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『スペシャルツアーin種子島 』
フィル・アシュティンja9799)&鳳 蒼姫ja3762)&鳳 静矢ja3856)&皇 夜空ja7624)&志堂 龍実ja9408)&水無瀬 快晴jb0745)&香奈沢 風禰jb2286)&私市 琥珀jb5268)&水無瀬 文歌jb7507)&支倉 英蓮jb7524


 種子島。
 未だに天界と魔界、そして人間達が三つ巴で争っているこの島は、一般の観光客が気楽に遊びに来られる様な場所ではない。
 だが、撃退士なら話は別だ――ということで。

 クリスマスイブのその日、十人の撃退士が港に降り立った。
 勿論、遊ぶ為である。遊び倒す為である。

 一行は物珍しげに辺りを見回しながら、ターミナルの建物に向かって桟橋を歩き始める。
 と、その集団から飛び出して来た、白と緑のカマキリ二体。
「ようこそ種子島へ、なの!」
 白カマの着ぐるみに身を包んだ「カマふぃ」こと香奈沢 風禰(jb2286)と、緑カマの「きさカマ」こと私市 琥珀(jb5268)は、歓迎のカマダンスを踊る。
 島の危機を何度も救ってきた彼等は、もうすっかり有名人――にしては誰もサインをねだりに来ないけれど。
「きっと、みんな遠慮してるんだよね!」
「島の人達は奥ゆかしいなの」
 こくり、カマふぃが頷く。
 サインが欲しいと言い出せないシャイな人々の為に、二人は事あるごとにサイン入りのカマぽすをプレゼントしているのだ。
 今まで二人が仕事で訪れた場所に行けば、その実物を見ることが出来るだろう。
 そう、それは二人がその場所を訪れ、人々を救ったという証。

 というわけで。

「今回はカマふぃときさカマ、二人の足跡を辿る特別ツアーを企画したなの!」
「まずは僕達が初めてカマキリ型サーバントと戦った、記念すべき戦場跡に案内するよ!」
 緑と白に塗り分けられ、『カマーずファミリー御一行様』と描かれた旗を手に、二人は意気揚々と歩き出す。
「種子島はお任せなの! 何でも訊くなの!」
 その後にカマふぃの保護者であるシズ兄こと鳳 静矢(ja3856)と、アキ姉こと鳳 蒼姫(ja3762)の夫婦が続く。
 そして、カマふぃにとっては義理の双子の弟というちょっと意味不明な関係のカイこと水無瀬 快晴(jb0745)と、その兄――と言ってもやはり血の繋がりはない皇 夜空(ja7624)、快晴の恋人である川澄文歌(jb7507)と、これまたその義理の妹である支倉 英蓮(jb7524)がその後に。
 一番後ろを歩くのは快晴の義理の姉、フィル・アシュティン(ja9799)だ。
 という事はカマふぃにとっても義姉に当たるのかどうか、もうややこしすぎて何がどうなっているのか良くわからないが、全員が家族で、これは家族旅行である――という認識で間違いはないだろう。多分。
「これ、そういう旅行だったか?」
 並んで歩くフィルの恋人、志堂 龍実(ja9408)が首を傾げながら小声で話しかける。
 何だか聞いた話と違う気がするのだが。
「んー、でもフィーちゃん楽しそうだし、皆も乗り気だし。良いんじゃないかな」
 この旅の主役はカイとカマふぃの義理の双子達。
 二人とも今日が自分の誕生日だという事をすっかり忘れている様だし、皆もサプライズの為に口裏を合わせて黙っている。
 だが旅行そのものは前から楽しみにしていたことだし、好きにさせてあげるのが一番だろう。
 特にカマふぃは、勝手に遊ばせておくと次々に面白い事を考えついて、皆を楽しませてくれる子だし。
「それも考えに入れて、この時間は自由行動にしておいたの」
「なるほど、流石にわかってるな」
「だって友達だもん♪」
 企画から宿の手配まで、全てを一手に引き受けたのはフィルだ。
 大切な家族や友達に、喜んで欲しいから。
 最高のプレゼントを届けたいから。
「クリスマスイブと誕生日が一緒で損したー、とか、せっかくのおめでたい日に気分が下がっちゃうなんて、もったいないじゃない」
 同じ日に重なっているなら、ダブルで得した気分になりたいよね。
「楽しくて嬉しくて、幸せなクリスマスにしたいな」
「そうやって皆の事を考えて頑張るところ、フィルらしいな」
 龍実が柔らかな笑顔を向ける。
「しかし、確かフィーが初めて戦った場所というのは……」
「サトウキビ畑の真ん中って聞いたのですよぅ」
 静矢と蒼姫が顔を見合わせる。
「そんな場所に、食事処があるとは思えないな」
 昼時にはまだ少し早いが、奥地に踏み込む前に腹拵えをしておいた方が良さそうだ。
「ん、美味しいお店は事前に調べてあるよ」
 それを聞いた龍実が地図を広げる。
 そこには何枚かの付箋が貼られ、細かい字でメモが書かれていた。
「ここは天ぷらが有名な店だ。漁のある日は獲れたての魚介を揚げてくれるらしいな」
 場所はフェリーターミナルの目と鼻の先。
「安納芋の天ぷらもあるって書いてあるのですよぅ」
「なら、そこにするか」
 静矢がカマふぃ達を呼び戻す。
 問題は、あの格好のままで店に入れて貰えるか、だが。
「フィー、それに私市さんも」
 その着ぐるみは脱ごうね――今だけで良いから。

 獲れたばかりのキビナゴやミズイカ、大きなエビに、新鮮な野菜。
 評判の店だけあって、味が良いのは勿論だが、とにかく量も盛りだくさん。
 コースで頼めば次から次へと運ばれて来るし、天丼など丼からはみ出す勢いで積み上がり、少し食べたくらいでは御飯が見えない。
「さすがに専門店の味は違うのですよぉ〜」
 鳳家の猫メイドたる英蓮は後学の為に厨房の様子を覗いてみたくて仕方がないご様子。
 しかし残念ながらと言うか当然の如くと言うか、企業秘密が詰まったバックヤードは関係者以外立入禁止だ。
「勉強熱心なのも良いが、英蓮が作るいつもの天ぷらも美味いよ」
「お店の味も良いですけど、えーちゃんにはえーちゃんの味があるのですよぅ」
 静矢が言えば、それは鳳家の味だと蒼姫が頷く。
 それに、これはきっとここでしか味わう事の出来ない特別なもの。
「わざわざ島の外から食べに来る人もいるそうだね」
 龍実が言った。
 普通は予約しないと入れないらしいが、すんなり座れたのは運が良いのか日頃の行い故か。
「実はふぃるねぇが、こっそり予約しておいた、とか?」
「え、さすがにそこまで気を回したりはしないのにゃー」
 ぺしぺし、隣に座った快晴に軽くねこぱんち。
 うん、内緒でこっそりっていうのは、確かに身に覚えがあるけれど。
 でもそれは一番最後のお楽しみだ。
「ほら、遠慮しないでどんどん食べてねー? 文歌ちゃんも、今日はアイドルお休みにしよう?」
 ダイエットとか気にしない!
 この後いっぱい遊べば運動にもなるし、食べ過ぎたってすぐにリセット出来るから、ね。
「天ぷらが苦手な人には、お刺身や塩焼きもあるよー」
 ただしこちらも、量は多いけれど。

 食べ過ぎて動けないほどに詰め込んだら、暫くはクリスマスカラーに彩られた繁華街をのんびり歩いて腹ごなし。
 サングラスにつばの広い帽子というアイドルのお忍び的な服装の文歌は、シャツ以外は全て黒で決めた快晴の腕にぶら下がる様にして歩いていた。
 それを後ろから眺めながら、英蓮はご機嫌な様子で黒い二股尻尾を振っている。
 らぶらぶな二人の様子を見ると、自分も恋人と一緒に来れば良かったかなー、と、ほんの少し思わないでもない、けれど。
「でも、フミとカイちゃんが幸せそうなのが一番なのですよぉ〜」
 というわけで。
「お姉様〜、シャッターチャンスなのですぅ〜」
 英蓮はデジカメを手にしたデバガメ、蒼姫を手招き。
「はーい、撮りまくるのですよぅ☆」
 恥ずかしがってるとか知らぬ!
 と言うか、照れてオロオロしてるのは快晴だけで、文歌は余裕でポーズを取っていた。
 流石はアイドル、撮影は慣れていらっしゃる。
「それにしても、ちょっと暑いのですよぅ」
 蒼姫は名前の通りに蒼くてもこもこのジャケットに水色のマフラーという完全防寒装備。
 だがしかし、ここは種子島――12月でも気温が10度を下回る事は滅多にない。
 関東の基準なら4月くらいの気温だろうか。
「常春と言っても良いくらいだな」
 いつもと同じ着物姿の静矢がくすりと笑う。
 真冬とは思えない程の暖かで明るい陽射しの中、町に流れるクリスマスソングや飾り付けには、ちょっとした違和感がある。
「南半球のクリスマスに比べれば……それほどでもない、と思う、が」
 ぽつり、夜空が口を開いた。
 そもそもクリスマスとは家族で厳かに天に祈る降誕祭の事である。
 従って、こうした派手なお祝いムードなどというものは考えられない――というのが、カトリックの神父である彼の持論だ。
 とは言え、他人が楽しんでいる事に文句を付ける気はない。
 人それぞれ、祝いたいように祝えば、それで良い。
「俺にとっては、今日は快晴の誕生日……それだけだ」
 この島にも教会があるなら、明日はミサに出席するのも良いだろう。
 けれど今日は、弟の為だけに。

 散策を楽しみながら、皆でお揃いのストラップやキーホルダーを買い込んでみたり。
 ちょっと小腹が空いたところで猫カフェに入り、安納芋アイスを食べながら猫をもふもふしてみたり。
 町歩きを満喫したところで――
「じゃあ、いよいよツアーの開始なの!」
 カマふぃときさカマの案内でカマキリ的な聖地の数々を巡り、やって来ました宇宙センター。
「よし、ちゃんとポスター貼ってあるか、抜き打ちチェックするよ!」
 きさカマが、センターの入口を指差し確認。
「あったなの!」
 ちゃんと貼ってあった。
 しかも、この前に見た時はいかにも「慌てて貼りました」みたいな雑な貼り方だったけれど、今回はちゃんと真っ直ぐに。
「ラミネート加工までしてあるなの!」
 うむ、良きかな良きかな。
「それで、見学は出来るのか?」
 静矢の問いに、カマふぃは胸を張って答えた。
「任せてなの! カマふぃは宇宙センターにも顔が利くなの!」
 それを聞いた蒼姫は、ちょっと心配そうに眉を寄せる。
 本当に大丈夫なのだろうか、迷惑をかけてはいないだろうか。
 と、そこにこっそり耳打ちするフィル。
「大丈夫、こうなると思って、ちゃんと電話でお願いしといたから♪」
「さすがフィルさん、手回しが良いのですよぅ☆」
 皆でセンターを見学して、宇宙食や宇宙グッズなどのお土産を買い込んで。
「後はどうする? サーフィンとかスキューバダイビングとかも予約してあるけど」
「あ、その前にちょっと寄り道しても良いかな?」
 フィルの問いかけに、文歌が軽く手を挙げた。
「去年の冬に慰問みたいな感じで訪ねた村があるんだけど。あの人達、元気でいるかなって」
「ああ、そういうの気になるよね」
 快晴が頷く。
「俺は構わない、けど」
 他の皆も、勿論賛成だ。
「カマキリツアーの次は、ライブツアーなの!」
「きさカマはカスタネットで伴奏するよ!」
 皆でクリスマスソングを歌って来よう。
 以前の訪問の様に本格的な事は出来ないけれど、村の人達に挨拶をして、近況を聞いたり、一緒に歌ったり、踊ったり――


 そうしているうちに、もう日が暮れかけてきた。
 残りの計画は明日に回して、今日はもう宿に落ち着こうか。
「温泉付きのコテージ、用意したよ!」
 勿論、自炊が出来る広いキッチン付きだ。
「でも残念なことに、温泉は一度に皆が入れる大きさじゃないんだよね」
 男女別に二人ずつが限度だろうか――と言いつつ、実はこれも作戦のうち。
 夜空が快晴を、フィルがカマふぃを連れ出して、温泉で温まっているうちに、残りの皆でパーティの準備をするのだ。

 蒼姫と静矢、文歌、英蓮の四人は料理の担当。
 必要な材料は事前に手配して運び込んであるから、後は作るだけだ。
 クリスマス用にはローストチキンにブッシュドノエル、ツリーの様な形をした小さなカップケーキ。
 グリーンサラダはリースの様に丸くドーナツ状に盛り付けた上に、茹でたニンジンを星型に抜いたものや、色とりどりのパプリカをリボンの様に乗せて。
 誕生日用はケーキにスープ、シチューやポットパイ、それに主役二人の好物などなど、時間と材料の許す限り。
 龍実ときさカマは部屋の飾り付けを。
「見ただけでわかっちゃうと困るから、飾りは普通にクリスマス仕様だね!」
 誕生日っぽさは、ケーキやクラッカー、それにBGMで表現しよう。
 飾り付けは風呂から上がった二人にも手伝って貰って――準備完了!

 フィルは主役の二人をさりげなく真ん中の席に誘導する。
 椅子に座った途端、部屋の明かりが消えた。
「停電なの!」
「ブレーカー、上がったのかな……あれ、でもツリーの電飾、何ともない」
 首を傾げて腰を浮かせかけた快晴を、夜空が押しとどめる。
「大丈夫だ。停電じゃ、ない」
 そこに、奥の部屋からロウソクを立てたケーキを持って、蒼姫と静矢が厳かに入場して来た。
「じゃあ始めるよ! どっきりサプライズパーティー!!」
 フィルの音頭で、皆が一斉に声を上げる。
「カイ、フィーちゃん。二人とも……」

「「 誕 生 日 お め で と う !! 」」

 じゃーん!
 カタカタカタ、ぶおぉん!
 きさカマがシンバルとカスタネットを鳴らし、ブブゼラを鳴らしてどんどんぱふぱふ。
「え? ……はっ、なの! そういえば今日はカイとフィーのお誕生日だったなの!」
「あ……忘れてた、ね」
 カマふぃの目の前に置かれたケーキにはカマキリが、快晴の前に置かれたものには黒猫が、それぞれ描かれている。どちらも静矢の力作だ。
 歳の数と同じだけの小さなロウソクに灯された炎が、ゆらゆらと揺れていた。
 皆が声を合わせて「ハッピーバースデイ」の歌を歌う。
 歌い終えた、その瞬間。
「さあ、ロウソクを吹き消して!」
 二人の主役はちらりを顔を見合わせると、目一杯に息を吸い込んで……せーの!
「ふーーーっ、なの!」
 パァン!
 部屋の明かりが戻り、皆が隠し持っていたクラッカーが一斉に鳴らされた。
 もういっちょ、どんどんぱふぱふ。
「メリークリスマスイヴなの! みんなありがとうなの!」
「うん、まさかこんな風に、祝って貰えるなんて……思って、なかったけど」
 快晴の表情が驚きから喜びへと変わる。
 家族や親しい人にしか見せない、特別な笑顔だ。
「シズ父、アキ母、よぞにぃ、ふぃるねぇ、りゅじにぃ、支倉さん、私市さん、そして……文歌。ありがとう。それに、フィーも、おめでとう」
「ありがとうなの! カイもおめでとうなの!」
 カマふぃは身体全体で喜びを表現すべく、踊る。
 きさカマのカスタネットに合わせて踊る。
「クリスマスイブも誕生日も、年に一度だ。どちらも存分に楽しまないとな」
 嬉しそうな二人を見ても、龍実は余り表情を変えない。
 しかし、だからといって感情の起伏に乏しいわけではないという事は、ここにいる皆が知っているだろう。

「ケーキ、切り分けるのですよぉ〜」
 英蓮が大きなデコレーションケーキにナイフを入れる。
 カマふぃの分はどーんと大きく、甘い物が苦手な快晴には……やっぱり、どーんと大きく。
「本日の主役ですからぁ〜」
 でも安心して良いよ。この超絶ビターココアパウダーをケーキが見えないくらいてんこ盛りにすれば、きっと甘くない! って言うか苦い!
「それはちょっと、さすがにアレだと思うな」
 手遅れになる前に、苦笑いを浮かべた文歌がそっとその手を押しとどめる。
「特別に甘くないケーキ作ったから」
 見た目は普通にケーキっぽいけれど、その正体は押し寿司だ。
 酢飯の土台にホタテや甘エビを敷き詰めて、薄切りにしたマグロやサーモンなどの刺身を薔薇の花の様に巻いたものを乗せて、イチゴの代わりにイクラを飾って。
「これなら食べられると思うんだけど、どうかな?」
「うん、ありがとう」
 見るからに美味しそうだ。
「でも、シズ父のケーキも、食べるよ。せっかく、作ってくれたんだし、ね」
「ではこの超絶ビターココアパウダーをかけるのですよぉ〜」
「それは、遠慮する」
 えー。
「わらくしのぉ〜、ちょーぜちゅびたーここあぱうらーがぁ〜、食せぬと申されるのれすかぁ〜?」
「待って英蓮ちゃん、酔ってない?」
「よってらんか、いらいろれすよぉ〜?」
 はい、酔ってますね。
 その手にあるのはマタタビシャンパン。酒には強いというから、酔ったのはマタタビか。
 そしてこの猫、酔うと絡むらしい。
「カイちゃんもぉ〜、ぐぃーっといくろれすよぉ〜」
「いや、俺、未成年、だから」
「そこまでだ英蓮、やたらと絡むんじゃないよ」
 静矢に首根っこを掴まれて引きずられて行くが、それでも英蓮はご機嫌だった。

「改めて、誕生日おめでとう」
 夜空にとっては、クリスマスとは派手に祝うものではない。
 だから、このパーティはただ快晴の為、祝うのも彼の誕生日のみだ。
 そして文歌からは、この日の為に用意した記念のリングがプレゼントされた。
「内側にね、二人の名前が刻まれてるんだ」
 今日という日を忘れない為に――こんな幸せな日々が、これからもずっと続く事を願って。
「ありがとう、大切にする」
 リングも、文歌も。
 そして、この場に集まった皆のことも。
「皆、大事な家族だ」
「ゆかいなカマーずファミリーなの!」
 いや、カマふぃ。それはちょっと違うな?
 主にネーミングのセンス的に。
「今年もまだまだ来年もまだまだカマキリ頑張るなの!」
 種子島にカマキリが出る限り!
「出なくなってもカマふぃが出るなの!」
「きさカマも忘れないでね!」
 ということで、今日祝ってくれた人みんなにカマぽす進呈しちゃうなの!
 もちろんサインもついてるよ!
「ひとりずつ名前も書いたなの。これは川澄さん江なの」
 楽屋とかに貼ってくれて良いのよ?
 あ、プロモーションに使ってくれても良いし、マスコットにしてくれても――

 二人の嬉しそうな様子を見て、フィルは満面の笑みを浮かべた。
 大事な人達の幸せは、自分の幸せ。
 大事な人達の喜びは、自分の喜び。
 嬉しくて楽しい気分の倍返し、いや、そんな気分なら百倍返しだって良い。
「サプライズ成功、喜んでもらえて良かったにゃー♪」
 頑張った甲斐、あったかな。
 楽しい思い出に、なったかな。

「そうだ、クリスマスの方も楽しまないとね!」
 きさカマが、カマキリグッズをいっぱいに入れた箱を持って来る。
「これはカマキリサンタからのプレゼントだよ! ゲームをして、勝った人から順番に好きなものをあげるね!」
 白と緑のペアカマキリフィギュアが付いたストラップとか、カマキリがどーんと描かれたマグカップに、Tシャツに、細かいカマキリ柄のお洒落なネクタイ、ハンカチもあるし、カマふぃの名言を集めた有難い本もあるよ!
「じゃあ、まずは椅子取りゲームするにゃ!」
 フィルが高らかに宣言した。
 他にもハンカチ落としとか、イントロクイズとか、王様ゲームとか。
 皆で騒いで、盛り上がって、写真も撮りまくって。
 皆でクリスマスプレゼントを交換して。
 美味しいものをたくさん食べて、幸せな一日になるように。

 絶対に忘れない、忘れられない、大切な思い出になると良いな――



 やがて夜も更けて、子供達が寝静まった頃。
 静矢と蒼姫は、二人きりでコテージのテラスに出た。
 満点の星空の下、ぴったりと寄り添う。
 この一年を静かに振り返りながら、この夜を共に過ごそう。

 メリークリスマス。
 そして、ハッピーバースデイ。

 生まれて来たこと。
 出会ったこと。
 今、共にあること。

 その全てに、感謝を――



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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・企画立案
【ja9799/フィル・アシュティン/】

・本日の主役
【jb0745/水無瀬 快晴】
【jb2286/香奈沢 風禰】

・愉快な仲間達
【ja3762/鳳 蒼姫】
【ja3856/鳳 静矢】
【ja7624/皇 夜空】
【ja9408/志堂 龍実】
【jb5268/私市 琥珀】
【jb7507/川澄文歌】
【jb7524/支倉 英蓮】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
 お世話になっております、STANZAです。
 この度はご依頼ありがとうございました。

 納品が大幅に遅れまして、誠に申し訳ありません。
 お待たせしてしまった分、少しでも楽しいものに仕上げようと、頑張ってはみたのです、が。
 お気に召して頂けると幸いです。

 口調の間違いや関係性の勘違いなど、お気付きの点はご遠慮なくリテイクをお願いします。
snowCパーティノベル -
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エリュシオン
2015年01月30日

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