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『月夜の道先に 』
静架ka0387)&スグル・メレディスka2172

「こんな時間から出るの? 最近、良くない噂が飛び交ってるの、知ってるよね?」
 スグルがそう言いながら静架の真横に腕を差し出して、彼の動きを止めた。
 静架はそれに眉根を寄せつつ、ぽんと自分の右手をスグルの腕の上に置き、あっさりと妨害を解いてハウスの扉を開けた。
 するりと自分をすり抜けて外へと出ようとする静架の腕を掴んだのは、スグルである。
「スグル、離してください」
「夜の仕事は危ないからダメって、前から言ってあったでしょ」
「あなたの言い分を全て聞くとも言ってません。個人的な依頼ですから、21時過ぎ頃には開放されます」
 スグルの言葉に静架はそう返しつつ、彼の腕をそっと退けた。無理に力を入れるより、そっと手を添えたほうがスグルは離れてくれることが多い。それを知ったのはつい最近の事で、おそらくスグル本人は気づいてはいない。
 そして今も、やはりスグルは静架の腕を離してくれていた。
 だが、顔は怒ったままである。
「……西の通りの外れに古い酒場があるでしょう。そこの女主人と以前から馴染みがあって、伴奏を頼まれてるんですよ」
「それって、こっちに移動してから世話になったっていうアレ?」
「そうです」
 そこまでの会話をしてようやく、スグルの表情が和らいだ。
 間近でそれを確認した静架は、小さな溜息を吐いてから彼の胸のあたりをとんと押して、次の言葉を繋げる。
「心配せずとも、自分の戻る場所はここですから」
「!」
 静架はスグルの反応を待たずに、踵を返してその場を離れた。
 数秒の遅れを取ったスグルは追うことはせずに、背中に言葉を投げかける。
「終わる頃、迎えに行く! あんまりお酒飲んじゃダメだからね!」
 静架はその言葉に、片腕をひらりと上げて応えるのみであった。



 秋の夜長の雰囲気にピッタリといったナイトドレスでステージに立つ歌姫は、黒い肌に長い黒髪という外見が特徴的だった。加えて、水のような青い瞳が見る者を惑わせる。
 柔らかそうな唇から零れ落ちる歌声が、ステージの脇に置いてあるピアノの音とよく交じり合い、空気に溶けあった。美しい旋律はその場に居るものすべてを包み込み、一時の酔を与えていた。
 滑らかに指を滑らせ、鍵盤を自由に操っているのは静架だ。黒一色の衣服を身に纏い、神秘さをより一層醸しだした姿に自然と女性客の注目を集めている。
 酒によく合う曲を数回、奏でた。
 演目どおりであったが、少々のアレンジなども加えつつのメロディは、評判も良いようである。
 わぁ、と歓声が上がった。歌姫が頭を下げ、その後に静架へと手のひらを向ける。
 それに合わせて、静架はその場で立ち上がって軽い会釈をしてみせた。
 伴奏者を湛える拍手が起こる。
 それに応えつつ、ゆっくりとその場を離れた。伴奏者の交代の時間であったからだ。
「連日引っ張りだして悪かったね」
 裏手に回った所で、そんな声が聞こえてきた。
 振り返った先にいたのは依頼主でもある女性であった。この酒場を取り仕切る主人だ。
「あんた、本業はハンターだって言うけど、勿体無いねぇ。あの子もすっかり伴奏気に入っちゃってさ、専属にしたいくらいだって言ってたよ」
「……お役に立てたのでしたら、幸いです」
 女主人の言葉を遠回しにかわしつつ、彼女の差し出してきた酒を受け取り、その場で煽った。
「若い連中に絡まれないうちに帰りなよ。……その代わり、また頼むかもしれないけどね」
「時間があれば、ぜひ」
 彼女の誘導で、そのまま裏口から店を出る。
 恰幅の良い女主人は、静架に無理強いをすること無くすんなりと解放してくれた。この世界に来たばかりの頃、無償で宿や食事を提供してくれたりと、色々と世話にもなった人物でもある。静架がこの個人的な依頼を引き受けたのも、彼女への恩返しのつもりでもあった。
「気をつけてお帰りよ」
「ありがとうございます」
 にこやかな笑顔が印象的な、暖かいオーラを放つ人であった。
 周囲からも好かれている彼女に会釈をしつつ、静架はその酒場を後にする。
 さわ、と緩やかな風が吹き、傍にあった木々の葉が揺れる音がした。
「…………」
 少し、夜風が冷たいと感じる季節になった。
 それを頬で受け止めて、彼はゆっくりと帰路を歩く。
 数メートル進んだ先、開けた道で空を見上げると、夜空には綺麗な満月が浮かんでいた。
 中秋の名月、という言葉を思い出す。
 そういえばそんな時期かとも思いつつ、再び静架の足は前へと進んだ。
 月明かりが音もなく、自分を照らしている。
 そんなことを考えていると、心が無心になっていく気がして、彼はうっすらと瞳を閉じた。
 夜の喧騒があるはずなのに、それが耳には届かない。
 不思議だと思いつつ、再び顔を上げて閉じていた瞳を開いて、数秒後。
「――それに触らないでくれる?」
 馴染みすぎた声が、耳元に届く。
 その直後に小さく風を切る音がして、静架は思わずそれを目で追った。
 すると、背後でうめき声を上げつつ地に転がる存在があった。一人の男であった。右手の甲と太ももにナイフが突き刺さっている。
 スグルが扱っている両刃のスローイングナイフ。静架がそれを見間違えるはずも無く、僅かに息を呑む。
「スグ……」
 彼の名を呼ぼうとしたが、それはあっさりと阻止された。
 視線を動かそうとした所で、自分の体は既にスグルの腕の中にあったからだ。頬に受けた軽い衝撃は彼の胸であり、頭に置かれた手のひらからは怒気を感じる。それに僅かな焦燥感を得た静架は、無理矢理に視線を動かして僅かに顔を上げた。
 目の前のスグルは、やはり髪の色が白くなっている。普段はピンク色でしか無い瞳には、赤が混じったような気配があり、それは地面で呻き続けている男へと向けられていた。
「ここらの女の子たちを襲ってるっての、アンタかな? 結構、噂になってるの知らなかったの?」
「ぐあああっ」
 呻き声が叫び声に変わる。
 スグルの足が、男の手に突き刺さったままのナイフを踏んだからだ。
「俺の静を襲おうとしたから、こういう事になるだよ。……ここで死んでおく?」
「ヒ、ヒィ……ッ」
 スグルは歪んだ表情を浮かべて、嫌な笑みを作り出していた。
 さすがにマズいと察知したのは静架のほうで、彼はスグルの体をぐい、と押し返す。
「スグル」
 語気を強めて名を呼ぶ。
 すると、その響きに反応があり、スグルは動きを止めた。
「……早く、行ってください。それから、このような愚かなこと、もうやめてくださいね」
 静架のその言葉は、スグルに向けられたものではなかった。
 背後で地面を這いずっている男に対してだ。
 その男は彼の言葉をきちんと受け取り、震えながらこくこくと頷いた後、よろよろと立ち上がって走り去っていった。
「…………」
 完全に気配が遠退くのを確認してから、静架はスグルを抑えていた腕の力を弱めて、ため息を吐く。
「……迎えに行くって言ってあったでしょ」
「女性陣に囲まれそうだったので、裏から出してもらったんです」
 再び、抱きしめられた。
 だが、耳に届いた声音が先ほどまでの歪みを帯びたものでは無かったので、抵抗すること無く収まりつつ、返事をした。
 何がそうさせたのかは、やはり解らない。
 状況から考えると、迎えに来てくれていたスグルと入れ違いになってしまい、彼を焦らせてしまったのだろうと思う。後は、月の光の影響か。
「月は人を狂気へと導くとも聞いたことは有りますが……」
 まさにそれが、スグルだったのかもしれない。
 何にしても、危険極まりない。
 あの場で止めていなければ、彼は男を殺してしまっていたかもしれないからだ。
「本当に危ないですね、あなたは……」
「それを言うなら、静のほうだよ。凄腕ハンターのくせに、あんな男に襲われそうになっててさ」
「……それは、自分が狙われるとは露ほども思っていませんでしたし……。その、うっかりしてました。少し、疲れていたのかもしれません」
 静架はそう言いつつ、スグルの胸を押した。
 息苦しさもあったのだが、道の真ん中でもあったので、移動したかったのだ。
 見上げたスグルは、もうすっかり普段通りの髪色を取り戻し、不貞腐れてるような表情を浮かべていた。
 その姿を視界にしっかりと収めつつ、静架は内心でひっそりと安堵する。
 スグルは静架に押されるままに数歩を下がって、壁に背中を預けた。静架の腕を掴んだままであったので、二人揃ってその場に収まったという感じであった。
「あー……ナイフ持って行かれちゃったよ」
「明日にでも、自分が取り戻してきてあげます。きっとオフィスに届けられるはずですから」
 狂気の中にいる自分の記憶は、不鮮明ながらも残りはする。いっその事覚えて無ければ楽なのにとも思いつつ、スグルはため息を吐いた。静架を腕に収めたままだ。
「さっきの静、フラフラしててどっか行っちゃうのかと思った」
 そんなことを言いながら、静架の髪に指を通して掻き抱くようにして手を添えた。腕にも僅かに力が篭もる。
「――月の道を辿ると、逢いたい相手に行き着くそうですよ」
 静架はスグルの言葉に、そんな返事をした。珍しく抵抗もせず、静かな声音でもあった。
 そんな静架の態度に、先ほど感じた月下の危うい姿を思い出させる。
 月明かりを一心に浴びて一人で夜道を歩く静架は、子供のように無防備でそれでいて蠱惑的な雰囲気を醸し出していた。だから先程の男も、ふらりと手が伸びたのだろうと思う。
「その道は、何処に繋がってたの?」
 スグルはそう問わずにはいられなかった。
 すると目の前の静架は、ゆっくりとスグルを見上げて、薄く微笑んで見せる。
 そして数秒の間を置いて、再びその唇を開いた。
「何処だと思いますか」
「静」
 自分がそういえば、スグルは表情を崩すだろう、と予測は出来た。
 予想通りの表情が目の前に有り、苛ついたような声で名前を呼ばれ、苦笑する。
「少しくらい、自分で考えたらどうなんです。……今、この現状が全てなんだから」
 静架はそう続けた後、スグルの襟元を強く引いた。
 あっさりと傾いた、目の前の彼の唇に己の唇で触れて、首の後ろに腕を回す。
 スグルはそんな行動に僅かに驚いたようであったが、直後に静架を抱き締め直して、彼の体を地面から少し浮かせた。
 より密接する触れ合いは、自然と深いものへとなっていく。
「……っ」
 暫く貪っていると、荒い息が唇の端から漏れて頬にかかる。それにすら刺激を覚えて、スグルは静架をさらに深く抱きしめた。
「ス、グル……苦しいです」
「誰のせいだと思ってんの。今日はもう離さないからね」
 強い腕の力に、さすがの静架も表情を歪めた。だが、直後に耳元に降ってきたスグルの言葉に、瞠目する。
 響きの意味は理解するまでもない。
 スグルが離さないと言えば、それ以外はないのだ。
 この分だと、朝までこの密着した状態が続けられるのだろう。
 そんな想像が出来たが、今の静架には拒絶する理由が見当たらなかった。
 だから彼は、スグルにこう告げるのだ。
「ご自由にどうぞ」
 月の光に惑わされたままのような声音が、脳内で痺れるように木霊した。
 それを受け止めたスグルは、楽しそうに笑みを作った後にまた、静架へと唇を寄せたのだった。



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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 : PC名 : 性別 : 年齢 : 職業】

【ka0387 : 静架 : 男性 : 18歳 : 猟撃士】
【ka2172 : スグル・メレディス : 男性 : 24歳 : 闘狩人】
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涼月青 クリエイターズルームへ
ファナティックブラッド
2015年09月28日

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