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『●Baisse du Muguet 』
百々 清世ja3082

「いい加減、起きなさいよ。今日は後輩とお友達のプレゼント買いに行く約束なんでしょ?」
「ん……まだ眠たい…」
 かなりお日様が空高く上がっているが、ベットの中でまだまだ眠たい百々 清世(ja3082)。
「目覚めるには……お姫様のキスが必要です」
「冗談いう元気があるんだから起きた証拠よね。二度寝しても責任持たないわよ」
「ん……わかった」
 遅刻だと慌てて部屋を出て行く家主の後姿をぼんやり見つめる清世。
「そうか…約束、今日だっけ……?」
 たしか大狗 のとう(ja3056)との待ち合わせは、午後である。
「なんだ……まだ余裕…」
 のとうには事前に「朝弱いから待ち合わせはお昼で、遅れたらごめんねー」と断ってある。
 そうそうに二度寝を決め込む清世だった。



 清世が待ち合わせ場所に着くとのとうが噴水を見ながらジュースを飲んでいた。
「早く家を出たんだけどね。道を聞かれちゃってさ」
 それで遅刻したという清世。
「助けた女の子、可愛かった?」
 勿論と笑う清世。

 のとうと話していても女の子からの熱視線を感じるとにっこり微笑み手を振り返す清世。
「知ってる人にゃ?」
「たまにゼミで一緒になる人だよ」
「……ももちゃん、今回のデート中に背中から刺されるなんて事ないようにしてくれな…?」
「大狗ちゃん、冗談でしょ?」
 じっと清世の目を見つめるのとう。
「……今日はこれからデート終了まで、大狗ちゃん限定です」
 宣誓のように片手を上げる清世。
「…なんてな! うん! 冗談だよ冗談。今日はいーっぱい遊ぼうなっ」
「了解〜っ。一杯遊ぼうね」

 だが、遊ぶ為には第一目的を忘れてはいけない。



「ん〜、やっぱりこれも可愛いっ」
 百貨店の中にある雑貨店に入ったのとうと清世。
「ももちゃん、どれがいいと思う?」
「これとか良いんじゃない?」とワイングラスのセットを指差す清世。
「おしゃれだけど食器は、外したほうがいいかも」
 食器は他の人と被りやすいから避けたほうが良いと答えるのとう。
「大狗ちゃん、ちゃんと考えてるなぁ」
「大好きな友達に沢山の幸せが訪れますようにってあげるからには、真剣になるにゃ」
「お、見て見て可愛いのみっけた」
 1熊のペアぬいぐるみを両手に持つ清世。
「ももちゃん、自分がおじさんになった時、奥さんと子供の代わりにペアの熊さんがお出迎え楽しい?」
「………………………ちょっと嫌かも」
 ぬいぐるみを棚に戻す清世。
「なんか難しいね」
「うん」
 他の店も回ってみる事にしたのとうと清世。

 一緒に回るのも楽しいが、手分けしたほうが早いかもしれない。
「俺はこっちの店を見るから隣の店は任せた」
「うん、選んだらメールする。他所に行く時はメールしてにゃ」
 店の前で別れるのとうと清世。

 入った店で小さなガラス細工が目に入った。
「うん、これはどっちかって言うと……」
 ひまわりのような元気な顔が浮かんだ。
「確か、もうすぐ誕生日だって言っていたよな」
 あげれば喜ぶだろうが、第一目的を果たさず買うのも気が引ける。
「とりあえずこの店は、ピンと来るものないな。他の店を探すにしてもメールしとくか……」
 余り遠くの店に行くとのとうが心配するだろうが、一服すると書いておけば遅くなってもきっとのとうなら「ああ、そうか」で済むだろう。
『ゴメ☆(*^-゚)y━~~』とメールを送ると、
『ィ━━ッテヾ(´c_,`*)ノラシャ━━ィ!!』とすぐに返事が届いた。

 女の子へのプレゼントであれば簡単に思いつくが、カップルとなると中々難しいと溜息を吐く清世。
 まだ行っていない雑貨店を店内案内図で確認していた清世にのとうからメールが届く。
『どうかにゃ?』
 一緒に送られてきたのは、枠に目に翡翠が嵌め込まれた小さな青い小鳥がついたフォトフレームの写真だった。
「お〜。可愛いし、おしゃれだな」
 フォトフレームなら貰ったほうも長く楽しめる。
 どうやら無事のとうが第一目的のプレゼントを入手できたようである。

 ならば──

 のとうに『(*^ー゚)b Godjob!!  ついでにトイレにも寄ってくる』とメールをして、先程の店に急ぎ足でUターンである。
「すみません。それ、プレゼントに包んでください」



「お待たせ〜」
「ももちゃん、遅いのにゃ」
 悪いと言いながらも悪びれた様子がない清世。
「お詫びにゲーセン奢るよ♪」
「やった〜っ!!」

「はい」と手を出す清世。
「?」
「混んでるからはぐれないようにね?」
 手をつないで行こうと言う清世。
「うん♪」
 嬉しそうに手を差し出すのとう。

 仲良く手をつなぎ、屋上階に移動してゲームセンターにやってきた二人。
「何する?」
 UFOキャッチャーにシューティング、コインゲーム。狭い店内に多種なゲームが揃っている。
「あのぬいぐるみ可愛い〜でもデカっ!」
 のとうの指差す先には90cmの大物がいた。
「こんな大きいの誰が取るのかなっ?」
「おにーさんが大狗ちゃんに取ってやるぞ」
 500久遠を投入し、依頼でもお見掛けするのが少ない真剣さでボタンと操作する清世。
「…………とったどぉおおおおっ!」
「凄いのにゃ!」
 一発取りを決めた清世にパチパチと拍手をするのとう。

「次は、何する?」
「シューティングは?」
 指差す先は、対戦型ゲームである。
「これならももちゃんに負ける気がしないのだっ」
「言ったなぁ〜じゃあ勝負だ!」
 お互いそれぞれの席に座り、コインを入れる。
「「Ready、Go!」」
 お互い一歩も譲らぬ素早いスティック捌きとコマンド入力、激しい攻防が続く。
「ももちゃん、俺ってば女の子っ!」
「勝負の世界には、男女差はない!」
 ジリジリとだかのとうが押され始めている。
(むむむ……っ、こうなったら秘儀っ!)
「アイドルの○○が男連れでいるっ!」
「何っ?!」
 意識が他所に向いた一瞬の隙を突き、敵ミサイルが清世機を破壊する。
「あ〜っ、やられた…って。どこに○○がいるって?」
「ほら、そこ」
 ポスターを指差すのとう。
「……それってズルだよね」
「勝負は、厳しいのにゃ♪」
 むふっと笑うのとう。

「次は、お待ち兼ねのプリクラ〜♪ 変顔は鉄板だよなっ」
「鉄板かよ! って落書きは任せろ!」
 二人で決めポーズと決め顔を何枚か撮った後、抱腹絶倒を味合わせてあげるぜ! と変顔を繰り広げるのとうと清世。
「わはははっ、ひでぇ〜っこの顔!!」
「にゃははは! ももちゃんだって最高〜っ!!」
 ゲラゲラと大笑いする二人。
「こんな顔、他には見せられないな〜」
「このお宝は、代々家宝としてとっとくにゃ!」
 写真の額に宝と書くのとう。
「俺にペン寄こせ〜。俺も傑作を書いてやる」
 ノリノリでシールを撮り捲る。
「沢山、撮ったにゃ〜☆」
「そうだね。喉も渇いてきたし、何処かに入ろうか」



 いただきますの挨拶もそこそこに、季節フルーツに飾られたケーキを口に運ぶのとう。
「ふわ〜ん☆ 甘い物で至福の時なのにゃあ」
 うっとりとケーキのクリームを口に含んで言うのとう。
 でも、清世の選んだケーキも美味しそうである。
「……ももちゃん、それ一口頂戴? 俺のもあげるからっ」
「いーよ。俺もちょっと味見させて欲しかったんだよねーって、あーん」
「あーん」
 それぞれ相手の口にケーキを放り込む。
 楽しい時間である。
「そうだっ。俺ってば、ももちゃんに渡すものがあるのにゃ」
「俺も大狗ちゃんに渡すものがあったんだよ」

 じゃあ、せいの! で出そうという事になった。

「今日のお礼と遅くなったけど誕生日プレゼントにゃ♪」
「ちょっと早いけど誕生日おめでとう」
「………偶然だね」
「そうにゃね」とお互い笑う。

 開けてよいか? と尋ねる清世。
「うん、開けてなの♪」と答えるのとう。
「へぇ、シガレットケースか。ありがとう」
 シンプルなシルバーケース表面にデザインされた清世のイニシャルが、掘り込まれている。
「大事に使わせて貰うよ」


「俺も開けていい?」と貰ったプレゼントを開けようとするのとうに、誕生日まで待つことと言う清世。
「大狗ちゃん、誕生日プレゼント貰っていないとか言われそうだし」
「俺ってばそんな事言わないのにゃ」
 ポカポカと清世を殴るのとう。
「冗談はさておき、家まで開けないほうがいいと思うよ。壊れやすいからね」
「そっか……なら家まで我慢するにゃ♪」



 カウンター席で貰ったばかりのシガレットケースの蓋を開けたり、閉めたり弄ぶ清世。
 ぱちんと蓋を開けると今日撮ったプリクラシールが見える。
 シールが見える度に知らず知らず笑みがこぼれる。
(今日は楽しかったな)
 もうのとうは寝てしまっただろうか?
 そんな事を考えている清世にのとうからメールが届いた。

『ももちゃん、今日は一日本当にありがとう!
 誕生日プレゼントもとっても嬉しかった。
 大事にするにゃ。
 すっごく楽しかったのなっ。またデートしようぜ!』

 どうやら考える事は、同じようである。

『俺とデートが楽しくない訳無いでしょ?
 またいつでも、大狗ちゃんのためならいくらでも予定開けるからさ。俺の方こそ、また遊んでね』


「『また遊んでね』…か」
 今晩はいい夢がみれそうだと思う清世だった。




<了>


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ja3056 / 大狗 のとう / 女 / 18 / ルインズブレイド】
【ja3082 / 百々 清世 / 男 / 21 / インフィルトレイター】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 この度は、ご依頼ありがとうございます。
 のとう版、清世版と内容がそれぞれ少しづつ違います。
 それぞれお楽しみいただければ幸いです。
鈴蘭のハッピーノベル -
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エリュシオン
2013年06月21日

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