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『―― ふたりの、暑い熱い夏の日 ―― 』
猫野・宮子ja0024)&ALjb4583

 もうすぐ夏も終わるというのに、まだ暑さは収まらず、むしろ日に日に酷くなっている。
 猫野・宮子(ja0024)とAL(jb4583)のふたりは避暑地である山に来ていた。
「街は暑いけど、ここまで来るとさすがに涼しいね♪」
 山の澄んだ空気を吸いながら、猫野が呟く。
「そうですね、こうも暑いとあの湖が砂漠のオアシスのように感じます」
 ALは近くにある湖を見つめながら、穏やかに答える。
「水も澄んでいて綺麗な湖だねー♪ この周辺には他の人もいないし……少し、水浴びする? ちょうど水着も持って来てるし」
 猫野はニコニコと微笑みながら、ALに問い掛ける。
「そうですね。街よりは涼しいとはいえ、やはり夏の熱気は少々つらいものがありますし……それにしても、ボクは幸せ者ですね」
 ほんのり頬を赤く染めながら、ALが呟き、猫野はその言葉の意味が分からないのか、かくりと可愛らしく首を傾げた。
「ふふ、分かりませんか? 宮子様」
 ALの問いかけに、猫野は無言のまま頷く。
「宮子様の水着姿を見ることが出来るんですよ? これが幸せと呼ばずになんと言うのでしょう」
 さも当然のように、ALが呟き、猫野は少し気恥ずかしさから視線を逸らした。
「と、とりあえず、水着に着替えようか……!」
 このまま甘酸っぱい雰囲気に身を委ねると、水遊びどころの話じゃなくなりそうで、猫野は半ば強引に話題を変えた。

 ※※※

「宮子様の水着、素敵ですね。あ、もちろんいつもの宮子様も素敵ですけど……水着姿はいつも以上に素敵だと思います」
 頬を赤らめながら、ALがストレートな言葉で猫野の水着を誉める。
 ちなみに猫野の水着は黄色のツーピースビキニで、ALはハーフスパッツ。
「ありがとう、ALくんもかっこいいよ」
「……ありがとうございます」
 猫野から褒められ、更にALの顔が赤く染まる。
 お互いに照れあったところで、湖に入る。
「わ、冷たくて気持ちいいね♪」
「そうですね、これなら暑さも吹き飛んでしまいそうです」
「あはは、ALくん、えーい♪」
 猫野がALに水をかける。そんな悪戯も、ALにとっては猫野の魅力を掻きたてるひとつにしか過ぎず、彼は何も言わず、にこにこと猫野の悪戯を受けていた。
 そんな時――……。
「……え?」
 ぽつり、と猫野の頬に雫が落ちてくる。
「雨……?」
 さっきまで晴天だった空は、どんよりと曇っていて、今にも大雨が降り出しそうだ。
「わわわ! あ、雨!?」
「宮子様、急いで荷物を持って避難しましょう」
 慌てる猫野とは反対に、ALは落ち着いた声で猫野に行動を促す。
「そ、そうだね! どこかで雨宿りをしないと、だよ……!」
 ふたりは湖から上がり、ほとりに置いていた荷物を持って雨宿りが出来る場所を探し始める。

 ※※※

 湖から少し離れた場所に、無人の小屋を見つけ、ふたりはそこで雨宿りをすることにした。
「すみません、大丈夫ですか……?」
 雨に濡れた猫野の髪を撫でながら、ALが心配そうに問いかける。
「だ、大丈夫だよっ……!」
 小屋を見つけるまでに、しばらく時間がかかったせいか、ふたりはもちろん、荷物も濡れてしまい、下山するに出来ない状況だった。
 濡れた服を乾かすため、ふたりはしばらく水着のままで過ごさなければならない。
「宮子様、寒くないですか……?」
「大丈――くしゅんっ!」
 大丈夫、と言いかけた時、猫野がくしゃみをする。
「宮子様、ボクの前では強がらないでください。ボクはあなたの安らぎでいたいんです。だから、ボクにだけは、心を隠さず、何でも仰ってください」
 猫野を背後から優しく抱きしめ、ALが彼女の耳元で囁く。
「……ALくん」
 猫野はALの腕に、自分の手を添え、幸せを噛みしめる。
(変なの、雨に濡れて寒いのに……心は、なんだか温かい感じがする)
 もちろん、そんな言葉は照れてしまうから、絶対に言葉には出来ないけど。
「ふふ、宮子様、どうしたんですか? 何も話して下さいませんけど……」
 ALは理由を分かっているけど、猫野の反応が可愛くて、少し意地悪をしたくなる。
「温かいですか? 暖を取るのは人肌が一番だと聞いたのですが、いかがでしょう?」
(ALくん、分かってるくせに意地悪……)
 けど、猫野は分かっている。そんな意地悪なALも大好きで仕方ないということに。
「宮子様、教えてくれないと分かりません……それとも、ボクも雨に濡れているので冷たいでしょうか?」
「……ALくんの、意地悪」
 猫野は、そう答えることが精一杯だった。
「……あ、温かい、よ……」
 小さく消え入りそうな声で、猫野はしっかりと答える。
 猫野の言葉を聞いた後、彼女を抱きしめるALが嬉しそうに「ふふ」と笑う。
(ひぇっ、ALくんの吐息が……っ)
 ALが笑ったせいか、猫野の首筋に彼の吐息がかかる。
(暑さを忘れるために来たのに、なんか、街にいる時よりも熱い気がする……)
 それは太陽の熱さではなく、ALから与えられる熱さ。
 気恥ずかしさでいっぱいいっぱいになった猫野は、これ以上ないくらい体温が上がっている。
「あ、もう雨は止んだみたいですね」
 雨音が止んでいることに気づき、ALが外を見つめる。
「でも、まだ服は乾いていませんから、もうしばらくこうしていましょうね」
 囁きながら、ALは猫野を抱きしめる腕に力を込める。
 避暑地で思いがけぬ熱さに見舞われ、猫野は顔を赤くするばかりだった――……。


―― 登場人物 ――

ja0024/猫野・宮子/14歳/女性/高等部2年・鬼道忍軍

jb4583/AL/13歳/男性/高等部1年・ダアト

――――――――――

猫野・宮子 様
AL 様

こんにちは、今回もご発注頂きありがとうございます!
今回のノベルはいかがだったでしょうか?
おふたりのラブラブさをしっかり描写できていますと嬉しいです。

また、機会がありましたら宜しくお願い致します。
それでは、今回も書かせて頂き、ありがとうございました!

2015/9/2

野生のパーティノベル -
水貴透子 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2015年09月02日

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