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『 ――ハンターオフィス。 』
麗奈 三春ka4744
 各国に在籍するハンター達へ依頼を提示・斡旋するその施設は、日々大勢のハンター達で賑わっていた。
 クリムゾンウェスト、リアルブルー、両世界の人間が入り混じる場所であるが、数か月ほど前からその喧騒には新たな装いの人々が加わっていた。
 東の大国エトファリカ。北の聖地を奪取した事により通じたかの国よりやって来た異邦人達。
 同じクリムゾンウェストであるにも関わらず、文化も、技術も、歴史の流れさえも違う国に生きて来た人々は、この西の地に於いて、やはり人目を引く存在であった。
 もう何か月かすれば次第に慣れてくるのだとは思うが、今はまだその時では無い。

 艶やかな黒髪を翻す女性・麗奈 三春(ka4744)もまた、エトファリカからやって来た覚醒者の1人だ。
 聖地奪還の際にこの地を訪れ、何か目的があるのか、単なる興味か、西方のギルド街へと根を下ろしている。
 根を下ろすと言ってもこの地に於いては根無し草である彼女にとっては、この地域で生きていく手段は己が覚醒者の力を使う以外他ならない。
 歪虚を滅ぼすために自らの力を鍛え上げるため、彼女はハンターとして当面の人生を歩む決意をしていた。
 そんな彼女にとって、オフィスは生活の糧を得るための仕事場でもあり、様々な情報を得るための社交場でもあった。
「王国の動乱は長引きそうですね……ですが、気になるのはこちらの方でしょうか」
 オフィスから神霊樹へとアクセスし、ここ最近の依頼情勢やハンター達の活動を流し読む。
 近頃王国で騒がれる亜人が引き起こした動乱は大変そうではあるが、今この時期に意識が向かうのはやはり祖国エトファリカの動向と……そして所属ユニオンを置く北の地、辺境の情勢。
「大幻獣――麗奈家が祖霊も、かの者のように雄々しく、猛々しい者だったのでしょうか」
 辺境の地に於ける自らのルーツに想いを馳せながらも、自らの与り知らぬ所で起きた事件から今後役立ちそうな情報を抜き出して行く。
 それは各地で発生した強力な歪虚の情報であったり、西方諸国の情勢であったり。
 異邦人の彼女にとってはどれもが新鮮で、かつ有意義な情報であり、彼女の糧となり得るのだ。
「よー、精が出るじゃねぇかよ」
 報告書の確認に集中していた三春は、遠巻きに掛けられた声にふと視線を上げる。
 声のした方へと意識を向ければ、依頼状の張り出された掲示板の前に佇むハンターの一人が、こちらに向けて手を上げていた。
 以前、依頼を共にしたハンターだった。
「そちらこそ、良い依頼はございますか?」
「どうだかなぁ。最近は肉体労働続きだから、少しはリフレッシュできそうな依頼を受けたいぜ」
 そう言って苦笑しながら後頭部を掻くハンターに、三春は手の動きと表情で「頑張ってください」と伝えると、気を改めて報告書のチェックに励む。
 切っ掛けとは意外な所に潜んでいるものだ。
 今読んで居る報告書の中にも、自分が強くなるためのヒントが隠されているかもしれない。
 そう考えれば報告書の1枚1枚が、一子相伝の剣技が奥義書にも勝る指南書にも見えていたことだろう。

 一通り報告書に目を通せば、今度は自分の番である。
 見聞きした事は、日々の訓練や実践の中で己の身に付けてゆく。
 それこそが最も重要な事であり、彼女の目的。
「えっと……早急性の依頼としては、山賊に怯える街からの討伐依頼とかが来ていますね」
 窓口で1枚の依頼書を取り出して見せる受付嬢に、三春は申し訳無さそうな表情を浮かべながらも、静かに首を横に振る。
「申し訳ありませんが……私の剣は人類に仇名す怪物へと振るわれるものであり、同じ人に振るわれるものではございません」
 それは一種の誓いにも似た信条。
 幻獣と人は斬らぬと……この刃は、歪虚を滅ぼすためにあるのだと。
「すみません……でしたら、こちらの依頼など如何でしょう?」
 受付嬢は小さく頭を下げると、提示した依頼書を取り下げて代わりの1枚を三春の眼前に示す。
 依頼書は辺境の支部から送られてきたもので、とある小さな部族に迫る歪虚の魔の手を払って欲しいというものであった。
 強大な歪虚は村の若者たちでは手が出せず、村の奥で肩を寄せ合って過ごす日々が続いているのだという。
 思えば、今までの自分たちもこの依頼主のような状況であったと……三春はふと思い立った。
 歪虚の影に怯え、多くの勇士が国に引きこもった数年間。
 ただひたすら耐え忍び、この時を――エトファリカの開放を目指す時を待っていたのだ。
 そのチャンスを与えてくれたのは、使節と言う名の西への派兵話。それはきっと、これ認めた者達にとっての依頼状。
 自らの境遇にも折り重なるそれを前にして、彼女は静かに言い放った。
「――良いでしょう。歪虚を滅ぼさんがため。我が英霊に誓って、確かに依頼を承りました」
 自らが精霊である英霊の伝説を体現するが如く。
 その意思は、遥か昔に激戦区・東方へと命を顧みずに救援へ向か自らが血筋の教えに沿うかの如く。
 口にして、太刀を片手にすくりと立ち上がる三春。
 とある者の話では、真っ直ぐに向ける姿勢は彼女の誠実さを表しているかの如く、口にした言葉には自らの家に対する確かな誇りと、契約する英霊への敬意の念を垣間見せるのだと言う。
 その姿を目にした受付嬢は皆、確かな信頼と確信を持って三春へと依頼の一端を託すのだ。
 この者ならば、心から安心して依頼を、依頼主を任せる事ができるから――と。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka4744 / 麗奈 三春 / 女性 / 27歳 / 舞刀士(ソードダンサー)】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ご注文ありがとうございます、のどかです。
東の国からやって参りました御麗人のオフィスでの一幕を書かせて頂きました。
内容お任せでしたので自由に書かせて頂きましたが、お楽しみ頂けましたら幸いです。
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ファナティックブラッド
2015年07月21日

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