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『HAPPY HAPPY! 』
加倉 一臣ja5823)&月居 愁也ja6837)&夜来野 遥久ja6843)&小野友真ja6901

 新年が明けて間も無い一月三日。
 加倉一臣と小野友真は、友人の西橋旅人を誘ってとあるマンションを訪れていた。
「えーと、705号室……ここやな!」
 部屋番号を確認した友真が、インターホンに手を伸ばす。しかし人差し指を呼び出しボタンの上に乗せたまま、なかなか押そうとしない。それを見た一臣が不思議そうに。
「どうした、友真?」
「いや……しょっちゅう来てるはずやのに、チャイム押すときはなんか緊張するよなーって……」
「え、そうか……?」
 よくわからないと言った様子の相手に、友真は必死に訴える。
「だって、部屋間違えてたらどうしよって!」
「ああ……確かに」
 やりとりを聞いていた旅人が、思い出すように頷く。
「僕も間違えて隣町のマンションに行ったことあるから、わかるよ」
「それは部屋間違えるってレベルじゃないな……?」
 一臣が苦笑する中、友真はようやくインターホンを押す。中から出てきたのは、お馴染みの遊び仲間である月居愁也と夜来野遥久。
「へいへーい愁也さん遥久さんあけおめことよろやでー!」
 開口一番、まずは新年のご挨拶。
「うぇーい今年もよろしくな!」
 友真とハイタッチする愁也の隣では、旅人が遥久に声をかける。
「明けましておめでとう、今年もよろしくね」
「こちらこそ、西橋殿も半蔵殿もよろしくお願いします」
 そんな彼らを見守っていた一臣が、笑いながら切り出す。
「よーし、みんな改めてだけど今年もよろしくな。新たな一年楽しくやろうぜ!」
「やろうぜー!」
「かーらーの?」
 ここで愁也が隠し持っていたクラッカーを鳴らす。

「遥久誕生日おめでとー!」

 突然の祝辞に目を瞬かせる遥久に、旅人も微笑んで。
「今日は遥久君の誕生日会だって聞いてきたんだよ」
「全力でお祝いすんでー!」
 張り切る友真の隣で、一臣が抱えていた大きな箱を掲げる。
「これ、みんなで買ったケーキな!」
「俺が吟味して苺たっぷりのを選んでおいたんだぜ」
 自信満々な愁也達に、遥久は思わず笑いを漏らしつつ。改めて友人達を見渡して、礼を言う。
「集ってくれた皆に感謝を」

 そんなわけで、早速パーティーの準備開始。
 手分けしてテーブルにご馳走を並べる中、友真はソファで大人しくしている半蔵に近寄る。
「半蔵もあけおめなー! 今年も一緒に遊ぼな!」
 そう言って、羽毛に包まれた胸元をもふもふ。半蔵は気持ちよさそうに目を閉じていたが、やがて友真の肩に飛び乗ると首元にぴったりとひっつく。
「わー半蔵あったかいな……!」
「ああ、鳥は人間と比べて凄く体温が高いからね。くちばしも触ると温かいよ」
 旅人にそう言われて恐る恐る触ってみると、確かに体温が伝わってくる。血管が通っているためなのだという。
 そこで愁也が思い出したように。
「そうだ、半蔵に用意していたあれ出してあげようぜ」
「ああ、そうだな」
 そう言って遥久は冷蔵庫から何かを取り出してくる。
「半蔵殿には御年始にこれをどうぞ」
 差し出された生マグロの赤身に、黒鷹の瞳が輝く。一臣も持参してきた包みを開いて。
「はい、これ俺からもお年玉な」
 プレゼントの中身は、地鶏の新鮮ササミ。ご馳走を前に半蔵は嬉しそうに翼をはためかせる。
「ク……クェ! クェクェ(ほう……これはなかなかの代物だ! お二方ともかたじけない)」
「いえ大した物ではありませんが、お気に召したならよかったです」
「今年もタビットをよろしく頼む」
 普通に返事をする遥久と真顔で拝む一臣に対して、旅人は礼を述べる。
「二人ともありがとう。よかったね、半蔵」
 見ていた愁也がぽつりと。
「そういや旅人さんって、遥久が半蔵と会話してても全く動じてないよな……」
「タビットはあらゆる事象を何の疑問もなく、受け入れられる特質能力者だからな……」
「何それなんかめっちゃかっこええ気がするやん……」
 三人が見守る中、旅人と遥久と半蔵は和やかに談笑するのだった。

 一通り準備も済んだところで、いよいよ誕生日会のはじまり。
「新年早々ケーキいえーい!」
 箱から取り出されたふわふわの苺ケーキを前に、友真は浮き浮き顔。ロウソクを手に思案顔になる。
「えっと、何本やったっけ……」
 その質問に一臣がすかさず笑顔で。
「遥久くん何本? あ、30本くらい?」
「えっ30でしたっけ! そんなに持ってきてたかな……」
 本気で30本並べようとしている友真の隣で、遥久は無言で一臣に顔面アイアンクロー。
「痛い痛い痛い痛い遥久くん痛いです」
「少々ロウソクの数が多いようだな。その分でお前の額に五芒星を描いてやろう」
「待て遥久! 俺が悪かったほんの軽い冗談ってやつryあるぇええええ」
 一臣の悲鳴が響き渡る中、愁也が旅人に向けて真顔で報告。
「なあなあ旅人さん聞いてよ。俺、新しい召喚の踊り覚えたんだぜ」
「えっ本当?」
「せっかくだから旅人さんも一緒にやろうぜー!」
「よしきた!」
「あ、俺も俺もやるー!」
 ロウソクに火を点け終わった友真も加わり、謎の召喚舞踏が開始される。
 手足をかくかく動かす愁也に、旅人も続く。その前方では友真がここぞとばかりに光纏。
「俺の力を解き放ち紅き輝きでこの世界を導く……!」
 ゆらゆらと揺らめく炎と、繰り広げられる謎の踊り。
「また西橋殿におかしな遊びを教えて……」
 ため息をつく遥久の隣で、一臣は涙目で額をさすりつつ笑みを漏らし。
「時々タビットって、もの凄いノリがよくなるよな」
「……案外、あれが本来の西橋殿なのかもしれんな」
 今まで、そう言った部分を見る機会がなかっただけで。一臣が首を傾げながら。
「しかし、ロウソクを立ててからのこの流れ……なんだろう、既視感があr」
 その時、唸るような轟音と振動が彼らを襲った。
「え、地震!?」
「いや、隣の客間から聞こえてきたぜ!?」
 友真と愁也が慌てて部屋を出て行き、遥久も額を押さえながら後に続く。
「……またか」
 ああ、いつかのデジャヴ。
 もくもくと黒い煙が辺りに充満する中、一臣は部屋の中央に誰かが立っているのに気付く。
「も、もしかしてまたミスター……」
「じゃねえ……リロちゃん!?」
 愁也の視線先、黒煙の中で桃色髪の少女が立っていた。いつものメイド服に身を包み、こちらを向いた紫水晶の瞳はわずかに細められている。
「あれ、キミ達久しぶりだね」
「わー本当にリロちゃんやー!」
 友真がわいわいと駆け寄る中、遥久はとりあず愁也に拳骨。
「痛え!」
「全くお前は……あれほどおかしな遊びはするなと」
 そう言ってため息を漏らしつつも、嬉しそうにしている面々を見て一言。

「……まあ、楽しそうだからいいか」

 遥久は思考放棄した。※二年目

●と言うわけで

 居間に戻ったメンバーを前に、一臣と友真が宣言。
「えーせっかくリロちゃんが召喚されてくれたことですし」
「急遽リロちゃん交えての『久遠ヶ原式新春かるた大会』を開催しまっす!」
 ちなみにリロは何故か友真が持っていた着物にお着替え。着付けはどうしたんだとか細かい事は聞いてはいけない。
「リロちゃんかるたってやったことある?」
 愁也の問いに彼女は軽くかぶりを振り。
「ないね」
「だよなあ。じゃあとりあえずルール説明からな!」
 愁也がリロにやり方を教える中、旅人が不思議そうに首を傾げる。
「かるたはやったことあるけど……久遠ヶ原式ってどういうことなんだろう」
「ふっ……タビット。それはやってからのお楽しみだ」
 自信に満ちた一臣に、遥久は呟く。
「……ろくな予感がしないな」
「まあまあ細かいことは置いておいて! 俺取り札並べるから、遥久さん読み手やってもらっていいすかー?」
 言いながら友真が遥久に読み札を手渡す。ルール説明を終えた愁也とリロも加わり、いざ勝負の始まりである。
 開始前に一臣が、今回の特別ルールを提示する。
「この勝負、基本はかるたのルールと同じな。久遠ヶ原式として追加されるのは、次の二つ」

 1.スキルOK、妨害OK!
 2.でも重体まで追い込むのはなし!

「なるほど、要するにガチ勝負ってやつだな」
 瞬後、愁也の身体を紅蓮のオーラが包み込む。同じく光纏した友真もやる気に満ちた表情で。
「勝負は本気やで。俺は絶対に勝つ!」
「あ、ちなみに器物破損は、遥久に首を差し出す覚悟でのご利用をお願いします」
 遥久の射殺すような視線から一臣はそそくさと逃れ、スタンバイ。
「よっし、じゃあ始めようぜ!」


 〜どきっ★撃退士だらけの新春かるた大会withメイド悪魔――燃えあがる闘志は爆撃の彼方編〜

 まずはこの勝負についての基本をおさらしておこう。
 各能力値及びスキルで判断した場合、取り札を叩く(はじく)力については、圧倒的瞬発力と狙う正確さを兼ね備えた一臣と友真が優勢である。
 ただし、妨害については強力なスタン技やノックバックスキルを持つ愁也や旅人の方が明らかにやっかいだ。
 そして悪魔――リロは行動値と回避値、及び妨害スキルに優れているという攻守揃ってのチート性能だが、いかんせんかるたは初めて。
 上記を踏まえた上で、勝負の行方をご覧いただこう。

 しんと静まりかえった室内は異様な緊迫感に包まれていた。
 読み手を除く全員が床に並べられた取り札を凝視する中、遥久の声だけが響き渡る。
「『ア』リス先生 実年齢h」
 その瞬間、読み札が遥久の手の中で閃光を放つ。これあかんやつやと思った彼は、咄嗟に放り投げた!

 \ぼかーん/

「遥久ああああああ」
 取り札に手を伸ばしかけていた一臣の悲鳴が上がる。
「うわああ一臣さん頭アフロになってんで!」
「すまん、手がすべった」
「絶対わざとだろお前!!!!」
 一臣の抗議をスルーし、遥久は読み札をしげしげと眺め。
「なるほど、さすがは学園特製ですね」
「あ、あった」
 ここで旅人が『あ』の取り札に手をぽんとやる。
「この混乱の中、何事もなかったかのように札を取る旅人さんまじ旅人さん」
 感心する愁也の隣で、リロはじっと取り札を見つめている。
「リロちゃんどしたの?」
「位置を覚えておこうと思って」
「おおー堅実派やな!」
 友真の言葉に、彼女はにっと笑む。
「やるからには勝たないと、ね」
 
「では次にいきましょうか。『き』をつけろ 白いアレは すぐそk」
 遥久が読み終える寸前、いち早く友真の手が伸びる。
「よっしゃああ俺がもらうでーーー!」
「甘いぜ友真!」
 ここで愁也が烈風突で妨害。吹っ飛んだ友真を尻目に、取り札へと手を伸ばす!
「もらったあああ」
 その時、辺りを白い光が包み込んだ。札を手にした愁也の真上に現れたのは――

 ( ^o^)はぁ〜い♪

「あるぇええええ」
 愁也は☆になった。

 今のは見なかった事にした彼らは、競技を続ける。
「『み』てないよ ヤツメウナギなんて みていない」
「今度こそ精密狙撃でゲットやああああ!」
「やったな友真…って、おいお前奴に血を吸われてるぞ!」
「え、ちょおおお●※↑@▼↓%☆!!!」
「あわわ友真君大丈夫!?」
「『ひ』かるのは スフィンクスの するどい目」
「いえーい取ったぜえええ(ばきっ)」
「……あ、シュウヤが机の脚折った」
「<○><○>」
「(へんじがないただのしかばねのようだ)」
「全く……次いくぞ。『ク』ラウn」
「取ったああああ」
「はええよ加倉さんwww」
 \がしゃーん/
「ああ……」
「うん……」
「君達あーはいはい、って目で見るのはやめてもらおうか!(檻の中から)」
 
 悲喜こもごもバトルが白熱する中、前半戦が終了した。
 現時点での取得枚数は、一臣5枚・友真7枚・愁也6枚・旅人5枚・リロ0枚。
 男子四名が拮抗する中、度重なるスタンやら何やらに耐え抜いた友真が、やや優勢での折り返しとなる。
 ちなみにリロは、全く動こうとしなかった。どちらかというと皆の動きを観察しているようで、札を取られても動揺一つ見せない。
 その理由は、後半戦で判明することとなる。
「では、後半戦を開始します」
 遥久の宣言直後、リロはすっくと立ち上がるとおもむろに口を開いた。
「……そろそろボクも、動こうかな」
 そう言ったと同時、ぱちんと指が鳴らされ巨大な銀時計が背後に現れる。
「も……もしかして……」
 あの時計が出てきたということは、彼女の『能力』が使用されるということ。リロは皆を見渡すと、ほんの少し白磁の頬を緩めて言った。

「じゃ、始めようか」

 結論から先に述べると、後半戦はなんというか一行で済むレベルの展開だった。
「ちょ、リロちゃん時間止めるのずるい!」
「ぬああああああ」
 動こうとした一臣と愁也が次々に時の鎖に絡め取られストップ。残る友真と旅人は彼女のスキルで動きが遅くなっているため、まるで追いつけない。
「これどう考えても無理ゲーやから! か、一臣さん絆連想撃…ってその状態じゃ使えへーーん!」
 その間にリロは悠々と札をゲット。場所を覚えていたこともあり、あっという間に勝負がついた。

「まさか後半リロちゃん以外、誰一人取れないとは思いませんでしたよね(^ω^)」

 顔を覆う男子諸君を放置して、遥久はリロへ祝辞を述べる。
「おめでとうございます。さすがの手腕でした」
「……というか、これボクにかなり有利なルールだったよね」
 彼女の言葉に遥久は微笑んで。
「ゲストを楽しませるのも、彼らの務めですので」
「ふうん……ま、確かに楽しかったけど、ね」
 実際はガチでやってガチで負けたのだが、そこは黙っておく優しさ。
 気が付けば、窓の外はすっかり暗くなり始めていた。


●勝負を終えて

 勝負が終われば、最後はみなで食事をしながら談笑。
 取り寄せおせちとケーキを味わった後は、締めの雑煮を食べる。調理担当の一臣が作ったのは、醤油のすまし汁仕立てに角もちのスタイルだ。
「ほら、帆立の貝柱も入れておいたぜ」
 一臣の言葉に帆立大好き友真は大喜び。
「わー帆立嬉しいありがとなv」
「やっぱ正月はこれだよなー」
 同郷である愁也や遥久にとっては、馴染みの深い味。リロは物珍しそうに椀をのぞき込んでから、口にしてみる。
「どう? リロちゃん」
 愁也の問いにゆっくりと味わってから。
「うん、おいしい」
「お、よかったよかった」
 満足そうに一臣が頷く隣では、旅人が端で持ち上げた角もちをしげしげと眺めている。
「……おもちが四角だ」
「ああ、西の方は丸もち使うんだったよな」
「うん、そうやでー!」
 友真の返しに旅人も同意する。やりとりを見ていた遥久が興味深そうに。
「西橋殿は、どのような雑煮を食べていたのですか」
「えっとね……確か白味噌仕立てだったと思う」
「そう言えば、関西は白味噌の雑煮が多いと聞いたことありますね」
 遥久の言葉に頷きながら、記憶を辿るように。
「白味噌って普段ほとんど食べないから、凄く記憶に残ってるんだよね。それと……確かもちにあんこが入ってた記憶がある」
「あんこ……?」
「旅人さんまじで!?」
 驚く三人の隣で、リロが小首を傾げる。
「あんこって何?」
「えっと……甘くて美味しい食べ物なんだけど、雑煮に入れるっていうのは珍しいんじゃねえかな」
 愁也の説明に遥久と一臣も感心したように。
「こうしてみると、雑煮一つでもかなり地域によって差がありますね」
「食文化って面白いよなあ」
「そう言えばさ、大公爵も新年のお祝いとかすんの?」
 愁也の素朴な疑問にリロは軽く首を振り。
「そういうのは、ないかな。でもお祝いはよくやるよ」
「例えば例えば?」
「賭け事に勝ったとか、愉しいことがあった……とか」
「成る程。らしいですね」
 遥久が頷いてみせる横で、一臣はある悪魔を思い浮かべていた。
「ミスターもそういうの、好きそうだもんな……」
「ああ、絶対好きそう。お祭り好きやからなー」
 一体何度巻き込まれたことか。友真は神妙に頷いてから、確信を持った口調で。
「何かにつけて宴やー! ってしょっちゅうやってそう」
 想像が容易すぎて二人が妄想の世界に入ったところで、愁也がリロに向けて切り出す。
「あのさ……リロちゃん」
「何?」
「この間マリーさんが言ってた婚約者候補云々って発言がさ、ちょっとだけ気になってるとかいやそんなことはないんだけどげふんげふん」
 その問いにリロはぱちぱちと瞬きをする。
「あ、あれはマリーが勝手に言っただけだよ」
「あれ、そうなの?」
 拍子抜けな様子の愁也から、目を逸らし。
「ボクはマリーとは違うから……そう言うの、考えたことないよ」
 しかし彼女の表情には、少しだけいつもと違った色が浮かんでいる。それは多分、動揺とか困惑といった類のもので。
「じゃあリロちゃんは、好きな人とかおらへんの?」
 いつの間にか聞いていた友真が、単刀直入な質問をする。リロは沈黙してからほんの少し視線を落とし。
「……わからない。ボクは今まで誰かを好きになったことが、ないから」
 それがどんな気持ちなのかが、わからないでいる。
「そっかー……」
 友真は少し考え込んだ後、再び問う。
「でもな、この人のこと何か気になるなーとか、他の人と違うなーとか、そういうのってあるやろ?」
「それは……うん、そうかもしれない」
「絶対とは言えへんけど……多分好きっていう感情って、そういうのから繋がっていくんやと思うなー」
 実際自分もそうだったわけで。一臣も同意しつつ付け加える。
「こういうのって基準があるわけじゃないしな」
 抱く想いも強さも人それぞれ。
「きっとリロちゃんも、いつかわかる日がくるさ」
 二人の言葉にリロはほんの少し沈黙してから、口を開く。
「……ふうん。キミたちは今、幸せなんだね」
 友真と一臣が恋人同士だというのは、薄々気付いていたのだろう。彼女の言葉に二人は照れたように、けれどためらうことなく頷いてみせる。
「新年早々のろけられたなー」
 そう言ってにやにやする愁也の隣で、遥久と旅人も微笑みながら見守るのだった。



 宵がふけると共に、宴も終わりを迎える。
 銀の懐中時計に目をやったリロは、立ち上がると皆に告げる。
「じゃあ、ボクはそろそろ帰るね」
「お、じゃあちょっと待っててー」
 愁也は台所から大きな紙袋を持ってくると、リロに手渡す。
「はいこれお土産!」
「……これは?」
「さっき話してたあんこ! もちもたくさん入れておいたぜ」
「お汁粉にして他のメイドさんたちと食べてください」
 愁也と遥久の説明に一臣が付け加える。
「レシピも入れておいたから、作ってみてな」
 リロは物珍しそうに紙袋の中をのぞいていたが、やがて顔を上げ。
「……ありがと」
 そう言って嬉しそうに微笑ってから。紙袋を片手で大事そうに抱え、紫水晶の瞳が全員を映す。
「じゃ、またね」
「リロちゃんまた遊ぼうなー!」
「気を付けてね」
 手をぶんぶん振る友真の隣で、旅人も彼女を送り出す。ほんの少し名残惜しそうな色をその瞳浮かべ、リロは指をパチンと鳴らす。
 その瞬間、辺りを温かな光が包み込んだ。

 ※

 翌朝。
 目を覚ました彼らの目には、冬晴れの淡い陽差しが映っていた。
「夢……か」
 ソファで寝入っていた一臣は、身体を起こしてぼんやりと呟く。友真は大きく伸びをしながら、ふにゃりと顔を緩め。
「なんか、あったか幸せな夢やったなー」
 美味しいものを食べて、いっぱい遊んで。
 あの子にも、そんな気分を味わってもらえただろうか。
 愁也はふと、テーブルの上に何かが置かれているのに気が付く。
「あれ、これ……」
 そこにあったのは、銀色に薄紫のリボンがかけられた缶。開けてみると、中には上質な紅茶葉が入れられている。
「置き土産、だな」
 そう言って微笑む遥久に、半蔵の相手をしていた旅人も頷いて。
「きっと楽しんでもらえたんだね」
 帰り際の表情が、全てを物語っていたのだから。
「さーて、じゃあ朝飯食って食後に紅茶でも淹れますか」
「さんせーい!」

 こうして。
 新しい一年が始まり、僕らは少し先の未来へ向けて歩き出す。
 辿り着く地で何が起きるかはわからないけれど、いつだって願うのはただ一つ。

 来年も、たくさんの祝福と共に新年を迎えられるようにと。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号/PC名/性別/外見年齢/初夢】

【ja5823/加倉 一臣/男/28/温】
【ja6837/月居 愁也/男/24/祝】
【ja6843/夜来野 遥久/男/27/嬉】
【ja6901/小野 友真/男/19/幸】

 参加NPC

【jz0129/西橋旅人/男/28/穏】
【リロ・ロロイ/女/14/楽】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
お世話になっております、久生です。
今年も楽しい発注ありがとうございました。
大変お待たせしてしまって申し訳なく……!
いつも通り好き放題書かせていただきましたが、楽しんでいただければ幸いです。
snowCパーティノベル -
久生夕貴 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2015年01月19日

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