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『散る羽もたらす縁の一助 』
藤切ka4813)&葉月ka4528)&白樺ka4596)&鬼揃 善方ka4683)&多々良ka4717)&メンデルートka4840

●言葉

「なんだなんだ」
 ひょこひょこ、きょろり
 跳ねるように踊るように、そこのけそこのけ葉月(ka4528)がとおる。
 葉月が楽しそうなのは、座長が楽しそうだから。彼がもたらすものは興味深くて楽しくて、ちょっとした悪戯心がいつも入っているものだから。
「っ……シロ、怪談話なんか怖くないのっ!」
 白樺(ka4596)の声は何処か震えていて、気付いた葉月が声をかける。
「こわいのか?」
 言葉少なな白樺に近寄り、じぃと下から覗き込む。ただ無口なだけの相手はまた別で、ただ構われないかと様子を伺う。
「だいじょうぶだぞ、りっぱなせんし、こわがることはなにもない!」
 いつもと違う様子の面妖、袖をくいと引っ張って。葉月がかけるのは鼓舞の言葉。励ましたい気持ちからくる、けれどつたない言葉はだからこそ気持ちを乗せやすい。
 立派な戦士は怖い気持ちを隠すもの、そうして強さを示すもの……だから、大丈夫って笑って?

 率直で飾らない言葉に背を押され、白樺の背筋が伸びる。
(怖い、けど……やっぱり怖いけどっ)
 貰った言葉が嬉しかった。だから気丈に振る舞うための勇気は出せる。
 勇気は出るし、怖くないと気丈に振る舞う気概も勿論あるけれど。周囲が気付くか気付かないかは別だった。
 ふわりと巻いた髪もひらりとした服も白樺の体の震えを使えやすかったし、そもそも表情が全く取り繕えていなかったのだ。
 そのはずなのだが。

●【弐班】

「ふじきり、いっしょ、いくぞ?」
 見上げて手を伸ばしてくる葉月、それを見下ろし思うのは。
(面倒だ)
 肝試しそのものが面倒と思っているが、それは言うつもりはないし、元から言わないのが藤切(ka4813)という存在だ。
 葉月との身長差は大きい。半分と倍というほどではないが、それに近いほどの体格差がある。葉月の願う通り手を繋いだとして腰がやられるのは目に見えていた。
「……」
 ひょい
「お?」
 予備動作も事前確認もない動き。小脇に抱えられる形になって、葉月は一度首を傾げた。
「ここに、めがほしい、か?」
「……違うな」
 移動が楽かと思ったが、やはりどこか違う。少し考えた末に、藤切は葉月を抱え上げなおした。抱えたままでは手がふさがるので、自分の肩に乗せる。
 いわゆる肩車の完成である。
「だれよりも、たかい、な!」
 小脇に抱えられているときとは違う明るさの増した声。一座の中で藤切の身長は一番だ。その上で姿勢も綺麗……その更に高い位置となると。ゆうに2メートルを超える。
 しっかり掴まっていろと告げれば、迷うような唸り声の後頭に手が添えられた。チビ助の割に考えているらしい。ちょこまかと動き回られる可能性に比べたら段違いの状況だ。
「たかい、すごいな!」
「すごいか……良かったな」

 葉月を落とさないようにという理由もあるが、頭上を覆う木々の枝ぶり、その絡まりもひとつの理由。葉月の視界を遮らない程度に、そして怪我をさせない程度に気をつけながら、けれどそうとは悟らせないいつも通りの歩幅。ゆっくりと、しかし確実に二人は順路らしき道を進んでいた。
「次は?」
 分かれ道はその都度止まり、葉月が決める。
「むむ、つぎは、みぎ!」
「右か……」
「ひゅーどろどろ、きこえる」
 なるほど仕掛けがある方が正解ということか。先に入った班がそこに辿り着いた、そう言うことになるのだろう。
 悠々と、父子の散歩の様に穏やかに進んでいく。
 シュ……ヒュンッ!
「ふじきり?」
 時折、ほんの一呼吸の合間に藤切の刀が閃く。その度に不思議な手荷物が増えていく。
 こんにゃく、あぶらあげ、はんぺん…四角いとか、平べったいとか、大半はそう言った食べ物ばかりだ。
 剥き身で増えてもどうしようもない、というのが藤切の本音である。
「……食べるか」
 試しに葉月にふってみる。頭上なので顔が見えないというのは不便だ。
「いいのか! たべる、たべるぞ……!」
 全て、丁寧にも人肌に温められた代物である。葉月は気にせず食べているけれど……
 ふと食べていた葉月の手が止まった。
「どうした」
「……ふじきり、これは、しかけなのか?」
「そうだ、数に限界はあると思うが」
 それまで食べることに勤しんでいた葉月の動きが止まる。藤切もいぶかし気に足を止めた。
「どうした」
「おどろかすため、だろう……おどろきが、へってしまうか……」
「……」
 これまでにだって随分な数があった。まだ余裕はあると思う。が、別にそれは重要なことではないだろうと藤切は葉月の言葉を待つ。
 うーん、うーん。唸るような声がしばらく静かに響く。座長も他の班を驚かせる為に離れたのだろう。まだ余裕もあるとみて、藤切はゆっくりと歩を進めた。
「!……ふじきりっ!」
「言ってみろ」
「へったぶん、ふやせばいい、ちがうか?」
「……道理だな」
 小さく一つ頷いて意思を確かめ合う。
 大きな狐に小さな兎。身を隠すなら?

●【参班】

「ふっ……霊が出る? それを祓うのは、神に仕えし者の定め!」
 出発の順番が来る時間まで、メンデルート(ka4840)は白樺の様子に全く気付いていなかった。同行者の調子くらい普通気にかけて置くべきところなのだが、彼は自分の信じる神への仕え方、悪霊退治に真剣に、一直線に向き合い過ぎて周りの皆の様子、すぐ傍に居た白樺の様子にさえも気づかなかったのである。
 しかしなぜか葉月が白樺にかけた言葉のなかから『りっぱなせんし』という言葉だけは聞き取れていた。
 二人はが同じ聖導士同士であることも拍車をかけた。
 つまりメンデルートは、白樺の事を同じく悪霊退治に向かう同志とみなしていたのである。
「さあ、ゆくぞ志高き仲間、美しき少女よ! 共に悪を祓いに行くのだ!」
 びしい。
 開始地点に着くなり進行方向を指さすメンデルート。
 三番目の時点でどうして事態に気付かないのか。
 すぐ横で君の巡礼服の端を掴んでぷるぷる震えている迷える雉を助けることの方が先だと思……あ、怖がっているわけじゃないのだった。
 道中で気付いてあげてほしい。

 己の美貌を疑わないメンデルートと、自分の可愛さを信じる白樺。この二人は共通項が多かった。だからだろうか、これまであまり交流のなかった二人は二人きりになっても自然体だった。昔からそうであったかのように普通に、いつも通りだった。互いの間に取る距離がお互いに同じくらいだった、というのが適切だろうか。
 メンデルートの服をずっと握ったまま、震えながらついていく白樺は、それでも接していること、ふりはらわれないことに安堵を感じていた。
 服を掴まれている事は美貌に見とれている証、少し後ろにいるのは心を奪ってしまった証。無条件に頼られている感覚はメンデルートに高揚感をもたらした。
 お互いにそれを十分に堪能してからである。まともな会話があったのは。
(そろそろ私の美貌に見慣れていてもおかしくないのだが。いや、常に相手をときめかせる程の美貌であることは否定しない!)
 確信をもって振り向いたメンデルート、この時はじめてまともに白樺を見つめた。
 ふるふると、小動物の様に服を掴むそのたおやかさと、控えめに後ろを歩く愛らしさ。今にも涙が零れそうなうるんだ瞳。
「メンデ?」
 見上げる視線がサングラスを捉えた。神の天啓がメンデルートを襲う。現状理解という名の雷が落ちたのだ。

(暗いのに、サングラスで周り見えてるのかな)
 怖いと思うから怖いのだ、何か別の事を考えなくては。今考えやすいのは、やっぱり同行者の事で。考えればメンデルートは特徴的なところが多い。それを一つ一つ掘り下げればこの場所への恐怖も薄れるだろうかと白樺は握りしめたままのメンデルートの服を見つめながら歩いていた。
 立ち止まった気配に慌てて合わせる。見上げれば黒い二つの丸が自分を見ている。
(サングラスって言うんだっけ)
 目は見えないのに、見つめられているのは感じた。だから名を呼んだのだけれど。
「ふっ……」
 シロ、何かおかしい事言ったかな。
「恐れるな、少女よ。悪霊なぞ、このメンデルートが祓ってみせよう!」
 見事なリーゼントをふぁさぁとかき揚げ白樺へと視線を向けてくる。
 何だろうこの感じ。ちょっとふわふわする気持ち。
「うんっ、頼りにしてるねっ?」

「出たな悪霊! 喰らえ聖なる拳の一撃!」
 夜目にも慣れた頃合いに現れる狐火、メンデルートが声を張り上げる度にひとつ、また一つとそのともしびを消していく。
「メンデルートかっこいいのっ!」
 可愛いの必須アイテムポンポンを取り出して、白樺は応援に精を出す。あの火は確かに怖いけど、応援していれば、誰かの為に動けている自分が認識出来れば耐えられない程じゃない。なによりこうして踊るように声を出すのが楽しい!
「いけっ! そこだー! やっちゃえーっなのっ♪」
 メンデルートのドリルがつきだされる動きに次第に合わせて跳ねる白樺。先ほどからずっとメンデルートの所作をみていたからだろうか、あたかも連携攻撃をしているかのように、白樺の声とメンデルートの動きはタイミングがあっていた。

 すぐに逃げ出すような気弱な狐火を追い返し、柔らかい古の石板をドリルで貫通させ、あふれ出る血潮はすんでのところで躱す。それぞれの手ごたえがなくなったとわかると、その度にメンデルートはポーズを決める。次第に白樺もそのポージングに加わり。お互いに理解が深まった頃合いだろうか。
 待ってましたとばかりに札が見つかるのはお約束というもので。
「井戸小屋の下って、ちょっと意外だったの」
 桶の代わりに吊るされたお札がひらりと二人を待っていた。
「悪霊退治の報酬として相応しい、まさに私にあった一枚……」
 白樺の言葉にメンデルートは返事をしているわけではない。それぞれに好き勝手話しているのだ。お互い人の話を聞くタイプではないけれど、話したい。そんなところも似ていたので特に問題はなかった。
 今はすべてが終わった、後は戻るだけ。そんな気持ちが強いからだろうか。メンデルートにも慣れてきたことも重なって、いつも通りの口調で話すことができていた。
 ひゅ〜どろどろどろどろ……
「まさか残党が残っていたのか」
「!?」
(また脅かされるの? もう素直に返してよ!)
 わぁぁぁぁんっ!?
 白樺は限界を超えていたのだが、すべてが終わったことを理由にいつも通りに過ごせていただけなのだ。
 現れた人影にメイスを叩きこみ、
「札回しゅぐえ」
 聖なる光を浴びせ
「まぶし」
「やだやだシロ怖いの嫌いぃぃっ!」
 叫びながらメンデルートの手を引いて走り出す!
 合間に聞こえた声がとても聞き覚えのある者だった気もするが、終始叫び声をあげていた白樺にはそんな事はどうでも良かった。
 とにかく目の前から居なくなってほしかったのだ。
「! ……私の髪が、美貌が……」
 引かれていくメンデルートの立派なリーゼントに、小枝や葉っぱが追加されていく。小柄な白樺ならば難なく通れる場所も、ただ引っ張られているだけのメンデルートには難しい。
「少女よ……おち……ぐぅ!?」
「怖いのぉぉぉぉぉっ!」
 声音を柔らかくして届けようにも、この状況ではどうしようもない。「
「おち……つくがよい……!」
 それでもメンデルートはあきらめなかった。
「もう嫌あぁぁぁ!」
 結局、墓地を出るまで白樺の勢いが止まることはなかった。

●【伍班】

「じっちゃん怖い? 怖くなったら、俺の後ろに隠れててもいいからね!」
 俺が護ってあげるから。そう言って胸を張る鬼揃 善方(ka4683)の前に居るのは柴犬の耳と尻尾を震わせる多々良(ka4717)。翁面とあわさって、おじいちゃん犬が状況に困っているような、相子精神が呼び起こされる。相手が正道だからこそ、なおさらだ。
「肝試しって、言うほど怖い者じゃないんだって。なんていうか……度胸試し? って言うらしいよ」
 だから大丈夫だよと、しゃがみ込んで善方よりも目線が下になっている多々良の頭を撫ぜた。
(楽しい事ってみんなでやるからいいんだよね!)
 一座の全員が揃っていることが嬉しくて、それだけでも心が躍っている善方である。
「『キモダメシ』って美味しいもんじゃないのか」
 メシだから食べ物だと思っていた、それが多々良の言い分だ。蒼界から転移してきた身の上だが、幼い頃の記憶はあまり残っていない。今はもう生粋の紅界の民だと自分では思って居る位であった。
「坊は小さいのに物知りだな?」
「そりゃあね、じっちゃん。早くもっと、もっとに大人になって、結婚とかいっぱいしたいもん!」
 善方のそれは物知りではなく、耳年増というものではないだろうか。

 何かが移動する物音に、多々良が身をすくませる。
 近づいてくるのか、遠ざかっているのか。物音の主が抑えようとしているその足音は、だからこそ聞き分けにくい。
「じっちゃん、隠れるのも無理なら、手でもつなごうか?」
 大人が怖がる様子に怪訝な顔をするわけでもなく、善方は微笑んで多々良に手を差し出す。
(座長が奔走してる音、だよね?)
 皆の中で最も肝試しという意味を理解しているのは善方かもしれない。脅かし役の座長が一人で全てを準備したのなら、それを動かすのも一人。あまり広くない墓地とはいえ、自分達参加者が来るたびにタイミングよく仕掛けを使わなければならないはずだ。
 気配を殺しているつもりだろうが、やはり物音を隠しきるほどには至っていないみたい。
(面白いなあ、さすが)
 いつもその登場や姿のくらまし方が独特だと思っていたけれど、今日この肝試しで更に好きになりそうだと思う。
 声に出さないように微笑み、おそるおそる差し出された多々良の手を握った。
「うー……な、なんか後ろにいる、いやいない」
 怯えた声が続く。その声はしっかりと顔に貼りつけた翁面のせいでいつも以上にくぐもって聞こえる。そもそもいつも面をつけているくらいなので、素の声を聞いたことがないとも言えるのだが。
「いないといいな……いる……?」
 小さく首をかしげる様子、そしてずっと出たままの耳と尻尾に目を移した。緊張に震えているようにも取れる。
(ここは、どうしようかな)
 こんにゃくが差し出されているのには気付いているが、もうすぐ最奥地点だ。一人で全てを作動させている、その仕掛けには出会う度驚かされた。
(俺の分も怖がってるくらいだしな)
 これ以上は無理をさせるのも悪いかなと思いなおした……はずだった。

 ぺたり
「な、なななななな」
 ひんやりとした何かが首の後ろに触れている、それだけで恐怖心が煽られる。
 出てしまう柴犬の耳がピクリと硬直し、尻尾も警戒をするようにぴんと立った。
(どうして……前からこないんだ)
 背後をとられなければ、こんなに怖くなることはないというのに。
 こわい話が特別苦手というわけではないのだが、後ろをとられることがこんなに恐ろしいものだとは。
 出るなら堂々と正面から来ればいいのだ、それなら自分だってこんなに動揺することはないのに。
(せっかくの『子供』だから、知りたい欲はそっちに回したいぜ)
 なにせ知ったばかりの言葉だ。しかし現実はそううまくはいかないものなのだ。
 善方という『子供』が近くにいるだけで興味はそのことばかりになる。だから他が疎かになった。
「あーもうびっくりするな、早く出ちゃおうよー……?」
 その声のひびきに肝試しに飽きてきたらしいと気づく。なら他の事をしてもいいだろうか。腹は決まった。

「善方、今は俺と遊んでくれてる……そうだなあ?」
 くんくんと、既に行動が抑えられていない。興奮で覚醒状態になった多々良は今また柴犬の耳と尻尾をその身に表示させている。
 ぞわ
 なんだろうこの感じ。じっちゃんから不思議なマテリアルが零れてくるような、この感じ。
「同じ班になったんだから当たり前だろ!」
 肝試しは遊びだと思う。とはいっても二人きりじゃなくて、一座の皆でやっているわけだけれど。
「なあなあ、甘噛み……」
 ずいと左腕の素肌部分を差し出される。これがどうしたっていうんだ?
「噛んでくれないか、そう強くなくていい、親愛の証だあ」
 そう強請られて、どうしていいかわからない。
「あれ?」
 その腕を見て思う。翁の面とその立ち振る舞い、随分とまた差が大きいように感じた。今までどれだけまともに見ていなかったのか。
「もしかして、じっちゃん……じゃ、ない?」
 迫られている状況にもかかわらず、道方は首を傾げた。
 よく見れば面の様な皺はもうほとんど存在していない、姿勢も柴犬らしさが目立つから気付いていなかったが、身長も低くないのだ。多々良は。
(……お兄さん、なの?)
 だとしたら何て呼べばいいのだろう?
 かぷ
 考えて居たその隙に、自分の腕が多々良の手に取られていた。というより、食まれていた。
「!?!?!? じっちゃん!?」
 博愛の善方でも、突然のことには驚いてしまうようだった。

●裏主

 最後の組がやってくる。ここがお札の最後の隠し場所、そのはずだ。二人がやってくるのを待ちながら、藤切と葉月は息を殺す。
 特に小さく身を丸めるのは葉月。実際の出番はないも同じだが、この案を考えたのは彼女だから。全てがよく見える樹の上、特等席でじっと見を縮める。
 ザッ……
 砂利を踏む音に二人の足が止まる。砂埃が舞い、徐々にその人影が歩み近づき、姿を現す。
 ……狐面。
「肝を、試すんだろう?」
 クッ……喉の奥で小さく、冷たく響くその音に驚いたのは善方。大好きな傍に居たい人が今、敵として現れた事がまだ飲み込めていない。
「何を試せばいい」
 チャキ、柄に手をかけ問う狐。足も自然に構えの形になっている。
「……斬り心地か」
 斬り甲斐がありそうだ、そうともとれる酷薄な笑み。スラリと抜かれる刃には、怪しい赤がきらめいている。そう。まさに先ほど使ったばかりのような。

 ……クククッ……
 次第に全容を現す藤切、その姿に目を見開く道方。
「……おじ、ちゃん?」
 どうして? なんで俺にそんな声、そんな話し方、そんな……頬が熱い風が冷たい、怖い、失くしてしまう事が、壊れてしまう事が、気持ちが伝わっていないことが。
「びゃぁぁあああああああん!?」
 カチリ
 突然の幕引き。いつも通りの淡々とした空気に戻した藤切が刀を収めると、突如ここは墓場なのだと思い出す。
「冗談だ、やらんよ」
 言いながら善方を抱き上げる。いつも通りの声音に安堵して、善方の張りつめていた者が崩れ去る。
 ガシッ
「……もう、しないでね」
 出来る限りの力を込めて、ぎゅうと腕を回す。もう離さない、そんなこともう言わせない、させるつもりはないのだと体全体で伝えたいのに、俺は子供だからなのかこんなことしか言えない。
 でも。
「だいすき……」

 優しい手つきで善方の髪を撫ぜる藤切。
 わたしには、なかったか? そうも思うが、計画が成功したことに安堵する。
「おどろき、つくる、たのしい!」
 樹上から眺める葉月の顔はほこりと綻んでいた。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka4813/藤切/男/38歳/舞刀士/御狐面/剣化生】
【ka4528/葉月/女/10歳/闘狩人/白兎面/気纏い】
【ka4596/白樺/男/14歳/聖導士/雉仮面/肌追い】
【ka4683/鬼揃 善方/男/12歳/疾影士/鬼面/心食み】
【ka4717/多々良/男/48歳/舞刀士/翁面/知覚研】
【ka4840/メンデルート/男/21歳/聖導士/能面/神伝い】
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2015年10月09日

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