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『にゅるりにゅるにゅる大事件 』
サクラ・エルフリードka2598


 ある休日、サクラ・エルフリードは日ごろの疲れを癒すべく温泉を訪れていた。
 ここは知る人ぞ知る秘湯であり、静かに格別の露天風呂が楽しめる……サクラお気に入りの温泉宿。

 現在サクラは脱衣場に居り、するすると衣服を脱いで水着に着替える。
 この宿の温泉は混浴なので特別に水着の着用が許されているためだ。
 ……ちなみに水着の着用は必須ではなく、『許されている』だけであり、別に気にならないのであればそのままでも構わない。
 本来は温泉の泉質の観点から水着もお湯に浸けるべきではないが、主に女性に対しての配慮である。

 白のシンプルなワンピース水着に着替えを終えたサクラはガラガラと戸を開けて風呂場へ足を踏み入れた。
 すると湯船に浸かっている人影が……一つだけ。
「ん、私以外は一人だけですか……。ほぼ貸し切り状態とは運がいいです……」
 さすがの秘湯である。サクラは得した気分でまずは身体を流しに洗い場へ。

 一方……。先客の佐倉・咲江。
「がぅ、温泉気持ちいい……。貸し切り状態……と、思ったらもう一人来た……?」
 ひとりでの〜〜〜〜んびりとお湯を楽しんでいたら……サクラが登場。
 一瞬「がぅ!?」と、男性かと警戒したものの、現れたのは自分より少し年上か同じ年くらいの――しかも長く美しい銀髪で色白の肌、小柄で細身の美少女であった。
 咲江は「ふう……」とすぐさま警戒を解き、またのんびりゆったりモードでお湯を楽しむ。
 そんな彼女が着用している水着は赤のツーピースビキニだ。咲江はサクラと同じく小柄で細身、胸は平坦だったがそれはそれで魅力的であり、おへそがとても可愛らしい。

 ほどなく「隣、いいですか?」と、身体を洗い終えたサクラが咲江の後ろに立ち、尋ねてきた。
 断る理由はなく独占するつもりもなかったので咲江は「いいよ」と快諾。
 サクラがどこか神秘的な美少女であり、可能ならば少しお話してみたかったこともあるが。

「では失礼して……」
 と、サクラはちゃぷんと静かにお湯に浸かった。「ふあああ〜〜」と思わず声が漏れるほどに心地よかった。
 やはりこの温泉のお湯は格別だ。一気に身体から疲労が抜けていく感じがする。
 サクラは肩までお湯に浸かって目を閉じ……しばらくお湯を堪能した後に……、
「……私はサクラ・エルフリードといいます……。この温泉によく来られるんですか……?」
 自己紹介しつつ、せっかくなのでお隣さんに声をかけてみる。
「がぅ。私は佐倉・咲江。この温泉には……わりと頻繁に来るかも」
 咲江は神秘的な美少女であるサクラに声をかけられたので(咲江自身も美少女の部類に入るが)、若干下心を持ちつつ答えた。
「よろしくお願いしますね……佐倉さ……ええと、これでは私の名前と被ってしまいますね……」
「がぅ、咲江でいいよ」
「それでは咲江さん。よろしくお願いします。ファミリーネームでは少々他人行儀ですので私もサクラで構いません」
「がぅ、よろしく、サクラ」
 そのように二人はすぐ意気投合し、一緒にゆっくりと温泉を楽しむ……。

 ――だがこのときはまだ、湯船の中に『あるもの』が潜んでいることに二人は気付いていなかった……。


 露天風呂をゆった〜〜〜〜りと満喫しているサクラと咲江……。
「やっぱりとても気持ちいいですよね……この温泉……。ずっと浸かっていたい……。温度もちょうどよいですし……」
「がぅ。ほんと気持ちいいよね……。気持ち良すぎて寝ちゃいそうなくらいに…………Zzz……」
「ふふ、寝てはいけませんよ。それは危ないです」
 などと二人は和気藹々としつつ完全にリラックスムード。だがそのとき――
 にゅるん。
「ひゃあっ!」
 サクラが声を上げた。ぬるっとしたものが足を撫でたのだ。
「……ん? どうしたの?」
 本当に寝そうになっていた咲江は首をかしげる。
「今、何か変なものが足を……」
「がぅ、気のせいじゃ――」
 にゅるるん。
「がぅぅ!?」
 今度は咲江の太ももの辺りをぬめっとしたものが撫でた。
「……もしかしてこの温泉……湯船の中に……」
「なにか……いる……?」

 二人が気付いたときにはもう遅かった。
 ざっぱーん!! とお湯の中から八割がた透明の……辛うじて輪郭が判るスライム状の巨大な物体が出現。
 二人が呆気にとられていると――
「きゃああああああああああ!?」
「がぅぅ!? ひゃああああ!?」
 巨大スライムは身体を無数の触手のように伸ばし、二人の身体を絡め取り、持ち上げて宙に浮かせてしまった!
 二人は触手によって四肢を完全に拘束されており身動きが取れない! 大変!
「なっ!? これは一体……!?」
「がぅぅぅ!? どうしてこんなところにこんなのが!?」
 予測不能の事態に二人は大混乱。脳がパニック状態。

 サクラと咲江が事態を理解する前にスライムは二人の四肢を拘束しているものとは別の触手を二人……水着に包まれたスレンダーボディへ伸ばす――
「く、離してください……!」
 サクラは脱出を試みるが手足をがっちりと拘束されているため満足に動くことが出来ない……。
 すかさずスライムは攻撃(?)を開始。にゅるんにゅるん。にゅるん。にゅるん。
「きゃあっ! どこ撫でてるんですか!?」
 色白のきめ細やかな肌をぬるぬるの触手が撫でまわす。
「がぅぅぅ! 離せ……!」
 咲江は抵抗を試みるがサクラと同様にがっちり拘束されているので不可能。
 こちらにも触手の攻撃。にゅるん。にゅるるん。にゅるるるん。
「ひゃあああああ!!」
 可愛いおへそを触手がピンポイントアタック。敏感な部分を撫でられた咲江は思わず声を上げてしまう。

 その後も二人はスライムの触手による、ぬるぬるぬめぬめ撫で撫で攻撃を受け続ける……。


 尚もスライムの触手による攻撃を受け続けるサクラと咲江……。
「この程度で……屈したりは……」
「がぅぅぅ、おへそ以外ならまだ耐えられる……」
 気丈に振る舞うサクラと咲江。
 ぬるぬるぬめぬめの触手に素肌を撫でられてぞわぞわする二人だったが、サクラなら太ももの内側、咲江ならおへそなど敏感な部分以外への攻撃ならばまだ耐えることが出来た。
 だが――二人の反応が若干薄いことに感づいたスライムは次なる攻撃に移る――。

 それまで二人の肌をにゅるにゅる撫でていた触手を一旦引っ込め、今度は細長い触手をさっきの倍ほど全身から出現させ、二人に向かって伸ばす。
「一体なにを……」
「がぅぅ、どんな手で来ても……私達は負けたりなんか……」
 ――その細長い触手群は、二人の水着の隙間から、水着内部へ侵入を試みた。
「ひゃああああああああああああああああああああっ!!」
「にゃああああああああああああああああああああっ!!」
 まさか水着の中へ攻撃を仕掛けてくると思わなかった二人は盛大に声を上げる。

 にゅるるるん。にゅるるるん。にゅるるるん。水着へ侵入を果たした触手はここぞとばかりに攻勢を強めた。
「きゃうっ!! ひぅっ!!」
「ひゃうっ!? にゃあああっ!!」
 二人の反応が良いことに調子付いた触手は二人の肌を万遍なく何度も何度も撫でまわす。にゅるるるるるん。にゅるるるるるりん。

「くっ……気持ち悪い……。こんなことをされるくらいなら……いっそのこと……」
 心底悔しそうな表情を浮かべるサクラと、
「がぅぅぅ……もう……ダメ……」
 へろへろな咲江。
 二人はもはや息も絶え絶え。長時間触手に撫でられまくった二人の身体からついに力が抜け……くたりとなる。
 するとスライムは二人の様子に満足したのか、二人の四肢を拘束している触手の力をわずかに弱めた――


 触手が拘束する力を弱めると同時に二人の目が同時にきゅぴーん! と開眼。隙をついて触手の束縛から脱出! 秘められし力を開放!
「はぁ……はぁ……。い、今なら……滅殺です!!」
「はふっ、温泉でこんな目に……うー、変態な触手は退治……!!」
 サクラと咲江の二人は同時に全力全開の攻撃を巨大スライムの本体へ叩き込む! するとスライムは苦しげにうごめいた後……お湯に溶けて消え去った……。

 ***

 なんとか闖入者、スライムを撃破した二人は気を取り直して再び温泉に浸かる……。が、しかし。
「酷い目に遭いましたね……。でもこれでゆっくり出来そうです……」
「そうだといいけど……がぅ? 他の人も来た……ぁ、水着……がぅぅ!?」
 気付けば二人の水着はどこかへ。
 それをあとから来た客に見られた(女性客だったが気が動転していたため)サクラと咲江は顔を真っ赤にして風呂場から飛び出たそうな……。

END
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ファナティックブラッド
2015年06月29日

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