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『悪戯はほどほどに 』
リィムナ・ピサレット(ib5201)&雁久良 霧依(ib9706)


 十月の終わり秋も深まり物思う季節。だというのに泰大学文学科学生寮、通称『青藍寮』はわいわいと騒がしい。舞い落ちる葉に詩の一つでもなどという殊勝な心掛けの学生はいないようだ。
 それもそのはず青藍寮はジルベリアの祭り『ハロウィン』の真っ最中。由来はさておきお化けの仮装をして『トリック オア トリート』と魔法の言葉を唱えるとお菓子が貰えるというのがなんともわかりやすく楽しそうだと、あっという間に広まった。
 寮内のいたるところで仮装をした学生達がお菓子の交換会を開いている。
「お菓子をくれないと悪戯しちゃうぞー、か」
 漆黒のマントに黒いぱんつ(注:水着)、口から覗く小さな牙、吸血鬼に扮したリィムナ・ピサレットはチョコを口に放り込んだ。
 先程呟いたのは、ジルベリア出身の学生が教えてくれた魔法の言葉の意味である。
「あれ、ってことは……」
 お菓子が無ければ悪戯し放題だ、と閃く。悪戯がばれたら同室の雁久良 霧依によるお尻百叩きが待ち構えているのだが、一度思いついたらやらずにはいられない。
「折角のお祭りだもん。楽しまないとねっ」
 早速廊下を行く先輩をみつける。気配を消し後をつけた。
 そして先輩の巾着から飴を失敬する。気付かれた様子は無い。当然である。リィムナは優秀な開拓者なのだから。飴を懐に隠してしまうと背後から突然「トリック オア トリート」と飛びついた。
 一頻り驚いた先輩がリィムナに「お菓子をあげるわ」と巾着に手を入れた。
「あら?」
 中を覗き込む。飴はリィムナの懐、見つかるはずも無い。
「お菓子をよこせ、さもないと……」
 ふっふふ、と悪役の笑みを浮かべにじり寄った。
「っ、リィムナちゃん?」
 両手をわきわきと蠢かす。
「悪戯だからね!」
「ひぃ…や、めぇー!」
 擽り倒された先輩の悲鳴。
 これに味を占めリィムナはあちこちで犯行を繰返した。

「リィムナちゃんったら……」
 あちこちから上がる阿鼻叫喚に霧依が苦笑を漏らす。黒のビキニにマント、リィムナとお揃いの吸血鬼の仮装……零れ落ちそうな胸が扇情的過ぎて男子学生が目のやり場に困っている。
 リィムナの躾は霧依の役目。だが今日はハロウィンで悪戯も可愛らしいものだ。止める事もないだろう。
 それにパンツ一枚(注:水着とマント)ではしゃぐリィムナは学童用水着の日焼け跡も愛らしくとても可愛かった。

「次は誰を〜……」
 悪戯堪能中のリィムナは上機嫌だ。
「あれ?」
 ちらほらみかける見ず知らずの人。学友に尋ねれば「入学希望者が見学にきている」との事。
 リィムナの脳裏に浮かぶ「お も て な し」の五文字。未来の学友に文学科は楽しいよ、とアピールを兼ね楽しんでもらわねば、と使命感に燃えた……今こそとっておきを発動する時である。
 食堂で行われる説明会、リィムナは動く。

 派手な音を立て開かれる扉。金属をすり合わせたような耳障りな笑い声 ともにどす黒い瘴気が流れ込む。

 ダンっ!
 
 重たい音と共に瘴気が割れる。瘴気を割った杖を握るのは骨だけの手、襤褸から覗く髑髏の落ち窪んだ眼窩。
 そこに立つのは伝説のアヤカシ、死者の王……の姿を借りたリィムナ。皆の驚いた様子に内心得意である。
 リィムナは重々しく口を開いた。
「我は……」
「ふ……不厳王っ!」
 だがその言葉をかき消す叫び。死者の王、不厳王と対峙した者が見学者にいたのだ。
「誰か早く泰国政府とギルドに連絡を」
 刀を抜き皆を守るようにリィムナの前に叫んだ人物が立ちはだかった。
(……やばっ!)
 まさか不厳王を知っている人がいるなんて、と血の気が引く。正体を明かせないままリィムナは姿を消し自室へと駆け込んだ。

 不厳王復活―その知らせはあっという間に広まり、青藍寮を一重二重と警備隊が囲む。間もなく泰国軍本体とギルドから精鋭も到着するだろう。
「不厳王の復活?」
 霧依が眉を寄せる。不厳王は開拓者によって討伐された。討伐戦には自分もリィムナも参加している。何かおかしい。何より一番に駆けつけそうなリィムナの姿が見えないのがおかしい、と霧依の脳裏に閃くものがあった。
 溜息一つ、人の輪を抜けて寮に戻る。案の定寮の自室でリィムナを発見した。
「な……なんのことかなー?」
 手を頭の後ろに組んで口笛を吹く真似。霧依の問い掛けにとぼけるリィムナの視線はあっちこっちと忙しない。
 クロだ、と霧依は確信した。
「もう一度だけ聞くわよ。食堂に現れたという不厳王は貴女の仕業?」
 重ねて問う妙に優しい声音はそれが最後通牒だと告げている。
 リィムナの視界に窓の外に集る兵士の姿が映った。
 かなり大事になっている。リィムナは外、霧依を交互に見てから、
「ごめんなさい」
 と素直に頭を下げた。
「……リィムナちゃん」
 肩に手が置かれる。
「皆に謝りに行くわよ。私も一緒に謝るから……」
 それからひたすらの謝罪行脚。霧依は隣で「私の監督不行届です。大変申し訳ございません」頭を下げ続けてくれた。
 夜更け過ぎに帰寮した頃にはくたくたである。
 わかっているわね、と座った霧依が自分の膝を叩く。リィムナ自身、悪いことをしたことは十分すぎるほどに理解していたし霧依に迷惑をかけてしまった自覚もあった。
 しゅんと肩を落とし袴の帯を緩めるとお尻を出して霧依の膝の上に乗る。

 パッシィイイン!

 高らかに鳴る平手打ち。
「ちゃあんと反省しているわね?」

 パッシィインッ!

「皆が笑えるものじゃないと悪戯といえないのよ」
 一つ注意するたびに霧依は容赦なくリィムナの尻を叩く。妹が粗相をしたときは叱ってやって、と大学に入学する際に彼女の姉から頼まれているのだ。
(それに……)
 と霧依は赤く腫れていく尻に肩を震わせた。リィムナの小さな可愛らしいお尻。とても柔らかく張りのあるそれは叩くたびにふるんと揺れる。ひりひりする手に残る感触……。
(ぁあ……っ、さっいこう!!)
 厳しい顔をしているが内心身も悶え中である。
 優しく厳しいお姉さんの霧依にはもう一つ顔があった。そう霧依は幼い女の子が好きなのである。悪戯したい!そんなちょっと危ない方向で。
 大学に一緒に入学したのもリィムナと親密になりアレコレしたいという野望のためである。
「うわぁああん!!」
 常の五倍の力を込めた尻叩きにリィムナが泣き出した。
「ご……ごめんっ なさぁあいっ!」
 可愛い顔をくしゃくしゃにしてぽろぽろ零す涙が霧依の太股を濡らす。
(ぁあっ、可愛いわ……)
 ぞくぞくと背筋をのぼる震えを霧依は止められない。強気で元気一杯のリィムナ。そんな彼女が声を上げて泣く姿……。
(なんて、なんて極上……)
 艶めいた吐息が漏れそうで慌てて口を引き結ぶ。
 当のリィムナは霧依の本心なんて知る由も無い。霧依のことは時に怖いけど優しい大好きなお姉さんだと思っていた。
 そんな純真なところも可愛いくてたまらない。
「もう悪戯しませーーん」
「本当に、本当? もう悪戯はしない?」
「しません、しません!」
 毎回繰返しているやり取りを経て霧依はリィムナを解放した。
「今日は頑張ったわね」
 一生懸命に謝罪したリィムナを抱きしめてやる。

「あったかぃ……」
 リィムナは胸の谷間に顔を埋めた。大好きな霧依の胸。温かくて柔らかくてとても安心できた。
「私になら悪戯をしても良いから。皆に迷惑をかけちゃだめ、よ?」
 優しい声にコクンと頷く。
「リィムナちゃん、上を向いて」
 鼻に当てられるちり紙。ちーんと鼻をかむ。よくできました、と頭を撫でられた。それが嬉しくてもう一度抱きつく。
「今日は一緒に寝ましょう」
 霧依はお仕置きのあと何時も以上にたっぷりと甘えさせてくれる。
 お仕置きは痛いから好きじゃない、でも悪戯を止められないのは……。楽しいだけじゃなくて……。
 どんなに優秀だとしてもリィムナはまだ子供だ。姉とも慕う霧依に甘えることができるのは純粋に嬉しくてならなかった。
「霧依さん、良い匂い……」
 布団の中でリィムナは霧依の胸に顔を押し付ける。ふわりと自分を包んでくれる甘くて優しい香りに目を細めた。
「大好き……」
 両手を胸の上に置きそっと押す。ゆっくりと沈む掌に返ってくるのは程よい弾力。思わず鞠で遊ぶように何度も掌で跳ねさせた。
「くすぐったいわ……っ」
 霧依が喉を震わせて身を捩るのも楽しい。そのうち霧依の胸を枕にリィムナは寝息を立て始める。

 霧依はリィムナの髪を手で梳く。まだ柔らかい幼い少女の髪。
「リィムナちゃん……」
 浮かべるのは恍惚。
「いずれモノにしちゃうわ」
 頬の丸みを指の背でなぞり、吐息交じりに耳元で囁いた。
 寝返りを打ったリィムナが霧依の胸に顔を近づける。そしてまるで赤子のように音を立てて胸を吸う。
 ほぅ、と熱の篭った吐息が漏れた。頭の後ろを支えて抱き寄せる。子供特有の温かい体温すらも愛しい。
 リィムナには同い年の少女の恋人がいることも知っている。
「……でも安心して、その子もちゃんと落とすから」
 両手に花、その花を愛でる瞬間を想像するだけでくらくらと眩暈を覚えた。
 舌先がそっと唇を舐めた。濡れた唇が艶やかに笑う。
「その時を楽しみにしていて?」
 リィムナを抱きしめ霧依も目を閉じた。

 明け方近く、リィムナは唐突に目覚めた。あまりにも唐突だったので「オネショしちゃった?!」と慌てて布団を探ったくらいだ。だが布団は乾いている。
「良かったぁ」
 安堵の溜息。昨日の今日でオネショをしたら霧依からどんなお仕置きを受けるか、ふるりと背筋を震わせた。
 そっと霧依を覗きこむ。よく眠っていた。その寝顔に「にひっ」と懲りない笑み。
 布団を抜け出し用意したのは墨と筆。
 たっぷり墨を吸わせた筆で霧依の顔にクルンと先の丸まった鯰髭を描く。眉はゲジゲジに。そうして完成した落書きに満足し再び布団に入った。
 翌朝リィムナが目覚めると既に霧依は起きている。
「おはよう。昨日はどんな夢をみたの?」
 顔の落書きに気付いていない霧依にリィムナは必死で笑いを堪える。
「きっ、昨日はぐ  っすりだって」
「そう? 私の胸を吸ってきたからてっきり……」
「あたしは、あっ赤ちゃんじゃないよっ!」
 リィムナが首を左右に振る。オネショとかおっぱいを吸っていたとか流石に恥ずかしい。真っ赤な顔のリィムナに霧依が笑う。
 顔を洗ってくると外に出た霧依の叫び声が廊下から聞こえ、ものすごい形相で戻ってきた。
「これはどういうこと?」
 顔の落書きを指差す。
「えー不思議なことも……」
「リィムナちゃん?」
 ひくりと頬が引き攣った笑顔は中々の迫力。
「あの、その、ほら霧依さん、自分になら悪戯、して……良い、とか……言ったし……?」
 嫌な予感にじりじりと窓へと移動するリィムナ。
「そうね、確かに言ったわ」
 でもね、と霧依が踏み出した。
「悪戯してもいいって言ったけど、怒らないとは言っていないわ」
「ざーんねっ……」
 伸ばされた手をかわし窓へ走る。勝利宣言とともにリィムナ、華麗なる……。
「うぅ……」
 真っ赤に腫れ上がった尻がズキリと痛み、逃走は失敗した。
「つーかまーえたっ」
 耳朶を擽る霧依の声。
「話がちがーーぅっ!」
 哀れリィムナは霧依の膝の上に。
「覚悟はいいわね?」
「ぁああん!! ごめんなさいーーっ!」
 青藍寮にリィムナの声がこだまする。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名        / 性別 / 外見年齢 / 職業】
【ib5201  / リィムナ・ピサレット / 女  / 10歳  / ジプシー】
【ib9706  / 雁久良 霧依      / 女  / 23歳  / 魔術師】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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この度は発注頂きましてありがとうございます。此方では初めまして桐崎ふみおです。

ハロウィンのちょっとした悪戯が大事件に……!
お二人の親密さとそれぞれの想いが表現できていれば幸いです。
霧依さんの計画が壮大で思わず「さすが……(ゴクリ」となりました。
ハーレムを築ける事を祈っております。

イメージ、話し方、内容等気になる点がございましたらお気軽にリテイクを申し付け下さい。
それでは失礼させて頂きます(礼)。
HC仮装パーティノベル -
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舵天照 -DTS-
2014年11月05日

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