▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『秋を彩る お・ち・ば・た・き 』
フラッペ・ブルーハワイja0022

1.
 秋深し 隣は何を する人ぞ
 高い空を見上げて、フラッペ・ブルーハワイ(ja0022)はOh! と感嘆の声をあげた。
 日本には四季がある。日本はその四季の趣を大事にする。
 お月見や紅葉狩り。『風流』という言葉の意味はすごいと思う。
 綺麗に澄んだ青空は、どこまで続いているのだろうか?
 ボクの故郷まで続いているのだろうか?
 手を伸ばしたら、この空は掴めないだろうか?
 少しでも空に近いところへ。フラッペは近くの木に素早く登った。
 校内の通路にあるその木は、大きな落葉樹で赤く色づいた葉っぱがひらひらと風に時々飛ばされていった。
「あ、『イワシグモ』だ! 秋って感じだね〜」
「秋っていえば、今日の学食! サンマだったよ〜!」
「うわぁ! あたしも学食に行けばよかった」
 キャピキャピとはしゃぐ女生徒たちの声に耳を傾ける。
 『イワシ』…? 日本には秋になると『イワシ』が空を飛ぶのだ??
 想像してみたが、よくわからない。フラッペはう〜んと考え込んだ。
 と、下から聞き覚えのある声がした。
「秋ッすね」
「何が秋なのだ?」
 見慣れた顔に、フラッペは声を掛けた。彼は驚いたように辺りを見回しているが、フラッペは上にいる。
「イチジク〜!」
 えいっと木の上から飛び降りてフラッペは九 四郎(jb4076)の前に舞い降りた。
「な、何してたッすか?」
「うん? なにって…木登り?」
「いやいや、それはわかるッすよ。自分が訊きたいのは、なんで木に登ってたかってことで…」
 そう訊ねられフラッペは素直に左手で帽子を押さえながら空を指差した。
「綺麗なBlue Skyだったから、もっと近くで見たかったのだ」
 そんなフラッペに、四郎は「そうだったッすか」と納得したようだった。
「あぁ、そうだ。イチジク。さっき通りかかった女の子たちが空を見て『イワシ』がどーのこーのと言ってたんだけど、何のことなのだ? Japanのイワシは空を飛ぶのだ?」
 四郎は空を見た。青い空の片隅に、白い雲が模様のように浮かんでいた。
「あぁ、イワシ雲ッすね。鱗雲とか、羊雲とかも言うッす」
「雲? …どの辺がイワシなのだ??」
「う〜ん…秋だから…ッすかね?」
 2人で空を見上げると、なんだか雲がそれらしくイワシに見えてくる。…ぐぅっと小さくお腹が鳴った。
 その時、風が吹いた。少し寒い、木枯らしと呼ばれる冷たい風だ。
 風に乗って、赤い葉がひらひらと四郎とフラッペの前に舞い降りた。
「…落ち葉ッすね」
 その言葉にフラッペはハッとした。そう、日本は四季を大切にする国なのだ!
「落ち葉っていったら、Japanではヤキイモじゃないのだ!?」
「ヤキイモ…ッすか?」
 四郎は少し考えて、頷いた。
「ちょうど腹も減ってたッすし、いっちょやるッすかね!」
「Let's do this!」
 ガシッとタッグを組んだ2人。いざ、ヤキイモ!!


2.
「イチジク、イモ買ってきて欲しいのだ! ボク、落ち葉集めてくるのだ!」
「了解ッす!」
 駆け出した四郎を見送って、フラッペは落ち葉を集めるのに必要な物を考える。
 箒…そう、箒がいいのだ。たしか、どこかにあった…ような…きがする…ような…?
 曖昧な記憶を頼りに、箒を探す。結局、ようやく探し出した竹箒を手にした頃には四郎はすでに大量のサツマイモを持って戻ってきてしまった。
「買ってきたッす! 大量ゲットしたッす!」
「でかしたのだー、イチジク!」
 ぱぁぁっとキラキラした瞳を輝かせ、フラッペは両手を広げて四郎を出迎えながら竹箒を渡した。
「2人でやれば、もっと早く集まるのだ。さぁ、ヤキイモのためにガンバロー!」
「そうッすね! 一緒にやれば早く焼き芋できるッすね!」
 竹箒を受け取り、四郎は頷く。
 だが、そこは『最速』を信条とするフラッペ。
 アウルの力で蒼い光のボードを足に出現させ、滑るように地面の落ち葉を掻き集めながら素早く動く。
「Yeah!」
 風のように走り抜け、あっという間に集まる落ち葉たち。
「やっぱり2人でやると早いのだー!」
 にこにこ笑顔のフラッペに、四郎は「は、早いッすね…」と頷いた。
 褒められたフラッペは得意そうに笑った後、はたっと気が付いた。
「…ここからどうすればいいのだ? 後はよくわかんないから、イチジクに任せていいのだ?」
 落ち葉の山を目の前に、フラッペは小首を傾げた。
 ヤキイモ…というからには焼くのだろうが…そこから先はどうしたらいいのだろう?
「任せてくださいッす! 自分、全力でやらせてもらうッす!」
 四郎はその場にフラッペを残し、全速力で校舎に向かう。
「イチジク―――――!?」
 フラッペは叫んだが、四郎は振り向きもせずに走って行ってしまった。
 …どうすればいいのだ?
 呆然と立ち尽くすフラッペ。だが、四郎は直ぐに戻ってきた。
「お待たせしたッす!」
 手にはバケツに入った水と、ライター。
「たき火の許可を先生にもらってきたッす! あと、火事にならないように水の準備もオッケーッす!」
「! でかしたのだ! イチジク!」
 そうなのだ! そこまで気が回らなかったのだ。さすがイチジク! ボクのトモダチなのだ!
 飛び跳ねて喜ぶフラッペと四郎。これで準備は整った!
「ヤキイモ〜♪ ヤキイモ〜♪」
 期待で目が輝くフラッペを横に、四郎は落ち葉に火をつける。
 落ち葉はほどなく燃え上がる。その火を四郎はじーっと見つめる。
「…まだいれないのだ?」
 フラッペはすぐに芋を投入するものだと思っていただけに、四郎に思わずそう言った。そんなフラッペに四郎は笑った。
「火がついているうちは入れないッすよ。まっ黒こげになっちゃうッす」
「まっ…!? そ、それはダメなのだ…」
 まっ黒はダメなのだ。焦げは体に悪いのだ。
 フラッペも四郎を真似てじーっと火を見つめる。
 いつ入れるのだ? まだ消えないのだ?
「果報は寝て待てッすよ」
 見透かしたように笑った四郎に、フラッペはぷぅっと頬を膨らませた。
「フラッペさん。進級試験はありがとうございましたッす」
 唐突に、四郎はそう言った。本当に唐突だと思った。
「ん? 温泉のことなのだ? あれは楽しかったのだー。Chanceがあればまた行きたいのだ」
 試験後に行った巨大温泉を思い出し、フラッペは微笑んだ。本当に楽しかった。
「そうッすね。また行きたいッすね」
 四郎もつられて笑う。
 いい友達を持った。辛いことも悲しいこともあったけれど、この学園に今いられるのは仲間やトモダチのおかげなのだ。
 フラッペはそっと帽子を直した…。


3.
 ようやくたき火は下火になり、四郎はサツマイモを灰の中に潜らせた。
「いよいよなのだ!?」
「ここからジワジワ焼いていくのでまだまだッすね。焦ると美味しい焼き芋が出来ないんすよね」
「………」
 フラッペは無言で地面に丸を書きだす。
 …いじけてないのだ。ちょっと暇つぶしをしているだけなのだ。
 ふと見た足元にできた影が、だいぶ長い。日が落ちるのが早くなった証拠だ。
「京都もお疲れさまッす。…取り戻せてよかったッす」
 フラッペは少し目を細めて、遠くを見る。街だけじゃなく、きっと心の方がもっと傷ついているのだ。
 それを思うと、切なかった。
「人は強いッす。みんな、頑張るッすよ。もちろん自分たちも頑張るッす」
「…そうだな。みんな頑張って生きているのだ」
 ふんわりと風が吹く。少し冷たい風が。
 その風に乗って、芋の焼ける匂いが漂う。
「…そろそろいいんじゃないのだ?」
 そろそろ我慢も限界だ。フラッペは四郎とたき火を交互に見比べた。
「まだまだッすね」
「…も、もう大丈夫なんじゃ…」
「いやぁ、もうちょっと…」
「…うっ、イチジクは厳しいのだ…」
 もしかして、これはイジめられているのだ!?
 なんて、そんなことを考えていたら四郎が大きめのサツマイモを1つ取り出して半分に割った。
 ふわっといい匂いがして、ほどほどに柔らかく火が通った美味しそうなヤキイモが光り輝いて見えた。
「完成したみたいッすね。…綺麗な黄色の甘い焼き芋の完成ッす」
「やったのだ! 食べるのだー!」
 四郎の手から早速焼き芋を受け取ったフラッペは途端に「熱っ!」と小さな悲鳴を上げた。
「熱いから気を付けるッすよ…って遅かったっすね」
「そういうことは早く言うのだ!」
「いや、焼き立てなんだからわかるかなって思ってたッすけど…」
 そう言われれば確かにそうなのだが…フラッペは不満顔で四郎を見つめる。
 四郎は「すいませんッす」と謝った。
「でも、焼き立ての熱いうちが美味しいッすからね」
 ハンカチを取り出して四郎はフラッペに渡す。フラッペは思わぬ物が出てきたので少しびっくりしたが、それを笑顔で受け取った。
「ありがとうなのだ。洗って返すのだ」
 ハンカチを器用に使い、フラッペは焼き立てのヤキイモを頬張る。
「はふはふ…もぐもぐ…う〜…んまい!」
 甘くてふかふかでしっとりで…感動なのだ!!
 一心不乱に食べるフラッペに、四郎もひとつヤキイモをほじくりだしてパカッと2つに割って食べる。
「…美味しいッすね〜! 奮発していい芋を買ってきたかいがあるッす! 秋っていいッすね!」
「美味しいのだ〜! 幸せなのだ〜!」
 ほんのり温かいたき火の傍で、四郎とフラッペはヤキイモの秋に舌鼓を打つ。
 冷たい風もなんのその。ヤキイモもたき火も温かい。心まで温かくなるような時間に幸せを感じる。
「来年もこーいうことしたいな」
 フラッペがそう微笑むと、四郎もにっこりと笑った。


4.
「ふ〜! 秋を満喫したのだ!」
 四郎が買ってきたサツマイモは、本当においしくて『甘いものは別腹』と日本の女の子が言っていたのを思い出す。
 …まだ食べられそうなのだ。
 ごそごそとたき火の中を枝でつついてみる。
「はぁ〜、よく食べたッす…。食べ足りないっすか?」
 どっ直球に四郎にそう訊かれ、フラッペは素直に頷いた。
「もうちょっと食べたいのだ…って、あれ? もうイモがないのだ?」
 残念そうにサツマイモの山があった場所を見つめフラッペは肩を落とした。
 そんなフラッペに四郎は笑った。
「ん? なんで笑うのだ??」
「いや、フラッペさんも女の子だなぁっと思ったッす」
 …………
 奇妙な間が2人の間に流れて、フラッペは我に返ると胸を張った。
「そ、そうなのだ! ボクもこう見えて女の子なのだ!」
 まさか、女の子だと思われていなかったのだ?!
 失礼なのだ! そ、そりゃちょっと女の子らしくない格好はしているかもしれないが…ボクはPureな女の子なのだ!
 …なのだ!
「なんで焦ってるんすか??」
 そんな不思議なやり取りの後、フラッペはたき火の中の芋探しを諦めた。
 無いものは無い。ならば…
「しょうがないのだ。じゃあ、ボクが最速で買ってくるのだ! Stride…Goッ!」
 蒼いボードがフラッペの足に現れて、すごい速さで購買の方へと突っ走っていく。
 後に残るは青い光の尾。いつの間にか、辺りは黄昏色だった。

 来年…遠い未来の言葉のようなのだ。
 ボクらはその時、どうしているのだろう? また、こうしてヤキイモを作れるだろうか?
 購買にはまだまだいっぱいのサツマイモが並んでいる。
 そうであることを祈るのだ。願うことは希望に繋がり、希望は力に変わる。
 ボクらはそうして前を向いて行こう。
 秋の日はつるべ落とし。
 フラッペが四郎の元に戻るころには、すっかり日は落ちていた。

「イチジク! 買ってきたのだ! さぁ、ヤキイモを再開するのだー!」
「おーッす!」


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

 jb4076 / 九 四郎  / 18 / 男性 / 陰陽師

 ja0022 / フラッペ・ブルーハワイ  / 16 / 女性 / 阿修羅


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
 フラッペ・ブルーハワイ 様

 こんにちは、三咲都李です。
 この度は魔法のハッピーノベルをご依頼いただきましてありがとうございました。
 楽しいトモダチとのヤキイモ。…ヤキイモ美味しいですよね!
 秋の日の楽しいひと時、少しでもお楽しみいただければ幸いです。
魔法のハッピーノベル -
三咲 都李 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2013年10月28日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.