▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『くおんがはらようちえん・あきのさんかんび 』
月居 愁也ja6837)&百々 清世ja3082)&加倉 一臣ja5823)&夜来野 遥久ja6843)&小野友真ja6901)&点喰 縁ja7176


 真っ青なお空に向かってバンザイするみたいに広がった枝に、真っ赤な葉っぱがとてもきれい。
 今日は日曜日、久遠ヶ原幼稚園の秋の参観日です。
「お、遥久くんのお父さんだ」
 幼稚園の門の前で、友真君の手を引いた一臣お父さんが向こうから歩いて来る愁也お父さんに向かって手を振ります。
「こっちも今着いたところ。いい天気になって良かったな」
「おはようございます、ゆうまくんのおとうさん。せんじつはおせわになりました」
 お父さんの横で、遥久君がぺこりと頭を下げます。子役でテレビに出たりもする遥久君は、相変わらず大人のようにきちんとしています。
「え、ああいや、その、お粗末デシタ」
 一臣お父さんは、足元で少し後ろに隠れるようにしている友真君の頭にそっと手を置きます。
(大丈夫だぞ、友真。人間同士なら喰われたりはしないはずだからな……?)

 今日はみんな、体操服です。そして集まったのは幼稚園の隣にある畑でした。
 園長先生が集まったお父さん・お母さんにご挨拶。
「今日はお休みの所、お集まりいただきまして有難うございます。みんなで育てたサツマイモと枝豆です、とても立派でしょう?」
 縁君が胸を張ります。
(おれがんばって、ずっと水やりもしてきたんでやすよ!)
 元々は沢山の人が苦手な縁君ですが今日は特別。
 芽が出る前からおいしくなーれ、と、ずっと面倒を見て来た作物を収穫するのです。朝からワクワクが止まりません。
 秋の参観日は収穫祭。秋の実りを収穫して、美味しく皆でいただきます。

 早速、皆が畑に散って行きます。
「あっ!」
 ばたり。縁君がいきなりつまづきました。園長先生が畝を飛び越えて走ってきます。
「大丈夫かな?」
「おれとしたことが、めんぼくねえ……」
 縁君は頭をかきながら立ち上がり、膝についた泥をはたきました。転んでも泣かない、強い子なのです。
「急がなくても大丈夫だよ。さあ、あっちのお芋を掘ってくれるかな?」
 園長先生が指す方へ、小さなシャベルを持って走って行きました。

「清世君は行かないの?」
 ベンチに座って足をぶらぶらさせている清世君の前にしゃがんで、りか先生が声をかけました。
「畑とかいっぱい汚れるし、怒られるからやだー」
 清世君は足をバタバタ、首をぶんぶん振っています。
「あらそう。でも今日は特別。ほら、体操服で幼稚園に来るときは、運動会でもいっぱい汚れても怒られないでしょう?」
「んー、今日は泥だらけでも怒られないの? ……ならいいけどー」
 清世君はおうちの人がとても忙しいので、なるべく困らせたくないのです。
「じゃあいっしょに行きましょう」
 りか先生と手を繋いで、清世君がこくりと頷きました。



 お芋の先っぽが、土の上に顔を出しています。
 遥久君は小さなシャベルでその周りを慎重に掘って行きます。するとツルの下に、紫色のお芋が幾つも並んでいるのが見えました。
 もう内心、ドキドキです。幼稚園児にしては落ちついた遥久君は余り思っていることを顔に出しませんが、心の中では色んな事を考えているのです。
 愁也お父さんはもちろん、そんな遥久君のことをよく分かっています。
「サツマイモいっぱい、すごいなー!」
 片手に構えた高性能ビデオカメラを操作し、手元にズーム。ふと顔を上げた遥久君の顔もばっちり。高性能なのでブレもボケもありません。
 お父さんは遥久君の成長記録を残すためなら、物凄いパワーを発揮するのです。
 でも今日はそのパワーを、ちゃんと他のお友達にも向けています。
「友真くーん、ほら一緒にお芋引っ張ってみようか!」
「お芋! いっぱい掘るん!!」
 こくこくと頷くと、友真君はお芋の傍にしゃがみます。友真君もお芋が楽しみで仕方がないのです。

 が、ここで大変なことが起きてしまいました。
 葉っぱの陰から、青虫さんがこんにちはしたのです。
「!!!!!!」
 友真君はびっくりして声も出ません。すごい勢いで一臣お父さんの所へ走って行くと、足にしがみついてしまいます。
 お父さんはちょっと困ったように、先生や他のお父さんお母さんを見ました。
「はいはい、虫は苦手だもんなー」
 そう言いながら友真君の頭を撫でます。
「あかんの……虫さんは、いやなん……」
 そのとき、りか先生のびっくりした声が聞こえました。
「きゃっ!?」
 友真君がさっき見つけた虫さんと、こんにちはしてしまったみたいです。
「……随分大きな青虫がいたのねえ」
 そう言って覗きこんだ所で、すごい速さで虫さんが飛んで行きました。
「え!? あ、あら、友真君?」
 友真君は目に涙を溜めながらぶるぶる震えていましたが、しっかり握ったシャベルで虫さんをやっつけたのです。
「り、りかせんせいは、守ったるんや……!!」
「有難う、友真君。強いのね」
 りか先生はそう言って、ぎゅっと抱っこしてくれました。

「さあ、お芋を抜こうね。皆、しっかりツルを握ったかな? じゃあ、よいしょー!」
 園長先生が掛け声に、皆が一斉にお芋のツルを引っ張ります。
 沢山のお芋が土の中から転がり出て来て、皆大喜び。
「いいぞ、遥久!! 大漁だ!!」
 愁也お父さんは地面に這いつくばる様にして、遥久君を撮影しています。
 遥久君は、そんなお父さんがカメラには全く映っていないのが気になって仕方がありません。
 でも普段のお利口な遥久君と違う、泥んこの遥久君もお父さんは嬉しくてたまらないのです。
「じゃあ次は、枝豆を抜きましょうね」
 りか先生がそう言って、緑のお豆がいっぱいに成った苗を指さします。
 この枝豆も皆で水やりを頑張ったのです。



 外のお水場でごしごし洗ったら、お芋はきれいな赤紫色になりました。
 枝豆は皆で枝から外してざるに入れて、これもきれいに洗います。
「よし材料がそろったな。後はお任せ!」
 一臣お父さんがざるを抱えて、給食室に行きます。
「すみません、調理をお願いしてしまって」
 りか先生もお芋のいっぱい入ったバケツを持っています。
「なんの、料理は好きですから。それにしても今日は、梨香先生もいて華やぎますね!」
「え、あ、はい」
 薄い反応に、一臣お父さんは渾身のリップサービスの後のイケメンスマイルを凍らせます。
 りか先生の心はどうやら、お父さんたちに対しては自動シャッターが降りて来るようです。
「おい、急がないとご飯が遅くなるぞ!」
 元気いっぱい、自宅から持ち込んだとびきりの新米を洗い終えた愁也お父さんが言いました。
「お、悪いな。じゃあこっちは枝豆を茹でて、サツマイモをちょっと分けてもらうか……」
 一臣お父さんも愁也お父さんも、普段とても忙しいお仕事を一生懸命片付けて今日はお休みにしたのです。
 それもみんな、可愛い息子達の為。
 お料理を頑張る姿は、愁也お父さんのカメラを借りて園長先生がしっかり撮影しています。
 友真君は、上手に包丁を使うお父さんがとっても自慢です。
「かずおみのつくるごはん、美味しいねんでー!」
 毎日お仕事でふらふらになりながらも、美味しいご飯を作ってくれる一臣お父さん。だから友真君は、大きくなったらお父さんをお嫁さんにして一生面倒を見てあげるつもりなのです。
「よすがんも楽しみにしててな!」
 友真君は隣でじっとお父さんの手元を見つめている縁君に声をかけます。
「へえ、なかなかりっぱなほうちょうでやすね」
 縁君はちょっと見るポイントが違ったみたいです。

 外に出たりか先生のところに、清世君が走ってきました。
「りかせんせー、これあげる」
 真っ赤な葉っぱを一枚、りか先生にプレゼント。
「あら、有難う! 嬉しい」
 畑の裏山には、綺麗な落ち葉がいっぱいあるのです。
「これは綺麗だ。良い物貰ったね、梨香先生」
 園長先生がにこにこしています。
 が、清世君はきりっとした顔で園長先生の前に立ちふさがります。
「えんちょうせんせい、今、俺、りかせんせーと一緒だから。えんちょうせんせいとはあとで遊んであげるね」
「あ、うむ」
 りか先生はちょっと困ったように笑っていましたが、いいことを思いつきました。
「園長先生、ご飯ができるまで落ち葉を拾ってきますね。工作に使うと楽しいと思います」
「ああ、それはいいね。私も後で見に行こう」
「はい。じゃあね清世君、綺麗な葉っぱがあった所、皆に教えてもらえるかしら?」
「うんいいよ。あっち!」
 そうしてりか先生と手を繋いで行きかけた清世君が、くるっと振り向いて戻ってきました。
「これ、えんちょーせんせいにあげる! 俺からのプレゼントだから大事にしてね!」
「おや、大きなどんぐりだね。貰ってもいいのかな?」
 園長先生がしゃがんで、掌にころんとした丸いどんぐりを受け取ります。
 清世君はこくんと頷きました。
 実は清世君は知っていたのです。とても素敵などんぐりだったのですが、横に小さな小さな穴が開いていたのを。
 その様子を縁君が、少し複雑そうな顔で見ていました。
「きよにい、知っててやってやすね……」
 縁君はおじいちゃんと仲良しなので、色々物知りなのです。
 ひそかに給食室に戻ると、一臣お父さんにお願いします。
「あの、大きな鍋にいっぱい、お湯をわかしておいてもらえやすか?」
「ん? いいよ、戻ってくるまでに用意しておくよ」
「おねげえしやす」
 ぺこりと頭を下げると、縁君も皆の後を追いかけて行きました。



 赤い葉っぱに黄色い葉っぱ、そして帽子を被ったどんぐりをいっぱい。
 沢山拾った秋の落とし物を抱えて皆が戻って着た頃、幼稚園にはいいにおいがいっぱいに広がっていました。
「皆しっかり手を洗ったかー?」
 お鍋をかきまわしながら、一臣お父さんんがにこにこしています。食堂の大きなテーブルにはご馳走が並んで皆を待っていました。
 黄緑色の枝豆は茹でたてほかほか、つやつやご飯の三角おにぎりも美味しそう。お椀に入った豚汁には、皆で掘ったサツマイモも入っていました。可愛いリボンのついたラップの中は、オレンジ色のかぼちゃのサラダです。
 お芋掘りと落ち葉拾いでもうお腹はぺこぺこ。いただきますを待ちきれないみたい。
「いただきまーす!!」
 みんな一斉にご飯を頬張ります。

「うまっ……!!」
 友真君はおにぎりのおいしさに思わず目を見張りました。
「おっ、中々鋭いな? どうだ、新米は美味いだろ」
 愁也お父さんはカメラを構えながら、嬉しそう。
 縁君も神妙な顔をしながら、じっくり噛みしめます。なんだかちょっと、仕草がおじいちゃんみたいです。
「さすがは新米でやすね。つぶが光ってるみてえだ」
「豚汁のサツマイモが、とてもあまくておいしいです」
 お箸で上手に具を口に運びながら、遥久君が呟きます。ちょっとグルメ評論家みたいです。
「自分で育てて、自分で掘ったお芋は美味しいだろう? 先生もちょっと分けてもらっていいかな」
 園長先生のお願いに、遥久君はすぐに立ち上がります。
「もちろんです。どうぞ、せんせい」
 澄んだ瞳で園長先生をじっと見つめ、お箸でつまんだお芋の煮物を差し出す遥久君。
「ええと、そういう意味ではなくてだね……」
 園長先生はちょっとたじたじです。

 一臣お父さんが枝豆を一つ口に入れてぼそりと呟きます。
「……枝豆はビール飲みたくなるなー」
 園長先生は思わず笑ってしまいました。
「ははは、同感です。お土産がありますから是非おうちで楽しんでください」
「そんなに収穫できたんですか? それはすごいな」
 お父さん達もみんな楽しそう。
「……ごちそうさまでした」
 きちんと手を合わせて、清世君が言いました。ご飯つぶも残さず、全部綺麗に食べています。好き嫌いを言わない、良い子なのです。
「ごちそうさんでした!!」
 友真君はお父さんに教えられた通り、豚さんにもお芋さんにも、作ってくれた皆にもお礼を言うつもりで手を合わせました。



 ご飯のおかたづけがすんだら、さっき拾った葉っぱやどんぐりで、記念になる物を作ろうということになりました。
「ちょっとまってくださいやし」
 縁君が大真面目な顔で、皆のどんぐりを集めます。
 それを全部、調理室に用意して貰った大きなお鍋のお湯に入れました。
「ことことしねぇと、とんでもないことになるってじっちゃ、いってやした……」
「とんでもないこと……」
 友真君には何となくわかりました。でも余りに怖いので、考えないことにしました。
 どんぐりは虫さん達のご飯にもなるのです。そのまま置いておくと……ちょっと書けないような怖いことになります。なので、一度茹でるのです。
「よし、じゃあこっちに空けような」
 一臣お父さんが大きなお鍋を持ち上げて、ざるにあげてくれました。
「やっこくなったら、もうつかえやす」
「縁君は物知りなのね」
 りか先生に言われて、ちょっと嬉しそうな縁君でした。

 お教室の机を集めて紙を敷いて、大きな机にした上に綺麗な葉っぱがどっさり乗りました。
「さて、皆はこれで何を作るのかな? 後でお父さんにも見せてあげようね」
 園長先生がのりや厚紙やハサミやピンセットの入った箱を、置いて行きます。
「よーし、じゃあ今日の写真を入れるフォトフレームを作ろうか!」
 愁也お父さんがそう言うと、遥久君はどんぐりの入ったざるの所へ走って行きます。
 どんぐりは細長かったり丸かったり、結構いろいろです。じっと眺め、気に入った形の物を探すのです。
 その間に愁也お父さんは厚紙を上手に切って、2枚張り合わせて、ちょっと大きめの写真が入るようにしました。
「おとうさん、これがおとうさんです」
「ん?」
 遥久君がどんぐりをひとつ、お父さんに見せました。綺麗などんぐりに、ペンで目や鼻が描いてあります。まゆ毛の感じなんかが愁也お父さんにそっくりです。
「え、これ……!」
 愁也お父さんは感激のあまり、声も出ません。遥久君は他にも、大好きな園長先生やお友達の顔をどんぐりに描いて行きます。
「これをそのフォトフレームに貼ります」
「えっ、くれるんじゃないの!?」
 思わずそう言ってしまった愁也お父さんを、遥久君はちょっと困ったような目で見ました。

 縁君はナイフで細い枝を削って、どんぐりに差し込んでいます。細工物に慣れているのは知っているので、園長先生も邪魔をしないように覗き込みます。
「それはもしかしたら、独楽かな?」
「そうでやす。あんばいよくできたら、みんなにもあげようとおもいやす」
 縁君はとっても真剣な顔で、出来上がった独楽をいろんな角度から見ています。
「それは楽しみだね。皆、喜ぶよ!」
 どんぐりはまだざるに沢山残っていました。清世君はしゃがんでじっと見ています。
「どうしたね、清世君」
「どんぐり、中に虫いるやつとか超怖いね?」
 やっぱり知ってたんかい! 園長先生は内心で突っ込みましたが、笑顔は崩しません。
「そうだね。でももうこのどんぐりからは虫さんは出てこないよ。清世君も何か作ってみようか」
 清世君はじっと園長先生を見上げます。
「んー、いいよ。えんちょーせんせい、俺がいっしょに作ってあげる」
 袖を掴むと、机に引っ張って行きました。

 友真君は厚紙に、綺麗な葉っぱをどんどん貼り付けて行きます。
 一臣お父さんは黙って楽しそうに見ていました。子供が好きなように作る物が面白いと思うからです。
「どやー、きれいやろ! あ、そや」
 何やら独り言をつぶやき、友真君はどんぐりをふたつ貼り付けます。その上からまた、葉っぱをぺたぺた。
「友真、それは一体なにかな?」
「んーと、葉っぱ拾った山!」
 なるほど、山道では葉っぱがいっぱい散っていて、その中にどんぐりが隠れています。
「友真君の発想は面白いですね」
「ははは……誰に似たんだか」
 園長先生の言葉に、一臣お父さんが笑いながら頭を掻きました。
 一臣お父さんは、友真君の本当のお父さんではありません。でも一緒に居ると、色々と似ていることや、違っていることがあって、それがいいと思うのです。
「綺麗だねぇ、おうちに飾ろうな」
 お父さんに褒められて、友真君はにっこり笑いました。
「へへー。あ、先生! 俺もでざいなーかえんちょー先生になれますか!」
「なれると思うよ、そのためにもこれからもお勉強、頑張ろうね」
「はーい!」
 幼稚園のお勉強は大好きです。友真君にはまた一つ、将来の野望ができました。



 りか先生が何か内緒のお話をするみたいに、園長先生を呼びました。
「園長先生、そろそろ良さそうですよ」
 それから皆はまた畑に戻りました。
 畑にはさっきには無かった穴が幾つかあって、ちろちろとオレンジ色の炎が見えます。
「じゃあ皆、軍手をはめて!」
 園長先生に言われて、小さな手が新しい軍手をはめます。
「熱いですから気をつけてね」
 りか先生が縁君の手に、真っ黒に焦げた何かを置きました。
 真黒になっているのはアルミホイルです。開くと、中から出てきたのはアツアツのお芋でした。
「これはまた、いいにおいでやすね」
 縁君は二つに割ったお芋の、黄色い身の匂いにうっとり。かじるととっても甘い、ほくほくの焼き芋です。
「はい、遥久君にもどうぞ」
 りか先生が愁也お父さんにお芋を渡します。
「すみませんね、梨香先生。ほら遥久、火傷しないように注意するんだぞ」
「ありがとう、おとうさん」
 愁也お父さんが皮を剥いてくれた焼き芋を持って、遥久君は少し首を傾げます。
「どうした? きっと美味いぞ!」
 遥久君は二つに折れたお芋を半分、お父さんに渡しました。
「おとうさんの分です」
「遥久……ッ!!」
 愁也お父さん、この場で死んでもいいという顔でお芋を受け取ります。

 おうちの人が一緒にきていない清世君は、園長先生に皮を剥いてもらいます。
「ほらこれで食べてごらん」
「お芋、すごく熱いね」
 清世君は何度もふうふうしながら、少しずつ食べます。
 焼き芋って、地面の穴でも出来るんだ。
 そう思っていると、ふと遥久君と目が合いました。
「楽しいね」
 遥久君はそう言ってにっこり笑います。お仕事のにっこりとはちょっと違う、そんな感じのにっこりでした。
「けっこう楽しい」
 清世君もこくんと頷きます。

「あら、友真君は疲れちゃったんですね」
 りか先生の囁くような声。
「ちょっと張り切り過ぎて、電池が切れたみたいですね」
 ベンチに座る一臣お父さんもひそひそ声。その膝では、友真君がスヤスヤ寝息を立てていました。
「遥久君のお父さんが今日撮影した動画は、また編集してお届けしますね」
「まあ、いつもすみません。でもとっても楽しみです!」
 りか先生が嬉しそうに両手を合わせます。

 落ち葉とどんぐりの工作と、サツマイモと枝豆をお土産に。
 後で動画を見返せば、皆の笑顔がはじけていることでしょう。
 秋はとっても楽しい思い出を皆に分けてくれたのでした。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
【ja6837 / 月居 愁也 / 男 / カメラのお父さん】
【ja3082 / 百々 清世 / 男 / 園長泣かせ?】
【ja5823 / 加倉 一臣 / 男 / お料理お父さん】
【ja6843 / 夜来野 遥久 / 男 / しっかりもの】
【ja6901 / 小野友真 / 男 / 小さなヒーロー】
【ja7176 / 点喰 縁 / 男 / 色々つよい子】

同行NPC
【jz0061 / 大八木 梨香 / 女 / りか先生】
【jz0089 / ジュリアン・白川 / 男 / 園長先生】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
まさかの再登場、久遠ヶ原幼稚園でした。
新しいメンバーも加わって、今回の物がお気に召しましたら幸いです。
この度のご依頼、誠に有難うございました!
■WTアナザーストーリーノベル(特別編)■ -
樹シロカ クリエイターズルームへ
エリュシオン
2014年12月18日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.