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『●Baisse du Muguet 』
大狗 のとうja3056

 待ち合わせ場所に着いた大狗 のとう(ja3056)が、ももちゃんこと百々 清世(ja3082)の姿を探す。
「やっぱりいないな。流石に早すぎたからな」
 広場の階段に座って噴水を眺めるのとう。幸い、この場所は時間潰しには事欠かない。

 来る途中、教会の前を通った時、挙式したばかりのカップルに遭遇した。
 花嫁をうっとりと見ていたのとうに、親戚らしい人から良かったら投げて欲しいと花を手渡された。
「良いねいいねっ、こういうの♪」
 のとうも参列者に混じってカップルに向かって花を投げた──。

(幸せのお裾分けをもらった気分だ!)
 むふふ♪ ともう一度思い出し笑いをするのとう。
 今日は、清世と一緒に共通の友人達(カップル)のお祝いを買いに来たのだが、
 俄然、プレゼントを買うぞという気合が盛り上がっていく。
「可愛いの選んで二人に喜んでもらうのだっ!」
 早くももちゃん、来〜いっ! と思うのとうだった。



 のとうがジュースを飲んでいると駅のほうからやってくる清世が見えた。
「早く家を出たんだけどね。道を聞かれちゃってさ」
 それで遅刻したという清世。
「助けた女の子、可愛かった?」
 勿論と笑う清世。

 清世は、自他共に認める女の子に優しいおにーサンである。
 その上、大人の魅力たっぷりの、素敵で可愛いおにーサンだと、のとうは思う。

 のとうと話していても道行く女の子ににっこり微笑み手を振り返す清世。
「知ってる人にゃ?」
「たまにゼミで一緒になる人だよ」
(ももちゃんは、いつもゆるゆるふわふわーっとしてて、余裕たっぷりに見えるのな)
 のとうであれば偶然でもクラスメイトに会ったらドキドキしてしまうだろう。
(不思議な感じなー、ちょっと憧れるのにゃあ)

「……ももちゃん、今回のデート中に背中から刺されるなんて事ないようにしてくれな…?」
「大狗ちゃん、冗談でしょ?」
 じっと清世の目を見つめるのとう。
「……今日はこれからデート終了まで、大狗ちゃん限定です」
 宣誓のように片手を上げる清世。
「…なんてな! うん! 冗談だよ冗談。今日はいーっぱい遊ぼうなっ」
「了解〜っ。一杯遊ぼうね」

 だが、遊ぶ為には第一目的を忘れてはいけない。



「ん〜、やっぱりこれも可愛いっ」
 百貨店の中にある雑貨店に入ったのとうと清世。
「ももちゃん、どれがいいと思う?」
「これとか良いんじゃない?」とワイングラスのセットを指差す清世。
 食器は他の人と被りやすいから避けたほうが良いと答えるのとう。
「大狗ちゃん、ちゃんと考えてるなぁ」
「大好きな友達に沢山の幸せが訪れますようにってあげるからには、真剣になるにゃ」
「お、見て見て可愛いのみっけた」
 熊のペアぬいぐるみを両手に持つ清世。
「ももちゃん、自分がおじさんになった時、奥さんと子供の代わりにペアの熊さんがお出迎え楽しい?」
「………………………ちょっと嫌かも」
 ぬいぐるみを棚に戻す清世。
「なんか難しいね」
「うん」
 他の店も回ってみる事にしたのとうと清世。

 一緒に回るのも楽しいが、手分けしたほうが早いかもしれない。
「俺はこっちの店を見るから隣の店は任せた」
「うん、選んだらメールする。他所に行く時はメールしてにゃ」
 店の前で別れるのとうと清世。

 10分も経たずに清世から『ゴメ☆(*^-゚)y━~~』メールが届く。
 清世が途中で飽きるのは計算内であるが、のとうも友達に上げるプレゼントの他に買いたいものあるので好都合である。
『ィ━━ッテヾ(´c_,`*)ノラシャ━━ィ!!』と返事を入れて店内をもう一度一周する。

「んー……この写真立てにしよう」
 のとうが選んだのは、枠に目に翡翠が嵌め込まれた小さな青い小鳥がついたフォトフレームだった。
「……うん、可愛いのであるっ」
 写真を撮り、清世にメールするとすぐに『(*^ー゚)b Godjob!!  ついでにトイレにも寄ってくる』と返事が返ってきた。
 どうやら戻ってくる迄時間が掛かるらしい。
 さっきオルゴールのコーナーでお気に入りの曲を見つけたのを思い出すのとう。
 折角、百貨店まで来たのだ。自分用に1つ買っても罰は当たるまい。

 後は……。
 レジの側にあるショーケースの中を覗き込むのとう。
(……今日のお礼と過ぎちゃった誕生日の分。ももちゃん、喜んでくれるかなっ)



「お待たせ〜」
「ももちゃん、遅いのにゃ」
 悪いと言いながらも悪びれた様子がない清世。
「お詫びにゲーセン奢るよ♪」
「やった〜っ!!」

 仲良く手をつなぎ、屋上階に移動してゲームセンターにやってきた二人。
「何する?」
 UFOキャッチャーにシューティング、コインゲーム。狭い店内に多種なゲームが揃っている。
「あのぬいぐるみ可愛い〜っ。でもデカっ!」
 のとうの指差す先には90cmの大物がいた。
「こんな大きいの誰が取るのかなっ?」
「おにーさんが大狗ちゃんに取ってやるぞ」
 500久遠を投入し、依頼でもお見掛けするのが少ない真剣さでボタンと操作する清世。
「…………とったどぉおおおおっ!」
「凄いのにゃ!」
 一発取りを決めた清世にパチパチと拍手をするのとう。

「次は、何する?」
「シューティングは?」
 指差す先は、対戦型ゲームである。
「これならももちゃんに負ける気がしないのだっ」
「言ったなぁ〜じゃあ勝負だ!」
 お互いそれぞれの席に座り、コインを入れる。
「「Ready、Go!」」
 お互い一歩も譲らぬ素早いスティック捌きとコマンド入力、激しい攻防が続く。
「ももちゃん、俺ってば女の子っ!」
「勝負の世界には、男女差はない!」
 ジリジリとだかのとうが押され始めている。
(むむむ……っ、こうなったら秘儀っ!)
「アイドルの○○が男連れでいるっ!」
「何っ?!」
 意識が他所に向いた一瞬の隙を突き、敵ミサイルが清世機を破壊する。
「あ〜っ、やられた…って。どこに○○がいるって?」
「ほら、そこ」
 ポスターを指差すのとう。
「……それってズルだよね」
「勝負は、厳しいのにゃ♪」
 むふっと笑うのとう。

「次は、お待ち兼ねのプリクラ〜♪ 変顔は鉄板だよなっ」
「鉄板かよ! って落書きは任せろ!」
 二人で決めポーズと決め顔を何枚か撮った後、抱腹絶倒を味合わせてあげるぜ! と変顔を繰り広げるのとうと清世。
「わはははっ、ひでぇ〜っこの顔!!」
「にゃははは! ももちゃんだって最高〜っ!!」
 ゲラゲラと大笑いする二人。
「こんな顔、他には見せられないな〜」
「このお宝は、代々家宝としてとっとくにゃ!」
 写真の額に宝と書くのとう。
「俺にペン寄こせ〜。俺も傑作を書いてやる」
 ノリノリでシールを撮り捲る。
「沢山、撮ったにゃ〜☆」
「そうだね。喉も渇いてきたし、何処かに入ろうか」



 いただきますの挨拶もそこそこに、季節フルーツに飾られたケーキを口に運ぶのとう。
「ふわ〜ん☆ 甘い物で至福の時なのにゃあ」
 うっとりとケーキのクリームを口に含んで言うのとう。
 でも、清世の選んだケーキも美味しそうである。
「……ももちゃん、それ一口頂戴? 俺のもあげるからっ」
「いーよ。俺もちょっと味見させて欲しかったんだよねーって、あーん」
「あーん」
 それぞれ相手の口にケーキを放り込む。
 楽しい時間である。
「そうだっ。俺ってば、ももちゃんに渡すものがあるのにゃ」
「俺も大狗ちゃんに渡すものがあったんだよ」

 じゃあ、せいの! で出そうという事になった。

「今日のお礼と遅くなったけど誕生日プレゼントにゃ♪」
「ちょっと早いけど誕生日おめでとう」
「………偶然だね」
「そうにゃね」とお互い笑う。

 開けてよいか? と尋ねる清世。
「うん、開けてなの♪」と答えるのとう。
「へぇ、シガレットケースか。ありがとう」
 シンプルなシルバーケース表面にデザインされた清世のイニシャルが、掘り込まれている。
「大事に使わせて貰うよ」

「俺も開けていい?」と貰ったプレゼントを開けようとするのとうに、誕生日まで待つことと言う清世。
「大狗ちゃん、誕生日プレゼント貰っていないとか言われそうだし」
「俺ってばそんな事言わないのにゃ」
 ポカポカと清世を殴るのとう。
「冗談はさておき、家まで開けないほうがいいと思うよ。壊れやすいからね」
「そっか……なら家まで我慢するにゃ♪」



 お風呂から上がり、タオルで拭きながら今日の成果を確認するのとう。
 友達へのプレゼント、オルゴール、ぬいぐるみ、プリクラ。そして清世からの誕生日プレゼント。
 わくわくしながらリボンを解き、包み紙を開ける。
「うわぁ♪」
 オレンジ色がキラキラと太陽のように輝く小さくて可愛いガラスの小物入れだった。

 スマホを取り出し、清世に今日のお礼をメールする。
『ももちゃん、今日は一日本当にありがとう!
 誕生日プレゼントもとっても嬉しかった。
 大事にするにゃ。
 すっごく楽しかったのなっ。またデートしようぜ!』

 暫くすると清世から返事が届いた。
『俺とデートが楽しくない訳無いでしょ?
 またいつでも、大狗ちゃんのためならいくらでも予定開けるからさ。俺の方こそ、また遊んでね』


「『また遊んでね』…か、楽しみだにゃ♪」
 ベットの上に寝転びながら何時までもキラキラと輝く小物入れを眺めるのとうだった──。




<了>


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ja3056 / 大狗 のとう / 女 / 18 / ルインズブレイド】
【ja3082 / 百々 清世 / 男 / 21 / インフィルトレイター】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 この度は、ご依頼ありがとうございます。
 のとう版、清世版と内容がそれぞれ少しづつ違います。
 それぞれお楽しみいただければ幸いです。
鈴蘭のハッピーノベル -
有天 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2013年06月21日

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