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『+ 今宵、どんな夢を見る?・3 + 』
セルフィナ・モルゲンjb3111



 それは悪夢のような光景。
 今宵はクリスマス。
 多くの者にとっては楽しい聖夜――そのはずだった。


「みぃつ、けたぁ」


 それはゆっくりとした声色。
 テンポ良く生み出される幸せの声に対して『見つかってしまった人』達は一気に顔を蒼褪めさせた。そこはビルの一角。仕事に勤しんでいた十数人が固まっていたオフィスビルである。
 オフェリアが窓から彼らを覗き込んだ瞬間、彼らは絶望を感じた。しかし最後の足掻きとばかりに周囲から武器になるものを選び出し、各々其れを手にして構える。その態度がまたオフェリアを喜ばせ、彼女は魔力によって壁を破壊すると遠慮なくビル内へと入った。巨大な身体ぎりぎりの高さの天井に頭をぶつけないよう気をつけながらも彼女は一歩一歩彼らに近付く。
 オフェリアから逃げようと扉を開く者も居たがそこにはディアボロ化した元人間達が既に行く手を阻むように存在しており、扉は虚しくも閉ざされてしまった。


「んふふ。まだいたのねェン。ンフフ……っ」
「この、悪魔めっ!!」
「いやぁん、抵抗しないでぇん?」


 ある者は掃除道具を手に、ある者は鉄パイプを手に。
 運よく調理室から包丁などの刃物を持ち出せた者が唯一攻撃力が高かったが、それも彼女の胸に阻まれて全くダメージが通らない。弾き飛ばされて壁に身体を打ち付けられてしまう姿を見てか弱い女性達が恐怖の声を高く響かせた。


「ぁあ……その顔が見たかったのよねぇん」


 恐怖に怯える顔。
 震え、抱きしめあう人間達。絶望に満ちた目でオフェリアを見るその視線――全てが全て彼女の快楽へと繋がるスパイス。触発されて彼女の身体からは膨大な妖艶なフェロモンが放出され、徐々に人々の力が抜け落ちていく。息をするまいと慌てて袖で鼻と口を押さえる者も居たが、微量であっても彼女のフェロモンを吸ってしまった者は本来の運動機能を低下させ、さらに思考も鈍くさせてしまう。
 ぼんやりと蕩けるような表情を浮かべる人々が出来上がればオフェリアは頷き、そしてずんずんっと殆ど胸の重さによる音を鳴らしながら彼らに近付いた。


「んふふ……」
「ぁ……ああ……」
「さあ、最高の快楽へと誘ってあげるわぁん」


 最後に生き残っている人達を両手で掴めるだけ掴み彼女は己の胸元へと押し込む。
 呼吸を止められるような苦しさによって一瞬冷静さを取り戻した人間はもがき暴れるが、残念ながら彼女の拘束から逃れる事は出来ない。身体中の力が再び抜け落ち、そして意識が白んでいく。
 魂の吸収が行われている事は明白で、またも胸が肥大化すると既に抵抗しなくなった身体を床へと落とし彼らもまたディアボロへと変化させていく。


「止めて、いやぁあ!」
「お願い、来ないで――ッ! ひっぃい!!」


 涙を零して懇願する女性達。
 けれど『悪魔』にとってそれは願っても無い事。頭を垂れ、命乞いする姿を見て尚彼女の手から逃れる事は出来ない。
 一人、また一人彼女の糧となり、散っていく。


「ハァァ…ッ!! 気持ちいい、わぁん……」


 悩ましい声が零れ落ちる。
 この世界に来た時よりも一層膨らんだ胸を手の平で撫でながら快楽に心を躍らせた。魔力を溜める喜びに包まれながら彼女の進撃は止まらない。


「んふ……気持ちいいでしょォ。私の魔力となるのよォ。ンフフッ!!!!」


 人々の悲鳴は耳に心地よく響いて彼女を幸せへと導き、欲望は加速する。
 より多くの魂を、より多くのディアボロの誕生を……!!


「アハハハハ!! まだまだ足りないわぁ! さあ、お前達一人残らず私の目の前に生贄を差し出しなさぁい!!」


 女王の命令には絶対服従。
 そうして多くのディアボロを従えた彼女の進撃は――、一体どこへと至るのだろうか。



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 ちゅんちゅん、と鳥が鳴く声で目が覚める。
 ふぁあっと欠伸を漏らし、両手を高く天井へを伸ばせば自分がベッドで眠っていた事に気付く。ああ、あれは夢だったのか。彼女はそう感じながら己の胸元へと手を寄せた。
 夢の中のオフェリアよりも小さいけれど、一般的にはかなり大きい『魔乳』がそこには存在しておりこっちが現実であることを知る。


 現実世界のオフェリアはかつて老若男女問わず嗜虐的な行為をし、魂吸収時の快楽を求めていた。だがその行為が目に余るとされ、冥界での風当たりが強くなった為にはぐれ化した事を思い出す。今も魂吸収時の快楽は好きだが、昔ほどは手当たり次第ではなくなった。だからこそ彼女は今しがた見ていた夢に対して一つくすりと笑みを浮かべた。


「ンフフ。いくら私でも ここまで酷いことはしないわよォ。んふ」


 多分?
 きっと?
 恐らく?


 彼女の頭に浮かぶ沢山の疑問符付きの単語は不安定。けれど今ある幸せを崩すような真似をするつもりはない。ベッドから身体を起こして彼女はクローゼットから服を選び出して身に纏う。
 今日はクリスマス。
 冬という季節柄ある程度着込むが、それでも彼女の胸元を完全に防寒出来る服装は少なく一般人よりかは露出が高いように見える。だがそれはそれ。彼女自身が寒さを感じなければなんとかなるというもの。


「さぁ、学園に行きましょ〜」


 手にはお世話になった人へのプレゼントを抱えて彼女は出て行く。
 相変わらずむっちりとした格好のまま歩く姿は人々の視線を釘付けにして止まないが――。


「プレゼント、喜んでくれるといいわねぇん」


 誰にでも訪れるクリスマスというこの日。
 彼女は夢の中の自分を思い出しながら、一度だけ悪魔の自分としてうっとりと愉悦の表情を浮かべた。









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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【jb3111 / オフェリア=モルゲンシュテルン / 女 / 28歳 / ダアト】


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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、ノベル発注有難う御座いました!!

 今回は三部作と言う事で沢山書かせて頂きましたがどうでしょうか? とにかく胸! がポイントのオフェリア様ですので周囲の状況描写も忘れず、けれど特徴を殺さないよう精一杯頑張らせて頂きましたのでどうか気に入っていただけますように……!
N.Y.E煌きのドリームノベル -
蒼木裕 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2012年12月26日

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