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『カップル達の奇怪な写真 』
井宮・美魅々8727)&(登場しない)

●被写体求めて
 井宮・美魅々(いのみや・みみみ)。
 比較的新しめで、幼稚園から大学まである大規模なかつ、バラエティ豊かな人物の宝庫である学園に通う高校生。
 そんなマンモス校の元中等部の文化部総部長にして情報通の美魅々は、いつも持ち歩いている古い一眼レフカメラを首にかけ、何か面白いものが撮影できないかと学園中を歩いている。
 バラエティに富んだ学園なので、広報部のネタになりそうな話題、良い被写体を探すのに困らないネタの宝庫ともいえる。

「今回はぁ、どんな面白い写真が撮れるかねぇ? 楽しみやんねぇ」
 青い瞳を輝かせ、にししと笑う美魅々は「何かええ被写体ないかねぇ」と校内を歩き回る。
「そういえばぁ、今月と来月は、恋人の日やんねぇ」
 美魅々とすれ違った並んで歩いている男子生徒と女子生徒を見て、そんな日があったなぁと思い出したように言う。
 彼女が言う「恋人の日」とは、バレンタインデーとホワイトデーのことだろう。
「まあ、美魅々には、そういうのは無縁のようやしぃ。気にしてはいないけどぉ」
 他人事のように呑気に笑うが、この後の出来事が、恋人達にとってとんでもないことが起こるとは……。

●恋人達の頼み事
 クルンと巻かれた下結びのツインテールを白リボンで纏めている髪。
 全体的にチマっとしていて年相応に見えない美魅々は、小さい、可愛い、広報部のマスコット等で有名人だ。
 それゆえ、学年問わず、生徒達から「写真を撮って」とお願いされることがある。
(そろそろぉ、恋人が美魅々に写真撮影を頼みに来る頃だねぇ)
 風が教えてくれた情報を知り、どんなことが起きるか楽しみになってきた。
 情報通り、しばらくしてから一組のカップルが「写真を撮って!」とラブラブ、イチャイチャぶりを見せつけられながら頼みに来た。
「ええよぉ」
 おあつい二人やねぇ、と呆れ気味だが、写真を撮ることに。
「もっとくっついてぇ。恋人なんやろぉ?」
「そうね。もっと、くっつきましょう」
「ああ、そうだね」
 人目をはばからず、美魅々の注文通りくっつく恋人達。
(どんなものが撮れるかねぇ?)
 笑いながら、この二人以外に何が写真に写るのかと楽しみながら撮影する。
 本人曰く。
「美魅々の写真のモデルになった人物はぁ、幸運になれるんよぉ」
 その噂はあくまでも本人曰くなので、根拠は無く、真相は定かではない。
「はい、オッケーやでぇ。お疲れさんやったねぇ」
「ありがとう、井宮さん。写真、できたら見せてね」
「わかったよぉ。出来上がり、楽しみにしとってねぇ」
 変なもん、写っとっても知らんけどねぇ。
 そう言いたかったが、怖がらせるといけないので心の中でボソリ。

 写真の完成を楽しみにしているカップルが去った後、大学部のカップルが写真撮影を頼みにきた。
 この二人が来ることは風の噂で知っていたので、待ってましたぁ、と心の中で喜んだ。
 先程のラブラブカップルとは違い、この二人は初々しい。初めての恋人同士なのだろうか。
「撮るよぉ。はい、笑ってぇ」
 モジモジしつつ、微笑む二人を撮影。
「ありがとう。写真ができあがったら、ここに連絡してくれないか」
 撮影を頼んだ彼が、携帯番号を記したメモを手渡す。

 この二人にはどんなものが一緒に写るのか。
 待ちきれない美魅々は、早速、現像することに。

●カップル達に降り注がれた災難
「あれぇ? 変なんが写っとるぅ……。変やねぇ」
 暗室にて現像した写真には、何やら妙なものはカップルと一緒に写っていた。
 それを見ながら、美魅々は、こうなることがわかっていたかのように笑う。
 彼女が言う「変なの」とは、浮気性の好色な悪い人物、のようなものだった。
 二組のカップルの写真には、女子生徒にだけ、浮気性な男のような影が、いやらしく抱きついているかのようにまとわりついていた。
 変なものの正体は、浮気が原因で付き合っていた彼女と大喧嘩し、激怒した彼女に突き飛ばされたことで階段から転落。それが原因で死んだ男性の霊である。
 祖父に貰った大切にいつも持っている一眼レフカメラは、被写体だけでなく、目に見えない心霊現象や、その人の正体まで撮影することができる代物だ。
 そのことを知っているのは、祖父本人と受け取った美魅々だけ。

 数日後。
 美魅々が言う「変なの」が写った写真の二組のカップルが、破局したと風の噂に聞いた。その原因は、写真に写っている男性の霊の仕業だろう。
 写真だが、心霊写真だけどええかなぁ? とカップル達に訊ねたところ、怖いから受け取りたくないと断られた。
「破局したのはぁ、美魅々のせいじゃないよねぇ?」
 罪悪感をおぼえ「悪いことしたかなぁ?」と気の毒に思う美魅々だったが、写真を渡さなくて良かったかも、と思うと、少しだけ気分が楽になった……ような気がした。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【8727 / 井宮・美魅々 / 女性 / 16歳 / 高校生】

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■         ライター通信          ■
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 井宮・美魅々様
 
 はじめまして。ご発注、まことにありがとうございます。
 お待たせして申し訳ありません。

 個性の宝庫と言われるほどバラエティ豊かな学生が集まる学園での奇怪な出来事、という内容をお届けします。
 写真撮影を依頼したカップル達は災難でしたが、美魅々さんは、人間を化かした狸、もとい、狐のように楽しんでいたようですね。

 お祖父さんのカメラ、大切にしてください。

 ここがイメージと違う、という点がございましたらお気軽にリテイク願います。

 またお会いできることを楽しみにしつつ、これにて失礼致します。

 氷邑 凍矢 拝
PCシチュエーションノベル(シングル) -
氷邑 凍矢 クリエイターズルームへ
東京怪談
2014年03月04日

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