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『―― 恋人たちのお月見 ―― 』
森田良助ja9460)&黒崎 ルイja6737

「さて、今日はいい月が出るみたいだし、お月見の準備をしなくちゃね!」
 森田良助(ja9460)はニコニコと笑顔を見せながら、恋人である黒崎 ルイ(ja6737)に言葉を投げかけた。
「和菓子は僕の得意分野だから、任せてよ!」
 森田は和菓子を作った経験もあり、どん、と自分の胸を叩きながら黒崎に言う。
「……うん……りょうすけ……まかせる……」
 黒崎は、少しもじもじしながら言葉を返す。
「……でも……るいも、つくりたい……ふたりの、おつきみだから……るいも、りょうすけ……てつだいたい……」
 たどたどしく言う恋人に、森田は今すぐ抱きしめたい衝動に駆られる。
「もちろんだよ! そうだ、ふたりで一緒に団子をこねたりしよう? 準備が出来たら呼ぶから」
 森田の言葉に、黒崎はゆっくりと首を振る。
「……せっかくだから、いっしょにいたい……りょうすけがつくるすがたも、みたいから……」
(あぁ、もう、本当に可愛いことばかり言ってくれて!)
 森田の心の中では、黒崎への称賛の言葉で溢れていた。

 ※※※

「……ん、これでだいじょうぶ……?」
 黒崎らしい可愛らしく丸められた団子を見せながら、彼女は森田に問いかける。
「うん、大丈夫だよ。これは僕が食べるからこっちによけておかないと」
「……? どうして、それがりょうすけのぶんになるの?」
 目を瞬かせながら、黒崎が問いかけると、彼は悪戯っぽく笑いながら――……。
「そりゃあ、ルイが丸めた団子だからに決まってるじゃないか。ルイには僕が丸めた団子をあげるから、ふたりで食べさせ合いっこするのもいいかもしれないね」
「……うん」
 森田の言葉に、黒崎は嬉しそうに微笑む。
「団子を作った後は、浴衣に着替えよう? 僕が着つけてあげるよ」
「……にあう、かな? るい、ちょっとじしんがないっていうか……」
「似合うに決まってるじゃないか。僕が見立てた浴衣だよ、誰よりもルイに似合うの選んだから」
 太陽のように眩しい笑顔を見せながら、森田が言葉を返すと、黒崎もホッとしたように、少しはにかみながら頷く。
「さ、早く月見団子を作って、ふたりきりのお月見をしよう!」

 ※※※

「うーん、やっぱりルイは和服も似合うね!」
 黒崎の着付けを手伝いながら、楽しそうに呟く。
「……そう、かな? ……へんじゃない? ちょっと、きゅうくつで……おちつかない……」
 少しそわそわとしながら黒崎が言うと「そんなことないよ!」と森田がすぐさま言葉を返す。
「ルイは和服も似合う……じゃなくて、ルイが可愛いからむしろ和服がルイに合うというか!」
 ぐっ、と拳を握りしめながら森田はいかに和服が黒崎に似合うかを語り始める。
「……そ、そんなにほめられるの、うれしいけど……はずかしい、よ……」
 黒崎は少し顔を俯かせながら、恥ずかしさに堪え、小さな声で呟く。
「えー? そうかな? 僕としてはもっと言いたい気分なんだけど――これで、よし、と!」
 帯を締め、森田は満足そうに頷きながら黒崎の和服姿をたっぷりと堪能する。
「うん、やっぱり可愛いねー! ルイ以上に可愛い子、僕は見たことがないよ!」
「……るいも、りょうすけ、いがい……かっこいいひと、しらない……」
「ルイ……! あー、もう! 可愛すぎ!」
 ぎゅうっ、と黒崎を抱きしめ、森田はその柔らかな髪に口づける。
「さて、ずっとこうしていたいけど、お月見をしないと月が隠れちゃうかもしれないしね」
 少し赤い頬を隠しながら、森田はふたりで作った月見団子をもって、縁側へと向かう。

 ※※※

「ルイ、はい、あ〜ん」
 一口サイズの月見団子を差し出しながら、森田は楽しそうな笑みを浮かべる。
「……ん、おいしい……」
 ふたりで作った月見団子は程よい甘さで、サイズも小さいことから、いくらでも食べられそうな気がする。
「ルイ、僕にも『あ〜ん』をやって♪」
「……」
「僕、ルイから『あ〜ん』をしてもらいたいなぁ♪」
「……ん、わかった」
 半ば森田に押されるような形で、黒崎は自分が丸めた月見団子を手に取る。
 そして……。
「……あ、あ〜ん……」
 さっき森田がしてくれたように、黒崎は彼の口元まで団子を運ぶ。
「んっ、ん〜〜、美味しい! やっぱりルイが丸めて、僕に食べさせてくれたからかな?」
「……あじは、かわらないとおもうけど……」
「変わるって! あ、そうそう少し季節外れだけど花火も持ってきてるんだ」
 じゃーん、と言いながら森田は数種類の花火を取り出す。
「こういう月夜に花火っていうのも、結構オツかなと思ってさ」
「……うん、るいはせんこうはなびがしたい」
「そう? じゃあ、はい! そうだ、花火の下で線香花火もいいよねー―ってことで、こっちの打ち上げ花火をセットしておいてー……」
 打ち上げ花火に火をつけた後、黒崎と森田は花火を楽しむ。
 じりじり、と儚く閃光を放つ線香花火の雰囲気とルイの雰囲気が重なって見えて、森田は今すぐ抱きしめたくなる。
(あー、でもルイを抱きしめたら線香花火が落ちちゃうし……線香花火が終わった後、思いっきりギューッとさせてもらおう!)
 そんなことを考えた時、ガタッと音が聞こえる。
「ん? 何の音?」
 音の方に森田が視線を向けると、先ほどまで上を向いていた打ち上げ花火が森田の方に向いている。恐らく風のせいで倒れてしまったんだろう。
「うわわっ! ルイ! 僕から離れて!」
 森田は慌ててルイを引き離したのだけど、花火の打ちあがる時間が来てしまい、セットした打ち上げ花火がすべて森田に向かってしまった。
「りょ……りょうすけっ……!」
 ふたりきりの、しっとりした雰囲気はなくなり、軽いやけどを負った森田は黒崎に手厚い看護を受ける羽目になったのだった――……!


―― 登場人物 ――

ja9460/森田良助/男性/12歳/バハムートテイマー
ja6737/黒崎 ルイ/女性/14歳/ダアト

――――――――――
森田良助 様
黒崎 ルイ様

こんにちは、今回はご発注頂き、ありがとうございます!
今回執筆させて頂きました、水貴透子です。
内容の方はいかがだったでしょうか?
ふたりの甘い雰囲気を上手く描写出来ていますと幸いです。

それでは、また機会がありましたら宜しくお願い致します。
今回は書かせて頂き、ありがとうございました!

2015/12/05
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水貴透子 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2015年12月07日

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