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『【巨人!死闘の果てに】 』
小野坂源太郎(gb6063)


 バグア。
 赤い月と共に地球侵略を目論む憎き敵との争いは、ついに宇宙にまで広がった。
 SF映画さながらの、戦艦と戦艦、マシンとマシンとのぶつかり合い。
 犠牲を払いながらも、遂に最終決戦。
 しかし、バグアは隠し持っていたのだ。決戦用超ド級大型戦艦フラーケシュタリオンを!
 全長五キロメートル、各種砲台は全方位に対応、加えて主砲は、人類の宇宙艦を十隻以上まとめて薙ぎ払う威力を持つ。
「フハハハハハ! 地球のサル共め、このジャック・オラウタン様が駆逐してくれる。我がフラーケシュタリオンの威力を見よ!」
 地球に生息するオランウータンそっくりなバグアが高笑い。
 圧倒的な戦力を前に、人類は戦慄した。
 だが!
 ただ一人、この戦艦に挑む老兵の姿があった。
 彼こそ、屈強な肉体を武器にあらゆる敵を粉砕する男、小野坂源太郎!
「させはせん、させはせんぞバグアァ!!」
「バカめが! たった一人のおいぼれに何ができる」
 両腕を広げ、宇宙空間を翔ぶ源太郎。呼吸はできるのか? 紫外線は大丈夫なのか? そんなことはどうでも良い!
 敵を前に覚醒する彼。その肉体は、気力の高まりに応じて巨大化してゆく。パンプアップなどというものではない。彼の全てが、肥大化するのだ。メートルなどという単位では表しきれない。気が付けば、フラーケシュタリオンに及ぶまでになっていた。
「おい、なんなんだアレは! ええい、主砲用意だ。どてっぱらに穴を開けてやれ!!」
 ジャックの号令で、フラーケシュタリオンの主砲が虹色に輝く光を放つ。
 だがその間にも、源太郎はますます巨大化していた。
「でェりゃアアァァッ!!」
 繰り出す拳は虹の光を弾いて進み、フラーケシュタリオンを鉄くずへと粉砕してゆく。
「で、でたらめだ! このジャック・オラウタン様がァァッ」
 艦橋。
 ジャックの断末魔は、無音の宇宙にかき消された。
 では何故源太郎の雄たけびが声を成したか。その理由は誰も知らない。


 月日は流れた。
 超ド級戦艦フラーケシュタリオンを撃破した源太郎は、そのまま敵の本星へと降り立ち、拠点から基地から全てを破壊し尽くして、人類に完全なる勝利をもたらしたのだ。
 歓声に満ちた日々はあっという間に終わりを告げてしまった。
『今一度御覧ください。これがバグアを滅ぼした能力者の姿です』
 テレビには、バグア本星の基地を踏み散らし、勝利のマッスルポーズを決める源太郎の姿が映し出されていた。
『いやぁ、実に恐ろしい』
『この力は、人類に過ぎたものです。早急に手を打つべきでしょう』
 コメンテーターなどと呼ばれる人々が勝手なことを言う。
 地球を救った能力者は、その強大すぎる力を人々に恐れられ、さらには迫害を受けるまでになっていたのだ。
 今、彼らに安住の地はない。
 リモコンを操作してテレビの電源を落とした源太郎は、深くため息を吐いた。右手には、まだエミタの輝きが残っている。

 買い出しへ出かけた。
 通りがかった公園で、中学生くらいの少年に、大人が十名以上で群がっている様子が見えた。
「テメェ、能力者だろ? この町から出て行けよ!」
「もうその力はお呼びじゃねェんだよ!」
 少年は、今にも泣きだしそうだ。
 呆れた。見かねた。
 源太郎は買い物袋をベンチに置き、現場へと歩み寄る。
「おい、いい大人が子供相手に何を……」
「あァ? お前も能力者だな!」
「化け物め!!」
 振り返った大人たちが、手近な石を握って投げる。投げる、投げる。
 もう、能力者は必要ないのだと。
 自分が迫害されることは我慢が利く。
 だがあの少年は?
 こんな未来ある子供までもが、こんな惨めな思いをしなくてはならないのか?
 間違っている。絶対に間違っている――!
「このワシを、怒らせたな」
 きつく握った拳に青筋が立つ。
 筋肉が膨張してゆく。
 纏った服が音を立てて裂ける。
 そして……。
「貴様らの望み通り、怪物になってくれるわァ!!」
 巨大化。
 あの時と同じだ。フラーケシュタリオンを粉砕した、あの時と。
 もう手が付けられない。誰にも止められない。
 ビルを、町を、国を、破壊してゆく。
 命を賭して守った、この世界を。
 ただ、怒りに任せて。


「ハッ!!」
 冷や汗と共に、源太郎は飛び起きた。
『巨人だ、巨人が出たぞーッ!』
『UPCは何をやってんだ!!』
 テレビから流れる音声は、ニュースやワイドショーのソレではない。
 カボチャ頭の巨大な人型の怪獣が、町を破壊してゆく映像。映画の特集でもやっているのだろう。
 夢、か。
 頬を掻いてからベッドを降り、顔を洗う。
 世界は、平和だ。

 買い出しへ出かけた。
 通りがかった公園では、子供たちが無邪気な笑顔で走り回っている。
 ふと。
 覚醒してみたくなった。
 体が一回りだけ大きくなる感覚。
「あっ、小野坂の爺さんだ!」
「小野坂さーん!」
 公園にたむろしていた中学生くらいの少年たちが駆け寄ってくる。
 まだ彼らが小学生だった頃、世話を焼いてやったことがある。それを覚えていたのだろう。
 あどけなさの残る顔は、源太郎にくったくのない笑顔を向けていた。
「坊主ども、ぶっ倒れるまで遊び倒せよ」
 笑んでみせ、手を振り去る源太郎。

―おわり―


登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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小野坂源太郎(gb6063) 男性  七三歳 ファイター


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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この度はご依頼ありがとうございます。
私を選んでくださった、ということは、ほの暗い雰囲気を描いてほしい、ということではないかと感じましたが……設定や発注文を拝見させていただき、「違う、もっと豪快で痛快な話にすべきだ!」と感じました。
なるべくそこを意識して執筆させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
ご満足いただけたのであれば幸いに思います。
また機会がございましたら、またご依頼くださいませ!
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CATCH THE SKY 地球SOS
2015年11月06日

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