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『ハートにジャストミート!〜試合編〜 』
月居 愁也ja6837)&矢野 胡桃ja2617)&加倉 一臣ja5823)&夜来野 遥久ja6843)&小野友真ja6901)&ゼロ=シュバイツァーjb7501


 前日までの雨も上がり、晴れ渡った空が目にまぶしい。
 社会人野球大会会場のグラウンドへは、選手たちが続々と集結していた。


「おー、絶好の野球日和だな、遥久!!」
 荷物を背負う月居 愁也が、笑顔で相棒を振り返る。夜来野 遥久はデータブックから顔を上げ、そよ吹く風に目を細め。
「まあ、これくらいは造作もないことだ」
「……はるひささん? ついに天候をも睨み一つでじゆうにできるように……?」
「冗談だ、愁也。人をなんだと思ってる」
「え」
「遥久、冗談だったの?」
「……二人まで」
 愁也と並んで歩いていた小野友真、加倉 一臣までもが同様のリアクションをするから遥久も呆れた顔をする。
「昨夜の雨は大した量じゃありません、ただし内野は打球のイレギュラーに気を付けるべきでしょう」
「イエッサー。てーことは、打者はイレギュラーを狙って行く、と?」
「シュバイツァー殿、さすが話が早いですね」
 守備の弱点、イコール攻めどころ。
 ゼロ=シュバイツァーの確認へ、遥久は片目を瞑った。
「矢野さんは球種とサインの擦り合わせ、満点ですか?」
「はい、はるおにーさん! ストラックアウトで、特訓、しました。真ん中に当てれば9枚全部落とせるように、なったわ」
 矢野 胡桃、特技は火力と命中です。
「力のあるストレートがあれば、充分な武器だって。だーいじょうぶ、俺らがいるから。フェンスを越えない限り捕ってやるぜぇ」
 少女投手の背を、一臣が明るく叩く。
「せや! 困った時はな、後ろ向いて周り見てな。俺やゼロさんがついとるでー」
 内野手の友真、ゼロも続く。

「なんだ、ずいぶんと小さなエース様だな」

 そこへ、面々のはるか上から声が降る――強豪チーム・天界ラグナロックスの、
「ウル!」
「誰が小さいやて!? 背丈で判断しないでもらおか!」
「落ち着け友真、お前のことは言ってない」
 驚く愁也、噛付く友真、それを押しとどめる一臣。それを一瞥し、ウルの影から黒髪の男……カラスが姿を見せては小さく笑った。
「胡桃陛下の剛速球は、知るところだからね。気を付けないと、わたしも危ない」
「ヴェ、ヴェズルフェルニル…… 陛下は、やめて……」
 もとはと言えば、ゼロが彼の前で胡桃をそんな風に呼んだからだ。
 頬を染めながら、少女は背伸びをして右腕たるゼロの胸倉をガッと掴む。締まる締まる締まる。
「今日は絶好の野球日和ですね。お手柔らかに頼みますよ、米倉殿」
「ああ、夜来野さん。今日はよろしくお願いします。言って聞く上司ではないのが心苦しい」
 ドタバタの裏で、遥久は『雷壁』の二つ名を持つ米倉創平と対戦前の握手を交わした。
「あ! 米倉、さん!!」
 そこへ、緊張した面持ちで友真が歩み寄った。
「こ、これ…… 良かったら、試合の合間にでも……っ 暑さはバカにでけへんですからね」
「?」
「おい友真。敵に塩……じゃなく、差し入れは試合後にしなさい!」
 昨夜、心を込めて作ったはちみつレモンです。
「……気遣いありがとう。こちらからは返せるものが無くて心苦しいが……」
「そんなん、ええです! 受け取ってもらえればそれで!! 見た見た一臣さん、いま、ふわって笑って……笑っ……!!」
「あれが笑顔に見えたなら、お前の視力すげーよ」

 さて顔合わせを終えたところで、やや遅れて筧 鷹政と野崎 緋華が姿を見せる。
「すまない、渋滞につかまった! 割り当ての練習時間には余裕あるよな」
「ユニフォームのサイズ最終調整も仕上がったよ。カッコいいところ、見せてよね」
 野崎が、メンバー一人一人へユニフォームを渡す。
 濃紺を貴重としたシンプルなデザイン、胸元には濃いピンク色で『Breakes』のロゴが入っていた。
「ピンクは、胡桃ちゃんのイメージね。ユニへ映えるように、色は強めだけど。胸を張って、頑張っていきましょう」
「「おーーー!!」」
「野崎さん、こちらが昨日まで集めたデータ表です」
「ん、ありがとう夜来野くん。引き続き、練習中の様子からあたしが足しておくね」
 選手とマネージャー間の連携もばっちりらしい。なんとなく黒いオーラが見えるのは気のせいだ。




 トランペットに太鼓の音、応援の声がスタンドを彩る。
 一人目の打者が、フォアボールで出塁。まさかの立ち上がりに、友真がマウンドへと駆け寄った。
「モモちゃん、緊張しとる?」
「んーん。平気よ、ゆまおにーさん」
 間近で見れば、胡桃の表情は明るい。厭な汗もかいていないようだ。
「おにーさんたちを、信じてるから。私のことも信じて。……ね?」
「!! わかった! ガツーンと行こな、ガツーンと!! ピッチ打たせろーー!」
(――という、ここまでが『計算通り』) 
 キャッチャーミットを構える遥久は、胡桃と友真のやり取り、そして一塁走者の動きまでを視野に入れる。
 胡桃にとって、初めて試合。
 緊張しないはずがない。
 初手からのフォアボールに、焦らないはずがない。
 チームメイトの心配も増す。
 その気遣いが、却ってプレッシャーとなる――
「と、思わせる」

「右腕!!」

 油断しきった一塁走者が盗塁を仕掛けた瞬間、振り向くことなく胡桃は一塁のゼロへ向かって鋭い牽制球を放った。
「……打席やなくても、アウトはアウトやんな?」
 ニヤリ。
 太陽を背に、褐色肌の男が赤い瞳を弓なりにした。
「ワンナウトー!!!」
 してやったり。遥久から教えてもらった野球用語を、胡桃が声高らかに叫んだ。



 二番打者は、そのままペースを崩され三振。
 三番の打席に立ったのはカラス。余裕の笑顔を崩すことなくバットを構える。
「ここで、対決なのね……。加減は無しで、行くわ。濡羽の君」
 スッと冷徹な表情をする少女へ、バッターは笑顔で一言。
「おや。胡桃姫は、ウェイトレスの衣装は嫌いかい?」
「!!! そういう問題じゃないでしょーー!!!!」

 大暴投:だいたい計算内

「〜〜っ、くやしい……。冷静に、って思ってたのに……」
「大丈夫ですよ、矢野さん。次をキッチリ押さえましょう」
 大丈夫、大丈夫。
 四番はウルだが、彼の巨体に対して胡桃の小柄は武器になる。
 盛大に三振を頂戴しよう。


 一方、一塁ベース。
 大きくリードを取るカラスと、塁上を守るゼロとが視線を交えず他愛ない会話をしていた。
「なかなかやるみたいだね、撃退士撃退士」
「直訳すんなや、チーム名は命名事故みたいなもんや」
「事故っていうと」
「……なんや」
「気絶していない君との会話は、なんだか新鮮だよねえ」
「どつきまわしたろか!!」
「――右腕」
 ぱしん。
 『落ちつきなさい』とメッセージを込めた白球が、マウンドから投げられてゼロのミットに収まった。
「なかなか凛々しいお姫さまだ」
「前にもゆうたけどな、あの人を姫呼びするんはやめい」
「陛下と呼ぶいわれもないさ、わたしには、ね」
 わー、ほんまムカツクわコイツー。

 
 ――キン
 緩いカーブ球は、綺麗に掬い上げられた。
 大きく伸びる――
「お前なら捕れるだろう、愁也」
「あいあいさーー!! 遥久の期待には200%で応えちゃうもんね!!!」
 レフトの愁也が走る、走る、ファールで切れるかどうかなんて気にせず、ひたすらに白球を追う。
「下は任せろ!! 心配すんな!」
 センターの一臣も駆け寄っている。
「っしゃ!」
 その声のままに、愁也は軽やかに『踏み台』をステップとし、バックスクリーン方向を駆け登る!!
「ツーアウトー!!!」
 ホームラン性の打球を、グラブに収めて愁也は両手を挙げた。
「痛い痛い痛い、愁也、踏んだうえに踏んでる!!」
 踏み台にされ、更に落下してきた愁也のクッションとなった一臣の抗議は、天然芝に吸い込まれていった。





「かっとばせー、おのゆうま! ゆ・う・ま! ゆ・う・ま!」
 口ずさみながら、友真は第一打席へ。
(体力ない自覚はあるんや、出し惜しみせんで、目いっぱい振る!!)
 とにかく塁に出る。それが一番バッターの仕事!!
 サインを確認するも、やはり『とにかく振れ』である。
「ファーストストライクを狙うのが、効率いいでしょうからね」
「俺としちゃあ、一球だけでも見れれば充分よ」
 遥久の隣で、一臣も打席を見守る。
 相手ピッチャーは、癖のないフォームのバランス型。
 球威はないが、コントロールに自信があるタイプだ。
 そういった投手は、投げさせるほどに術中へ嵌るだろう。
「当たった!」
「走れ、走れ!!」
「っしゃあああああああああ!!」
 スライディングでセーフを狙う友真の眼前を、蒼い雷光が走った。
「アウトー!!」
「……まじで」
「あれが…… 米倉の雷飛槍……」
「刺されてしもた……」
「顔が笑ってんぞ、友真」
 間近で米倉の送球を目にした友真は、ショックと感動で小さく震えていた。ベンチでは愁也がゲンコツ用意して待ってるぞ!

 
(さて……仕切り直しやな。一塁に出たら、バスターもおもろかったんやけど)
 ネクストバッターズサークルから左打席へとゼロは移動する。
「小気味よう放るなぁ」
 二球、立て続けのストライク。
 打たれても、鉄壁の守備が居る――その自信からだろうか?
(その『隙』、美味しく頂きますよって)
 ほぼ確実に、ここで遊び球を入れて来るだろう。
 見逃せばボール。
 ――見逃さなかったら?
 長い手足から繰り出すバッティング。外に大きく外れた球も、易々と打ち返した。打球は、軽く内野の頭を超える。
 ライナー性の鋭さで、左中間へと綺麗に落ちた。
「っしゃ、このままセカンドまで――」
 楽に行けると思いました。
 炎を纏うが如き剛速球が、レフトから一直線にセカンドへと投じられました。……一塁へ戻りましたよね。
「そう簡単に進塁できると思うな、小僧!! がーっはっはっはっは!!」
「御機嫌やなー、ウルのおっさん…… あの筋肉は伊達やないってわけか」


「わかっているな、加倉」
「はい。ファールで粘って情報を集めます、サー」
 目を光らせる四番打者の威圧に、振り向くまでもなく一臣は敬礼で応じる。
(打てなくはない……が、『どこへ打つか』『打ち上げるか転がすか』で差がデカイんだよな)
 できれば塁に出て、投球フォームも盗んでおきたい。一臣に課せられたことは多い。
 バントの構えで揺さぶりをかけつつ……
(野崎さん、見てますかー。牽制2つ入れましたよ、モーションOKですかー)
(グッジョブ、加倉くん。だいたいオッケー)
 ベンチとのやりとりも順調である。
「さて、ではここら辺から本気出していきますか……!」
 ――筧さん、あれってすごいん?
 ――8連続ファウルは凄い。フォアボールすら許してあげず、当てまくるセンスが凄いよ
 色んな球種を投げさせ、手の内を開かせる。
 9球目――
「ボール、フォア!!」
「……小賢しい。三番バッター、小賢しい」
「褒め言葉として貰っておくからな、愁也!!」
 五番打者へズビシと指差し、一臣は一塁へ進んだ。

 ワンナウト、一・二塁。打席には、四番・夜来野 遥久。
「ホームラン以外の長打は、シングルヒットと同義でしょうね。ここで、少なくとも一点は欲しいところですが」
 それが、四番の仕事というもの。
(初回だからこその油断を、モノにしておくべき……)
 ボール、ストライク、三球目は……二塁への牽制。
 この場面で、ゼロはアグレッシブに三塁を狙っている。リードが大きい。
 そのくせ、鋭い牽制球を知っていたかのように容易く戻る。
 その繰り返しが、二度、……
(だいぶ、苛ついていますね)
 制球に乱れが出る。スリーボール。
「ちょ! 今の、当たったろ!!」
 内角足元を抉るような投球に、愁也が思わず腰を浮かせた。遥久が制する。
「問題ない。『今は』当たっていない」
「……わかった」
 これもまた『布石』である。アイコンタクトを受け取って、愁也は渋々下がる。
 かといって、応援する気持ちは俄然強くなる!
「いっけえぇえええ、遥久ーーー!!!」
 誰よりも大きな愁也の声援。タイミングピシャリで、バットは真芯でボールを捉えた……!!!
「ごちそうさん、っと!」
 ゼロが余裕でホームベースを踏む。一臣はスライディングで三塁へ。遥久は一塁どまりだが、賢明な判断だった。
「ランナー一・三塁、いまだワンナウト…… やだ、男の見せどころじゃね?」
『ゲ ッ ツ ー に は 気 を 付 け ろ』
「……ハイ」
 一塁上からのサインに、愁也は震えた。



 その後、更に一点を追加するも、撃退士ブレイカーズの攻撃はそこで止まることとなる。
 初回こそ押さえきったラグナロックス打線だが、徐々にその牙を見せ始め、試合は二転三転――……




 六回裏。
 撃退士ブレイカーズ、3点のビハインド。
 鈍い音とともに、打者である遥久が倒れ込んだ。
「……っっ」
 初回に危うく、といったコースそのままのデッドボール。防具から逸れたふくらはぎを押さえ、チームの要は呻きを漏らす。
「遥久……ッ テメェ、わざと!!」
 バットを投げ捨て、愁也が激昂する。これまでの得点には、全て遥久が絡んでいた。相手の得点を防ぐのも、また。
 ゲームも中盤というところで、潰せるものは潰しておこうと!?
「愁也さん! 乱闘はやめぇや!!」
 ベンチから、あわてて友真と一臣が飛び出す。三塁に居たゼロも駆け寄ってきた。
「気持ちはわかるけど、一塁ラッキーくらいで。な、愁也。お前のバットで返してやればいいじゃん」
「けどさ……っ」
 友人の肩を、一臣が押さえる。留まった愁也に対し、その手を払いのけようとしていた投手のグラブが一臣の頬にヒットした。
「普通に痛い!」
「オラァ、何してくれてんねん!!」
 ここで友真がキレる。
「あぁ!!? 因縁つけて来たのは、そっちが先だろうが。四の五の言わず戻りやがれオチビちゃん!」
 外野から様子を見に来たウルが友真を挑発する。
「試合で勝てないと判断して、乱闘でお茶を濁すのもアリだとは思うよ。勝つ自信が無いならね」
「ほぉ……。おもろいこと言いますなぁ? 楽しいですよね、乱闘。ええ、乱闘」
 カラス、場を鎮めに来たのか火に油を注ぎに来たのか。
 ゼロは彼の笑顔へ応じるように、満面の笑みで胸倉をつかんだ。
「その面、真正面から殴りたいと思っとったんや。挑発したからには、覚悟ができとるんやろなぁ!!!」


 その頃、ベンチにて。
「乱闘ですね、野崎さん」
「乱闘ですね、筧くん」
「……止めないのかよ!!」
「イヤよ。巻き添え食らいたくないもの。センパイは止めに行かないの?」
「いやあ、若者の特権でしょー。さすがに退場処分が出る前には―― ……? おかしいな、空は晴れてるのに、なんか……」
 変な音がする。まるで、雷が落ちる直前の――

「そろそろ、再開してもよろしいでしょうか」

 遠巻きにしていた米倉の放つ爆裂雷光波が、ダイヤモンドの如き輝きをもってグラウンドに炸裂した。




 八回表、ノーアウト満塁。
 疲れの見えてきた胡桃の、コントロールが定まらない。
 フォアボールひとつ、デッドボールふたつ。デッドボールを受けた打者は骨を砕かれ、塁上に居るのは代走である。
 マウンドへは、友真、ゼロ、遥久らが集まっていた。

 一方、外野手三人もまた、センターに集って雑談中。
「ピッチャーチェンジとしたって……、胡桃ちゃんは投球練習しかしてこなかったもんな」
 胡桃が頑張っている様子は、球を受ける遥久と共に愁也も見守っていた。
「あとアウト6つで試合は終了なんだ、最後まで投げさせてやりたいよな。勝っても負けても、野球の楽しさを感じてほしいよ」
 顔の傷をさすりつつ、一臣。
「どうせなら勝ちたい。強豪相手に、ここまで競り合って来たんだぜ。可能性は、充分」
 泥臭い、繋ぐ野球をやってきた。それが通じる喜びを感じて、達成感まで繋げたいと筧は言う。
「次の大会にも、このメンバーで参加出来たら最高だよな」
「ほんとそれ!」
「守り切ってやるさ、胡桃ちゃん」
 会話内容は実に真面目なもので、ではなぜ三人が頭にグラブを乗せているのかというと、それは道民的な儀式。


 制限時間一杯のタイムの後、憑き物の落ちた表情で胡桃はマウンドに立つ。
(だいじょぶ、おにーさんたちを、信じる……!)
 遥久の構えるミットを目掛け、真っ直ぐに……!!
 打たれた球は、真っ直ぐに三塁線へ。
「っしゃあ! ここでビビッてどうするん!」
 強い打球に臆することなく、拾い上げた友真が遥久へ送球。
「ベースを踏みたければ、私を超えて行くがいい!」
 無理です。
 余裕のブロック、ワンナウト。そのまま、気を緩めることなく遥久は二塁を刺す。
 からの――ゼロが、一塁ベースから足を離すことなくしなやかな動きで最後にキャッチ。
「アウトー!!」
「うおおおおおお、電光石火のトリプルプレー!!」
「見たかー、モモちゃん!!」
「ゆまおにーさん、はるおにーさん、カッコイイです!!」
「陛下、俺は。俺はー!!?」




 9対7。結局、終盤で追い上げきれないまま、撃退士ブレイカーズは敗北を喫した。
 しかし、これは更なる成長へ至る必要な敗北だったであろう。
 悔しさでひとしきり泣いた後の、選手たちの顔は明るい。一部を除いて。
「い…… いらっしゃいませ、ご注文はお決まりでしょうか……」
 ウェイトレス姿で震えるのは小野友真19さい。
「オススメは、こちらのヘルシーハンバーグセットです。18種類の野菜を使ったサラダやスープが付いていて、お客様にはぴったりな」
 あっ、お持ち帰りも出来ます!
 米倉へ、本気出してのご案内である。恥じらいながらも忘れてはいけない健康管理。
「胡桃ちゃん、着替え終わったー? 可愛いから出ておいで」
 なかなか出てこない胡桃へ、一臣が呼びかける。
「……う。でも」
「胡桃ちゃんの為に、いちごパフェ頼んでるんだよ。お仕事は食べてからでいいからさ」
「ほ…… ほんと? おみおにーさん」
 ひょこっ
 天の岩戸が、パフェで開いた。
「ほら、あの席」
「…………」
「溶けちゃうよー?」
「…………ぐぐぐぐぐ」
 はめられた。カラスが、実に良い笑顔でパフェスプーンを手に待機している。
 これが罰ゲームの本体か!!!


 本職で働かないかと勧誘された一臣、お客のおねーさんから逆ナンされていたゼロも、やがて仕事を終えて戻ってきて。
「あれ、遥久は?」
 席に着いた一臣が愁也へ訊ねると、自慢気な顔をして愁也は幼馴染の方向を指した。
「マネージャーに、経営指南してる」
「……そこまで罰ゲームに入ってたっけ」
 ホールで見かけないと思ったら。
「ま、これで改めて本当にお疲れ様なー!」
 先に戻っていた筧が、オーダーの揃ったテーブルを前に空気を切り替える。
「今日は楽しかったね。また機会があったら誘ってよ。今度こそ勝とうな!!」
「うわーーー、また悔しさ出てきたぁ! 今日は食べるでー!!」


 かんぱーーーい!!




 艱難辛苦を乗り越えて!
 撃退士ブレイカーズ、ふぁいっ・おー!!




【ハートにジャストミート!〜試合編〜 了】


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
【ja6901/小野友真/男/19歳/1番 サード】
【jb7501/ゼロ=シュバイツァー/男/30歳/2番 ファースト】
【ja5823/加倉 一臣/男/28歳/3番 センター】
【ja6843/夜来野 遥久/男/27歳/4番 キャッチャー】
【ja6837/月居 愁也/男/24歳/5番 レフト】
【ja2617/矢野 胡桃/女/15歳/9番 ピッチャー】

【jz0054/野崎 緋華/女/29歳/マネージャー】
【jz0077/筧 鷹政/男/27歳/8番 ライト】

【jz0092/米倉創平/男/35歳/天界ラグナロックス ショート】
【jz0184/ウル/男/30歳/天界ラグナロックス レフト】
【jz0288/カラス/男/28歳/天界ラグナロックス セカンド】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
ご依頼ありがとうございました。
やきゅうやろうぜ!試合編、熱くお届けいたします。
楽しんでいただけましたら幸いです
■WTアナザーストーリーノベル(特別編)■ -
佐嶋 ちよみ クリエイターズルームへ
エリュシオン
2015年07月08日

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