▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『白い日の決戦 』
相川・勝一(ia0675)&神町・桜(ia0020)

 ホワイトデー。白い日。そう純白。
 白はいい。何者にも染まらぬ潔癖な色。
 ところで諸君。2月14日はバレンタインデーだが、もう一つ忘れてはならない大切な日だ。何だか分かるかね?
 そう、それは褌の日!
 何故そう言われるようになったのかは割愛するので各自調べてくれたまえ。
 とにかく、だ。バレンタインデーが褌の日であるならば、ホワイトデーである3月14日は、白い褌を穿くべきだと思わないかね?
 そうだ。そこの君だ。大丈夫、怖がらなくていい。
 何、嫌だ? 遠慮することはない!
 白い褌はいいぞ? 天儀男子の象徴だ!
 さあ! そこの君も! れっつ! 白褌!


 前置きが長くなったが……これは、バレンタインを褌の日と主張し、ホワイトデーである今日は白褌を穿くべきだと実力行使にでた『白褌紳士同盟』と、その状況に巻き込まれた者と成敗する者――その戦いの記録である。


 ――相川・勝一は目の前が真っ白くなる程に激しい怒りに襲われた。
 この目の前にいる恥知らずで傍若無人な褌男達を倒し、必ずや心を入れ替えさせなければならぬ。
 勝一は、見た目は女子だが立派な男子だ。
 アヤカシを倒し、事件を解決することで生計を立てる……どこにでもいる(?)、ごく普通の開拓者である。
 そんな彼は、とかく褌に対しては、非常に深い思い入れがあり――人十倍、いや三十倍くらいには鋭敏で、褌と聞けば即反応できる自信があった。
 何故勝一が怒りに燃えているのか。それは、白褌の男達に今まさに一人の女子が襲われようとしていたからである。
「そこの男子! れっつ! 白褌!」
「この変態どもめ! 誰が男じゃ! わしは……って、ん……?」
 神町・桜は一瞬、自分の身に何が起きたのか分からなかった。
 街を歩いていたら、目の前に白褌姿の変態が躍り出て来たので全力でスルーしようとしたら、いつもの如く男子と勘違いされたので思わず言い返した……はずだったのだが。
 何故こんなにスースーするのだろう……?
「おお。おぬし女子であったか。すまんすまん」
「すっかり男子と勘違いしておったわ。だが女子でもな、白褌を穿きこなしてこそだぞ」
「ぎゃあああああああああああああっ!!?」
 無駄にイイ体格でイイ笑顔の不気味な男達に取り囲まれて悲鳴を上げる桜。
 あれよあれよと色々あって、はたと気がつけば白褌を穿かされていた。
 ――み、見られた! 乙女のひみつを見られたああああああ!!
 いたいけな少女が受け入れるにはあまりにもあんまりな事態にただただ愕然とする桜。
 男達が白褌がどうとか言っている気がするが、耳に入って来ない。
「とおりゃああああああ!!」
 ちぇすとおおおお!
 そんな掛け声と共に空から舞い降りる一陣の風。
 へぶぅっ! と言う声と共に白褌の男の一人が吹っ飛ぶ。
「な、何奴……!?」
「僕の名は褌将軍。褌の代弁者であり代行者……。褌の道に外れる者達よ、覚悟しなさい!」
「何……!? ……と言うことは『白褌紳士同盟』の同志か……!?」
 彼の突然の出現にざわめく白褌の男達。純白の褌をはためかせた勝一……いや、褌将軍がフッとクールに笑う。
「同志……? 笑わせないで下さい。人を襲い無理矢理褌を穿かせるなど褌道でも邪道の極み! そんな不埒な行為、この褌将軍が許しませんよ!」
 声高らかに叫ぶ褌将軍。その堂々とした立ち居振る舞いに、白褌紳士同盟の男達が姿勢を正す。
「褌将軍。おぬしは思い違いをしている。我々は、褌の美しさ、そして正義を世に広く知らしめる為に日々活動している。ホワイトデーである今日こそ、皆揃って白褌を穿き、その素晴らしさを称えるべきなのだ」
「白褌紳士同盟と仰いましたか。あなた方こそ思い違いをしています。褌は、自ら望んで着用してこそ至上の輝きを放つもの……。無理矢理付けるものではないのです!」
「何を言う! 褌の良さは穿いてみなければ分からぬ! 褌の素晴らしさを広く知らしめる為にも我らの行為は必要なのだ!」
「黙りなさい! 暴力で人を捻じ伏せて何が正義ですか! あなた方の行為は、褌道を汚す行為です! 御覧なさい。純白の褌が泣いていますよ!」
「……褌将軍よ、何故分からぬのか! 同じ褌を愛する者同士、分かり合えるはずではないか!」
「僕の心も今悲しみに満ちていますよ。同志であるはずのあなた方がこんな非道な行為をするなんて……人の涙の上に立つ褌道などあり得ません! だからこそ見逃せない!」
「何故だ! 同じ褌を愛していながら、何故戦わねばならぬ!」
「同じものを愛しているからこそです! 譲れぬ道がある……! さあ、いざ尋常に勝負!」
「そんなものどうでもいいわあああああああああああ!!」
「「ふごぉっ!」」
 ばちこーーーーん!!
 突如立ち上がった桜。ショックから立ち直るや否や、褌将軍含めた男達に鉄拳制裁を食らわせる。
「さ、桜さんっ。僕まで殴らないで下さいよっ! 助けに来たのにっ」
「やかましいわあああ! おぬしらまとめて地獄行きじゃああああ!!」
 あ。これアカン。完全に桜さんキレて黒化してますわ。
 ブラック桜の迫力に完全に飲まれた白褌紳士同盟の男達。
 その混乱に乗じて、褌将軍が攻撃に転じる。
「褌に代わっておしおきですよ!」
「褌褌やかましいんじゃあああああ!!」
 白褌紳士同盟の男達をばったばったとなぎ倒す褌将軍とブラック桜。
 道往く者達が、良く分からないと言った顔をしながらも、2人に声援を送り始める。
「何だ? 白褌の奴らが戦ってるぞ」
「開拓者同士の喧嘩かねえ……?」
「いや、催し物じゃないか?」
「おー。何か良く分からんが皆頑張れー!」
 ……完全に見世物だと思われてますよ! あながち間違いでもないですが!
「褌将軍と男子のような女子よ、話し合おうではないか!」
「問答無用! 成敗!」
「誰が男じゃ! お前らなんてこうしてやるわあああああ!!」
 逃げ惑う白褌紳士同盟の男達。それを追いかけぶっ飛ばす褌将軍。
 褌将軍がなぎ倒した男をひっ捕らえ、ブラック桜が手際よく荒縄で縛り上げていく。
 ……ん? 何か縛り方変じゃないですか?
「変などではないぞ。これは由緒正しき亀甲縛りと言うものじゃ! どうじゃ! 身体を這う縄が六角形で美しかろう!」
「いやいや、そこ威張るとこじゃないですから!!」
 ヘケケケケケケ、と妙な笑い声をあげるブラック桜に突っ込みを入れる褌将軍。
 彼女はギロリ、と剣呑な目線を褌将軍に向ける。
「おぬし、この縛りの美しさが理解できないと申すか?」
「えっ!? いえ、そんなこと一っ言も言ってないですよ?」
「変態のくせにわしに逆らうとはいい度胸じゃの?」
「いや、僕は変態じゃなくて褌将軍ですよ!?」
「褌将軍……? ハッ。白褌一丁で日中の街をうろつくのを変態と言わずして何と言うのじゃ!」
 ブラック桜の攻撃! 褌将軍は心に1000のダメージを受けた!
 暴言に固まる褌将軍を、ブラック桜が容赦なく縛り上げていく。
「えっ。ちょっと待って何で僕までっ!?」
「おぬしも地獄に送ってやるわああああ」
「いやあああ! やめてええええ! あっ。ちょっ。ホントにダメ! ふ、ふんどし! 褌が落ち……」
「やかましいわああああああ!!」
「ああああああああああああ!!!」
 騒ぐ褌将軍を無視して縛り上げるブラック桜。
 はらり、と嫌な感覚がして……。
「きゃああああああああ!! ダメえええええ!!」
「よしよし。今回も良い出来……ぬ? なー!? お、おぬし何をやっておるんじゃこの変態があああああ!!」
「いやああああ!! これは事故で! 事故なんですうううううううう!!」
「変なものを見せるでないわああああああああ!!」
「見せたくて見せた訳じゃ……! またこのオチー!? もういやああああ!!」
 滂沱の涙を流す褌将軍。
 いや、今は荒縄を装備中なので荒縄将軍に改名だろうか……?
 そのまま脱兎の如く逃げ出した彼を、亀のような状態で転がされた白褌紳士同盟の男達が呆然と見送る。
「な、なんじゃこりゃああああああああああああ!!!」
 そして、我に返った桜の悲鳴。
 周囲の混沌とした状況にようやく気付いたようであるが、何だこれはと聞きたいのはむしろこっちである。
「あのー。平和的解決をしたいのだが。この荒縄解いて貰えんかね。そこの男子のような女子よ」
「だーれーがーーー男じゃあああああ!!」
 白褌紳士同盟の男達に再びキレる桜。
 通りすがりの者達は、何だか良く分からない状況ながらもやんややんやと盛り上がり――。
 この混沌はもう少し続きそうであった。


 こうして今日も褌の平和は守られた……のかな? 多分。
 だが、人々が真の意味で褌の魅力を理解するその日まで、彼の戦いは終わらない。

 戦え! 褌将軍!
 負けるな! 褌将軍!!


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
ia0675/相川・勝一/男/12/サムライ
ia0020/神町・桜/女/10/巫女

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
お世話になっております。猫又です。

ご希望をなるべく盛り込んだつもりでおりますが、ものすごく酷いお話になってしまいました。申し訳ないです。
少しでもお楽しみ戴けましたら幸いです。
話し方、内容等気になる点がございましたらお気軽にリテイクをお申し付け下さい。

ご依頼戴きありがとうございました。
MVパーティノベル -
猫又ものと クリエイターズルームへ
舵天照 -DTS-
2015年04月08日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.