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『兄とは常に、弟の先を行くものである 』
ロイ・I・グリーヴka1819)&アルバート・P・グリーヴka1310


 グリーヴ家の中庭、日当たりが良く青々とした芝生が広がる一角には、活きの良い幽霊が出る。
 その幽霊は、幽霊のくせに昼間から――しかも毎日決まった時間に堂々と現れ、1から50までの数字のカウントを繰り返すのが常だった。
 淡々と、リズミカルに、それを5セット繰り返しては「まだ足りない……」と呟いて消える。

「……なんて、今度の舞踏会でトークのネタにしたら怒るかしらね?」
 その元気な――元気すぎる「幽霊」の姿を遠目に観察しながら、アルバート・P・グリーヴ(ka1310)は可笑しそうに肩を震わせた。
 幽霊の正体は、彼の二番目の弟ロイ・I・グリーヴ(ka1819)だ。
 勿論、彼は死人ではない。ピチピチフレッシュなナマモノ、今をときめく18歳の若者だ。
 それにしては真面目な堅物で、遊び心に欠けるきらいがある所が、兄としては心配でもあり可愛くもあり――

「……35、36、37……」
 兄に見られているとも知らず、真面目な弟は日課の筋トレを続けていた。
「……48、49……50!」
 腕立て伏せから始まって、腹筋、背筋、スクワット、そして最後に片手腕立てを25回ずつ行うそれは、本日も恙なく終了。
「だいぶ楽にこなせるようになってきたな」
 額の汗を拭きながら、ロイは満足そうに顔を綻ばせた。
「次からは、あと10回ずつ増やしてみるか……」
 筋トレは肉体に負荷をかけてこそ効果があるもの、楽にこなせるようではトレーニングにならない。
 立派な人物になる為には、心身共に更に鍛えて鍛えて、磨き上げねば!

 と、そこにふわりと漂う、微かに甘く爽やかな香り。
 嗅ぎ慣れたこの香りは、長兄アルバートがいつも身に纏っているものだ。
「アル兄さん?」
 顔を上げると、大木の下で陽射しに揺らいでいた影が人の形を取る。
 木陰から姿を現したアルバートは、少しふざけた様子で礼をして見せた。
「相変わらず精が出るわね、ロイちゃん」
 それを聞いて、ロイは僅かに身を引き締める。
 いつもは自分を呼び捨てにする兄だが、ちゃん付けで呼ぶ時は大抵、次には耳に痛い指摘が来るぞ、という前触れなのだ。
 そして殆どの場合、それは的確で理に適っており、ロイは未だにこの兄を論破できた試しがない――論破しようとも、思わないけれど。
「そんなに筋肉ばっかり増やしてると、今にムッキムキの脳筋さんになっちゃうわよ?」
「大丈夫です、鍛えているのは筋肉だけではありませんから」
 心身共にバランス良くというのは、常に心がけている。
 グリーヴ家の三男として恥ずかしくないよう、尊敬する祖父や両親の助けとなる為に、必要な事は何でも進んで取り入れてきた。
 この長兄アルバートは勿論、人としてちょっとどうなのと思わないでもない(でも大好きだよ!)次兄からも、年下の弟や妹からも、学ぶべきところは多い。
 とは言え、いくら心身共に鍛えても勝てる気がしない、そんな相手が多い事も事実。
 自分の周りには優秀な人間が多すぎるのだ。
 特にこの長兄は、一見チャラそうに見えて、自分でも「ただの器用貧乏」だなどと卑下してみせるが――とんでもない。
 全てが高レベルで纏まっている場合、それは「万能」と呼ばれるのだ。
 本人に言うと「買いかぶりすぎだ」と笑われそうだし、自分でも「お兄ちゃん大好きフィルタ」が仕事しすぎかな、と思わないでもないので黙っているけれど。
 しかし、それはただの買いかぶりでも、フィルタのかかりすぎでもないと思うのだ。
 その証拠に――

「アル兄さん、丁度良かった。ひとつ手合わせをお願い出来ますか?」
 今こそ鍛えた成果を見せる時と、ロイはアルバートに誘いをかけた。
「そうね、荒事はあんまり得意じゃないんだけど」
 そう言いつつも、兄は弟の頼みを断らない。
「私もあんまり腕が鈍っちゃうのは困るから、ちょっと付き合ってあげようかしら――でも、お手柔らかにね?」
 軽く笑って、アルバートは練習用に刃を潰した剣を鞘走らせた。
 途端に空気が変わる。
 しかし、その顔には余裕の笑みを浮かべたままだ。
「いいわよ、いつでもいらっしゃい?」

 そう言われても、打ち込む隙が見当たらない。
 迷っているうちに、アルバートの方が先に動いた。
「ほらほら、お見合いじゃないのよ? お見合いだって、ただ見てるだけじゃ相手の腹は探れないわ」
 まずは動いてみないとね。
 見ただけでわかる相手なら、戦う必要はない。
 降伏を勧告するか、それとも自分が武器を捨てるかだ。
「なるほど、それは商売にも通じるものがありますね!」
 打ち込まれる剣を凌ぎながら、ロイは素早く考えを巡らせる。
 兄の動きには無駄がない。
 それに比べて、自分は力に頼りすぎ、少し大味な攻撃になっているようだ。
「(そう言えば、腕相撲では負けた事がないのに――)」
 手合わせでは勝った記憶がない。
 いや、ずっと昔――まだ自分が幼かった頃は連戦連勝だった。
 勿論、その時は小さな弟に自信を付けさせる為にわざと負けてくれたのだと、今ではわかっているが。
 その後、多少なりとも剣士としての形が出来上がってからは、容赦なく打ち負かされ、自信をヘシ折られてきた。
 それは自分を一人前と認めてくれている証拠だが、一人前になってもまだ勝てないという事実が悔しい。
 何が足りないのだろう。
 もっともっと、筋トレが必要なのだろうか。
 それとも経験か、場数が足りないのか。

 そんな考えを巡らせながら、打ち合いを続ける。
 甲高い金属音が小気味良いリズムを刻み、頭の芯を痺れさせるように鼓膜を打ち付けて来る。
 ふいに、自分が何をしているのかわからなくなった。
 催眠術でもかけられたのかと思った、その瞬間。

 キィン!

 ひときわ高い音が響いて、ロイの手から剣が消えた。
「あ……っ」
 負けた。
 また負けた。
 毎日筋トレをして、素振りもして、走り込みだって欠かさないのに。
 日々芸術を愛で、ゆったり過ごしている(ように見える)インドア派に。

「ロイちゃん、剣は筋肉で振るものじゃないのよ?」
 勿論、最低限は必要だけどネ。
 そう笑って、アルバートは剣を収めた。
「やっぱり、アル兄さんはすごい……」
「やあね、言ってるでしょ? ただの器用貧乏よ」
 違う。絶対に違う。

 いつかその顔から余裕の笑みを消し去ってみせると、ロイは心に誓った。
 けれど、何をどうすれば良いのだろう。
 どうすればこの人に勝てるのだろう。
 いや、勝ちたいわけではなく、打ち負かしたいわけでもなく――でも負けるのは悔しくて。
 何だろう、この気持ち。

 と、その肩を軽く叩かれた。
「動いたら喉が渇いたわね。ロイ、お茶にしましょ?」
「はい、アル兄さん!」
 優雅に歩み去る兄の後ろを、弟は尻尾を振りながら追いかける。


 とりあえず、筋トレの回数を増やすのはやめておいたほうが良さそうだ――



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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka1819/ロイ・I・グリーヴ/生真面目な弟】
【ka1310/アルバート・P・グリーヴ/後光差す兄(弟視点)】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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お世話になっております、STANZAです。
この度はご依頼ありがとうございました、お待たせして申し訳ありません。

自由に楽しくというお言葉に甘えて、楽しく妄想させていただきました。
お気に召していただければ幸いです。
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ファナティックブラッド
2015年10月30日

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