●December,a long time ago
どのくらい昔のことだったかな。
たぶん、まだ10歳にもなってなかったと思う。
『予約しておいたチキンを受け取ってきてもらえる? この紙をお店の人に渡してね』
それは『恒例行事』で、できたてホカホカチキンの入った箱を抱きしめることを想像し、私はワクワクして街へ出かけたことを覚えてる。
いつものバスに乗って、いつものバス停で降りて。
お店は、そこから真っ直ぐ進んで、一つ目の角を左へ。
寒い寒い冬の午後。真っ白な息を吐きだして、冷たい空気を肺に吸い込んで、私は一生懸命に道を走っていた。