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『初夢2013 〜それは悪夢か願望か〜 』
エルレーン(ib7455)

●ぴんくのうさぎ。
 視界に映ったのは知らない場所だった。
(あれ‥‥ここ、どこ‥‥?)
 意識を取り戻したエルレーン(ib7455)は壁にもたれたまま辺りを見渡した。
 子供部屋だろうか、パステルカラーの寝具が掛かったベッドを中心に、これでもかとぬいぐるみが居座っている――とてもファンシーで微笑ましい部屋だ。
 しかしながら、何処か違和感を感じる。
(何だろ‥‥)
 暫く考えて、視線の位置が低すぎる事に気が付いた。当たり前のように見ている高さよりもずっと低いのだ。
(私‥‥小さくなっちゃった?)
 そんな馬鹿なと眉を顰めようとしたエルレーンは、顔の表情が全く動かない事に気付いて少し焦り始めた。
(どうしよう、からだが‥‥動か‥‥ない)
 見知らぬ子供部屋で身動きが取れない自分。もしやこれは夢の中、金縛りではなかろうか。
 落ち着いて、落ち着いて手を動かしてみよう――
(えっと‥‥手をぐー、ぱー‥‥‥‥!?)
 今度こそエルレーンは悲鳴を上げそうになったが、声にはならなかった。

 何故なら彼女は――エルレーンは、ピンクでもふもふのウサギのぬいぐるみになっていたのだ!

 このウサギのぬいぐるみ、何処かで見た事があるような気がする。寧ろ最近まで身近にあったような?
 エルレーンの疑問は、すぐに解けた。
 それというのも、子供部屋のドアが開いて馬鹿ラグナが――もとい、ファンシーかつラブリーなパジャマを着たラグナ・グラウシード(ib8459)が入ってきたからだった――!

●うさみたん。
 修羅の騎士・ラグナ・グラウシードという堅物で一本気、一見強面のこの男には意外な嗜好がある。めるへん&きゅーとなものが大好き☆ 俗に女子供が愛でるものと偏見されがちな愛らしいぬいぐるみを、こよなく愛しているのだ。彼の嗜好が集約された場所、それがベッドルームであった。
 部屋は棚といい床といい、彼のお友達であるぬいぐるみでいっぱいだ。エルレーンも彼の嗜好は知ってはいたが、まさかここまで大量のぬいぐるみを所有しているとは思ってもいなかったので、身動きできないウサぬいの中で呆れて固まっている。

「うっさみた〜ん♪ お待たせ☆」

 ドアを閉めたラグナが甘い声を出して呼んだ。
 うさみたんと言えば、エルレーンが拉致して散々ラグナをおちょくった末に返してやったウサギのぬいぐるみの名だ。
(やだ、こいつ、うさみたんにデレデレなの)
 いくら半年取り上げられていたと言っても、ぬいぐるみ相手にこの呼び方はキモ過ぎだろうと、エルレーンは動かせない表情の裏で毒づいた。
 そのまま彼女は悪態を吐きながらラグナの動向を観察していた――のだが、ラグナは今にも踊り出しそうな浮き足だった様子で真っ直ぐ此方へやってくる。
「うさみたん、うさみたん! うさみたーん!」
 ラグナ、既にテンションMAXじゃなかろうか。
 エルレーンがウサぬいに封じられているので部屋には彼しかいない事になっているとは言え、感極まって絶叫するとは、あまりにも危な過ぎるとウサぬいの中で彼女がドン引きしていると。
(‥‥え、私の‥‥ところ!?)
 この期に及んで、エルレーンは自分が封じられているウサぬいがラグナの恋人うさみたんだという事に気付いた――!

 ラグナは笑顔でうさみたんに近付いた。
(‥‥私が見た事ない、顔‥‥)
 これ以上の笑顔はそうそうないだろう。幸せを満面に湛えた最高の笑顔で、ラグナはエルレーンを抱き上げた。
「ふふ、うさみたんは、いつ見てもかぁいいなー!」
 ――嗚呼、やっぱり私、うさみたんなんだ!
 引き攣るエルレーンだが、外側のうさみたんに表情の変化はない。ラグナの腕の中にいるというのに抵抗さえできない。
 中の様子など気付かないラグナは、幸せそのものの笑顔でエルレーンを見つめた。うさみたんを溺愛しているのが伝わってくる愛情たっぷりの笑顔だ。
 暫くにこにこと眺めた後、ラグナはそっと手をエルレーンの頭に宛がった。優しく優しく、彼女の頭を撫で撫でする。
(あぅあぅ、こ、これはどうしちゃったのー!?)
 見た目はうさみたんであった。しかし意識はエルレーンそのものだった。身体も彼女であれば間違いなく反撃していただろう。しかし今はうさみたんの中に封じられている。
(ひゃう、あっ‥‥そ、そんなとこ触っちゃだめえぇ!)
 頭を撫でていたラグナの手が、エルレーンの腹へと伸びた。おなかを掻き分けるように優しくもふもふする。
「うさみたん‥‥気持ちいい?」
 返事がないのを解っている癖に話しかけてしまうのは、大事な大事なお友達なのだから当然の事なのだ!

 長い時間を掛けて愛情込めてたっぷり撫で回した後、ラグナはエルレーンを抱っこしたまま大人しくなった。
(‥‥や、やっと止まったの‥‥)
 抵抗できないエルレーン、うさみたんの中で息も絶え絶えになっている。
 それにしても、ラグナの顔が近い。呼吸さえ触れそうなほどだ。
「正月なんて言っても、普段と変わらないな」
 ぽつり。呟いたラグナの顔が寂しげだった。
 何だかちょっぴり可哀想――そう思いかけたエルレーンだった、が。
「‥‥さびしいお、うさみたん」
(し、知るかー!なの!)
 エルレーンは思わず怒鳴り返そうとしたが、うさみたんの口は×だから喋れない! というか、そもそも動く事さえできない!!
 ぬいぐるみ相手に甘える大の男は、やがて話しかけるのにも飽きたのか、エルレーンを床に置いた。
(よ、良かった‥‥)
 しかし、ほっとするのはまだ早い。
「まあいいや‥‥寝よう、うさみたん♪」
(寝、る‥‥!?)
 エルレーンが反芻している眼前で、ラグナは無造作にパジャマを脱ぎ始めた。どうやら素っ裸で寝る派らしい――だったら何故パジャマを着るんだ!
(み、見たくないのに‥‥)
 床置きされたエルレーンは目を逸らす事もできずに、ラグナのアレやコレやを隅々まで見させられる羽目になり――挙句、一糸纏わぬ彼にベッドへ連れ込まれた!!
「おやすみ、うさみたん♪」
 実にいい笑顔で、ラグナはエルレーンを抱き締めて安らかな眠りに就いた――

●‥‥という初夢だったのさ。
 エルレーンをきゅうっと抱き締める逞しい腕。厚い胸板。彼は素っ裸なのだから、それは当然素肌で。
(やだ、やだやだ〜)
 ぬいぐるみの哀しさ、腕を振り解きたいのに身動きひとつできない。
 そうこうしている内に、ラグナは寝惚けているのか腕の中のエルレーンにキスし始めた。
(あうぅ‥‥よ、汚れちゃったよぅ‥‥)
 まだ好きな人もいないのに! 馬鹿ラグナなんかにこんな事されるなんて!
 泣きたいのに、ぬいぐるみの瞳では涙も出やしない。だがエルレーンは心の中で号泣して――

「‥‥‥‥ゆめ?」
 目が覚めた場所は、彼女の部屋だった。
 覚醒するにつれて思い出す。年を越して今は正月だ――という事は。
(これが‥‥初夢、なの‥‥)

 その後、彼女が初詣の御籤で凶を引いたのは、また別の話である――



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【 ib7455 / エルレーン / 女 / 18 / (・x・) 】
【 ib8459 / ラグナ・グラウシード / 男 / 19 / ぬいぐるみおとこ 】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもご利用ありがとうございます、周利でございます。
 初夢とは言え、何やら妖しげなことに‥‥あわわ;
 エルレーンさんが鬼ラグナさん意識してないなら、これはかなり精神的にキツい悪夢だったのでは‥‥と思います;

 男性や妙齢の女性がぬいぐるみ好きでも良いじゃないですか! とは思うのですが‥‥きっとラグナさんの部屋は限度を越えてるんでしょうねぇ。
 今回、エルレーンさんはラグナさんのお部屋に行った事あるのかな‥‥と一瞬悩んだのですが、少なくとも寝室には行った事がないだろう! という事で、いきなり知らない場所で目覚めた事にしてみました。なので、部屋の第一印象は『子供部屋』という(笑)
N.Y.E新春のドリームノベル -
周利 芽乃香 クリエイターズルームへ
舵天照 -DTS-
2013年02月04日

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