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『たまにはこんな一日も 〜極めて普通のキャンプだよ〜 』
栗原 ひなこja3001


●準備開始

 みんなでキャンプ。言葉にするだけで楽しいその響き。
 判っているとは思うが、決して新兵訓練の方の意味ではない。
 駐車場から続く小道を抜けると、目の前に川原が広がった。
 緑の木々が優しい陰を作り、山間の川は笑いさざめくように陽光をきらめかせている。
 まさにキャンプ向けの場所である。素晴らしい!
 梅ヶ枝 寿は大いに張り切っていた。いや、浮かれていたと言ってもいい。
 なにか脳内物質が身体を駆け巡ってる感じのハイテンションだ。
「虫除け任せろ!」
 虫避けスプレー取り出し、周囲に噴霧。
「熱中症対策任せろ!」
 冷えた濡れタオルと、自家製ドリンクの入ったクーラーボックスをどかんと設置。
「テント組み立てまかせろ!」
 辺りを見回し、ここと見込んだ場所に大荷物を抱えて突撃。
「こっち押さえときゃいいか?」
 如月 敦志はちょっと笑いながらも、気を利かせて組み立てを手伝う。
 綺麗に張れたテントの中に、各人の荷物が運びこまれた。

「えーと、次は火を使うのにかまどがいるか」
「か……かまど作りも任せろ!」
 敦志が振り向くと、寿は真っ赤な顔をして大きな石を抱えていた。
「おいおい、足に落っことすなよ?」
 上手く空気が通るように様子をみつつ、幾つかの石を組み合わせ、かまどを作りあげる男子二人。
(ふふ……自然の中で生きる力を持った頼りがいのある俺。どうだよしこ! 俺、今、輝いているだろ……?)
 白い歯を輝かせて振り向く寿。
 が、そこには女子はいなかった。

「すごーい水が綺麗! あっ魚もいるっ! わ、いっぱい!!」
 栗原 ひなこが川を覗き込み、歓声を上げる。
 飛び跳ねるように川原を駆けると、ポニーテールが大きく揺れた。
「そうね、ここなら都会の喧騒を忘れてゆっくりできそう」
 フレイヤがもっともらしく相槌を打つ。
 実は自分の生まれ育った田舎の光景とあんまり変わらないなー、とか思っていたりもするのだが。魔女の過去はミステリアスな方がいいに決まっている。
「魚がめずらしいかね。ふふふ、ひなこ氏はかわいいな」
 七種 戒は川に近寄らず、少し離れた所で腕組みしてクールに微笑んでいた。
 長い黒髪が涼しい風になびく。

「おい女子、仕事しろ!」
 寿が地面にがっくりとくずおれた。


●食材を確保せよ

「えー、邪魔したらかえって悪いかなーって思って」
 ひなこが大きな瞳で、ちょっと上目遣い。
「わかったわかった。力仕事はやっとくから。魚獲る方は頼むぜ」
 敦志が軽く握った拳の甲を、こつんとひなこの頭に当てた。
「はーい」
 小さく舌を出し、ひなこが笑う。

「釣りの仕掛け任せろ!」
 寿が気を取り直し、今度こそと気合を入れ川に入って行く。
 拾い集めた木の枝をうまく組み合わせて麻縄で縛り、魚を追い込む仕掛けを設置。後は放っておけば、勝手に魚の方から入って来る。
「梅さんすごーい!」
 ひなこが目を輝かせた。
 どうよ? とばかりに寿はフレイヤをちら見する。
「ははは、それほどでもないぜ! ……おうふ!?」
 フレイヤは寿の腹に鋭いパンチを捻じ込む。あんた、世界を狙えるぜ。
 ちなみに理由を聞かれれば、こう答えるだろう。ただそこに腹があったから――と。
「あら、大きな魚が入ったみたいなのだわ」
 顔面蒼白で前屈みになる寿を振り返ることもなく、フレイヤはざぶざぶ川に入って行った。

「くそう……仕掛けなど……魚は釣りあげてこその醍醐味だろ……!」
 皆がキャッキャと川に入る姿を見つつ、戒は上流に突き出た岩場の上に腰かけて釣り糸を垂らす。
 実は戒、泳ぎが苦手なのだ。決して水着が苦手な訳じゃないぞ!
「こうなったら、ヌシを釣り上げてやるんだぜ」
 とっておきの練り餌をぐににと釣り針に押しつけ、澱みに向かて糸を投げる。
 待つこと暫し。
「お……おおっこれは!?」
 ぐいぐいと糸を引く、強いアタリ。戒は岩場で必死に足を踏ん張る。
「ちょ、おま、ちょっとでかすぎじゃね!!」
 海釣りでもないのに、竿が凄いことになっている。
「わわっ戒さんだいじょうぶ!? 手伝おっか!?」
 気がついたひなこが駆けつけ、戒の腰に抱き付き力を貸す。
「ぬお、負けてたまるか……!」
 戒が思い切り竿を引き、ついに魚はその姿を現す。
 ――でかい。半端なくでかい。
 びちびち岩場の上で跳ねまわる姿に、ひなこは敦志を呼びに走った。
「敦志くんーー!!!!」
 釣るのはいいが、動く魚に触ることができないひなこだった。

「おい、これ……本当にヌシとかそういうのじゃないのか……?」
 敦志が川魚にしては規格外の大きさに、眉を寄せた。
「ばっかやろ。そんな偉い魚が、安い練り餌にひっかかるわけないだろ」
「ま、それもそうか」
 戒の言うことも一理あると、敦志はその魚を下げて行く。
「おーい、こっちも大漁だぜ」
 寿が網を広げると、銀色の魚がびちびちと跳ねまわった。
「よし、それじゃ下ごしらえと行きますか」
 敦志の料理人としての腕の見せ所だ。
 綺麗に内臓を取り除き、塩をふり、鉄串に差す。
 手際良く下処理を済ませた魚が次々と並ぶのを見て、戒はふと疑問を持った。
「おい、あちゅし……肉はないのかよ」
「肉? 魚がこれだけあったら充分だろ?」
「なんだって……」
 バーベキューといえば肉。肉のないバーベキューなんて認めない。
「わかった。ちょっと行って来る」
「は? お前何処行くんだ?」
 ライフルを肩に、戒の背中が木々の間へ消えていく。
「あいつ……何獲って来るつもりなんだよ」
 寿も怪訝な顔で見送った。


●いただきます

 風に乗って、魚の焼ける香ばしい匂いが流れていく。
「いい感じに焼けてきたな」
 敦志が焼け具合を確認し、満足そうに頷いた。
 焚火の周りに並んだ魚の脂が滴り、時折じゅわっと音を立てる。
「よしいいぞ。食べようぜ」
 敦志が串に刺した魚を順に手渡して行く。
「お塩がきいてておいしい!」
「だろう? やっぱり天然物は旨いぜ!」
 はふはふと頬張るひなこの笑顔に、敦志も満面の笑み。
「おおっ臭くない」
 寿もかぶりつき、思わず声を上げる。
 川魚は苔を食べるので、時々独特の臭みがあるのだ。
「ちゃんと下処理してあるからな」
 敦志が当然だと言わんばかりに答えた。
「あちゅし、私の釣ったあのでかい魚はどうした?」
 辺りを見回し戒が尋ねると、敦志はかまどにかけた大きな鍋を指さした。
「あの大きさは串焼きじゃ、中まで焼けないからな。塩釜焼きにしてるんでもうちょっと待ってくれ」
「塩釜焼き……?」
 何やら珍しい物が出てきそうだ。
 
 そこで突然、フレイヤが決然と立ち上がる。
「確かに焼き魚は美味しいわ。でも何かが決定的に足りないのよ!」
 そう言うとプラスチック容器を取り出し、蓋をとりのけた。
 中からはちょっと場所柄あるまじき匂いが漂う。
「今こそ畑で鍛えた女子力を魅せ付けてやるのだわ! 糠漬けなら任せろー!」
 黄昏の魔女・フレイヤこと田中良子、女子大生。特技、野菜作りと糠漬け。
 キュウリにナス、ダイコン、どれも最高の状態に漬かっていた。
「すごーいフレイヤさん、これお野菜も自家製?」
「もちろん! 私の手にかかればたやすいことよ!」
 焼き魚の付け合わせに漬物。なかなか悪くない。

 寿はバーベキューに使う色々な材料を並べる手を止め、フレイヤに声をかけた。
「よしこ、あの漬物の技量なら、きっと料理の方も……」
「あっ、料理は魔女のやる仕事じゃないから☆」
 さらっとかわし、フレイヤが微笑む。ところで糠漬けは魔女の仕事なのだろうか。
「まあ知ってたけどね……」
 諦めた寿が、石を積んだかまどに載せた金網に、野菜を載せる。
 他にもアルミホイルに包んだカマンベールチーズや、アスパラベーコン、ソーセージ、焼きおにぎり。
 下準備を済ませた食材が、次々とクーラーボックスから出て来るのだ。
「おっ、じゃあこれも焼こうぜ」
 戒が笑顔を見せる。その手に持ったトレイには……肉。
「戒さん、これ何のお肉……?」
 ひなこが恐る恐る肉を覗き込む。
「ああ、イノシシ。ちょうど通りかかったもんで」
「イノシシさん、災難だね……」
 思わず神妙な顔になるひなこ。
 それにしてもどうやってこの短時間でイノシシを仕留め、ばらしたのか。
 清純乙女の神業には戦慄を禁じ得ない。
「ちょっと癖はあるけど、結構旨味は強いんだな」
 敦志は料理人として興味を示したようだ。ジビエ料理というものもある。燻製にしても面白そうだ。
「残念だな、持って帰れたらいいのに」
 本当に残念そうに、敦志がイノシシの肉をかじり、ふと時計を確認する。
「お、そろそろいい頃だな」

 敦志が大きな鉄鍋を慎重にひっくり返した。
 すると、蓋の上に白い塊が現れる。大量の粗塩が焼けて固まり、石膏のようだ。
「さて、誰が割る?」
「やりたい!」
「当然私だろう!」
 ひなこと戒が同時に手を上げる。
「じゃあ2人で一緒にやってみろよ。あんまり乱暴に叩くと魚が粉々になるから注意な?」
 テント設営用の小さなハンマーを、戒とひなこが2人で握る。
「よっご両人!」
「初めての共同作業っていう感じよね」
 寿とフレイヤが面白そうに眺める中、えいやと白い塊が割られた。
 崩れた塩の中から出てきたのは、香草を詰められた大きな魚。
「おおっ!」
「すごいすごいー!」
 自然と拍手が沸き起こる。
「どれどれ……うおっこれはっ」
 一番乗りと箸をつけた戒が、雷に打たれたような表情になった。
「香草の香りと塩で締められた魚の旨味がたまらんっ」
 まさに至福の味であった。

 その間にも、寿はまめまめしく立ち働いている。
「そっち飲み物足りてるか?
 ほら、チーズ溶けてっぞ。このクラッカーですくって食うと旨いぜ?
 替えの紙皿いるか? ああほら、ウェットティッシュここだって」
 相変わらずの高い女子力を発揮し、本物の女子3人が手を出す隙もない。
「梅ちゃんも自分の分、ちゃんと食ってるかー?」
 敦志がマシュマロを新しい串にさしながら尋ねる。
「敦志くん、それどうするの?」
「ん? ああこれ? 焙ると旨いんだぜ。熱いから気をつけてな」
 ゼラチンがほんのり溶けるまでマシュマロを熱し、ビスケットに挟む。
 野外ならではのデザートだ。
「わあ、甘くておいしい! でもちょっと舌やけどしちゃった……」
「だから気をつけろって言っただろ? ……大丈夫か?」
 ちょっと涙目になったひなこを、敦志が苦笑いしながらも気遣った。
 フレイヤはマシュマロビスケットを味わいながら、暫し見守る。
(やっぱりちょっと羨ましいかな?)
 いつかは私も。
 もしょもしょとビスケットを齧りながら、まだ見ぬ素敵な王子様を夢見る乙女フレイヤ。
 隣に座る戒が、口元に薄笑いを浮かべているのには気付いていなかった。


●花火の魔法、あるいは。

 お腹一杯ご馳走を食べた後は、皆で片付け。
 それが済んだ頃には、もう日は西に傾きつつあった。
「明日もお天気はよさそうね」
 フレイヤが茜色に染まる空を見上げ、預言者のように重々しく呟く。
 魔女がそう言うのだから間違いないだろう。
「今夜は星が一杯見えるかな?」
 ごみ袋を広げるひなこに、寿が頷いた。
「空気が綺麗だから、見えるぜきっと。流れ星が見えると良いな!」
 寿は使わない荷物を手際よく纏め、梱包して行く。その早さはまるで本職。
「大体片付いたか?」
 雫の滴る鍋を片手に、通りかかった敦志が声をかける。
「おーう。そっち任せっぱなしで悪ぃな!」
「いや、どうせ自分の道具だからな」
 調理器具は敦志の担当だ。
 既にかまどは綺麗に片づき、火の元は小さな焚火一つになっている。


「よし。じゃあいよいよこいつの出番だな?」
 戒がいそいそと大きなスポーツバッグを運んできた。
 中を開くと、ありとあらゆる花火がぎっしり。
「うわ、すげ! 戒お前、これ一晩でやるつもりかよ」
 寿が唸ると、戒はじろりと見返した。
「何を言う。これでも厳選した花火だけなんだぜ?」
 手早く花火を取り出し、目的別に並べる。
「これは打ち上げだろ、こっちは手で持つやつ。こっちは仕掛けだな」
 広げたシートに色とりどりの花火が並ぶ。まるで花火屋だ。
「ふははは、行くぜ! まだ明るいうちに仕掛け花火からだ!」
 黄昏時の気配の忍びよる川原で、戒の顔が蝋燭の光に煽られ妙な迫力を帯びる。 
 チープな戦車の絵が印刷された仕掛け花火を取り出し、地面に置いた。
 導火線に蝋燭の火を近付け、さっと離れる。

 しゅぱぱぱぱぱぱ!!

 砲塔の部分が火を噴き、すごい勢いで回転を始める。
「おわっすげえ!」
「うわあ、面白い!!」
 寿とひなこが身を乗り出す。
 そのまま小さな戦車は走りだした。

「ねえねえ戒さん、これやってみていい?」
 ひなこが取り出したのは『マジカルステッキ』という名前の書かれた手持ち花火。
「おう、それよしこと3人で一緒にやろうぜ」
「いいわ、まかせなさーい」
「わ、おもしろそう!」
 大きな花火を3人がそれぞれ持ち、同時に蝋燭の火に差し入れる。
 小さな火花が散り始めたのを確認し、川を背にさっと並ぶ。
「いくぜ! マジカル☆乙女戦隊!」
「たしょ……黄昏の魔女、見参なのよ!」
「えーと、わ、悪い子にはお仕置きだよ?」
 思い思いのポーズを決めると、それぞれのステッキから色とりどりの火花が飛び散った。
「おーい、大事な台詞噛んだぞ!」
「ちょ、誰が乙女だよ、はらいてえ!! 鼻いてえ!!」
 敦志はデジカメを構えて突っ込み、寿は飲み物を噴きだし思わず咳き込む。
「うるせえことぶこ、ならお前やってみろよ」
 寿は口元を拭い、ニヤリと笑う。
「そんなこと言っていいのか? 俺の女子力なめんなよ?」
 残っていた花火を手に取り、立ち上がる寿。
「いいか良く見てろよ、魔法少女ってのはこう! 足はこう! そいでもって……こうだ!」
 火のついた花火をくるんと回し、片方の爪先をチョンと地面に。残った方の手でバキューン☆のポーズを決めて軽くウィンク。
 おいちょっと可愛いぞ、どうすんだこれ。
「どうだ、わかったか……ッ、ぐほぁ!? よ、よしこ!?」
「あら、何だか手が勝手に動いたのだわ」
 軽くむかついたらしいフレイヤ、情け容赦なく寿に腹パンを抉り込む。

「お、こんなのまだ売ってるんだな」
 敦志が紙製のピストルに火をつける。
「懐かしいな、これ」
 バリバリと派手な音を鳴らして、赤い炎が噴き出した。
 子供の頃にはちょっとしたスリルを感じた花火も、今はただ綺麗で。
 目に焼き付く火花に暫し見とれる。
「隙ありー!」
「おわっ、なにす……!!」
 思わずのけぞる敦志の目の前を、空気を裂く音を立てて光弾が飛び過ぎた。
「ふははは、何をたそがれているのか知らんが、隙だらけだぜあちゅし!」
 戒が打ち上げ花火を手に、勝ち誇る。
 リア充め、爆破されないだけ有難く思え!
 その間も花火はすぱーん、しゅぽーん、と光弾を飛ばし続けていた。

 ※大変危険なので、良い子は絶対に真似をしないように。

「敦志くん、だいじょうぶ!?」
 駆け寄ったひなこが大きな瞳で、敦志を見上げた。
「ひなこ、お前いい加減、俺の額だけ見て言うのやめろ」
「えっ、本当に心配してるんだよ?」
「なお悪いな……?」
 敦志ががくりと肩を落とす。

 そのときだった。
「おわああああ!?」
 突如、戒の叫び声が響き渡る。
 何やら黒い物が塊になって、真っ直ぐ戒を目指して突き進んできたのだ。
「戒!」
「大丈夫か!」
 咄嗟に頭を押さえ屈みこんだ戒の上を、黒い塊は騒々しく飛び去って行った。
 フレイヤが眼で追い、呟く。
「蝙蝠……?」
 調子に乗って飛ばしていた花火の一発が巣に飛び込み、驚いた蝙蝠が一斉に飛び立ったものらしかった。
「あー……びっくりした」
 戒がぜえぜえと息をつく。
「あれじゃね? 川のヌシのたたり」
 腕組みして戒を見下ろす敦志。
「イノシシさんかもね……」
 自分も食べたことを棚に上げ、思案気なひなこ。
「花火なんか振り回すからだぜ」
 華麗に振り回していた寿。
「世界の終焉の始まりなのだわ!」
 それは関係ないな、フレイヤ。
「ちょ、お前ら……全部私のせいか……!」
 花火の燃えカスを握りしめ、戒は怯えたように辺りを見回す。


 火を入れたカンテラを置くと、テントの中は柔らかな明かりに満たされた。
「えへへ、こういうお泊りってなんだかワクワクするね!」
 ひなこが嬉しそうに寝転がる。
 花火のチカチカの残像が、まだ目の前にちらつくようだ。
 フレイヤも横になりながら、ふふっと微笑む。
「でもテントだから、内緒話はできないのだわ」
 隣のテントにいるだろう男子2人に聞こえるように、わざと声を高めた。
(……なんだかんだで友達と過ごす夏って、いいものよね)
 本当はそう思ったけれど、口には出してあげない。その代わりにひなことくすくす笑いをかわしあう。
「ところで戒さんは?」
「ああ、もうすぐ戻って来るんじゃないかしら」

 戒はひとり川べりの岩場に屈みこんでいた。
 目の前には盛り上げた土と、敷紙の上に置かれたマシュマロビスケット。
「反省してます、すんません……これで勘弁してください」
 イノシシと、川のヌシだったかもしれない魚に、心から拝み倒す戒であった。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ja0715 / フレイヤ / 女 / 21 / ダアト】
【ja0941 / 如月 敦志 / 男 / 20 / ダアト】
【ja1267 /  七種 戒 / 女 / 18 / インフィルトレイター】
【ja2303 /  梅ヶ枝 寿 / 男 / 18 / 阿修羅】
【ja3001 / 栗原 ひなこ / 女 / 14 / アストラルヴァンガード】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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仲良しグループでのキャンプ、如何でしたでしょうか。
昔キャンプに行った時の出来事を色々と思い出し、自分も行った気になって執筆致しました。
それにしても男子2人が働き過ぎですね。
まあそれも頼り甲斐のある姿を見せたということで、宜しいのではないでしょうか。
この度は楽しい夏の思い出をお任せいただき、どうも有難うございました。
またの機会にお目にかかれましたら幸いです。
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2013年09月03日

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