▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『リィムナと子供達の楽しい夏休み 』
リィムナ・ピサレット(ib5201)

○ハラハラ&ドキドキのキャンプ 

 麦わら帽子を頭にかぶり、大きなリュックを背負い、黒いタンクトップを着て、白いショートパンツを履いたリィムナは、拳を上げて元気よく声を出す。
「それじゃあみんな、しゅっぱーつ!」
 リィムナの声に続いて、まだ十歳に満たない少年少女達が「おーっ!」と叫びながら拳を上げる。
 そして子供達の中では一番年長の九歳の子供が先頭を歩き、その間を幼い子供達、最後にリィムナと続いて山道を歩き出した。
「最初、頼まれた時はどうなるかと思ったけど、何とかなったよ」
 リィムナは子供達には気付かれないように、声なきため息を吐く。
 寺子屋が夏休みに入った為に、子供達は時間を余すようになった。しかし親達は働いているので、どこかへ出掛けることはなかなか難しい。
 せっかくの夏休みに思い出が少ないというのも可哀想だと親達は話し合った結果、近所に住んでいる姉妹全員が開拓者のピサレット家を訪ねた。
 そして四人姉妹の中でリィムナのスケジュールが空いていたので、子供達の世話を見ることになったのだ。
 ならばと、姉から近くにある山でキャンプをすると良いと言われた。
 低い山なので子供の足でも登ることが可能な上に、川が至る所にある。夏にはキャンプをする人が多いので、他の開拓者達が警備と監視を兼ねて見回りをしているとのこと。
 何かあれば彼らを頼ることができるので、リィムナは子供達を連れて山で一泊、キャンプをすることにした。
「……って思い出してたら、子供の一人が森の中に入ろうとしているよ! コラッ、列を崩しちゃダメだよ!」
 森の中にある珍しい植物に近付こうとした女の子の肩を掴んで止めて、列に戻す。
 すると今度は男の子が明らかに不気味なキノコを持って、はしゃぎながらリィムナに食べるように言ってきた。
「そんな見た目と中身が同じく危険なキノコ、食べられないよ!」


「ぜぇぜぇ……。おっおかしいな? 年下の子供の扱いは、二人の妹で慣れていたはずなのに……」
 激しく息を切らしながら、リィムナは背負っていたテント入りのリュックを外す。
 子供でも簡単に組み立てられるテントを開拓者ギルドから借りてきたので、川原で子供達と一緒に楽に作ることができた。
 そしてテントの中でそれぞれ水着に着替えて、魚をとりつつ川で遊び始める。
 胸元に白いサラシを巻き、水褌を履いたリィムナは、スクール水着の日焼け跡が残る体で川に入った。
「おっきな魚は川の中心にいそうだね。スキルの暗視は周囲の明るさ暗さに関係なく、視力を発揮できる能力だけど……水の中でも大丈夫かな?」
 スキルを発動しつつ、川の中に潜る。すると浅瀬で、魚を追いかけている子供達の足が見えた。ところが一人の子供の足元近くに、大きく丸い石があることに気付いた。そのまま石を踏めば、子供は転んでしまうだろう。
 リィムナは真剣な顔付きになると潜ったまま、急いで子供の所まで泳ぐ。そして子供が石を踏みそうになったところで……。
「ばあっ♪」
 川から上がり、石を踏みそうになった子供を後ろから抱き上げた。子供はビックリしたものの、リィムナの突然の登場に喜ぶ。
 リィムナは心の中で事故を防げたことに、深く安堵した。


「魚をとるのが得意な開拓者に、いろいろ聞いておいて良かったよ。おかげで大漁だぁ♪」
 多くの魚をとることができたリィムナは、子供達から感心される。
 ご飯は出発前に親達がおにぎりを持たせてくれたので、川原で魚を焼き、外での夕食となった。
 子供達はいつもとは違う食事にはしゃいで喜び、食べ終える頃には疲れたのかウトウトしはじめる子供がいた。
「もう夕日が沈みかけているし、寝ようか」
 リィムナが優しく声をかけると、子供達は半分寝ぼけながらコクコクと頷く。
「少し大きめのテントを借りて、正解だったよ」
 子供の数が多いとは言え、身長は大人の半分以下だ。リィムナは監視の意味を込めて、一つのテントで全員寝ることにした。
「それじゃあお休みね」
 ギルドから借りてきた寝袋の中に入り、子供達が全員眼を閉じたのを確認してから、リィムナはランプの火を吹き消す。


 ――しかし眠りの中で、リィムナはふと水音と小さな悲鳴みたいな声を聞き、眼を開ける。
「んん……? 川が荒れてきたのかな?」
 もし外の天気が悪くなってきているのならば、子供達を無理やりにでも起こしてここから移動しなければならない。
 リィムナは閉じそうになるまぶたを手でこすりながら、寝袋から出た。そしてアクビをしながらテントから出たリィムナの眼に映ったのは、テントの中で寝ているはずの男の子の一人が川で溺れている姿だ。
「……えっ? まさか抜け出したの?」
 慌ててテントの中を確認すると、男の子が入っていたはずの寝袋は空っぽになっている。
「迂闊だったよ! 子供が抜け出すのを気付かないなんて!」
 苦い表情を浮かべながらもリィムナはテントから出て、川に飛び込んだ。そして泳いで男の子の元へ行き、助け出した。
「はあはあ……。水難事故の救助方法、習っといて良かったよ……」
 川で騒いだせいか、寝ていた子供達も起きて外に出てきた。
 溺れていた男の子は泣き騒いでいるところを見ると、何とか無事のようだ。
 リィムナは夜中に泳いだことを怒ろうとしたが、男の子から泣きながらお礼を言われて、口を閉じる。そして他の子供達も次々にお礼を言うので、怒るタイミングを逃したリィムナは仕方なく頭をかく。
「う〜ん……。まあ無事だったから、もう良いよ」


●ラストはやっぱり……

 朝日が上り、リィムナは男の子にグラグラと体を揺さぶられて眼を覚ます。
「……ああ、キミ。昨夜、川で溺れてたけど、大丈夫だった?」
 しかし例の男の子は、不思議そうな顔付きで首を傾げて否定する。他の子供達も、男の子はずっと寝ていたと証言した。
「……あー、夢だったのかぁ。でも何であんな夢を見たんだろう? ……アレ?」
 寝袋から出たリィムナは下半身が濡れていることに、今更ながら気付く。
「もしかしておねしょしちゃったから、川に飛び込んだ夢を見たのかな? ……あたし、この中では一番の年長さんなのに、おねしょしちゃった……。うわーんっ!」
 突然大声で泣き出すリィムナにビックリした子供達は、慌てて慰める。
「ありがとう、みんな……って、ひぃいっ!」
 何とか落ち着きを取り戻したリィムナだが、突如テントの入口が開き、外から入って来た人物を見て、血相を変えて叫びを上げた。
(……そう言えば、ここのことを教えてくれたのは姉ちゃんだった……)
 テントの中に入ってきたのは、ここでキャンプをすると良いと教えてくれた実の姉だった。


 リィムナの姉はここの警備と監視の仕事を前から受けており、リィムナの泣き声を聞いて駆けつけて来たらしい。
 ――が、泣きの原因がリィムナ自身のおねしょであることを知ると、他の開拓者に子供達の世話を任せ、二人っきりになったテントの中でリィムナのお尻をリズムと音よく叩く。
「ごめんなさーいっ! もうおねしょしませーん! 許してぇ〜!」
 結局、家の中でも外でもおねしょ癖がなかなかなおらないリィムナは、姉のお仕置きからは逃れられない運命なのかもしれない。


<終わり>


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
【ib5201/リィムナ・ピサレット/女/外見年齢10歳/シノビ】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
 ご依頼していただき、ありがとうございました(ペコリ)。
 今回は子供達と山でお泊りということで、めいっぱい楽しんでもらいました♪
 ラストはお約束という感じになりましたが、楽しんで読んでいただければ幸いです。
アクアPCパーティノベル -
hosimure クリエイターズルームへ
舵天照 -DTS-
2014年09月17日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.