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『宝探しの子猫たち☆ 』
猫宮・千佳(ib0045)


 ここは天儀の神楽の都。どこぞの古物商の薄暗い店の中。
「うにゅ、違うっぽいにゃ」
 棚から巻物を出して広げてはポイする少女がいる。
「あー、お嬢ちゃん」
 そんな姿に見兼ねて店主が声を掛ける。
「これも宝の地図じゃなくってただのお経の写しにゃ」
 またもポイする横顔は、猫耳頭巾に大きな青い瞳。
 オレンジ色のエプロンドレスに身を包んでいる姿は、猫宮・千佳(ib0045)。
「その、お嬢ちゃん」
 店主、再び声を掛ける。
 が、千佳は全く聞こえないようで「棚の奥の方にあるかもにゃ♪」とか言いつつ四つん這いになって棚の雑然とした下段の奥に顔を突っ込む。猫しっぽを揺らしながらふりふりとお尻を振って、奥へ奥へ。
 この様子に、こほんと咳払いする店主。
 先ほどから千佳、大きな壷の中に頭を突っ込みお尻と尻尾をふりふりして探し物をしたり、高い位置にある行李に手を伸ばしぴょんぴょんにゃんにゃんしてどばーと中身をぶちまけたりとか派手な探し物をしていた。
 今まで物を壊さなかったのが不思議なくらい。
「お嬢ちゃん、宝の地図ならここにあるよ」
 だもので店主、見兼ねて千佳を大人しくさせることにした。
「うに!」
 がば、と棚の奥から顔を引っこ抜いて見返す千佳。こういう声はしっかりと聞こえるようで。
「宝の地図、どれにゃ?」
 したたた、と店主の元に寄って来ては話をねだる。
「とっておきを出してあげるから、これ以上店を荒らさないでほしいもんだね」
 店主、ため息とともに巻物を手渡した。
「これは、女空賊の活動を記した巻物だ。宝を隠す洞窟についても書いてあるが、仲間以外は入れないようになっているらしい。値段は古文書としての値段で手ごろだが……試してみるかい? 条件は……」



 そして、港に停泊している中型飛空船「チョコレート・ハウス」の艦長室で。
「コクリちゃん、新しい宝の地図見つけたにゃ♪ 宝探しに行くにゃー♪」
 千佳、チョコレート・ハウス艦長のコクリ・コクル(iz0150)を訪ねて巻物を広げる。
「へえ〜。女空賊の隠し財産……」
「そうにゃ♪ 次の冒険はこのお宝を探しに行くにゃ♪」
 コクリにぐぐっとアップで詰め寄ってアピールアピール。
「仲間以外は入れないようになってる、か……それで、古物商さんの言う条件は?」
「いらなくなったらこの巻物を返してほしいってことらしいにゃ☆」
 つまり、転売している宝の地図だ。宝はすでにない可能性がある。
「う〜ん……でも、どんな場所に隠してあったのかってのは、興味がわくよね」
「そうにゃそうにゃ。……場所を書いてるかもしれない文章はこの部分らしいにゃ☆」
 説明する千佳。
「じゃ、古い空賊の使ってた暗号のどれかに照らし合わせてみるね」
 コクリがそういうので、数日預けた。

 後日、無事に暗号の解読に成功。
 天儀のとある山中に向かい、竪穴の入り口を発見した。
 すべては宝の地図の通りだ。
「じゃ、千佳さん。行くよ」
「楽しみにゃー」
 というわけでロープを下ろして洞窟に入り、カンテラを灯す。
 広間の隅に、奥に伸びる横穴がある。
 さあ、探索開始だ。



「あ」
 しばらく進むと、コクリがそんな声を出して立ち止まった。
「コクリちゃん、どうした……にゃーーーーーーっ!」
「ああん!」
 聞いた言葉はそのまま悲鳴に。
 何と、穴のある岩の地面から突然突風が吹き荒れたのだ。
 千佳のフリル付きのスカートが派手にめくり上がる。ひんやりする太腿。慌てて両手でスカートを押さえる。が、両手で前を押さえたのでお尻の方はぶわっと上がったまま。お尻と太腿の後ろがひんやり。お尻を突き出した前かがみ姿勢から後ろに上体をひねり押さえてようやく落ち着いた。
 顔を上げて気付いた。
 コクリが短いスカートをめくり上げたまま、踊るように腰を振っているではないか。どうやら手で隠そうとして隠しきれず、どうしていいか戸惑っているらしい。
「コクリちゃん、スカートを持って押さえるにゃ!」
「あ、そか。でも、つかみにくいよぅ」
 短いとめくれた内側に手を入れにくいようで。

 さらにしばらくして。
「みゃ!? 何か引っかかったにゃ!?」
 千佳、脛に違和感を覚えて立ち止まる。見ると、細い糸が足首に掛かっていた。
「千佳さん、危ないっ!」
 気付いた時にはコクリに押し倒されていた。
 しゅん、すとととん、と何かが発射されてコクリの上を横切る音が聞こえた。
「コクリちゃん、無事にゃ?!」
 上に被さるコクリは……。
「うん、ギリギリ間に合った……あーっ!」
 言い切らないうちに、コクリの上着がひらめいて千佳の上に落ちた。射出されたクナイに裂かれたようだ。
「にゃっ! と、とにかく隠すにゃーっ!」
 コクリの胸に左右の手の平をぴとっと当てて、丸裸になった微妙なふくらみを隠した。
「髪の毛短くて、良かった」
 正座して両肘を上げ、後ろ髪を気にするコクリ。千佳は後ろからたおるを回してコクリの胸を包み、背中側できゅっと縛ってやった。

 さらにさらにしばらくして。
「あれ? いまどこかで音がしなかった?」
 ミニスカートとチューブトップブラのみのコクリが振り返る。
「コクリちゃん、危な……にゃーーーーーっ!」
 ひゅん、と飛んで来た何かからコクリをかばったのはいいが、その何かは千佳にモロに命中してしまった。重量もあるようで、一気に吹っ飛ばされ横壁に叩きつけられた。同時に壁に固定される感覚。
「ああっ、千佳さん……万歳してみて」
「うにゅにゅ……ばんざ……うにに、服がー!?」
 自分がどうなっているか分からないままコクリに言われた通り万歳すると、ずりりとずり落ちた。
 尻餅をついたところで自分が下着姿になっていることに気付く。
 上を見ると、愛用の服が白い巨大なトリモチもろとも壁にへばりついている。
「最後の一枚だね」
 コクリがそう言ったのは、たおるの枚数。
 今度は千佳が裸のまま万歳して、後ろからコクリがタオルで千佳の胸を包み背中側できゅっと結んだ。
「ボクは下は水着だから」
 と、コクリのミニスカートも履く羽目になったり。
「うにに……お宝を取りに来たはずが服を取られてるにゃ……」
「え? あっ」
 へにょりとした千佳の呟きでコクリ、気付いた。
「ここの罠、おかしいよ。まるで闇目玉が喜びそうな罠ばかり」
「そ、それにゃ! きっと今もどこかからのぞき見してるにゃっ!」
「ええと、どこ……」
「にゅ、いたにゃーーーーっ!」
 きょろ、と探すうち、千佳が発見した。通路の壁に半身を隠すようにアヤカシ「闇目玉」がこちらを見ていた。千佳に指差され、びくっとしている。
「逃がさないにゃ。マジカル☆アローにゃ☆」
 マジカルワンドを振るって攻撃する千佳。コクリはこの時すでに駆け出している。
 千佳の攻撃とコクリの追撃で不埒なのぞき見アヤカシを粉砕だ。



 洞窟は、どん詰まりで終わっていた。探すが何もない。
「何もなかったにゃねー」
「罠があるたびに闇目玉を倒しただけだったね」
 肩を落として洞窟を出る二人。
 結局、得たものはない。
「ただの闇目玉の罠、かぁ。残念だなぁ」
「にゅ、ならまた新しい地図を探すにゃ♪」
 千佳、まったく懲りてない。というか、満足そうでもある。
 それもそのはず。
 千佳は宝よりコクリと冒険したりするのが何よりうれしいのだから。

 というわけで、後日。
 ――ごそごそ、がさごそ。
 天儀の別の古本屋でふりふりお尻と猫しっぽを振りながら探し物をする千佳の姿があった。
「お嬢ちゃん、あまり荒らしちゃだめだよ」
 店主がその熱心さに呆れていたりする。



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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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ib0045/猫宮・千佳/女/15/魔術師
iz0150/コクリ・コクル/女/11/志士

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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猫宮・千佳 様

 いつもお世話様になっております。
 可愛い宝の地図探しと、楽しい宝探しです。いるのはアヤカシの闇目玉でしたが。

 楽しい発注、ありがとうございました。字数使って通信欄短めでごめんなさい。
 では、終わりのない冒険をお楽しみください♪
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舵天照 -DTS-
2015年05月11日

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