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『  』
高崎・朱音(ib5430)
 ●おいでませ大神楽温泉
 
 大神楽温泉――それは、露天風呂から千人風呂まで、水着着用タイプの混浴大浴場施設を備えている。
 ミルク風呂や珈琲風呂、二つ合わせてカフェオレ風呂など、変わり風呂も多い様で人気の高い温泉施設だ。
 
「偶には温泉もいいモノじゃの」
 その幼い姿らしからぬ、大人びた喋りをするのは高崎・朱音(ib5430)。
「そうですわね〜♪ 楽しみですね〜♪」
「……私も参加してよかったのでしょうか……?」
 施設の様子に少し、遠慮がちな喋りをしているのはクリスティア・クロイツ(ib5414)。
「おー♪ でっかいー♪ 楽しみなのだ!」
 綺麗に整った顔立ちに真紅の左瞳を持った天真爛漫な少年は叢雲 怜(ib5488)は今回、唯一の男だ。
 
 朱音、計都、クリスティア、怜――休暇を利用してやってきた四人であった。
 
 ●温泉のフロント
 
「皆で温泉、楽しみなのだぜ♪ 俺も一緒に入るのだー♪」
 元気よく怜が温泉についての希望を出す。
「ふむ……混浴となると……」
 背が若干足りないのか、朱音は施設の案内を見上げている。
「混浴は水着着用のようですわ〜♪」
 温泉といえば裸で入るものと思っていた計都は少し残念そうだ。
「お客様、申し訳ございません」
 フロントの女性が頭を下げて謝る――どうやら『規則』で水着が着用のようだった。
「……いえいえ。此方こそ」
 そんなフロントの女性にクリスティアは恐縮している。
「わや? 水着着用? そういうのもあるのだぜ? でも水着はどうするんだぜ?」
 怜は水着着用での入浴は初めての様子――そして、怜の疑問通り水着の用意がなかった四人。
 ちょうどイイ感じに、フロントの横に水着のショップがあった。
 どうやら、色々な水着がありそうだ。
「せっかくじゃから、何か見繕うかの」
 早速、物色を始める朱音。
「クリスティアさん〜♪ 選びましょうね〜♪」
「計都様……!」
 クリスティアの水着を選び始める計都。
「うん、コレがいいぞ!」
 サクッと決めた怜。
 三人は黄色い声を上げながら水着を選んでいるようだ。
 どんな水着を選んだのかは後のお楽しみ。
 入浴料を払い、所謂入浴セットを借りた四人は混浴風呂に入るべく脱衣所へと向かった。
 
 ●脱衣所は花園?
 さて、脱衣所についた三人。
 各々が買った水着へと着替えていく――若干、選ばれた人もいたが。
「それっ!」
「きゃっ! 朱音様……ご無体な!?」
 脱がそうとする朱音に脱がされようとするクリスティア。
「クリスティアさん〜♪ 手伝いますわよ〜♪」
 手伝いという名のいたずらをしようとする計都であった。
「計都さま!?」
 二人によって脱がされていくクリスティアであった。
 そして、計都に水着を着替えさせてもらうといった状態――朱音はその様子を楽しそうに見ていた。
 こうして三人は着替えを済ます事となった。
 
 一方、男子更衣室。
「早く替えるのだ〜♪」
 チャッチャと着替えを済ます怜。
 
 ●レッツ温泉
 脱衣所ではちょっとしたハプニングがあったりもしたが、無事に着替えてやってきた三人。
 怜も合流している。
「クリスティア姉?」
「……」
 ちょっとぐったりとしてぼんやりしているクリスティア――着替え中に何があったのかはご想像にお任せしよう。
 なお、クリスティアは恥ずかしいのか水着にも関わらずタオルを巻いている。
 朱音、計都の二人は――。
「前振りが長かったようじゃが、やっと温泉じゃな」
 朱音は体型を生かしたスクール水着かと思えば黄色のビキニタイプだった。
「お楽しみの時間ですよ〜♪」
 スタイルの良い計都はミニビキニ――ちなみに下は紐で『結ぶ』タイプだ。
「……恥ずかしいです……」
 そして、一人、バスタオルを巻いているクリスティア。
「ダメですよ〜、温泉はちゃ〜んと水着で入りませんとね〜?」
「ふむ、やはり温泉でタオルは無粋じゃの。ほれ、良いでは無いか〜」
 タオルを取ろうとする計都、それを朱音はタオルの端を掴み、俗にいう御代官様プレイ――要はタオルの端を引っ張る。
「そ、そんな。計都様、朱音様、お戯れを……!?」
 回転しながら剥ぎ取られるクリスティア――タオルの下はマイクロビキニだった!
 マイクロビキニを着たクリスティアを詳しく書くことは諸般の事情で憚れるが――それはとても魅力的で素晴らしいものだった。
 回転の作用で揺れる胸、俗に言う回転による遠心力により……。
「クリスティア姉、大丈……にゃっ?!」
 回るクリスティアを慌てて止めようとする怜だが‥‥。
 足元を水気でとられてしまった怜がクリスティアへと突っ込む!
 ぶつかり合い、もつれ合う二人。計都と朱音はそれを楽しそうに見ている。
 無論、怪我をするようなことがあれば二人はすぐにでも飛び出す準備はできている。
 ――在らぬところを触ってしまう可能性はありえるが。
 もつれ合う二人、クッションになるように手持ちのタオルを折りたたんで二人の落下地点へ投げ込む。
 そして、倒れこむ二人――怜の上にクリスティアが覆いかぶさる形で。
 クリスティアは163cmで怜は140cmと23cmの身長差がある――となると、お察しいただけるだろう。
 頭一つ分強下の怜――詳細には書けないが……そういうことである。
「むぐぐー。むぐー」
「くすぐったいです……!?」
 覆い被さったせいで喋れない怜と怜の息のせいで擽りがるクリスティア。
「怜はいい仕事をしたの。我が撫でてやるのじゃ」
「あらあら〜♪怜くんったら大胆ですね〜♪」
 二人を抱き起こす朱音と計都――抱き起こすにあたっていたずらもバッチリだ――何をどうしたかはご想像にお任せ。
 さて、そんなハプニングが起こるも四人は温泉へと向かう。
 矢張りというか、混浴のために皆が水着を着用して温泉に入っている。
 一見、プールと見紛うような温泉から露天風呂や檜風呂の様な温泉もあるようだ。
「色々とあるようじゃな……まずは――檜風呂から入ってみるかの」
 総檜で作られた檜風呂は檜の良い香りが四人の鼻孔をくすぐる。
「良い香りですわね〜♪」
「なかなかいい匂いなんだぞ」
「良い香り……」
 ゆっくりと、先程までのハプニングが嘘のように寛ぐ四人。
 傍目からもリラックスしている様子が見て取れる。
 今しばらくは朱音と計都の悪戯も休戦状態だ。
「露天風呂もよさそうですわね〜♪」
 檜風呂でひとときを過ごした後、計都の提案により、皆で露天風呂へ向かう。
 
 衝立に囲まれた野外に設置されている露天風呂――こんこんと温泉が滝のように上から流れている。
「ふぅ、温泉での酒は格別じゃの」
 どこから取り出したのか――酒を手にしている朱音。
 重ね重ねになるが――朱音は見た目こそ幼いが相応の歳を経ている――故に飲酒も問題ない。
「あらあら〜♪ よさそうですわね〜♪」
「ふむ、一献」
 朱音から酒をもらう計都――アルコールのせいかほんのりと紅潮する。
 なお、クリスティアと怜は未成年のため飲酒が出来ない。
「怜くんは本当に可愛いですね〜♪ もっと抱っこしてあげちゃいますよ〜」
「にゃっ!?」
 酔った勢いに見せかけて首に手をかけるような形で正面から怜に抱きつく計都――それに驚く怜。
 水着と雖もただの薄布一枚――言ってみれば下着とも何らわらない。
 故に――怜の頬が感じたその感触が彼にとって驚く理由となった。
「赤くなってますよ〜」
「べっ、別に赤くなったりしてないのだぜ。お、温泉が熱いのだ!!」
 天真爛漫な「少年」と雖も怜も男、少しばかりか驚きと共に抱きつかれたことに対する気恥ずかしさ等のいろんな感情が巡る。
「ぬ。我も入れるのじゃ〜」
「な、何事なのだぜ」
 前門の計都、後門の朱音な状況に陥った怜。
 クリスティアは――怜を助けたいが、力関係上、なかなかそれが出来ない。
 朱音は99cm、計都は166cm――正面は計都の頭ひとつしたに怜の頭が、怜の腰辺りに朱音の顔がくる形だ。
 そんな風に二人に挟まれて抱かれている怜であった。
 とは言いつつもそれも長くは続かない――やり過ぎると見回りの女性店員が飛んでくるとかそういう問題でもあるが――。
「のぼせそうなんだぜ」
 流石に前後から女性に抱きつかれると言うのは刺激的だったのか、湯の温度と合わせてギブアップ宣言をする怜だった。
「楽しみは湯上り後にとっておくのじゃ」
「あらあら〜」
 湯あたりでギブアップした怜から二人が離れ、クリスティアに介抱される怜だった。
 そんなこともあり、四人は湯から上がって火照った体を湯冷めしない程度に冷やした。
 しばらくして――。
 露天風呂から内風呂へと戻った四人。
「忘れさせて下さいまし。今は、此の温泉の一時を……」
 クリスティアの言葉が代弁するように四人は内風呂にある温めの浴槽に入ってゆったりとしている。
 風呂に入り、互いの会話に興じるのも一興だがこうしてゆっくりするのも一興だ。
 先ほどの騒がしさが嘘のようにゆっくりとした時間が流れていく。
 そして――。
「湯上りの一杯はよいの」
 温泉を出て、用意していた浴衣姿の朱音は腰に手をつけて瓶に入った牛乳をあおる。
「おいしいのだ!」
 朱音の真似をした怜も腰に手を当ててフルーツ牛乳を元気に飲み干す。
 ニコニコとそれを見る計都とクリスティアの二人。
「あら〜?」
 ふと、計都が目をやるとそこには温泉宿においてあるような卓球台が。
「おお、面白そうじゃの」
「楽しそうなんだぞ! クリスティア姉! 遊ぼう!」
「怜様っ……」
 直ぐ様、瓶を返却するとクリスティアの手を引っ張り卓球台に向かう怜。
「我もするのじゃ」
「楽しそうですわね〜♪」
 朱音、計都と怜達のあとに続いて卓球台にやってくる。
 こうして、四人は卓球をシングルやダブルスで遊ぶこととなった。
 楽しい時間は流れていく――勝ったり負けたりちょっとした罰ゲームなど――それはまた、別の話。
 ひとしきり卓球を楽しんだ四人は名残惜しみつつ帰ることとなった。
 浴衣から普段着へと着替えて施設の外へ出る。
 外は――宵闇へと堕ちる黄昏時の夕日があたりを照らす。
「また、行きたいの」
「ですわね〜♪」
「また、行きたいのだ」
「行きたいですわね……」
 黄昏時の夕日が四人を照らし、手を繋がれた四人の長い影を作っていた。
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舵天照 -DTS-
2013年06月12日

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