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『―― 『LOST』のクリスマス! 呼び出すのは……神様!? ―― 』
松本・太一8504

「え……私が、ですか?」
 松本・太一はお世話になっている教会の司祭から仕事という名のクエストを依頼された。
 どうやら、現在『LOST』ではクリスマス関連のイベントが数多くあるらしく、その中のひとつ『神様召喚』のクエストに巻き込まれてしまったらしい。
(これ、本来ならNPCが派遣されてくるクエストですよね? ……でも『その街に住む僧侶』として、私がヒットして本来やってくるはずのNPCが来なくなった……ということでしょうか)
 一応クエストに参加するか、しないかは自分で決められるみたいだけれど、普段お世話になっている……ということもあり、松本が断れるはずがない。
(恐らく教会に住み込みをしているので、この街に暮らしている、という認識になったのでしょうね。まさかこういうことでクエスト解放されることもあるなんて思いませんでしたよ)
 松本は小さなため息を零して、クエスト内容を確認する。
(信仰形僧侶魔法で『神様』を呼び出す……神様!? クリスマスに神様を呼ぶんですか? これ、ある意味年末年始のクエストになるんじゃ……いえ、今は考えずにいましょう)
 松本が祈祷をする中、魔物たちが現れ、他のプレイヤー達が松本を守りながら魔物退治をするというシンプルなクエストだ。
(なるほど、私が魔物に一度でも攻撃を受けたらクエストは失敗……これは、他のプレイヤー達がどんな陣形を組むかで、結果が変わってくるんでしょうね)
 松本は司祭から渡されたメモに目を通し、そこに書かれている呪文を読み上げていく。
 彼が呪文を読み上げた途端、足元の魔法陣が輝き始め、松本はそこから動けなくなってしまう。
 恐らく僧侶である松本が他のプレイヤーを支援出来ないよう、松本の周りにだけ結界を張ったということなのだろう。
(魔物の撃退数で報酬が変わるみたいですし、私も一応僧侶役で参加ですから何かもらえたりするんでしょうかね……)
 そんなことを考えながら、松本は呪文を読み上げていく。
 プレイヤー達を襲う魔物は最初こそ弱いものばかりだったが、後からになればそれぞれのクエストのボスクラスの魔物が出てきており、結構他のプレイヤー達も苦労しているみたいだ。
(……逆に、私はこちら側の参加で良かったのかもしれませんね。あんな強そうな魔物に勝てる自信なんてありませんし……それにしても、この衣装、絶対に女性用ですよね……)
 儀式のためにと渡された装備は、まるで天女を連想させるひらひらとしたものだ。
(クエストの残り時間ももう少しですし、頑張りましょう)
 魔法陣の中、松本は心の中で呟き、呪文の詠唱を続けた。

※※※

 そして、クエスト開始から30分後。
 無事に松本は儀式を終えて、プレイヤー達も成功報酬を受け取っていた。
「今回はご苦労様、君への報酬はこれだよ」
 そう言って、司祭から渡されたものは白いたまごだった。
「……たまご、ですか?」
「これは上級僧侶のみに使える召喚魔法だよ」
「……上級僧侶?」
 聞き慣れない言葉に、松本は首を傾げる。
「基本ステータスがプラスされた僧侶のことだよ、職業欄が聖なる僧侶に変化して、今まで覚えた魔法なども結構威力が高くなるんだ。そして、このたまごから還るのはユニコーン。全員の防御力を高めて、多少だけどHPを回復してくれる召喚魔物だ。君も上級僧侶に転職できる資格を持っているだろう?」
(……なるほど、召喚魔物を使えるようになるのなら、今回のクエストに参加した意味もありますね)
「それと、その衣装もあげよう! 防御力は大してないが君に似合っているからね」
「は、はぁ……」
 あまり嬉しくないと思いながらも、松本は手のひらサイズのたまごを見つめていたのだった。


―― 登場人物 ――

8504/松本・太一/48歳/男性/会社員・魔女

――――――――――
松本・太一 様

こんにちは。いつもご発注頂き、ありがとうございます!
今回の内容はいかがだったでしょうか?
気に入って頂ける内容になっていますと幸いです。

あと、今年も沢山お世話になりました……!
来年もどうぞよろしくお願い致します!

それでは、今回も書かせて頂き、ありがとうございました!

2015/12/23
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