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『劇場版・魔法少女ナギリン〜大首領クラーリン復活!?〜 』
暮居 凪ja0503)&御手洗 紘人ja2549)&月居 愁也ja6837)&アスハ・A・Rja8432)&奥戸 通jb3571

●変・身・開・始

 クオンシティ。
 半年前の、ドンアスハ襲来の爪跡が(1ヶ月以内に修復され)しばらく経過した後。
 人知れぬあの(ある意味で)惨劇は、既にその渦中にあった「暮居 凪」の頭からも、忘れ去られようとしていた。

「はぁ‥‥やはり平和が一番だわ」
 空を見上げる。
 今日も空は青く、ビルの屋上には、見慣れた狐の影が――
「‥‥‥」
 できるだけ忘れ去っておきたい何かを見た気がして、すばやく目線を逸らす。
「また、あの幻を見るとは‥‥相当重症ね、これは」
「幻じゃないよ〜!」
 目の前の狐の幻像が何か喋っている。
「‥‥これは、いよいよ末期症状ね。早く休まないと」
「だから幻じゃないってばー!」
 つん、と純白の剣、『ディバイン☆ブレイド』で太ももをつつかれる。
「痛いという事は‥‥これ、現実なの!?」

「ママー、あの人、動物と喋ってるよー!」
「しっ!目を合わせちゃいけません!」
 凪の後ろを歩いていた親子は、急ぎ足で凪と狐――『チェリー』と目を合わせないよう、回り込むようにしてすたすたと離れていく。

「――で、何の用? 言っておくけど、あんな恥ずかしい目は二度と御免よ。胸も、結局は――」
 下を見る。が、悲しくなってきたので直ぐに目を逸らした。
「えー、あれは単に、まだ魔力が足りてないからだよー!いっぱい変身していっぱい魔力を吸収すれば、こうやって胸は膨らむよ!」
 ビシッ、と言う効果音が似合いそうな勢いで、差し出される写真。
 そこには、まるで雑誌に登場するような「ビフォーアフター」で、胸が小さな女性が、ボインボインに成長した写真があったのである。
「なっ‥‥」
 ギクシャクした動きで、凪は頭を上げる。
「本当に‥‥こうなるの?」
 睨み付けられるチェリー。その迫力には、流石に写真が合成であるとは言えまい。コクコクと頷くだけである。
「‥‥仕方ないわね。やればいいんでしょう!」
 既に周囲は、お約束の様に戦闘員に包囲されている。例によって、切り抜けるには――
「ディバインだかパインだか、さっさと渡しなさい!」
 チェリーが頭に乗せた純白の剣、『ディバイン☆ブレイド』の柄を逆手で掴む。
 その瞬間、まばゆい光が剣から噴き出し、周囲一帯を包む!

 ♪♪〜♪〜♪♪♪〜♪♪

 テーマ曲と共に、凪の私服が弾け飛び、その体が白の衣装に包まれる。
「魔法少女ナギリン、ただいま参上っ!」
 一回転して『キラッ☆』のポーズを取り、暮居 凪改め、魔法少女ナギリンが、そこに着地する。
「て、これ、前と‥‥変わってない?」
 少し違和感を感じるナギリン。前と比べて、更に下半身が寒くなったような気がする。そしてそれは、決して冬に近づきつつある気温のせいのみではない。

「あ、今回のコスチュームは、絶対領域フィールドを強化するため、更にスカートが短くされてるんだよ!」
「何そのトンデモ理論!?」
 思わずチェリーの言葉に突っ込みを入れてしまう。
「スカートが短ければ短いほど、絶対領域フィールドが強固になるのは常識だよー」
 えっへん、と着ぐるみの胸を堂々と張るチェリーには、異様な説得力があった。
「まぁそれは良いとして‥‥」
「あと、今回は『はいてない』んだよ!何がとは言わないけど」
「いい加減にしなさい!!!!!」
 ゴスン。
 『ディバイン☆ブレイド』(縦)が、チェリーの頭に叩き込まれる。
「何するのよー!」
「これ以上しゃべるとこの映画が公開禁止になるから、しばらく黙ってなさい。‥‥後、後で小一時間ほど、ゆっくりと『デリカシー』についてお話をさせてもらうから」
 黒い笑みを浮かべるナギリンに、チェリーはこぶのできた頭を押さえてガクガク震えるしかない。

「で‥‥掛かってくるの?来ないの?」
 周りを見渡し、ナギリンが腰に手を当てて仁王立ち。
 周囲で律儀にもそのやり取りが終わるのを待っていた戦闘員たちは、その言葉を皮切りに一斉に飛び掛る。
「はぁっ!」
 顔面への蹴りで、飛び掛ってきた戦闘員を受け止める。
「てやぁぁぁ!」
 そのまま首にヒールを引っ掛け鞭のように振り回し、辺りの戦闘員たちを纏めて薙ぎ払う。そして――
「退治!」
 引っ掛けたまま踵落としを決めたナギリンの足元で、ビクン。ビクンと、戦闘員が震える。


●襲来する敵、新たなる味方

「フフフッ‥‥やはり戦闘員では相手にならんか」
「誰っ!?」
 振り向いたナギリンが見た物は、太陽を背にした影。

「‥‥まさか、このドン・アスハを忘れたとは言わせんぞ」
「え‥‥えええっ!?」
 ナギリンが驚いたのも無理はない。何故ならば――
「ドン・アスハって、あのガスマスク? あまりの分かりにくさに監督に字幕をつけさせた――あなた、ガスマスクは?」
「フン。スタイルチェンジと言った所だ‥‥」

 ※ガスマスクの代わりにドン・アスハがホッケーマスクを装着しているのは大人の事情(訳:字幕面倒くさいから)です。はい。
 ※だがそんな些細な事に気を取られたら劇場版なんて作れません。

「一度私に負けたあなたが、今度は勝てるとでも思ってるの?」
「今度は貴様に援軍はない。‥‥しかも、こちらは、最初から助っ人付きだ‥‥!」
 マスクをぱっと広げ、隣に立っていた者を指差す。そこに居たのは――

「トイレを汚したのは貴様らだなぁぁぁぁぁ!」

「‥‥また、あの人‥‥」
 思わず目頭を押さえるナギリン。
 そう。そこに居たのは、前回も戦った強敵――トイレ星人・ウォッシュレッツだったのである。

「気をつけて、多分彼も強くなっているよ!頭が和式便所みたいに変化してるし!」
 それだけでは強化とは言えないのではないか、と言うチェリーへのツッコミは控えておこう。
「くっ‥‥同時に戦うとなると、厳しいわね‥‥」
 だが、それを抜きにしても、二体とも――前回は倒したとは言え苦戦した怪人たちである。しかも今回は、他の魔法少女による助けは――
「こんな事もあろうかと、呼んで置いたよー!」
「「えっ!?」」
 一斉に全員が、声の主――今まで黙ってカメラをカシャカシャしていた、チェリーに振り向く。
「魔法少女さん、いらっしゃーい!」

「はーい!」
 呼び声に答える様に登場したのは、赤のレザースーツに身を包んだ女性。
「奥戸 通、頑張っちゃいます!」
 赤のステッキを掲げ、叫ぶ。
「へーんしーん☆」

 ♪♪〜♪〜♪♪♪〜♪♪

 テーマ曲と共に、空中から『更衣室』と書かれた札が張ってある、巨大なツボが通に覆いかぶさるように落下する。
 「うっふーん」「あっはーん」と言ったSEが鳴り響く中、左右にツボは揺れる。丸で中で何かが暴れているかのように。
 そして、テーマ曲がクライマックスになった瞬間!パリーンとツボを割り、その中から新たなる魔法少女が登場する!

「「えー‥‥」」
 その姿は、寧ろ魔法少女と言うより怪人に近いだろう。
 何故ならば、ミニスカの下からは、自身の足以外にも、8本の蛸足が伸びていたからである。

「魔法少女オクトスルー!ただいま参上!!」
 決め台詞と共に蛸足がうごめき、周囲でカラフルな爆発が起こる。

「ねぇ‥‥あれ、本当に、味方?」
 ひそひそと、ナギリンがチェリーに問いかける。
「勿論だよー。ほら見て、敵も驚いてる!」

「クラ=リーン様‥‥!?」
 ドン・アスハの驚愕のベクトルは、恐らくチェリーが予想していた物とは少し違うのではないだろうか。
「クラ=リーン様!!この僕が、ドン・アスハが分からないのですか!?」
「今日が初めてだけど‥‥中々イケメンじゃなーい☆」
 ブン、と振り回された蛸足を、ドン・アスハはギリギリで回避する。

「ウォッシュレッツ‥‥あの新しい魔法少女には手を出すな。あれはトイレを破壊してはいない。ナギリンだけを相手にしろ」
「それなら攻撃はしねぇ。俺が狙うのはトイレを汚すヤツだけだ!」

 ぱっとその場を跳び、ドン・アスハはオクトスルーへ。ウォッシュレッツはナギリンへと向かっていく。

「クラ=リーン様‥‥術で操られているのですね。今、このドン・アスハが目を覚まさせてあげます‥‥!」


●ナギリンvsウォッシュレッツ~眼鏡の代償~

「もう一度蹴り飛ばされたいのね。‥‥いいわ、その通りにしてあげるわ!」
 シュッ。鋭い回し蹴りが、和式便器型のウォッシュレッツの髪を掠める。
「そのラバーカップ‥‥私には効かないのは前回で確認済みよ!」
「‥‥これはなぁ、確かに『完全な平面』には吸いつかねぇ」
 ピキッ。その言葉でナギリンの額に青筋が浮かぶ。
 だが、それに気づく様子はなく、ウォッシュレッツは言葉を続ける。
「けど、いくらてめぇでも、全身が平面ってことは――」
「平面平面うるさいのよ!好きでこうなってるわけ無いでしょ!」
 中段回し蹴りが、終にウォッシュレッツの胴を捉える。

「ぐほっ!?――けど!」
 壁に向かって吹き飛ばされるウォッシュレッツ。然し、その足元から、トイレを流す時の様な形の螺旋水流を噴出し、壁ギリギリでブーストして停止する!
「狙うのは――そこだァァァァ!」
 強引な逆噴射により、逆にナギリンに向かって飛来。無数の幻影に分身し、突き出されるラバーカップ!

「捉えた――!!濁流、三途送り――!」
「あ、あの技は!?」
 『何、知っているのか、チェリー!』と、どこからかナレーションが聞こえる。
「濁流・三途送り。敵の顔にラバーカップを押し付けて引き寄せ、そのままトイレ掃除で鍛えられた右手で全身を握りつぶす、精神的にも恐ろしい技なんだよー」

「潰してやらァァァ!」
 バキッ。
「ん?」
 手ごたえに違和感を――そう、人ではなく、プラスチックを握りつぶしたような――感じたウォッシュレッツは、己の手に持った物を見る。

 ――そこには、粉々になった眼鏡が。

「よくもそんな物を、顔に突きつけてくれたわね‥‥!」
 踏みつけるような踵落しが、ウォッシュレッツを地に叩きつける。
「乙女の怒りを、思い知りなさぁぁぁい!」
 無数の踏み付けが、ウォッシュレッツの腹に浴びせかけられる。抵抗を奪い、そして――
「吹き飛べぇぇ!」
 足を引っ掛けられて空中に吹き飛ばされたウォッシュレッツの背に、飛び蹴りが直撃。そのまま顔からビルの壁へと叩きつけられ、めり込む!

「よし、ナギリン・ガトリングストレッチ、決まったねー!」
 チェリー、すっかり実況役である。無論。カメラ片手の撮影も忘れない。グッズも映画の大事な収入源なのである。

「HENTAI一人目、退治ね。さて、あちらはどうなっているかしら」


●オクトスルーvsドン・アスハ〜クラ=リーン覚醒〜
「それではクラ=リーン様‥‥失礼します!」
 ショットガンを構え、奔るドン・アスハ。接近し‥‥それを構えたかと思うと――投げ捨てた。
 おい、何の為に持ち出してきたんだ。
「俺の武器はこのバンカー一つ‥‥他は使わん!」
 がしゃりと右手にバンカー装着。それを、全力で突き出す!

「たこ足シールド、っと」
 8本の蛸足を一斉に前に回して重ね、分厚い盾を作り出す。
 ガコン、ガコンと、バンカーは3本まで足を貫く。が、勢いはそこで止まる。
「さて、じっくり味わわせてもらうわね☆」
 残った足が、ドン・アスハの全身を這い回る。そして‥‥押しつぶすように、乱打する!
「くっ‥‥だが、獲ったど―!!」
 強引にバンカー後方のブースターを逆噴射し、後退。
 どこかで聞いた様な台詞と共に、バンカーで貫いた足たちを引きちぎる。
「ふふっ‥‥それで勝ったと思った?再生できるのよ?これ」
 引きちぎられた足は、その場で既に再生を始まっている。完全に元に戻るのも時間の問題だ。

「フ‥‥フフフ‥‥まだ思い出せませんか、クラ=リーン様。その足に、何故その様な機能がついているのかを」
「ん?」

 獲得した足を、ホッケーマスクを打ち破るようにし、自分の口に突っ込む。高速で噛み砕き、飲み込む。
 直後、ドン・アスハの全身から、赤いオーラが立ち昇る!

「クラ=リーン様の足は‥‥全ての我等の軍勢を強化し、回復させる力を持つ!」
 ガシャン、とバンカーから薬莢を排出。
「ここまでしてまだ記憶が戻らないとは‥‥さては、絶対領域フィールドの仕業ですね」
 バンカー後方のブースターを点火。ドン・アスハは一直線にオクトスルーへと突進する。

「あら、それだと‥‥ただの的じゃない?」
 跳躍し、再生中の物も含む八本の足が、一斉に四方からドン・アスハを襲う!
「元より無傷で、と言うつもりはありません‥‥その封印、砕かせてもらいます‥‥!」
 足を四方から襲い掛からせたと言う事は、言い換えればその中心ががら空きであると言う事。
 ――八本の足の中心、その一点のみを‥‥加速したバンカーが、打つ!

「ぐ‥‥ぉぉぉぉ!!」
 ゴリゴリと、軋みを上げ。バンカーとフィールドがぶつかり合う。
 そして、終に――

「領・域・喪・失!」
 バンカーは、オクトスルーの絶対領域を、貫通した。

「あああぁぁぁぁあ!!!」
 溢れ出す闇のオーラが、オクトスルーの全身を包む。
 そしてそれが晴れた時――そこに居たのは、姿形こそ同じだが、異様に邪悪な雰囲気を纏った女性。
「――面倒を掛けたわねぇ、ドン・アスハ」


●クラ=リーンの力

「ねぇ‥‥あれ、どう言う事?」
 覚醒したオクトスルー――いや、クラ=リーンを指差しながら、ナギリンが問いかける。
「魔法少女オクトスルーは、先代の魔法少女が大首領クラ=リーンを倒した時‥‥偶然その場にいた少女にクラ=リーンの魂が入り込んだ結果、出来た魔法少女なんだ。だから、クラ=リーンの意識が、少女『奥戸 通』の意識より強くなる‥‥例えば、それを抑えている絶対領域フィールドが破られると、クラ=リーンが体を乗っ取ってしまうんだ」
「なんでそんな危険な物を前線に出させるのよ!」
 ゴスッ。本日二度目の「ディバイン☆ブレイド」が、チェリーの頭に叩き込まれる。頭を押さえて涙目になりながら、チェリーは言葉を続ける。
「だ、だから、クラ=リーンの意識を弱らせれば、チェリーが再封印を施す事も可能なんだよ」
「そうは言っても、ねぇ‥‥」
 はっきり言えば、状況は最初の頃と変わっていない。ましてや、クラ=リーンの実力は未知数で――
「ッ!」
 巨大な触手が、ナギリンのいた場所を、付近のビルごと薙ぎ払う。
 跳躍した彼女が見たのは、触手を極端に巨大化させたクラ=リーン。
「ふはははは、見たかナギリン‥‥これこそが、我らが首領の本当の力!」
「空中ならかわせまいよ‥‥それ!」
 追加で放たれる四本の触手が、空中でナギリンに巻きつき、捉える!

「ぐっ‥‥ああ‥‥」
 強烈な締め付けに、骨がギシギシと悲鳴を上げる。
 そしてもう一本の触手が、ナギリンに狙いを定める!
「このまま貫いてくれるわぁ‥‥☆」
 絶体絶命、ナギリン!


●再封印大作戦

「――トイレを、壊しやがったなァァァァアア!」
 螺旋の水流をその背に、あの男が戻ってくる。
「洗浄・四方潰し!」
 その姿が四つに分身。一斉に四方からクラ=リーンに襲い掛かる!
「ふん。小癪だねぇ」
 触手が、三体の幻影を叩き散らす。
「貰ったァ!」
 ラバーカップが、クラ=リーンの胸を捉え‥‥

 カポン。

 そして、呆気なく外れる。
「貴様も平面かぐほぁ!?」
 触手に薙がれ、ウォッシュレッツが空を舞う。
「‥‥ドン・アスハ。手を出さないでくださいなぁ」
 触手が、突進しようとしたドン・アスハを遮る。
「私への侮辱、十倍にして返してあげますわぁ‥‥」

「どういうつもり?」
 ウォッシュレッツの対応にクラ=リーンが触手を使った事で、戒めから解かれたナギリンが、スタッとその場に着地する。
「貴様がトイレを汚した事に変わりはねぇ‥‥」
「だからそもそもそれが誤解だってば!?」
 まったく人の話を聞かないトイレ星人、ウォッシュレッツ。
「だが、あれを放置していたら、もっと多くのトイレが壊されてしまう。だから‥‥あいつを倒すまでは、一時停戦だァ!」
「まったく‥‥けど、今は確かに細かい事を気にしている場合ではないわね」
「ナギリンは何時も気にしすぎなんだよー」
「何か言った?」
 ギロっと睨まれて、チェリーの頭が障害物の裏に引っ込む。

「そういう事で決まりなら‥‥いくぜぇ!はァァァァアアアアア!」
 気迫の声と共に、ウォッシュレッツの姿がブレ‥‥ジャンプした瞬間、八つに分身する!
「清掃・八方払い!」

「あ、あれは!?」
「知っているのかチェリー!?」
「清掃・八方払い‥‥自らを八つに分身させ、一気に行動させる技‥‥元々はトイレの掃除を八倍早く行う為の技だったんだけど‥‥あんな使い方もできるなんてねー」

 八人のウォッシュレッツは、一斉に触手たちに飛び掛かり‥‥一人一本、その手のラバーカップで触手を捉える!
「体は平面でも、こっちはそうもいかねぇだろうよ!タコには吸盤があるんだからな!」
「ちっ‥‥ならば先ず、貴方を叩くだけだわぁ!」
 大きく触手を回転させ、四方にウォッシュレッツたちを吹き飛ばす!

「今よナギリン、触手を回したせいで隙だらけになっているよー!」
「言われなくとも!」
 下段へのスライディング。ヒールを引っ掛けるようにして、足を相手の足に絡め、支点とする。

「あ、あれはまさか‥‥」
「知っているのかチェリー!?」

 ガトリングストレッチが、手数を以って威力を補う物ならば。
 この技は、一発に全てを掛ける博打技。

「――ナギリン・ピンストライク!?」
 ヒールが、クラ=リーンの胸に直撃。衝撃が体を伝わり、背中の服を吹き飛ばす!

「‥‥前だったら良かったのに」
 カメラを構えたチェリーが舌打ちする。ダメですよチェリー。それだと放送禁止になってしまいます。
「けど、今がチャーンス!」
 眩い光がチェリーから放たれ、クラ=リーンを覆う。
「あああぁぁぁぁ!?」


●決着

「クラ=リーン様!」
「おっと、もう同じ事はさせないわ」
 駆け寄るドン・アスハにナギリンが蹴りを放つバンカーと、足が交差する。
「くっ‥‥飽くまでも我等の邪魔をするか、ナギリン!」
「ええ、そろそろ退場の時間よ!」
 放たれる無数の蹴り。
「ナギリン・ガトリングストレッチ!」
 だが、ドン・アスハが動じる様子はない。‥‥動じたとしてもそのマスクで表情は見えないが。
「バンカー・ガトリングストレッチ!」
「なっ‥‥!?」
 衝突する、無数の蹴りとバンカー。
「‥‥幾度と見たその技、真似るには容易い」
「なら‥‥これで!!」
 スライディング。急速にナギリンがドン・アスハの足元に近づく!
「その技も見切っている‥‥隙が巨大と言う事がな!」
 振り下ろされるバンカー。それがナギリンの絶対領域に突き刺さるその瞬間!
「う、ぉぉぉおおおお?!」
 強力な旋風が起こり、巻き上げられるドン・アスハ。
 見れば、ナギリンは頭を地につけ、足を広げブレイクダンスのように回転しているではないか。

「あ、あれは!?」
「何、知(ry」(三度目の為略)
「ナギリン・リバースタイフーン!高速で回転し、竜巻で敵を舞い上げる技だよ!」

「ぬう‥‥だが、絶対領域はがら空きだ‥‥そこを突けば‥‥」
 全力でバンカー後方のブースターを吹かせ、抵抗するドン・アスハ。だが――
「それを私が考えていないとでも!?」
 そのまま足を合わせたナギリンが、竜巻に乗って上昇。下からドロップキックの体勢でドン・アスハの腹部を猛烈に蹴り付ける!
「う、うぉぉぉ!! 覚えていろナギリィィィィン!!」

 そして悪は、空の彼方へと消え去ったのである。

「あれ、俺何してたんだ?」
 廃墟の中、起きるウォッシュレッツ――月居 愁也。彼のトイレ星人体質は、変身を解いた時変身時の記憶が消えるという、厄介な副作用も伴っていたのだ。
「何か、いい事をしたって記憶があるんだがなぁ。‥‥ま、いいか。掃除掃除」
■WTアナザーストーリーノベル(特別編)■ -
剣崎宗二 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2013年12月03日

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