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『秘密の湖畔の子猫たち 』
猫宮・千佳(ib0045)


 るんるん、にゃんにゃんとゆれる尻尾に、つられてひらひら舞いついていく蝶々。
 ここは神楽の都の外れ。
 主要道からそれる山道からさらに秘密の獣道を抜けた場所。
「今日は天気が良くて気分がいいから遠出するにゃ〜♪」
 歩いているのは、猫宮・千佳(ib0045)。
 ネコっぽい少女なので、秘密の獣道だってうにうに頭を突っ込んで普通に通ったり。
 だもので、ときたま他の人には信じられないようなことを経験したりする。
 例えば、いま。
「うにゅ?」
 千佳の好奇心旺盛な瞳が、ふと横に。
「うみゅみゅ?!」
 見る見る大きく見開かれる青い瞳。
「凄いにゃ、凄いにゃっ!」
 ぴょん、と低木を飛び越えしたたと走る。
 やがて、木々の間にキラリと光ったものが目の前に広がった――。

 後日。
「わっ。こんな狭いところを通っていくの?」
 黄緑のサマードレスを着たコクリが視線を下にして驚いている。
「そうにゃ。手本を見せるからついて来るにゃ☆」
 千佳、先日通った山道にコクリを連れて来ていた。自身は黄色いサマードレス。指差すは、灌木の根元の小さな隙間。山道からそれる、人は通らない道だ。
「大丈夫かな?」
「四つんばいになって進むにゃ」
「わ。千佳さん下着が……」
 ごにょごにょ言いつつ、自分のすそを気にしつつ身を屈めるコクリ。後ろに誰もいないのだから気にしても仕方ないか、と思い直し大胆に千佳に続く。
「次はこっちにゃ」
「ええっ。こんな狭い隙間を?」
 難所はさらにあったようで。
 そして進むうち、左の方からキラッと何かが光った。
「うに、この辺りにゃ。コクリちゃん、今度は跳ぶにゃ〜」
 それだけ言うと千佳、サマードレスの裾を捲り上げてぴょ〜んと左手の灌木を飛び越えた。
「うわ。千佳さん、ちょっと待ってよ〜」
 ネコのようにしなやかに跳躍する千佳を追い、コクリも裾をまくり上げて元気よく跳躍。
「後は下るだけにゃよ?」
「ようし、負けないよ〜っ」
 これまでとは一転、体を大きく動かす移動。こちらの方が性に合うのだろう、それまで不安そうにしていたコクリの顔が見る見る明るくなった。
 そして。



「わ、すっごい」
 コクリの声に、にゃふんと手柄顔の千佳。
 ざざざと最後の灌木の下を滑り降りると、目の前には湖が広がっていた。
「コクリちゃん到着にゃ♪ あたししか知らない穴場にゃよー♪ と、言うわけで脱ぐにゃー♪」
「ち、ちょっと千佳さん! いきなり脱がしちゃダメ〜っ!」
 千佳、言うと同時にコクリに正面から抱き付いた。そのまま背中に手を回し、首元から四つ連なる蝶々結びの紐を解いてすとーんとサマードレスを落とした。もちろんコクリは両手でこれを止めるが、両肩はもちろん背筋は丸出しでかろうじて腰の部分で止まった程度。正面の千佳だけは、コクリの前が丸見えだったり。
「だれもいないにゃよ? あんな場所、だれも通らないにゃし」
 きょとん、と聞いて来る千佳。
「そ、そりゃそうだけど……そう、水浴びに来るなら先に言ってくれれば…」
「水着がなくてもへっちゃらにゃ♪」
 だってだれもいないにゃし、とコクリの最後の抵抗をものともせずに、すぽ〜ん。
「せ、せめてっ……せめてこれくらい……」
 腰から地面にしなだれたところ下着まで手を掛けられ、足首に引っ掛けたまま左足を上げたコクリが必死に持参した荷物から何かを出していた。うに、と下着を引き抜こうと高々とコクリの左足を吊り上げた状態で固まる千佳。
「ほ、ほら。暑いから汗を拭く長い布を二人分、予備も含めて持ってきてるんだ」
 世界が世界なら「タオル」と称される薄い布を取り出していた。
「……うにゅ」
 千佳、固まっている。
「ほ、ほら。温泉でも一応隠すしさっ」
 必死に訴えるコクリ。いくらだれもいないとはいえ、素っ裸だといろいろ問題もあるわけで。
「仕方ないにゃ」
 すぽんとコクリの下着を取って、自分も脱ぐべく背中に手を回す。どうやら納得したようだ。
 すとん、とコクリと色違いのサマードレスが落ちると……。
「ち、千佳さん隠して隠して」
 急いで千佳の胸にたおるを巻いてやるコクリ。もちろん先に腰回りも巻いてやり、千佳が下着を脱ぐ。
「何か順番変わったけど……行くにゃよ〜っ」
 真ん中で捩じったタオルでかすかに膨らむ胸を隠すように巻き、腰をひらひらさせて千佳がざぶ〜ん。解いた長い金髪も水面に負けずキラキラしている。
 そして、瞳もきら〜んと輝かすのだったっ!



「あ、あの……千佳さん?」
 コクリ、くるっと振り向いた千佳の様子に嫌な予感がした。
「にゅふふ、先手必勝にゃよ?」
 いきなりずばばばーっと水を掛けてきた。あっという間にびしょ濡れになるコクリ。
 そして気付いたッ!
「わっ。なんか透けてる。この布、軽くてかさばらなかったけど薄すぎて……」
「ほらほらほらにゃ。もっとかけちゃうにゃー♪」
 見ると千佳もすでにびしょ濡れだが、動いている分透けていない。と、思われる。
 ついでに水に入っていれば濡れて透けようが見えにくい。
「んもう。仕返しだよっ☆」
 自然、コクリも水に入って反撃することに。
「うににっ、凄い勢いにゃ〜」
 逃げる千佳。コクリは追ってばしゃばしゃ。
 とはいえ追いかけながら腰を屈めて水を掛けるには体力的な限界はある。
 やがて足が止まるコクリ。
 当然、千佳が振り返る。
「うに。それじゃ反撃にゃ反撃にゃ☆」
「うわっ。顔の方まで……千佳さん激しすぎ〜っ」
 今度はコクリが逃げ始め、千佳がばしゃばしゃやりつつ追撃追撃。

 そんなこんなを繰り返し、いつのまにやら二人はへとへと。
「はふ、楽しかったにゃ…」
「いい汗かいたね〜」
 最後は二人でもみ合ってばしゃ〜んと水に倒れたようで。すっかり濡れ濡れになって岸へと戻る。
 その時、湖畔で異変がっ!
「うに、何か変…あ、洋服返すにゃー!?」
「え? 猿?」
 なんと、二人の投げ捨てていたサマードレスに猿が数匹たかっていた。千佳の声にびくりと反応するとサマードレスを持って逃げ散り始めたぞ?
「待てっ!」
「うにに、木の上はあたしじゃ厳しいにゃ。…と、いうわけで身軽なコクリちゃんお願いにゃ!」
 千佳、普段ならマジカルワンドを遣ってマジカルな攻撃を繰り出すのだが、今はない。代わりにコクリが走った。
「一匹」
 まずは千佳のサマードレスを持ったサルを足蹴にしてジャンプ。枝の上にくるんと回って着地する。下では先の猿がドレスを手放し去っていく。千佳、駆け寄ってドレスを確保。
 コクリのドレスを持ったサルはこちらの動向を確認していた。木の上に来たと見るや慌てて逃げるが……。
「コクリちゃん、逃げるにゃ!」
 見上げる千佳。石を投げて牽制する。
「チャンス!」
 千佳の見る上を、コクリが大股開きでジャンプして枝に。横に逃げるサルの動きを確認し、幹の影から体全体を使った回り蹴りを見舞う。
「二匹目!」
「すごいにゃ。これで服は取り返したにゃ!」
 どうやら一件落着で。



 とはいかなかった。
「ううう、すーすーするね」
「まさか別の猿が下着を取って逃げてるとはにゃ……」
 それでも二人はサマードレスに着替えて仲良く来た道を引き返したようで。
 でもって、コクリの部屋。
「どうする、千佳さん。着替える?」
「仕方ないからこのまま寝るにゃ☆」
 振り返って聞いて来るコクリにぴょんと抱き付きそのまま布団にもぐりこむ千佳だった。
「今日は楽しかったにゃ〜。木の上で戦うコクリちゃんの勇姿もしっかりと目に焼き付けたにゃ♪」
 どんな様子だったかは、伏せる。



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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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ib0045/猫宮・千佳/女/15/魔術師
iz0150/コクリ・コクル/女/11/志士

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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猫宮・千佳 様

 いつもお世話様になっております。
 真夏に素敵な場所を発見しましたね。コクリちゃんと一緒にさっそく水浴びです♪
 コクリちゃん、恥ずかしがって薄い布で隠しましたがむしろ水を掛ける楽しみを増やしてしまい激しい水の掛け合いになったようですね。

 では、元気に遊びまわる二人をお楽しみください。

 この度はありがとうございました♪
アクアPCパーティノベル -
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舵天照 -DTS-
2014年08月04日

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