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『初夢2013 〜もう君を放さない!?〜 』
ラグナ・グラウシード(ib8459)

●ぬいぐるみおとこ。
 天儀某所――とある開拓者が住む家の風呂場から鼻歌が聞こえていた。
「ふんふんふ〜ん♪」
 随分とご機嫌なようだ。即興で作っているのか出鱈目なメロディを風呂場に反響させて悦に入っている。時折ちゃぷんと湯を跳ね上げる音が鼻歌を楽しげに彩っていた。
「はは〜ん♪」
 これが女性の入浴シーンであればさぞ色っぽい事であっただろうが、残念ながら声の主は男性、それも独り身の男だ。
 しかしながら、本日のラグナ・グラウシード(ib8459)は、いたくご機嫌だった。

 苦節五ヶ月――やっと、やっと戻って来た最愛の彼女。
 真夏の海で、あの女の姦計により奪われてのち、幾夜悔恨の涙を流した事か。
 しかしもう哀しみの日々は終わりだ。
 昨日までの涙と今日の汗を流しきり、これからの幸せを考えよう、彼女と共に。
「あぁん、うさみたーん!!」
 もう君を放しはしない。いつまでも、一緒だよ☆

 興奮のあまり風呂場で一度鼻血を吹いたラグナは、鼻に綿を詰めたままパジャマに着替えていた。
 夏、うさみたんとのデート中に、エルレーン(ib7455)に浚われたのは騎士として最大の汚点だと思っている。この恨みはいるか必ず晴らしてやらねばなるまい。
 しかし今は。
「待ってて、うさみたん‥‥」
 感動の再会、そして熱い抱擁と、それから――想像して、ラグナは再び鼻血を吹いた。
 暫し後。
 何とか身支度を済ませたラグナは、スキップしかねない勢いでベッドルームのドアを開けたのだ――

●うさみたん。
 修羅の騎士・ラグナ・グラウシードという堅物で一本気、一見強面のこの男には意外な嗜好がある。めるへん&きゅーとなものが大好き☆ 俗に女子供が愛でるものと偏見されがちな愛らしいぬいぐるみを、こよなく愛しているのだ。彼の嗜好が集約された場所、それがベッドルームであった。
 部屋は棚といい床といい、彼のお友達であるぬいぐるみでいっぱいだ。エルレーンも彼の嗜好は知ってはいたが、まさかここまで大量のぬいぐるみを所有しているとは思ってもいなかったので、身動きできないウサぬいの中で呆れて固まっている。

「うっさみた〜ん♪ お待たせ☆」

 ドアを閉めたラグナが甘い声を出して呼んだ。
 うさみたんと言えば、エルレーンが拉致して散々ラグナをおちょくった末に返してやったウサギのぬいぐるみの名だ。
(やだ、こいつ、うさみたんにデレデレなの)
 いくら半年取り上げられていたと言っても、ぬいぐるみ相手にこの呼び方はキモ過ぎだろうと、エルレーンは動かせない表情の裏で毒づいた。
 そのまま彼女は悪態を吐きながらラグナの動向を観察していた――のだが、ラグナは今にも踊り出しそうな浮き足だった様子で真っ直ぐ此方へやってくる。
「うさみたん、うさみたん! うさみたーん!」
 ラグナ、既にテンションMAXじゃなかろうか。
 エルレーンがウサぬいに封じられているので部屋には彼しかいない事になっているとは言え、感極まって絶叫するとは、あまりにも危な過ぎるとウサぬいの中で彼女がドン引きしていると。
(‥‥え、私の‥‥ところ!?)
 この期に及んで、エルレーンは自分が封じられているウサぬいがラグナの恋人うさみたんだという事に気付いた――!

 ラグナは笑顔でうさみたんに近付いた。
(‥‥私が見た事ない、顔‥‥)
 これ以上の笑顔はそうそうないだろう。幸せを満面に湛えた最高の笑顔で、ラグナはエルレーンを抱き上げた。
「ふふ、うさみたんは、いつ見てもかぁいいなー!」
 ――嗚呼、やっぱり私、うさみたんなんだ!
 引き攣るエルレーンだが、外側のうさみたんに表情の変化はない。ラグナの腕の中にいるというのに抵抗さえできない。
 中の様子など気付かないラグナは、幸せそのものの笑顔でエルレーンを見つめた。うさみたんを溺愛しているのが伝わってくる愛情たっぷりの笑顔だ。
 暫くにこにこと眺めた後、ラグナはそっと手をエルレーンの頭に宛がった。優しく優しく、彼女の頭を撫で撫でする。
(あぅあぅ、こ、これはどうしちゃったのー!?)
 見た目はうさみたんであった。しかし意識はエルレーンそのものだった。身体も彼女であれば間違いなく反撃していただろう。しかし今はうさみたんの中に封じられている。
(ひゃう、あっ‥‥そ、そんなとこ触っちゃだめえぇ!)
 頭を撫でていたラグナの手が、エルレーンの腹へと伸びた。おなかを掻き分けるように優しくもふもふする。
「うさみたん‥‥気持ちいい?」
 返事がないのを解っている癖に話しかけてしまうのは、大事な大事なお友達なのだから当然の事なのだ!

 長い時間を掛けて愛情込めてたっぷり撫で回した後、ラグナはエルレーンを抱っこしたまま大人しくなった。
(‥‥や、やっと止まったの‥‥)
 抵抗できないエルレーン、うさみたんの中で息も絶え絶えになっている。
 それにしても、ラグナの顔が近い。呼吸さえ触れそうなほどだ。
「正月なんて言っても、普段と変わらないな」
 ぽつり。呟いたラグナの顔が寂しげだった。
 何だかちょっぴり可哀想――そう思いかけたエルレーンだった、が。
「‥‥さびしいお、うさみたん」
(し、知るかー!なの!)
 エルレーンは思わず怒鳴り返そうとしたが、うさみたんの口は×だから喋れない! というか、そもそも動く事さえできない!!
 ぬいぐるみ相手に甘える大の男は、やがて話しかけるのにも飽きたのか、エルレーンを床に置いた。
(よ、良かった‥‥)
 しかし、ほっとするのはまだ早い。
「まあいいや‥‥寝よう、うさみたん♪」
(寝、る‥‥!?)
 エルレーンが反芻している眼前で、ラグナは無造作にパジャマを脱ぎ始めた。どうやら素っ裸で寝る派らしい――だったら何故パジャマを着るんだ!
(み、見たくないのに‥‥)
 床置きされたエルレーンは目を逸らす事もできずに、ラグナのアレやコレやを隅々まで見させられる羽目になり――挙句、一糸纏わぬ彼にベッドへ連れ込まれた!!
「おやすみ、うさみたん♪」
 実にいい笑顔で、ラグナはエルレーンを抱き締めて安らかな眠りに就いた――

 ――おやすみラグナ、良い夢を。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【 ib8459 / ラグナ・グラウシード / 男 / 19 / ぬいぐるみおとこ 】
【 ib7455 / エルレーン / 女 / 18 / (・x・) 】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもありがとうございます! 周利でございます。
 こちらは鬼ラグナさんサイドです。ある意味、色々と危ない状況です! 相手がうさみたんでなければ、蔵倫にかかっていたかもしれません!?

 エルレーンさんの初夢という事で、独立パートは冒頭のみです。ついでに今回の鬼ラグナさんは、くどいくらいにねちっこくしてやろうと思って描写させていただきました。何と言っても残念美形の非モテ騎士ですから!
 ところで、ラグナさんが、ぬいぐるみおとこと周知されたそうですね。うさみたん専用の素敵称号までお持ちで‥‥おめでとうございます♪
 そんなラグナさんを弄ってしまって、周利、ぬいぐるみおとこファンの皆さんに石を投げられるかも‥‥;
 うさみたんらぶなネタ、という事で、どうか笑ってお許しくださいねっ!
N.Y.E新春のドリームノベル -
周利 芽乃香 クリエイターズルームへ
舵天照 -DTS-
2013年02月04日

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