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『『あなたと2人で過ごす夜』 』
神崎・子虎(ga0513)&弓亜・優乃(ga0708)

「優乃さんただいま」
 依頼から戻った神崎・子虎(ga0513)は、元気に部屋に飛び込んだ。
 疲れてはいたけれど、家に――彼女の元に戻れば、小さな疲れなんてすぐに吹っ飛ぶから。
「お、お帰りなさい……」
 恋人、弓亜・優乃(ga0708)はいつものような笑顔ではなく、俯いていた。
「って、その格好!?」
 子虎が驚きの声を上げると、優乃は赤らめていた顔を真っ赤に変える。
 2人で暮らしている部屋の中で。
 彼女はとっても可愛らしいメイド服を纏っていた。
 普段可愛らしい服を着ることのない優乃は、とにかく恥ずかしくて、まともに顔を上げることが出来ずにいる。
「こ、この格好……恥ずかしいけど。キミが好きだっていった、から……」
 そう、このメイド服姿は子虎のリクエストなのだ。
 赤くなりながらも、嫌なわけではなくて。
「どう、かな……」
 顔を上げた優乃の目は真剣だった。
「あは、そんな優乃さん、大好きなのだ☆」
 子虎は手を伸ばして、優乃を抱き寄せた。
「可愛い……」
 抱きしめて、間近で見つめて。
「ただいま」
 ただいまの、キスをした。

 出かけている間に、部屋は綺麗に片付けられており、夕食の準備も整っていた。
「ええっと、夕飯はこれ……味見したし、味は保障します」
 食卓に並べられている料理は、ちょっと変わった料理ばかりだった。
 いぼいぼのパン。
 紫色っぽいスープ?
 海草ばかりの煮物?
 ドレッシングのような液体に浸っているサラダ?
 見かけは……イマイチ、なのだけれど、味はとても良い、はず。
 食べ始める子虎を、優乃はドキドキ見守る。
「うん、このスープ美味しいね♪」
 ス―プを飲んで子虎が笑みを浮かべた。
 お世辞ではなく、美味しかった。
「良かった。見かけは微妙だけれど、これもとっても栄養がつくらしいんです」
 言って、優乃は箸で煮物を掴むと、零れないよう手を添えて、子虎の方へと持っていく。
「あーん」
「あーん☆」
 子虎の口に、煮物を入れてどう?というように、優乃は軽く首をかしげる。
「うん、とっても美味しいよ♪ 優乃さんの手料理食べれるなんて幸せ♪」
 家事全般が得意な子虎だけれど、自分が作ったものより、優乃が作ってくれた料理の方が美味しく感じられ、幸せな気持ちも溢れてくる。
 栄養のことを考えて、調べて、時間をかけて作ってくれたことも、凄く嬉しかった。
 どんな豪華な料理でも、今子虎が感じているような、幸せを感じることなんてできない。
「はい……。私も、食べてもらえて、幸せ。こちらもどうぞ」
 優乃はサラダをとって、子虎の口に運んだ。
「うん、これも最高の味なのだ♪」
「沢山食べてくださいね」
 微笑み合いながら、子虎と優乃は2人で幸せな料理を堪能した。

 食事の後、子虎は先にお風呂に向った。
 優乃は夕食の片付けをしていたのだけれど……。
 コンコン。
 子虎が身体を洗っている最中に、浴室のドアが叩かれて。
「背中、流します」
 髪の毛をかき上げながら、優乃が入ってきた。
「あや!? 優乃さんいいの? いいならお願いするのだ♪」
 子虎がスポンジを渡すと、優乃はボディソープをつけて、彼の背を、大切に丁寧に擦っていく。
「タオルより、このスポンジの方が、泡立ちも良くて楽しく洗えるんだよね♪ でも、自分じゃ洗いにくいところもあって☆ 優乃さんありがと♪」
「はい、終了です」
「お返しに僕も背中流してあげる☆ そして、一緒にお風呂で温まろうね♪」
 子虎の言葉にこくんと頷いて、今度は優乃が背を向けた。
 彼女のキレイな身体にちょっと見惚れながら、子虎は背を洗ってあげて、お湯をかける。
「うん、お互い綺麗になったね。きゅっきゅって音がするのだ☆」
 子虎は優乃の背中を素手で触って確かめた後。そのまま優乃に抱き着いた。
 突然のことに驚いて、優乃はびくっと身体を震わせた。
 温かな彼の素肌を感じて、優乃の心臓が高鳴っていく。
 背中から抱きしめられているので、抱きしめ返すことはできなくて。
 どうしたらいいのか分からなくて困ってしまう。
「寒い? 湯船に入ろ♪」
「あ、はい。温まりましょう」
 向き合って、一緒に湯船の中に入って。
 熱で顔を赤らめながら。
 ゆったりと、疲れを癒していく。

 お風呂から出た後。
 ガウンを纏って、子虎は部屋で優乃を待っていた。
 優乃は洗面所で髪の毛を乾かしている。
 しばらくして。
「お待たせ。先に横になっていてくれても、よかったのに」
 顔を赤く染めた優乃が戻ってきた。
「ベッドで待っているのも楽しいけど」
 子虎は椅子から立ち上がると、優乃の手を取った。
「今日は一緒が良いんだ♪」
 引き寄せると、優しい香りがした。
 使っているシャンプーの違い、だろうか。
「お風呂気持よかったねー」
 そう微笑みかけると、優乃は「はい」と、微笑み返す。
「それじゃあ……寝ようか?」
 子虎の言葉に、優乃はこくりと首を縦に振って。
 手を繋いで、2人はベッドへと入る。

 ベッドに入ると、すぐに子虎は規則正しい呼吸を繰り返す。
(もう、寝ちゃったの?)
 手は繋がれたまま、だった。
 優乃は彼の顔に目を向けて、今日のことを思い出す。
 メイド服姿の自分――ご主人様への奉仕を、ちょっと試みたりして。
 ご主人さまの意地悪も、ちょっとだけ期待していた。
 思い出すと、赤くなってしまう。
 今夜は自分の全てで、子虎を癒してあげたかった。
(少し張り切りすぎたかしら。でも嫌そうな顔をしなかった、優しいキミが……)
「大好きよ。愛してる」
 そう囁きかけてから、目を閉じた――。

 数分後。
 彼女が眠りに落ちてから。
 子虎はそっと目を開いて、優乃寝顔を見つめた。
(寝たふりしてごめんなのだ。お風呂で疲れをとったばかりなのに、優乃さんを疲れさせちゃいそうだったから)
 それでも、いいなら。
 もし、君も自分と同じ気持ちなら。
 幸せな1日を、一緒にもう少し味わおう。
 子虎はそっと、優乃の頬に手を伸ばした。
 優しく、撫でるように触れると、彼女の呼吸が変わった。

 大好きな人と過ごす夜。
 幸せな、大切な夜が過ぎていく。
 そしてまた、明日。
 今日とは違う夜を、幸せを感じあい、愛し合いながら過ごしていく。
■WTアナザーストーリーノベル(特別編)■ -
川岸満里亜 クリエイターズルームへ
CATCH THE SKY 地球SOS
2012年12月25日

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