔より逞しくなったなと感じたわ。
 付き合いだす前と今では私はあまり見た目は変わらないけれど、クラークはかわっているのね。
 そっと頬を撫でていると、いつの間にか彼は寝息を立てていた。
「おやすみなさい……あなた」
 すやすやと眠る大切な人の頬に私はそっとキスをする。

〜夕日と共に去りぬ〜
 日も落ち始め、暖かい風が冷たくなり出した頃にクラークは目を覚ました。
「ん、おはよう?」
「ええ、おはよう。ゆっくり眠れたみたいね」
 ゆっくりと体を起こすクラークをレオノーラは支える。
「膝枕が気持ちよかったから、かな?」
 んーっと、伸びをした男は立ち上がり、座っている妻へと手を延ばした。
 その手を握り女も立ち上がる。
「……また、こういうところに来たいね……今度は三人……いや四人かな?」
 手を繋いだまま広場を去りながらクラークが呟いた。
 道ゆく人も帰り道のようで、親子連れに自然と彼の目が向けられている。
「あらあら、気が早いわね」
 くすくすとレオノーラが笑い同じように親子連れを眺めた。
 楽しそうな笑顔で輝き、夕日に負けないくらい眩しい。
 秋の肌寒さを感じないほどに子供達も元気に走り回っている。
「家族で、色々な所を旅行して写真もたくさん撮るのですよ」
「そうねぇ、ありきたりじゃないエスコートとか頼みたいわね? 子供を連れてくるなら甘えっ子な大人は困るもの」
 小悪魔のように微笑むレオノーラを前にクラークはあうあうと唸っていた。
 この主導権のあり方は付き合い出す前からずっと続き、きっとこれからもそうなのだろうと周囲に感じさせる。
「ふふ、困った人だこと。まぁ、そういう可愛いところも好きなのだけどね」
「レオノーラにはかなわないのですよ」二人はどちらからともなく笑いあい、握っていた手を更に強く握りながら帰り道を歩き直すのだった。

 ***

「思い出をたくさん残すのですよ」
 広場をでようとした時だった。
 人通りも少なくなったのを見計らったかのようにクラークが私を抱き寄せて木陰に連れ込んだのである。
 冷たい風が吹き、私の長い髪を揺らして彼の鼻をくすぐった。
「大好きなのですよ、レオノーラ」
 優しい瞳が私を見つめ、ゆっくりと顔が近づいてくる。
 唇が触れ合ったかと思えば体を強く抱きしめられて彼の力強さや温かさが全身から感じられた。
 時折みせるこの強引な野性味がギャップとなって私の心をくすぐるのは事実。
 でも、決して口にしてはいわない、ただ抱き寄せてきた彼の首に手を回して強くキスを返すだけだ。
 彼の温かさが私に伝わるように私の思いも多少は感じてくれれば嬉しいかしらね。
 短いような長いような不思議な時間が続く。
 これからも色々なところに出かけて、こうして思い出をこの人と作っていければ幸せね。
 ゼッタイ口にしてはいわないけれど……それでも、これだけ言ってあげる。
「クラーク、私も大好きよ」

 Fin

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
【整理番号 / PC名      / 性別 / 年齢 / クラス 】
 ga4961  /クラーク・エアハルト/ 男  / 31 /イェーガー


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
お久しぶりです。
この度は発注ありがとうございました。
長い付き合いとなっていまして、ありがたい限りです。
キャラクターが愛されることは生み出した親としては嬉しいものですが、答え切れているか何かと不安も感じるこの頃です。
まだまだライターとしては未熟だなと思いつつも、精一杯答えれるように頑張っていきたいと思います。

それでは次の運命が交錯する時まで、ごきげんよう。
■イベントシチュエーションノベル■ -
橘真斗 クリエイターズルームへ
CATCH THE SKY 地球SOS
2012年11月13日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.