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『―― 2人の愛、神様への誓い ―― 』
アリサ・シルヴァンティエ3826)&アレクセイ・シュヴェルニク(3828)&(登場しない)

「……これは?」
 アリサ・シルヴァンティエは自分のいる場所、そして格好に驚いたように呟く。
 さっきまで自宅のベッドで寝ていたはずなのに、何故か教会の入り口に立っていて、ロングトレーンのエンパイアラインのウェディングドレスを着ていて、頭にはロングヴェール、そして花冠が合わせられている。
「アリサさん……?」
 自分の格好に戸惑っていると、ふと隣から愛しい人の声が聞こえた。
「アレクセイさん……?」
 隣には軍服のような礼服を着て、驚いたように自分を見つめるアレクセイ・シュヴェルニクの姿がある。
「どうして、僕達はこんな所にいるんでしょうか……? しかも、この格好は……」
 アレクセイは自分の格好を見た後、ちらりとアリサに視線を向ける。
「……っ」
「アレクセイさん?」
 まるでローマやギリシャの女神を思わせる神秘的なウェディングドレス姿、男性ならば見惚れるほどの美しさ、ましてや赤い糸の相手であるアレクセイならば言葉を失ってしまうのは無理もないだろう。
 教会の中には神父も参列者もなく、ただアリサとアレクセイの2人だけ。
 他人の目を気にする事なく、お互いだけを見ていられる特別な場所。
 もしかしたら、ここは夫婦として結ばれるまでもう1歩、だけどあと1歩が遠いカップルの辿り着く夢の世界の不思議な教会なのかもしれない。
(それならば、目の前にいるアレクセイさんは夢の産物ではなく、本人……?)
 そうかもしれない、と分かった途端、アリサの顔が真っ赤に染まる。
 夢ならば何でも言える気がするけど、この夢が本人に繋がってるかもしれないと思うと、気恥ずかしさでどうにかなってしまいそうになる。
「アリサさん、とりあえず進みましょう?」
 アリサの腕を自分の腕に絡ませながら、アレクセイがにっこりと微笑む。
「せっかくこういう機会があるんですし、お互いの気持ちをはっきりと伝えるのもいいかもしれません」
「アレクセイさん……」
 優しげに微笑んでいるのに、アリサにはアレクセイが凄く頼もしく見える。
「誰もいないんですから、あそこに着くまでお互いの良い所を言いましょうか」
「……はい!」

※※※

「僕はアリサさんの優しい笑顔が好きです」
「ふふっ、私はアレクセイさんの意志の強い所が素敵だと思います」
 一歩ずつ、アリサとアレクセイはお互いの良い所を言いながら教会の中央を目指す。
「僕はアリサさんのすべてを受け入れますよ、それは僕にしか出来ない事ですよね?」
「アレクセイさん……はい、私もあなたの抱える心配も悩みも、一緒に受け入れます」
 お互いの悩みや心配も受け入れる事を誓い、2人は歩きながら微笑み合う。
 この世にどれだけお互いの悩みも心配も受け入れあう人がいるだろう?
 それを考えれば、すべてを受け入れてくれる相手で出会えたアリサとアレクセイは、他の誰よりも幸せなのかもしれない。
 そして、教会の中央へとたどり着いた2人はお互いに見つめ合う。
「……他の人はいないのに、やっぱり照れますね、こういうの」
「ふふっ、そうですね」
 初々しく頬を染めながら2人は微笑み合う。
「えぇと、誓いの言葉ってどんなだったかな?」
 頬を染めながら、アレクセイが呟くと「ふふっ」とアリサも笑みを零す。
「形式ばったものは必要ありませんよ、アレクセイさんの言葉だったら何でもいいんです」
「……僕の、言葉」
 アリサの言葉に、アレクセイはキュッと唇を結ぶ。
「僕は、生涯を駆けてアリサさんを守ります」
 アレクセイはアリサの身体を優しく抱きしめ、その耳元で囁く。
「どんな不安や悲しみからアリサさんを守り、幸せにすることを誓います」
 その誓いの言葉はアレクセイらしいもので、アリサは涙ぐみながら「はい」と頷く。
「私も、アレクセイさんを支え、生涯貴方についていく事を誓います」
 お互いに誓いの言葉を言い合った後、触れるだけの優しいキスを交わす。
 ここにいるのは2人だけ、そして2人を見守る神様だけ。
 そして、誓いの口づけを交わした2人を祝福するかのように朝日が降り注ぐ。
「さぁ、行きましょう!」
「え? 行くって、どこに……? きゃあっ!」
 アリサの言葉の途中で、アレクセイは彼女を抱きあげる。
 突然の浮遊感にアリサは可愛らしい悲鳴と共に、アレクセイの首に腕を回した。
「これから、どうぞよろしくお願いします」
 もう1度触れるだけのキスを交わし、2人は教会を出た。
「綺麗な朝日……」
 きらきらと輝く太陽の光を浴びながら微笑んだ時――……。

「……あ」
 アレクセイはパッと目が覚めた。
 視界に入って来たのは見慣れた天井、もちろん隣にアリサがいるわけもない。
「夢? ……けど、妙にリアルな……」
 自分の手を見つめながら、アレクセイが呟く。
 この腕にはアリサを抱き上げた時の感触が残っているようで、頬を赤らめる。
「いつか、あれを現実のものに出来たら……」
 真っ赤な顔で呟き、窓から差し込む太陽の光に微笑んだ。

 そして、同時刻――。
 アリサも顔を真っ赤にしながら、しばらくベッドから降りれそうになかったのを、アレクセイは知らない。


―― 登場人物 ――

3826/アリア・シルヴァンティエ/24歳(実年齢48歳)/異界職
3828/アレクセイ・シュヴェルニク/19歳/異界職

――――――――――

アリア・シルヴァンティエ様
アレクセイ・シュヴェルニク様

こんにちは、今回はご発注頂きありがとうございました!
内容の方はいかがだったでしょうか?
気に入っていただけるものに仕上がっていれば幸いです。
またご機会がありましたら、どうぞ宜しくお願い致します。

2014/8/2

PCシチュエーションノベル(ツイン) -
水貴透子 クリエイターズルームへ
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2014年08月04日

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