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『Kindheit 』
綾鷹・郁8646)&藤田・あやこ(7061)&鬼鮫(NPCA018)

「これがブリキアよ」
考古学マニアでもある藤田あやこはブリキア人形を披露し、得意げな顔をしていた
「私のほうが古い」
と、綾鷹郁が出したのは美少女戦士でおなじみなセラモン人形だ。
二人は休暇中、某廃墟で女児玩具の発掘合戦に燃えていたのだ。
星と音符、そして笑顔がその場に飛び交っていたとしてもその自慢合戦は発掘中から燻っていた壮絶なもので、未だ終わることは無いままである。
女怖い。いや、あなたたち休暇使ってなにやってんすか……と彼女らの部下がその場に居れば心の中で突っ込みを入れるだろう。
そんな休暇を有意義に使い切った?艦長と副艦長を乗せた連絡艇が、旗艦USSウォースパイト号との合流のために針路を取っていた。
中では相変わらず自慢合戦が絶えないままだったが、突如連絡艇に異変が生じ、それは止まる。
なんだなんだと様子を見に行こうとした二人に爆発が襲い掛かった。

「大丈夫ですか!」
「ご無事ですか艦長!」
生還の報を聞きながらも心配しながら艦橋に押し寄せる乗組員たちの前に現れたのは、肉体が10年前の姿に若返ったあやこと郁の姿だった。
つまり、あたし藤田あやこ。14歳中二。……だの言いかねない中学生姿のあやこ、そして郁は6歳の姿になっていた。
若返ったことにオーバーなほど喜ぶあやこはともかく、突然6歳児と化した郁の顔には困惑が浮かんでいる。
「うわ……」
乗組員のどこかからそんな声が漏れる。未成年の艦長の拙い指揮で現場は混乱するばかりだ。
「もう潮時だろ、辞めたほうがいいんじゃないか……」
見かねた鬼鮫があやこに穏やかながらもはっきりと辞職を提案するが、対するあやこは憤慨し、瑞々しい肌の張った頬を膨れさせた。
「私に学校に行けって言うの!?」
「そうじゃないが……」
「んもう!私帰る!」
あやこはむくれたまま、その足で自宅へと向かった。あやこは夫二人を亡くしてはいるが、養女が一人いる。ちょうど今の自分の気持ちもわかってくれるだろうし、親子なのだから自分だとわかってくれるはずだと願いながら。
はぁいママが帰ってきたわよ、とそうして帰宅したあやこを待つ娘が放ったのは残酷な一言だった
「貴方ママじゃない!」
一言だけではない。微妙に引いたような引き攣った顔もセットでついてくる。
えっと突然のことに呆気にとられてるあやこの横を娘が過ぎ去り、娘が階段をとたとたと下りる音が響いていた
「ママどこー?」
「ママはここよ!」
と、拙い足取りで娘を追いかけるあやこ。このまま娘に認知してもらうには時間がかかりそうだ
対する郁のほうだが、なんだかんだあった末同棲している鬼鮫からの反応は悪い。
可愛らしい幼女体型、今はそうであるが成長すればクロノサーフ選手権、モテかわ女子部門で5連覇するほどの大物に育つ逸材である。
いったい何が不満なのか郁にはわからないが、非常に気まずい空間が形成されていた。

さすがに学校に通わなければ世間体が悪いと両者学校に通うことになったものの、身体は子供でも頭脳は周りと10歳年上、当然勉強も既にやり終えたところのやりなおし、そうでなくてもあやこと郁は元から優秀な人材だった。
学校のテストでは当たり前のように満点を叩き出して、二人は退屈している。
そんな中、鳴り響いたサイレンに周囲が沸きあがる
「本艦は我々が『保護』した。大人しく従え」
ざわめきの中なんとも意地の悪そうな声が放送で響き渡った。
報告によれば悪徳商人とここらで噂の狐族の戦艦が旗艦を奇襲した、とのこと。
残った鬼鮫は大丈夫なのかと、二人の心配の的になった彼といえば、だ

「だめっす!全機能凍結されてます!!」
「何やってるんだ!そこのお前、中枢サーバーパスワードを教えろ。こいつらがどうなるかわかってるんだろうな?」
ちゃきっと銃を『保護』されている子供の額に向け、ひぃいと小さく漏れた悲鳴にまた押し当てる。
半壊の旗艦内部では重労働を課せられた乗組員が目まぐるしく動いていた。

所は変わり。
うーん。と学校の端末を前に郁は唸っていた。郁なら凍結解除を可能には出来るものの、機械にはお子ちゃま扱いされ未だ動かせないまま。
教室内ではあやこや郁以下、子供たちが残されていた。
しかしここで大人しく引き下がっていたりするほどここの子供は大人しくない。
教室内部ではあやこの娘が立案した作戦の下準備が着々と進められていたりする。
作戦内容といえば、玩具の鳩を使い内部巡回中の狐人を陽動、艦橋を制圧するといったものだ。
流石あやこの娘といったところか
「お願いっ」
そして、あやこのきゃぴきゃぴっと中学生の身体を存分に生かした誘惑がきいたおかげで、艦内見取り図の入手はできた。あとは攻めるだけである。
武器の調達には身軽なあやこが名乗り出た。ちょうど艦橋に繋がってたりしちゃういい感じの抜け穴もあったところで、とあやこの小さな体が抜け穴に潜り込み、艦橋に躍り出る。
ある程度の調達も終え、よし戻るといったところで後ろから声が迫っていた
「おいガキ、そんなところで何を」
「パパ!」
背後に迫りくる狐人に振り返らず、前方にいた鬼鮫にあやこは抱きついた。
は?困惑を顔に浮かべた鬼鮫だが、あやこを振り払うことはしない。
「私ちょー退屈……ゲーム機能を解除してよ!」
鬼鮫を困惑させてはしまったが、策があることをなんとなくだが察知するのには充分だろう。
おう戻れやと追い返す狐人に大人しく従って追い払われてみるあやこの姿が艦橋から消えた後、凍結解除を思い出した狐人が凄んだ。
「そうだ、教えろ……ガキを殺すぞ!」
呆れ半分の溜息が鬼鮫の口から漏れる。
「これは寿限無式の機械でな。後光のスリキレ回路が海砂利水魚で」
鬼鮫は指導するフリをしているが、中身は適当なことを述べて時間を稼ぐための文句。
その裏では郁が全機能を掌握すべく動いていることを狐人は知らない。
しばらくして、掌握に気付いた時にはもう遅いのだ。一仕事終えた郁の顔はちょっとだけ16歳の面影があったような気がする。

「鬼さん見っけ!」
そして、艦内。実に無邪気で楽しげな声色であるが、声の主の指は引き金の上にある。異変に振り返った狐人が倒れるのも時間の問題だった。
次いで鈍い音の後を追った軽快な発砲音が艦橋に響き渡る。それを合図に、子ども達の逆襲が始まった。
癇癪を起したりギャン泣きしたりと、唯我独尊な子ども達の前では狐人も形無しである。
各々そうとは気付かせないまま巧みに結界へと誘導していた。
「パパに逢わせろったら逢わせろー!」
あやこもまた、駄々を捏ねながら狐人と揉みあっている。
体格ゆえ力技では狐人に軍配が上がっていたが、油断の隙を狙ったあやこの発砲により撃沈。
そして別所では多数の子供に追いかけられ逃げ惑う狐人もいた。
道に広がる単調な罠にはかからんとひょいひょいと避けていくがそれもまた、罠だとも知らずに足を絡み取られた狐人が床に転がる。
「わぁ!引っかかったぁ!」
縄により身動きが取れていないところをその隙を狙って俺も私もと押しかける子どもたち。
水を被り野太い悲鳴を上げる狐人。
旗艦を半壊させるほどの相手も、がきんちょパワーにすっかり鎮圧されていた。
……そして、事が終わったあとの作戦室だったが。
「おい藤田?」
鬼鮫の胃痛は未だ治まっていない。
結果から言ってしまえば、藤田あやこ艦長は騒動の後復職した。
それだけならば喜ばしい出来事である。
「いーのよ!私を崇めて部下になってよ!」
それも艦長がコギャル姿でなければ、だ。
あやこは若返ったコギャル姿のまま、さっと決めポーズをとり、鬼鮫を一とする乗組員に命令を出した。
「出撃よ!きゃぴ☆」
「きぴっさー……」
PCシチュエーションノベル(ツイン) -
黒木茨 クリエイターズルームへ
東京怪談
2013年12月19日

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