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『みんなでチョコをあげるの 』
フェイリュアjb6126

 この世界は不思議にあふれてる。
 勿論ここにも不思議はある。

 2月の寒いけど澄んだ空気の中、月夜の晩だけ現れるお菓子やさんがあって、そこで売られているお菓子には、『相手を想う力が強ければ強いほど、お菓子が相手好みの味になって、相手が喜んでくれる』っていう魔法がかかっているだって。そんな噂話は聞いたことがあったの。
 素敵だな、でも一人で探すのは怖いなって思ってたら、璃世が、そのお店を一緒に探さない?って言ってくれてフェイはすごく嬉しかった。一緒のお友達に渡そうと思ってたことも嬉しかったけど、誘ってくれたことがすごく嬉しかった。
 フェイたちは街灯のない月夜の道を3人で歩いてた。三人っていうのは璃世とフェイと咲耶。咲耶は璃世が仲良くしていて、フェイも仲良くなったの。フェイより小さいのに、大人みたいなところがあってすごいなって思うの。
 きっと、一人だったら怖くて探そうとも思わなかったと思う。でも大好きな2人と一緒だったから、怖くなんてなかった。つないだ手が温かったから。
「そろそろ帰ろうか?」
 お月様がちょうど頭の上に来た頃、璃世がそう言った。
「嫌じゃ。せっかく璃世が提案してくれたんぢゃし、今日しか、チャンスはないんじゃ。咲耶は大丈夫ぢゃ」
「フェイも大丈夫だよ」
 璃世はきっと、フェイ達を心配してくれたんだと思う。璃世は優しいから。でも、咲耶の言う通り渡す日までに夜こうやってお出かけできるのは、今日が最後。それにせっかく誘ってくれたから見つけたいなって。
 でも、璃世が心配してくれたから、早く見つけないとって思ってあたりをキョロキョロしていたら、咲耶が声を上げた。
「のぅ。あんなところにお店あったぢゃろうか?」
咲耶が指さした先には可愛いお店があった。暗くてお店の名前は見えないけどお月様が『SWEETS』の文字だけは照らしてくれたからお菓子やさんなのはわかった。こんな時間にやってるならもしかしてって、ドキドキしながら扉を押した。
 扉を開けるとそこは甘い香りに包まれていて、色とりどりのお菓子があった。
 思っていたより可愛いお店で、辺りを見回していると、奥からフェイより少しちっちゃい子かな、黒いワンピースの女の子が出てきた。
「こんばんは。いらっしゃいませ。ここにあるのは魔法のかかった不思議なお菓子ばかり。あなた方の探し物はあるかしら」
 きれいな声で女の子は言う。
「ここが、月夜にしか現れないっていう洋菓子屋さん?」
「ええ、そうよ」
 璃世が訊いたら女の子はそう答えた。嬉しくなってやっぱりあったね、ってフェイは咲耶と声を上げた。
 璃世の方を見たら、すごく安心したような顔してた。さっきもフェイたちのこと心配してくれたし、もしかして、璃世が一番不安だったのかな?
「貴方達はチョコを作りに来たみたいね。こっちへどうぞ。あっ、手作りだからって普通のお菓子になるってわけじゃないから安心して」
 女の子は、フェイたちが何をしに来たのかまるで知っていたみたいに、クスッと笑うとそう言って奥にある厨房に案内してくれた。ピカピカの厨房にはお店のオリジナルかな。可愛いエプロンをした黒いワンピースの女の子とおんなじ姿形をした白いワンピースを着た女の子が待っていたの。
「いらっしゃいませ。ようこそいらっしゃいました」
 女の子はペコって頭を下げてから、私達に丁寧にたたまれたエプロンを渡してくれた。フェイのは空色。璃世のは薄い黄色。咲耶のは桜色。
 みんなにサイズも色もぴったりでびっくりしたけど、エプロンの裾のくまさんの顔が可愛くて、フェイはちょっとだけ笑顔になった。
「ここは魔法の洋菓子店ですから」
 白いワンピースの女の子がそういったのが聞こえて、声のする方を見たら、黒いワンピースの女の子も白いワンピースの女の子もニコニコと微笑んでいる。
「お店に来た時、チョコの作り方、教えてもらいに来たのって言ってないのに、ここに案内してくれて、フェイたちのエプロンも、みんなぴったり。なぜ?」
 不思議に思ってフェイは首をかしげながら2人の女の子に訊いた。
「どうしてだと思う?」
 優しい声で黒いワンピースの女の子がフェイにそう聞き返した。返ってくると思ってなかった答えにちょっとびっくりしたけど、フェイは思ったままを言った。
「フェイは璃世に月明かりの下でしか見えないお店って聞いて、本とかに出てくる魔法使いのお店みたいだなって思ってたの。でも、魔法使いは良い魔法使いと悪い魔法使いがいるの。2人は良い魔法使いなの?悪い魔法使いなの?」
 女の子達の返事より先に聞こえたのは、璃世の声だった。
「悪い魔法使いは、こんなあったかいお店できないよ、ね?」
「そうじゃ。それに、噂通りぢゃったら、このお店の魔法は悪い魔法使いには使えん魔法じゃろ?」
 フェイは2人の顔を見て、女の子たちの顔を見た。女の子たちはびっくりしたような顔をしていた。
「そっか。じゃあ良い魔法使いなんだ。よろしくね。良い魔法使いさん」
 全部をわかった訳じゃなかったけどフェイはそう言った。だって、大好きな2人がそう言ってたから。その言葉に警戒している感じはなかったから。
「こちらこそよろしくお願いするわ」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
 嬉しそうに、2人の女の子は笑って、頭を下げた。
「こちらを好きな形に切り取ってご自由にデコレーションなさってください。他にも使いたいものがございましたら仰って頂ければお出ししますので」
 そう言って、差し出されたのはいろいろな色の板状のチョコと、チョコペン。板って言っても、お店にあるような板チョコみたいに凸凹してなくて、綺麗に平らな板。
 ねぇねぇ、みんなはどんなチョコ作るのかな?んと、色違いのチョコもいいかな?璃世と咲耶はどんなのにする?みんなでお喋りしながら色とかどんなのにするか考えるのって楽しいね。フェイはホワイトチョコに猫ちゃんの顔を描くよ。猫が大好きなお友達だから、きっと喜んでくれる。
 ホワイトチョコの板と、チョコペンを選んでフェイは真剣に白いワンピースの女の子の話を聞いたの。
 どうやったらキレイにできるとか丁寧に教えてくれてちゃんと可愛い猫ちゃんが出来た。みんなより早く出来たからこっそり2人にもチョコを1つづつ作りたいって思ってたら
「何色のチョコにする?」
 そう言って黒いワンピースの女の子がこっそり声をかけてくれた。やっぱり良い魔法使いさんだね。咲耶には苺のチョコで桜、璃世にはホワイトチョコでマーガレットの花を模って。黒いワンピースの女の子が手伝ってくれたから、みんなが作り終わる頃にはちゃんと完成したよ。
「バレないようにちょっと預かっておくわね。魔法もかけておくわ」
 そう言って2人のチョコを黒いワンピースの女の子が持っていった。
 全部出来たら、この気持ちがいっぱい届きますようにってお願いしながら、リボンや箱をみんなで選んでラッピングしてもらった。
 フェイの大事なお友達がみんなみんな幸せな笑顔でいられますようにって魔法をかけて、願いの空色のリボンを結んで。
 2人にあげるのはどうしようって思ってたら、黒いワンピースの女の子がフェイにウィンクするの。なんだろうって思ったけど、今聞くとみんなにバレちゃうから黙ってた。
「じゃあ、魔法をかけるわね。今日は特別よ。お客さんの前でかけるのは初めてなんだから」
 黒いワンピースの女の子は口元に人差し指を持って行って、
「誰にも内緒にしてね」
 そう微笑った。
 そして、2人の女の子は手をつないで、ラッピングされたみんなのチョコレートの前で、歌い始めた。2人の声は部屋中に反響して何人もで歌っているように聞こえた。
 歌詞はわからなかったけど、その歌を聴いているとすごく温かい気持ちになったから、プレゼントにも、二人にもそれが伝わるといいなって。そうお祈りした。
「お待たせ致しました」
「どうぞ」
目の前でチョコを紙袋に入れて女の子達がフェイに渡してくれる。
「出来たね」
 にっこり微笑んで帰ろうとした時、フェイはこっそり紙袋の中を覗いたの。ちゃんとお揃いのラッピングのチョコが3つ。どれを誰に渡せばいいのか分かるようにそれぞれに付箋が貼ってあった。
 みんなニコニコ笑顔で帰ろうとした時、黒い女の子が小さな紙袋を3つもってきた。
「来店記念よ。気に入ってくれるといいんだけれど」
 そう言って渡された紙袋の中を覗くと、さっき見たくまさんの顔が見えた。
「いいの?」
「えぇ。大切な人の為に使って」
 そう言う璃世に穏やかに笑う黒いワンピースの女の子。
「本日はお越しくださりありがとうございました」
 最初と同じようにペコって頭を下げて、見送ってくれる白いワンピースの女の子。
 お店を出る時にこっそり2人に頭を下げたら笑顔で手を振ってくれた。
 本当にありがと。良い魔法使いさん。
 夜明けまではまだ時間があって、見つける前より、外は寒かったけど、お店を見つけるまでよりも、ずっとずっと温かった。体はきっとすぐ冷えちゃうけど、心がずっと温かかったの。
 今日のことはきっとずっと忘れないよ。

 そしてチョコを渡す日。
 3人で作ったから、3人で渡そう。そう約束したからいつもの場所で待ち合わせ。紙袋の中にはチョコが3つ。時間より少し早く行ったけど、璃世が先についてた。フェイがついてすぐ位に咲耶も来て、じゃあ行こうかって空気だった。本当は3つ同時に渡そうと思ったけど、やっぱり、二人の笑顔を見て3人で笑顔になってからあの子の笑顔が見たくて誰より早く口を開いた。
「これ、2人にあげる」
 紙袋から間違えないように、でも、付箋が貼ってあることがバレないように、チョコを2人に渡した。
「でも、これ……」
 咲耶も璃世も驚いたような顔をしてた。璃世がそう言うから、にっこり笑顔でフェイは教えてあげる。
「大丈夫だよ。これはあの日にこっそり二人の為につくったの」
「開けていい?」
 ドキドキしながら頷いて、箱を開ける2人を見てた。魔法がちゃんと効いてくれますように。2人が温かい気持ちになって幸せな笑顔になりますように。って祈りながら。
璃世が、満面の笑顔でフェイを抱きしめて、
「すごく嬉しいよ……ありがと。綺麗で食べるのがもったいないな」
 って言ってくれた。咲耶も、璃世と同じ満面の幸せいっぱいな笑顔。璃世が咲耶を呼んで、3人でぎゅっ。
「フェイちゃん、咲耶ちゃん大好き!」
 良かった。魔法がちゃんと効いた。そう思ったら、フェイも幸せな気持ちがいっぱい溢れてきて笑顔になった。あれ?フェイにも魔法が効いてるよ?いい魔法使いさんがフェイにも魔法をかけたのかな?

 幸せな気持ちをいっぱい胸に抱えてみんなで手を繋いでチョコを届けに行こう。だってね、大好きなお友達の一番最初の笑顔、一緒に見たいんだもん。きっと空色のリボンを解いたら魔法で閉じ込めた願いも弾けて広がるよ。あの子も笑顔になって、みんなの笑顔見られたら、フェイはぎゅって瑠世に抱きつくの。一緒に作ってくれてありがとうって。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【jb6126 / フェイリュア / 女性 / 14歳 / アカシックレコーダー:タイプB】

【ja8279 / 春名 璃世 / 女性 / 18歳 / ディバインナイト】

【jb6270 / 木花咲耶 / 女性 / 6歳 / 陰陽師】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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今回はご依頼ありがとうございました。
まず、お待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。

お友達を思う純粋な気持ちが伝わってきましたので、これを読んで幸せいっぱいの笑顔になってくださったら
嬉しく思います。
末永く、皆さんが仲良くいられますように。
不思議なノベル -
龍川 那月 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2014年03月24日

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