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『 初めてと、メリークリスマス 』
日下部 暁歩ja8227)&日下部 暁璃jb6797

 大切な人と過ごす記念日は、とても素敵なものなのだと思う。
 それが初めての家族と過ごすものなら。
 初めてのクリスマスという特別な日なら。

『はじめて』だらけの、大切な日。

 そんな、何よりも大事な日に、大切な人と沢山の想い出を作ろう。


●クリスマスの訪れ
 眩く燦めく街並みと、溢れ返るような笑顔の人並み。
 街を駆け抜けるクリスマスソングはとても軽やかに心を浮き立たせるようだった。
「なんだか、とても賑やかですね……」
 学校帰りのいつもの道。だけれど、いつもとは違う喧噪に日下部 暁璃は物珍しそうに周囲を見回しながら呟いた。
「クリスマスが近いですからね」
「クリスマス、ですか……」
 日下部 暁歩の言葉に暁璃は周囲を見渡してみた。
 街の至るところには緑と赤の飾り付け。星のオーナメントが、店先に吊されている。
「すごく、キラキラしていますね」
「ええ、それにわくわくもします」
 暁璃の呟きに応えた暁歩は、そして、悪戯っぽく微笑んでみる。
「私達も、やってしまいましょうか――クリスマスを」
「え……やるんですか」
 暁璃は驚いた顔を見せたが、瞳にはきらきらとした光を宿して此方を見ている。
 暁歩は確かな手応えを感じながら、暁璃の手を繋ぎ微笑む。
「それでは、善は急げ……買い出しです!」
「はい!」
 頷き、2人は進路を変えてお店への道を歩き出す。
「クリスマスって、何が必要なのでしょうー……?」
「えっと、鳥肉のお料理は定番ですよね。七面鳥は流石に用意するのが大変ですよね」
「そうですねー……鶏もも肉とかでいいでしょうか?」
 中々クリスマスというものも大変だ。暁璃はどんなもので代用し、どんな料理にするかを考えてみる。
 思考を巡らす暁璃の隣で、ニコニコと暁歩がひとこと。
「甘い物は必須、ですよね♪」
「ええ、それはっ」
「えーっと、お饅頭とか栗最中……は、少し遅いでしょうか? あ、でもそろそろイチゴ大福も出てきそうですよね」
 暁歩があげたのは見事な和菓子ラインナップ。だけれど暁璃は頬に手をあてて。
「折角ですし、ケーキにしたいですね。クリスマスは……そういったものを食べる日なのでしょう?」
「それもいいですね。何にしましょうー」
「折角ですし、ケーキ屋さんでどんなものがあるのか見てみませんか?」
「賛成です!」

 明るい声で色々なことを話ながら商店街へと繰り出していった。


●準備
「ケーキは、ブッシュ・ド・ノエルにしますよー」
 暁歩は告げた。買い物帰り、ケーキ屋さんを少し覗いてすぐに決まったのはこれだった。
 ひとえにクリスマスケーキといっても様々な種類が有り、ショートケーキやレアチーズケーキにも惹かれたのだが、ブッシュドノエルの形に惹かれて、ふたりでこれにしようと即決したのだ。
「では、暁歩さんにお任せしてもよろしいですか? 私はお料理を作ります」
「任せてください!」
 割烹着姿の暁璃に暁歩が頷き、それぞれ分担して料理の準備を始めた。
 しかし、分担作業というのに結局お互いのフォローから共同作業になるまでの時間は掛からず、ふたりの信頼関係が見えてきた。

●パーティー

 食卓に並べられたものは何だか、馴染み深いものばかりだった。
「ふふ」
「何だか、考えていたことは同じだったみたいですね」
 ふたりで手分けして様々な料理を作った。いつもよりずっと豪華な食事。
 それなのに、何故かいつもと変わらない気がしたのはどれもみんな和の要素が入っていたからだろうか。
 例えば暁璃が作った鳥肉料理。七面鳥でもローストチキンでもなく、煮物だった。
 ピラフやチキンライス、オムライスではなく炊き込み御飯。グラタン代わりの茶碗蒸し。大根の煮物に、卵焼き。味噌汁は口当たり柔らかな白味噌で。
 そして、暁歩が作ったブッシュドノエルはチョコレートやマロン、クリームではなく抹茶のクリームで飾られていた。添えられたイチゴとあわせて、淡いクリスマスカラーだ。
「あ、可愛らしいですね……これは……」
 暁璃が気付いたのは、ケーキの上にちょこんと腰掛けたふたつの人形だった。
 そのふたつの人形は、まるで。
「……私と、暁歩さん?」
「正解です。頑張ってみたんですよー」
 この間ふと見かけた本に作り方が載っていたのだ。マジパンを作るなんて慣れておらず、少し手間取ってしまったがわりと可愛らしく出来たと暁歩は得意げに微笑んでみる。
「嬉しいです。何だか……けれど、食べるのが勿体無いです」
「また作ればいいのです――けど、最後までとっておきましょう」
 そうして、シャンメリー代わりの緑茶を並べる。
「暁歩さんと一緒にクリスマスを迎えられて、ケーキの上でも一緒に居られて……何だか、とっても幸せです」
「はい。私も暁璃さまと一緒に居られて、幸福ですよ」
 満面の笑みで互いを見つめ合う暁歩と暁璃は、湯呑みで乾杯をしてみた。
 マジパンで作られた暁歩と暁璃の人形も、ちょこんとサンタの帽子を被って微笑んでいた。


●暖かな時間、幸せな場所

 食事の後片付けを終えれば、こたつにみかんを並べて暖まる時間。
 他愛のない話に花を咲かせながら、ふとカレンダーを見ると、今年も後一週間しかないことに気付く。
「まだ少し早いですけれど……また、来年も一緒に、お祝いしましょうね!」
「はい!」
 互いに相手を想いながら用意したクリスマスプレゼントを差し出す。
「「メリークリスマス」」
 ふたりの間に幸せの笑みが咲いた。

 こんな、暖かな日々がずっと続いていきますように。
 ふたりの祈りを乗せた星は流れ落ちて、地上に雪を降らせた。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【jb8227 / 日下部 暁歩 / 女 / 阿修羅】
【jb6797 / 日下部 暁璃 / 女 / ダアト】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 大変お待たせしてしまい申し訳ありません……!
 実はブッシュドノエルを食べたことがない水綺ゆらです。
 いつも父が何処からかクリスマスケーキを貰ってくるのですが、大体ショートケーキばかりです。
 家族も友達もクリスマスはショートケーキ派が多くて、毎年見送っていますので少し憧れています。

 和服も、和物も、和風もいいですよね。
 描きながら並べられた料理達を想像して、お腹が空いてきてしまい真夜中なのにお餅に手が出そうだった衝動を必死に抑えました。
 それでもお腹が空いてきてしまったので、今度の土日辺りに和食フルセットを作ってみようかなと思います。
 ご発注ありがとうございました! おふたりにとって素敵な一年でありますように。
snowCパーティノベル -
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エリュシオン
2015年01月07日

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