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『巨大な夏のリゾート 』
小野坂源太郎(gb6063)


 夏のある日のこと。「とある無人島にバグアの研究所が放置されている」との報を聞き、源太郎たち能力者の面々が調査へと赴いた。
 この日は晴天。青空はどこまでも続く。海上は太陽の光を反射させてキラキラと輝き、ちょっとしたリゾート気分に浸らせてくれる。ここで錨を下ろせば、竿を垂らして魚釣りもできそうだ。陽気は皆を誘惑するが、そんな気持ちを切り裂くかのように、船は目的地に向けてひた走る。

 船を無人島につけ、能力者は装備を整えて出発。源太郎は真っ赤なポージングパンツの上に腰布を巻き、手には銛と間違えそうな槍を持ち、周囲を警戒しながら歩く。その姿はあまりにもダンディーすぎて、たとえバグアが潜んでいても出てこないのではないかと思うほどだ。その鋭い眼力のおかげもあってか、すんなりと研究所へたどり着く。
 源太郎は意気揚々と中に入り、まだ電源の入っている装置を眺めて「うーむ」と唸る。
「まだ近くに、連中がいそうじゃな‥‥」
 仲間から「何に使う装置か調査するので、まだ壊さないでください」と言われているので、源太郎は奇妙な形をした機械を見て回る。
 源太郎がある装置の前を横切った時、遠慮がちにブザーが鳴り出した。周囲に緊張が走る。しかし源太郎は「ガッハッハ!」と笑い、機械の横っ面を乱暴に叩く。
「そんな根性のない音で、わしがビックリすると思うか! ん、これが停止ボタンか? こんな蚊の鳴くような音じゃなく、もっとでっかく叫べ!」
 いつものノリで、無造作に大きな赤いボタンを押した源太郎。それに気づいた仲間たちが「源さん、ダメっすよ!」と止めたが、時すでに遅し。機械が奇妙な光線を発したかと思えば、源太郎を数十メートルの巨人へと変貌させた!
「ぬ、ぬぅ! ぬおおおーーーっ!」
 たやすく天井を壊し、いきなり研究所を壊滅状態に陥れた源さんの変貌ぶりに驚きつつも、仲間は無事に外へ避難。そして上を見上げると、伸縮性抜群の特殊素材でできたポージングパンツ一丁で、源さんが嬉しそうな声を上げて笑っている。
「な、なんと‥‥わしはこんなにもデカくなってしまったのか! なるほど、これはいい!」
 仲間たちは、口々に「よくないですよ〜」と心配するが、当の本人はまったく動じない。とりあえず仲間たちは原因を探るべく研究所内に戻り、『彼の触った機械こそが、研究所の秘密である』と断定した。
 源太郎を元に戻すには、この機械にエネルギーを充填しなくてはならないが、先ほどの巨大化によって研究所の一部が破壊されたため、パワーをチャージできなくなってしまった。そこで仲間たちは装置を持っていったん引き返し、使用可能な状態にして戻ってくる方法を取ることに。無論、巨大化した源太郎は、バグアと勘違いされると危険なので、この無人島に置いていくことに。
「うーむ。なるべくたくさんの人に、今のわしの姿を見てほしいのだが‥‥」
 駄々をこねても、仲間は首を縦に振らない。残念無念。
 仕方なく源太郎は船に装置を載せてやり、船の出発を見届ける。そして見張り番がてら、無人島で孤独なリゾートを楽しむことになった。

 とはいえ、源太郎が悲嘆の色など見せるはずもない。
 巨大になっても慢心せず、力を維持するためにトレーニング。まずは腹筋運動‥‥と思ったが、海底を含む地面はフラットではなく、むしろデコボコ。不用意に寝そべれば、背中を傷つけかねない。こうなると、できることが限られる。
「せっかくだから、海で泳ぐか。まずは準備体操じゃ!」
 常に前向きな源太郎は、巨大な体でも沈むであろう付近での水泳を思いつき、まずは腕を振って肩を回す。すると、無人島の木々が揺れ、ざわざわと騒ぎ出した。
 自然をも揺るがす源太郎の体操に、どこぞに隠れていたキメラが群れを成して登場。能力者に苦情を述べるかのように吠え立てる。
「メギャー! メギャー!!」
「なんじゃなんじゃ、さっきまで成りを潜めておきながら、今さら出てくるとは!」
 少し前に出て脅かしてやろうと思ったら、その一歩が大きすぎて島へ上陸。しかも足元にはキメラの群れがおり、小さく「プチッ」という音が響くと共に、敵の大半が一撃で消滅した。
「ガッハッハ! まさにわしの足元にも及ばぬといったところか!」
 その光景を見た生き残りは肝を冷やしたか、本能のままで逃げ回る。しかし源太郎がそれを逃がすわけがない。彼の行動ひとつで島の形状が変わってしまうが、それと引き換えに脅威となるキメラをすべて駆逐した。

 意図せず準備運動の終えた源太郎は、いよいよスイミング。無人島からかなり離れてのところで、華麗なクロールを照りつける太陽に披露する。
「このまま対岸に行こうか?! ガッハッハ!」
 絶好調の源太郎だったが、少し遠くで小さな悲鳴が聞こえた。さっきとは違い、人間の声‥‥「なんじゃなんじゃ」とばかりに平泳ぎでそちらに向かえば、少し大きめの漁船が木の葉のように舞っている。どうやら源太郎のクロールで大波が発生させてしまい、意図せずこの船を襲ってしまったらしい。大きいというのは、なんとも難儀なものだ。
「ひ、ひーっ! 巨人だーーー!」
「落ち着け。わしは小野坂源太郎という者じゃ。迷惑をかけたなら謝る」
 事の経緯を伝え、漁師たちに納得してもらうと、源太郎は「お詫びに」と海へ潜る。今の状態だと、かなりの素潜りとなるが、巨大なので問題はない。しかし、これが何のお詫びになるのやら‥‥漁師たちは首を傾げた。
 そのうち、海中から何やらドカドカという音がしたかと思うと、源太郎は表情を躍らせながら浮き上がった。そして右手を海上に出すと、目つきの悪い巨大なカジキ型キメラを見せる。
「海の安全を確保した上に、めったに獲れない魚を持って帰る、というので手を打ってくれんか?」
 漁師は源太郎の男気あふれる行動に拍手し、その活躍を讃えるべく、カジキをみんなで食おうということになった。源太郎は「近くに安全になった無人島がある」といい、漁船を案内。そこで刺身をつまみに、酒盛りが始まった。

 その後はすっかり漁師と仲良くなり、飲めや歌えの大騒ぎ。装置の修理を終え、急いで戻った能力者たちは、この騒ぎを見て呆然とした。しかし、そこは源太郎のペースに巻き込まれ、酒盛りに参加させられてしまう。
 夕暮れを過ぎ、夜になっても巨大な源太郎は楽しく笑い、突然のリゾートを存分に満喫しましたとさ。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

 gb6063 / 小野坂源太郎 / 男 / 73 / ファイター


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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いつもお世話になっております、市川智彦でございます。
この度はご発注いただきまして、誠にありがとうございました。

とてもワイルドで素敵なキャラなので、楽しく書かせていただきました。
またの機会がございましたら、ぜひよろしくお願いします!
流星の夏ノベル -
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CATCH THE SKY 地球SOS
2013年09月20日

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