『Sweet Dreams 』

如月　統真（ja7484）＆エフェルメルツ・メーベルナッハ（ja7941）

☆夢と希望が詰まった未来
「明けましておめでとう。エフィ、それに僕の子達よぉ。今年も良い年にしようね♪」
　二十代も半ばになった統真は表情を緩めながらしゃがみ込み、椅子に座っている最愛の妻のエフェルメルツと、その腕に抱かれている子供に声をかける。
　ちなみにエフェルメルツのお腹の中にはもう一人の子供がいて、季節が春になる前には産まれる予定だ。
「うふふ。統真、あけましておめでとう。今年も統真と子供達と、いろんなことをいっぱいしたいの」
　母の顔になっているエフェルメルツは、腕の中でスヤスヤと寝息を立てて眠っているもうすぐ二歳になる我が子の顔に頬を寄せる。
「エフィ、寒くない？　今日は朝から雪が降っているから、家の中でも冷えるんじゃないか？」
「大丈夫なの。統真が買ってくれたテーブルコタツ、あったかいの」
　お腹がかなり大きくなっているので、今のエフェルメルツは屈むことが難しい。
　寒くなる前に、統真は脚の長いテーブルコタツを購入して、妊婦である妻の身体を冷やさないように工夫したのだ。
　統真はほっと安堵のため息を吐きながら、エフェルメルツの隣の椅子に座る。
「それは良かった。……でも家族が増えていくのは嬉しくて楽しいことだけど、大人になったらみんな僕達のもとから巣立っていくことを考えると、ちょっと寂しいね」
「統真ったら……。まだ気が早いの。この子達がそうなるまで、あと二十年ぐらいかかるの」
　エフェルメルツの頭の中に、子供の結婚式でドン引きするほど大泣きする統真の姿が一瞬浮かんだが、妻として母として成長しているのでおくびにも出さない。
「でも僕達の子供達は、一体どういうコと恋に落ちるのかな？　案外僕らみたいに学校で知り合って、長いお付き合いの末に結婚したりして」
「ふふっ、そういうのもステキなの」
　二人はエフェルメルツが結婚できる年齢になった途端に、入籍した。
　その後すぐにエフェルメルツの身体に新たな命が宿り、今の平和で幸せな日々につながる。
「いつか子供達全員が、エフィ達のもとから巣立ったら……また、統真との二人っきりの生活がはじまるの」
「ははっ、それは良いね。その頃には僕は定年退職しているだろうから、二人っきりでいろんなことをして過ごそうか」
「うん！」
「とは言え、今はやっぱり妊娠中のエフィが心配だよ。何か困ったことはない？」
「う〜ん……。あえて言うなら……ちょっと、太っちゃった……ことかな？」
　エフェルメルツは顔を真っ赤に染めながら、恥ずかしそうに呟く。
　妊娠中はお腹の中の赤ん坊に栄養をおくらなければならないので、どうしても食欲が抑えられない為についつい食べ過ぎてしまう。服や下着のサイズがどんどん上がっているので、定期健診で産婦人科の担当医から少し注意されてしまったのだ。
　妊娠中はダイエットをすることを禁じられているものの、だからと言って太り続けることは良くない。
「そっそれはしょうがないんじゃないかな？　だってホラ、今のエフィはキミ一人の身体じゃないんだから！」
「でもぉ……服とか下着が、……きついの」
　頭から湯気が出るぐらい、エフェルメルツは羞恥心が強くあった。
「『苦しい』とかだったら、新しいのを買った方がいいね。今は妊娠中なんだから、少し大きめのサイズでも恥ずかしがることはないよ」
「う〜……。確かに今はダイエットはできないから、それでガマンするの。でも出産したら、少しは痩せるの！」
　顔を上げたエフェルメルツの眼には、真剣な色が浮かんでいる。
　一人目を妊娠中の時も同じようなことを言っていたものの、体型が戻る前に二人目を妊娠してしまったので、エフェルメルツは痩せる機会を逃しているのだ。
　そんな妻の身体を、夫は改めて頭の天辺から足元まで見てみた。
　――言われて見れば、確かに胸とお腹の膨らみがほぼ同じのような……。
「統真、どこ、見てるの？」
　矢のように鋭いエフェルメルツの眼差しを受けて、慌てて統真は話題をそらす。
「いっいや。可愛かったエフィが、すっかり美しい女性になったなぁって。エフィのことは、子供の頃から見続けてきたからね。一緒に暮らしてきて思ったんだけど、あっと言う間の成長だったよ」
　統真に褒められて、素直に嬉しくなったエフェルメルツはニコッと微笑む。
「そう言う統真も、すっかり男の人らしくなったの。カッコイイの」
「あっありがとう……」
　高校生まではエフェルメルツとあまり身長が変わらなかった統真だが、卒業した途端に身長が急激に伸び始めた。今では１８０センチ以上にもなり、男性らしくなっている。
「統真と新婚さんとして、二人っきりで過ごせた時は短かったけれど、今は子供達のいる生活を大事にしたいの。だからエフィ、大好きな統真の子供をもっともっとたくさん産みたいの」
「えっ！？　まっまだ二人目を妊娠している途中だし、ちょっと気が早いんじゃないかな？」
　途端に統真の顔色が悪くなった。
　そんな夫の反応を見て、エフェルメルツは頬を膨らます。
「むぅ……。統真はエフィとの子供、いっぱい欲しくないの？」
「そりゃあ僕達の子供なら、たくさん欲しいけれど……」
　実は一人目が産まれた時、統真は一家の主として、子育てにかかる金額を計算してみた。
　愛するエフェルメルツとの子供は何人でも欲しいと思っているのは本心であるものの、現実的にイロイロな計算をしてみると、簡単にそうも言えないのだ。
　そんな統真の複雑な心境を察したのか、エフェルメルツは可愛らしく顔をしかめながらズズイッと近付く。
「統真はエフィのこと、愛しているの？」
「もっもちろんだよ！」
「だったら、いーっぱい子供を作るの！」
「えっ……ええっ！？」
　近付いてくるエフェルメルツの視線から逃れられず、思わず統真はギュッと眼を閉じた。


○現実世界
「子作りは計画的にー……って、アレ？」
　自分の叫び声で眼を覚ました統真は、見慣れた天井を眼に映して、パチパチと瞬きを繰り返す。
　そして目線を下に向けると、自分がコタツに入ったまま眠っていたことに気付く。
「あっああ……、夢だったのか。……でも何だってあんな夢を……うん？」
　上半身を起こそうとして、統真は違和感を覚える。
「って、エフィ！？」
「う〜ん……。むにゃむにゃ……」
　いつの間に隣に来ていたのか、エフェルメルツは統真の体に抱き着きながら、幸せそうな顔をして眠っていた。
「……そうだ、ハッキリ思い出したよ。エフィと向かい合いながらコタツに入って、お正月特番を見ていたんだけど、僕が寝落ちしちゃったんだね。多分その後、エフィは寝ている僕の隣に移動して……」
　そして二人一緒に、寝ていたらしい。
　テレビはいつの間にか電源が切られていたので、恐らくエフェルメルツが気を利かして消してくれたのだろう。
　けれど一人で起きているのはつまらないものだから、イタズラ心もあって、眠っている統真に抱き着いているうちにエフェルメルツも寝てしまったのだろう――と統真は想像する。
「はあ……、だからあんな夢を見ちゃったのか。まあ良い夢だったから、イイけど。もし正夢になったら……幸せだけど、ちょっと怖いかな？」
　高校生にもなれば、将来のことを真面目に考え始めるものだ。
　特に統真は真剣にエフェルメルツとの将来を考えている為に、ああいう夢を見たのだろう。
「まっまあ今すぐああなるワケじゃないけど、ちゃんと将来のことは考えておいて損はないよね。特に子供にかかる費用は……いっ今からでもアルバイトをしようかな？」
　顔色を赤くしたり青くしたりしている統真のすぐ隣で、エフェルメルツは良い夢を見ているのか笑顔を浮かばせた。
「んふふ……。統真、大好き……なの……」
「えっエフィ……！　何て可愛いんだ！　妊婦姿もまるで聖母のように美しかったし、今から将来が楽しみだな。……はっ！？　今の発言はちょっとヤバいね。新年早々、煩悩まみれの発言は控えよう。落ち着こう、僕……！」
　呟きながらも統真の視線は、エフェルメルツの寝顔に釘づけだ。

　――果たして数年後の未来、二人は夢見たようになっているのでしょうか？
　

終わり


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ja7484／如月　統真／男／高等部2年／ディバインナイト】
【ja7941／エフェルメルツ・メーベルナッハ／小等部6年／インフィルトレイター】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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　このたびはご指名していただき、ありがとうございました（ぺこり）。
　新年早々二人のラブラブ＆イチャイチャぶりを、たっぷりと書かせていただきました。
　また機会がありましたら、よろしくお願いします。

初日の出パーティノベル

hosimure

エリュシオン

2016年02月05日