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『ハロウィンカフェはちょっとヘン、にゃ☆ 』
猫宮・千佳(ib0045)


――すぱーん!
 勢いよく開けられる襖。
「コクリちゃん、トリック・オア・トリートなのにゃ♪」
 いきなりの展開だが、コクリ・コクル(iz0150)の部屋に嵐が訪れた。
「え? その、ちょっと待って。今からハロウィン用のお菓子を用意しに行くところだったんだけど……」
「待たないにゃ待たないにゃ!」
 ぴょ〜ん、と入ってくる騒ぎの張本人。
 その正体は、猫宮・千佳(ib0045)。オレンジ色のエプロンドレス姿にネコ耳ネコ尻尾でふわふわ。
 一方コクリは着替えの最中だったようで、上着のみで無防備にお尻を向けたまま身を屈めミニスカートに足を通そうといていた。あまりの唐突さに頭を千佳に向けたまま固まっている。お尻はちゃんと下着にまるんと包まれているのでまあ問題はないが。
「問答無用にゃ。お菓子がないなら悪戯して着替えさせちゃうにゃ〜♪」
「わ〜っ! 押し倒されたーっ!」
 千佳、持ってた風呂敷を万歳して放り出しにこぱ顔でネコダイブ。容赦なくのしかかって倒してしまう。
 そのままどったんばったん服を脱がそうとする上空で風呂敷の結び目がはらりと解け花開くように中身が散らばる。
 ふわふわと舞い落ちる布切れ。
 にゃ、と腕が伸びてその一つをキャッチ。
「おとなしくしくこれをはくにゃ〜っ!」
 ぽ〜ん、と空高く舞うコクリのはいていた白い下着。その下では、見えないが千佳の思いっきりずり上げるような音に「ひぃぃ」というコクリの悲鳴。「あたしにも優しくしてにゃ♪」とか、「その……上から。背中向けて」とかいう会話も。もう、服や下着が舞うことはない。どういう光景なのかは秘密☆。
 やがて。
 つん、と突き出すお尻にネコ尻尾。
 おず、と真似するお尻にふんわりオオカミ尻尾。
「というわけで、今回は猫と狼なのにゃ♪」
 くいっ、と肉球ぐろーぶで招き猫してネコ耳の千佳がウインク☆。
「その……オオカミはいいんだけど、どうしてこんな衣装?」
 オオカミ耳を付けたコクリは肉球ぐろーぶオオカミ仕様で肩を丸めて前を隠す。
 きゅっ、と恥ずかしそうに締める太股は素肌のままで真白。
 肉球ぐろーぶで隠すおなかも素肌のまま。
 と、その手がのけられおへそが丸出し。
「にゃっ! 隠すのは、めっ! にゃ」
「うう、ごめん〜」
 手をのけさせた千佳、コクリの堪忍した様子ににゃふんと胸を張る。おへそ丸出しで。
 そう。
 二人はビキニのようなにゃんこコスチュームとオオカミコスチュームに身を包んでいたのだ。
「足も可愛いにゃよ?」
 るん、とレの字に上げる足。ねこねこオレンジな肉球ブーツを装着している。真似してレの字に上げるコクリも、茶色いオオカミ肉球ブーツである。
「じゃ、せっかく着替えたし一緒にデートにいくにゃー♪」
「こんな格好で?」
 千佳がコクリの手を握って駆け出す千佳。わたた、と前のめりになりながらコクリがついていく。
「ま、今日はハロウィンだしねっ」
 気を取り直しコクリ。繋いだ手を振って堂々と歩いていく。



「きゃ〜。可愛いネコちゃん♪ これ食べて〜」
「オオカミさんも可愛い。ネコちゃん襲わずにこれを食べてね」
 町を行く千佳とコクリ。特にトリックオアトリートなどと言わなくても、周りできゅんきゅん盛り上がっている女性からキャンディーやらネコ型クッキーやらをもらっている。
「私のも食べて〜」
「こっちも、こっちも〜」
 何かもう、逆に襲われるのではないかという勢いで。
 しばらくすると結構お菓子が集まった。
「お姉さんからいろいろもらったにゃ♪ 役得なのにゃ〜♪」
「あん。千佳さん悪戯しないでーっ」
 お菓子の入ったバスケットを両手で持っているため手の離せないコクリの両脇から抱き付いて背筋にうにうに〜っと頬ずりする千佳。なんとも幸せそうな猫笑み。コクリの方はひぃぃと背筋伸ばしていたり。
「うにゅっ!」
 その千佳、ぴぴんと猫ひげを立てるように何かに反応した。
 大きく見開いた瞳は、一軒の喫茶店を見詰めている。
「あれにゃ! あの店にゃ。……ケーキが美味しいって聞いたにゃ☆」
 コクリの顔に至近距離まで近付き覗き込んでアピール。
「うんっ。じゃ、行ってみよ☆」
 今度はコクリが先頭で。千佳の手を取り一緒に走る。ふりふりネコ尻尾とふんわりオオカミ尻尾を仲良く揺らして――。
――からん。
「いらっしゃいませ〜。ハロウィンカフェにようこそ☆」
 入り口の鐘を鳴らして元気良く入ると、魔女っ娘的メイド服を着た女性ウエイトレスがにっこり。
「うにゅ? 今日は変わったお店になってるにゃ」
「お客様も変わってるから気にしちゃダメです〜」
 小首を傾げる千佳にうふふと魔女っ娘ウエイトレス。
 その後ではマスターらしき人物が頭に大きなネジをつけた格好でこぽこぽ珈琲を淹れている。
 窓際に目を移すと、かぼちゃのようなバルーンスカートに身を包んだ魔法使い的女の子にドラキュラルックの男の子がきゃっきゃうふふ。
 いま、千佳とコクリの目の前を過ぎてマンガを取り席に着いたのはぐりぐり眼鏡と白衣のマッドサイエンティストちっくな女の子。
「さすがハロウィンだよね。さ、千佳さん。気にせずケーキ食べよ☆」
 コクリが空いた席に着こうとしたときだった。
「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞっ!」
 客の一人、ミイラ女が襲い掛かってきた。
「それじゃ、これをあげるにゃ」
「あーっ! お客様、当店は持ち込み禁止です〜」
 千佳が入店前にもらったお菓子を差し出そうとしたところでウエイトレスに止められた。
「にゅにゅ!? それじゃ悪戯され放題にゃー!」
「はい。じゃあ悪戯。包帯をちょっとだけ巻きますね〜」
「ほっほっほ。トリック・オア・トリート」
 ぴぴん、と尻尾を立てたところで今度はサンタがやって来た。
「うにゅ。ここじゃお菓子だめにゃし……」
「ほっほっほ。それじゃあクリスマス飾りをつけてもらおうかの」
「おーっほほほほ。貢物がなければ可愛がってあげるわよ?」
 俯く千佳。続いて夜の女王様風女性が。
「にゅ? 貢物があったら可愛がってもらえないのにゃ?」
「ああら、貢いでも可愛がってもらいたいの? おイタな娘だねぇ」
 千佳、小首を傾げる。どっちにしても店内持ち込み禁止だ。
「おーっほほほ。それじゃ首輪をプレゼントね〜」
 とかなんとか、いろいろあった。
「ふーっ。やっと席に座れたね」
「座れたにゃね」
 窓際に落ち着いたときには、二人とも片方の太股にフリル飾りのついた包帯が巻かれ、首に黒革の首輪が巻かれ、そこに大きなクリスマスベルがついていたり。存分に悪戯されてしまった。
「はい、ハロウィン特製のパンプキンケーキの珈琲セット、お待たせしました〜」
 ウエイトレスが、八分の一カットのベイクドパンプキンケーキを持ってきた。あま〜い香りと珈琲の香りが二人の鼻をくすぐ。
「わー、おいしそーっ」
「ちなみにオオカミお客様、あちらにトリックオアトリート用の小さなお菓子を売ってますので、お気軽にお声掛けください」
「え? えーっ! どうしてさっき言ってくれないの?」
「それは……トリックオアトリート。えいっ!」
 不満の声を上げるコクリにウインクして答えるウエイトレス。ついでに口紅を取り出してきゅきゅっとコクリと千佳のほっぺに小さなハートマークを描いた。
「……みんな悪戯したいからです♪」
「あんもー。だったら……」
「おっと。店員に悪戯はしないで下さいね〜」
 ひらりとコクリの言葉を交わして去っていく店員。
「まあ気にせず、コクリちゃん、あーんなのにゃ♪」
 千佳の方は、コクリと一緒のハートマークにご機嫌。身を乗り出してあーんさせる。
 というわけで、ネコがオオカミに食べさせるの図。
「あ、あ〜ん……わ、美味しい♪ ねね、千佳さんも食べてみて。はい、あ〜ん」
 納得できないなぁ、な感じだったコクリだが、千佳の差し出したスプーンにぱくついて顔を輝かせた。腰を浮かせて千佳にあ〜ん。
「あ〜ん、にゃ♪ 美味しいにゃ〜っ☆」
 ねね、美味しいよね〜とかきゃいきゃい盛り上がる。しっとり滑らかな食感に、ずっしり舌に乗る濃厚な甘さは乙女のハートにずきゅ〜ん☆のようで。
――からん。
 そうこうしているうち、新たなお客様。
 周りの客がそれぞれ悪戯飾りを手にきら〜ん☆と瞳を輝かす。
「ボクたちも何か飾りを持ってくればよかったかな?」
「一緒に見てるだけで面白いからいいにゃ」
 そんなこんなで騒ぎは続く。



 そして日が暮れて。
「あ」
 一緒に散歩していたコクリが立ち止まる。
「どうしたにゃ?」
「ボク、まだ千佳さんにトリックオアトリートしないよ」
「じゃ、どんな悪戯してくれるにゃ?」
 期待に瞳をキラキラ輝かせる千佳。
「……お菓子を出すっていう選択肢はないんだね。ええっと〜」
「じゃ、悪戯を思いつくまで一緒にいるにゃ」
 そんなこんなで、コクリの部屋に戻った二人。
「えっと……」
「迷いすぎにゃ迷いすぎにゃ!」
 上の空のコクリにうにゃ〜っ、と襲い掛かる千佳。
「ああん、千佳さん〜!」
 またもぽ〜んと宙を舞う二人の衣装。続いて布団が舞いそのまま二人して包まる。
「すーっ、すーっ」
「あ、あれ? 千佳さん、もう寝たの?」
 千佳、コクリに抱き付いてあっという間に寝息を立てていた。猫的である。下ろした髪が広がっているが、大半は布団に隠れている。
 不意に、もぞっと身もだえする千佳。白く小さな肩が掛け布団から出る。
「今年も楽しかったにゃ♪ また今度のお祭りも楽しもうにゃ♪ ……これからずっと、毎年、にゃ♪」
「うん。楽しかったよね。……次も一緒だよ」
 コクリ、自分も真白な腕を出してんしょんしょと布団を整え、千佳を抱き返して瞳を伏せ、力を抜いた。 



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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ib0045/猫宮・千佳/女/15/魔術師
iz0150/コクリ・コクル/女/11/志士

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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猫宮・千佳 様

 いつもお世話様になっております。
 ハロウィンの千佳さんも抱き付き子猫全開で元気いっぱい。
 でも折角のハロウィンですから、こちらからも悪戯させてくださいね。
 というわけでアクセサリーを追加です。ついでにびっくりする千佳さん、しゅんとする千佳さん、おかしいなな感じな千佳さんの三連発も。

 では、コクリちゃんとの楽しいひと時、楽しんでくださいね。
魔法のハッピーノベル -
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舵天照 -DTS-
2013年10月25日

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