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『重なる時に想いを込めて 』
御代 つくしaa0657)&真壁 久朗aa0032)&小鉄aa0213)&佐倉 樹aa0340)&弥刀 一二三aa1048)&齶田 米衛門aa1482

●たまにはね
「くろー……見過ぎ」
 佐倉 樹(aa0340)に指摘された真壁 久朗(aa0032)は視線を戻した。
 目の前には美味しそうなカルビ、頃合いと思う間もなく樹に取られる。
(心配すべきは俺の方か)
「くろー授業参観の母親を伺うみたいな感じ」
「俺が年上なんだが」
 樹が咀嚼しているのを見ながら、久朗は樹を見る。
 その隣に座る弥刀 一二三(aa1048) が焼けたばかりの上カルビを容赦なく取った。
「それは先程俺が網に乗せていた……」
「上カルビはうちのモン♪」
 食い溜めする気満々の一二三は久朗の主張に対し、「皆纏めて頼んだことやし、細かいこと言わんといて」と許して体勢。
「ヨネ……!」
「まだあるッスよ? そろそろ焼き頃もあるみたいッス」
「あ、玉葱頃合いいいね」
 久朗が齶田 米衛門(aa1482)へ助けを求める目を向けると、焼肉を取り仕切ってた彼は彼の近くの頃合いを教える。
 貧乳強奪危機発生かと思いきや、樹は玉葱を取り、好機だと久朗はカルビを取った。
 ……その貧乳によって、程よく肉が食べられる流れをコントロールされているとすぐに気づかないのが久朗クオリティである。
 そういうのも一緒に食事をしなければ判らないので、米衛門としては純粋により仲良くなりたい友人の樹と焼肉食べられるだけで嬉しかったが、親友とのやり取りでよりそういうのが見えて笑みを浮かべる。
「でも、落ち着かないのは私も同じです……」
 御代 つくし(aa0657)が久朗が見ていた方向へ視線をやり、久朗の心情を無自覚にフォローする。
 そう、彼らは今日、英雄達と共に焼肉を食べにこの店へやって来た。
 バレンタインも終わり、ガッツリ何かを食べようという話になったのだ。
 が、食事の時間帯、予約もせずに12人全員同じ席を用意することは難しく、それでも何とか同じタイミングで6人席を2つ確保となったのだが、グループ分けどうしようかという全員で顔を合わせた結果、たまには能力者同士、英雄同士にしてはどうかとなったのである。
 通路を挟んで斜め向かいという、会話は聞こえるが少し離れた距離に彼らのテーブルはあり、時折、焼肉が焼けたと分配する声やご自分の分を忘れずにという気遣いの声が聞こえてくる。
「ああいう時は本領発揮でござるなぁ」
 小鉄(aa0213)がてきぱきとした自身の英雄の姿を見る。
「ちょっと待て」
「いつの間に塩タン食うたん?」
 久朗と一二三が同時ツッコミ。
 小鉄、覆面外してなかった。
 いつの間にさり気なく食べたんだ。
「拙者の修行の成果でござる」
「凄い……。私も修行したら出来ます……?」
 小鉄のドヤにつくしがガチでキラキラした。
「真似したら、怒られる気がするよ?」
「あ! 忍者になってないのに忍者の真似したら怒られそう」
 樹がつくしへそう言うと、つくしは盛大にズレた方向で納得した。
「御代さん、目の前のお肉焼けてるッスよ」
 米衛門がさり気なく肉が焼けたタイミングを教えることで忍者になる話の発展は阻止された。
 と、彼らの会話が耳に飛んでくる。
 幻想蝶の中はどうなっているか、というもののようだ。
 その内部においては情報に変換して記録されていることより、サイズ・質量などの収納限界そのものはライヴス依存だが広さ自体に際限はなく、英雄ごとに感じて見える景色は異なる、らしい。
 らしいと言うのは、ここにいる全員その内部を知らないからだ。
「内部にはあまり入らないでござるからなぁ」
 小鉄はやっぱり誰も見ていない隙にミノを食べてた。
 ちなみに、かしわ(鶏肉)もいつの間にかない。謎過ぎる。
 が、幻想蝶の内部の話題が聞こえたからか、皆どういう幻想蝶を持っているかという流れへ自然と移っていった。

●誓約の証
「拙者、義肢に仕込んでるでござるなぁ」
 小鉄は仕込んでいる義肢を軽く叩く。
 共鳴する際に能力者と英雄が触れ合う必要がある為影響がないようにしたらしく、薄赤に煌く宝石が見える。
「何の石だろうな」
「拙者は詳しくないでござるなぁ」
 久朗が樹・一二三の合間を縫ってカルビを食べつつ疑問を投げると、小鉄は判らないと肩を竦める。
「私も何の石か判らないけど、青い石。指輪にして身に着けて貰ってる。綺麗なんだよー!」
「オイは右のピアスッスね。やっぱり詳しくねッスから、どういうのかは判んねッスけど」
 いつきがそう笑うと、米衛門が自分も装飾品だとばかりに右耳にある赤いピアスを指し示した。
「わ! ピアスなんですねっ!」
「アクセサリーだと無くしちまうんで身に付けるものにしたッスよ」
 つくしがカッコいいと感心すると、米衛門はピアスにした理由をそのように語った。
「私だったらなくしちゃうと思うけど、大丈夫」
 つくしが安心していいのかいけないのか判らないようなことを言う。
 そう、つくしの幻想蝶はつくし自身が持っている訳ではないのだ。
 能力者のつくしが念じればその手元に幻想蝶は瞬時に来るが、つくしはそれをすることはないだろう。
 理由を聞かれれば、そんなことする必要ないからと傍にいる絶対の信頼と安心の笑顔で答える彼女の、無意識の、本当に無意識の棄てないで行かないでという鎖。
 気づかれているかどうかで言えば気づいているだろうが、つくしの手の平に指輪を1度も置かない彼女の英雄は沈黙を守るのみだ。
「私のはエレスチャル、和名で言うと、骸骨水晶」
 樹が石焼ビビンバ食べる手を止め、ひどく丁寧な所作で幻想的で美しい石を置いた。
 内部に何かがあるように見えるそれは、樹の説明によると、水晶の最終形態、といった所らしい。
 天使のギフトとも呼ばれるそれは、半身に出会えた故の魂の安定もあるかもしれないが、真実は判らない。
「俺は……あ」
 久朗が切り出そうとしたら、目の前の肉、樹と一二三が連続で取った。
 お前の肉は私の肉と言いたげな貧乳と万年貧乏食で餓えてる一二三、スピードは久朗よりも上である。
 全て食べ尽くされている訳じゃないが、狙っていた……のに。
「焼けるまで真壁殿の話を聞きたいでござるよ」
「だから何でいつの間に食べているんだ」
 小鉄が米衛門が新しい肉を投入したのを見、話を振ると、久朗はいつの間にか塩タンがお替りされているのを見てツッコミした。
 気を取り直し、漆黒の手袋に目を落とす。
 この手袋の下に幻想蝶があるのだが、この下は機械の手でもある。
(このメンバーならいいか)
 それでもメンバー以外が目にすることがないよう周囲を確認し、久朗は手袋を取った。
 手の甲に嵌め込まれているのは翡翠の中に天使の白い羽根を連想させる模様が入った神秘的な美しさがある石だ。
 久朗はその名を知らなかったが、人と人を結ぶセラフィナイトと樹から聞いた。
 相手の気持ちを思いやる想像力、気づきを促すフォローをする存在、まさに彼らの関係そのもののような石だ。
「皆色々どすなぁ。うちも宝石関係は詳しいとは思わんけど」
 一二三も自身の幻想蝶の話をしつつ、英雄達の幻想蝶の内部の会話を途切れ途切れに聞く。
 自分達にとっては彼らとの誓約と絆の欠片、その内の世界は聞くだけしか出来ない。
「出会った頃……」
 久朗が左の手の甲に嵌められた幻想蝶を撫でる。
「お世辞にもいい態度はしていなかったと思う。精神的に酷く不安定だった」
 なのに、今はこの場が新鮮であると同時に寂しさを感じている。
 八つ当たりもした、それ以上に向き合わず、無自覚に傷つけていた。
 なのに、いつも笑って……きっと、それに甘えている部分があったと思う。
 いつも笑っているから、幸せな者とは限らないのに。
 それにも気づけないでいた。
 別れのない出会いなどなかったと言えるだけの孤独を知るからこそ笑っていたのに。
「久朗、焦げるッスよー」
「美味しい時期だから置いちゃいますねー」
 米衛門がさらっと告げると、久朗が手袋を嵌めている間につくしがトングで久朗の小皿に乗せた。
 ほんの少し、久朗の顔が和らぐ。
「ありがとう」
 肉の位置自体、久朗の前にあった訳ではなく、つくしの前にあったものだ。
 が、米衛門が声を掛けたのは、店を出る時に「美味しかった。楽しめたか」と声を掛けることこそ望まれているであろうことで、この不器用な男の為になることだと知っていたからだ。
 つくしは具体的に気づいた訳ではないが、美味しいお肉を食べて幸せな気分になったらどうかなと思って自然と動いたのである。
「しかし、能力者と英雄の邂逅は様々でござるなぁ」
「死にかけてたら来てくれたよ?」
 小鉄がそう言うと、樹が何でもないことのようにそう言った。
「そうでござるか。よくあっても困るでござるが、きっかけのひとつなのでござろうな」
「だから、いつの間に食べてるの」
 面と向かった感謝を口に出さないが、小鉄も死に掛けの所を救われた経緯がある。
 それ故になるほどと思ったが、樹はやっぱりいつの間にかなくなっていると出来る時は出来る忍者の仕事を指摘した。
「オイも見逃してるッスよ……」
「うちもこの中では1番古い付き合いなんどすが、覆面の下は見たことあらへん……」
「忍んでいるのでござる」
 気の合う御庭番、しかも野菜のお裾分けまでしてくれる米衛門、付き合い古く、一応忍者の師匠認識の一二三すら小鉄の食べる様を逃している。
 小鉄の生態系を正確に理解しているのは、年下のおかんだけのようだ。

●出会い、そして今は
 で、最初にその年下のおかんの視線に気づいたのは一二三だ。
「おかんの瞳で見てますなぁ」
「実際そうだろう。初詣の時もカイロや温かい飲み物をスッと出したし」
 久朗が見ていない瞬間にささっと上カルビ取りつつ言うと、気づいた一二三が悲鳴を上げる。
 からかい甲斐あるけど、いつか超えたいライバルに後れを取るとは不覚!
「久朗はんにしてやられるなんて、うち不覚やったわ」
「俺だって食べる権利はあるだろう。食べ過ぎだ。あと、樹は肉を摂取しても成長し」
 上カルビと白米を食べながら一二三に反論しようとした久朗、向かいに座る樹に足踏まれて最後まで言えなかった。
「胸とは言ってなかったし、貧乳と言っても無乳とは言って……」
「くろー?」
 久朗、イイ笑顔の樹にまた足を踏まれる。
 大丈夫、通常運行範囲内。
「こうなったら、多少生でも構まへん。上カルビはうちの……」
「いや、それは焼こう」
 一二三へツッコミつつ、久朗は足を踏まれないよう注意しつつスープに口をつける。
「けど、ホントよく気がつく方ッスよね」
 米衛門も良い焼き加減のカルビ食べつつ、話題を戻す。
 肉焼きを主に担当しているとは言え、そこはちゃんと自分の分を確保し、美味しくいただいていた彼は今日もしっかり気を配っているとその様子を見て思う。
「頼りにしてるでござるよ。たまに世話を焼き過ぎる所があるでござるが……」
 たまには自分を優先して欲しい気持ちもあるのだろう、小鉄は年下のおかんに対する感情をこう述べた。
「頼りになるって意味じゃオイも同じッスけど、オイにとっては姉貴ッスかね」
「姉弟のように感じるのは、思考回路が似ているからだろうな」
「ワシらも思ってるッスよ」
 米衛門が小鉄と似て非なる感情を口にすると、久朗が感じていたことを口にすると、米衛門は親友へ笑みを向けた。
「家族、は、私もですよっ。大切な家族です」
「そうか」
 つくしがそう笑うのを見、久朗が少し顔を綻ばせた。
 詳細は知らないが、久朗は任務を通じ、つくしが何か辛いことを知ったのを見ている。そのつくしを頭を引き寄せた姿は家族のものだった。
 その感情が少し出たのを感じ取った樹は表情が最近少し増えたなと思う。
 親密な宿敵、憎まれ口を叩き合える気楽な腐れ縁だからこそ判る変化……それは、彼だけでなしえられるものではない。言うまでもなく、彼が見つけ、願いを叶えてやりたいと願う、深く透明な星の力。
(きっとあの子も同じなのだろうけど)
 樹は久朗が猫アレルギーで猫は飼えないからか、外で十分堪能しているらしい話を耳に拾い、思う。
「うちの感覚としては保護者なんやけど、あっちも思うてはるなぁ」
 一二三は家族に近い感覚として、自分達の間柄をそう話す。
 が、見る者が見れば、一二三がほぼ母親だろうなと判る。
 何だかんだ言って、最終的に一二三が折れているし、何かと世話をしている姿は現状の不満(フミリルはともかく)と言うより、気遣いさえ感じられるのだ。
(外見の姿と中身の違和感……本当の自分やないかもしれへんのは誰でも不安やろうしな。だから我儘言うてしまう所はあるんやろうし)
 一二三はそうではないかと思うから、可愛い妹の保護者のような思いで、その言葉を大人しく聞いてやってる。
 それもまた、火の向こうに家族を失った一二三の、今唯一の家族に対する気遣いだろう。
「私は家族とはちょっと違うかな。半身。私が私である半身。生きていくに必要な全て」
「だから、共鳴すると、2人の目なのかも……」
 樹の言葉を聞いたつくしは共鳴した樹の姿に触れた。
「自分じゃよく判らないけど、んー、実際の視界じゃないんだけど、こう 視界がクリアになるような気がする。共鳴すると、そんな感じになる」
「私は力が湧いてくるって感じかな! あと動きやすくなる感じ!」
「感覚的なのもちょっと違うのかな」
 つくしの言葉を聞き、樹は共鳴すると人によって違うからだろうかと考えてみる。
「オイは、グッと血が滾ってガッと行きたくなるんスよ」
「拙者、ガッと行った時点で怒られるでござる」
 米衛門が自分の感覚を口にすると、小鉄は何度か覚えがあるのか難しい顔をした。
 曰く、小鉄の意識に彼女の意識がどっかと乗るような感覚らしく、頭の中でツッコミされることが多いとか。
「手が出ない分口が出るんだろうな。ガッと行くと、夕飯抜きとかはあるのか?」
「そ、それは今の所ないでござるよ!」
 久朗が彼女の意思を反映したかのような金の瞳をした小鉄の内部事情へそう言ってみると、小鉄が慌てる。
 最近、少し茶目っ気出てないか?
 が、今共鳴していない久朗の感情の動き自体は平常運行である。
 その点については久朗も認めている所だ。
「俺は、少し感情が上向いて何にでも立ち向かっていけるような気持ちになれる」
 白いコートを身に纏い、仲間の為に前に立つのも。
 感情がオープンになるのも。
 それは共鳴をすることで、最も互いの生を補っている状態だからかもしれない。
 補い合って、一緒の時間を生きる自分達の時が最も重なっているのが共鳴だから。
「ブレないっていいと思うんどす」
 そこでぽそりと呟いたのは一二三だ。
 彼の場合、共鳴は彼女のやる気次第。やる気があれば2人を融合させたような男の姿だが、そうではない時、可愛らしい魔法少女フミリルとなり、一二三の精神的ダメージは計り知れないのだ。その為に色々手を考える程だ。(具体的にはスイーツ買収だが、一二三は黙っておいてあげた)
「弥刀殿も苦心されてるでござるなぁ」
「せやろ」
 小鉄が感心したように言うと、一二三がその苦労を示すように深く吐息。
 けれど、一二三はもしかしたらあのフミリルこそ、彼女の本当の姿なのではないかと確信はなくても思うことがある。
 何となくだし、真実は判らないから口にはしないけど。
 と、その時だ。

「……元の、世界に帰りたいと、思うか?」

 その問いは、やけに自分達の耳にクリアに聞こえた。
 元の世界に帰る。
 自分達にとっては、もし彼らがいなくなったらどうするか、という質問と同義だ。
 思わず顔を見合わせた彼らは───

●重なる時に響きを伝えて
「会う前の状態に戻るだけ……かな」
 樹が軽くそう言った。
 当たり前のように呼吸が出来ず、渇いて干からびる……何でもない響きで死ぬだろうと言っているが、樹の感覚は夜更かしするかそうでないかの違いしかない。
「拙者は家事をいつもやって貰っていた故、生活出来るか怪しいでござる。何より寂しいでござるよ」
 小鉄が冷静な樹と違って自分は未熟だと思いながらそう言うと、つくしが樹の隣で顔を俯けた。
「寂しいし困る……かな。今は2人で暮らしてるし……。でも、いつかいなくなっちゃう……よね……」
 寂しげな響きは、一見するとごく普通のもの。
 けれど、つくしの向日葵のイメージに合うかと言われると否となるだろう。
 つくしをよく笑う微笑ましい子と感じていた小鉄はその笑みもきっと傍にいる存在あってのものと理屈ではなく感じた。
(でも、それだけじゃない)
 隣に座る樹は俯くつくしの瞳がそれ以上であると気づいた。
 まるで、自分以外誰もいないような世界に置き去りにされるかのような目だ。
 その意味では、自分と同じものを持っているのかもしれない。
(だから、どうでも良く感じなかったのか)
 樹はそう思うと同時に目の前の久朗を見た。
 久朗は逡巡しているように見えるが───
「俺の時がなくなるんだろうな」
 久朗は、それだけ言った。
 腐れ縁を感じている者達の前でしか言わない言葉だろう。
 彼の星が失われれば、その心に届く光もない。動く時間はもうない。
「そうどすなぁ……。ちゃんと解決すればええんやけど……」
 一二三の言葉は彼女の事情を思ってのものだ。
 自分のことより彼女の不安の解決を案じる程気遣っている。
「オイはその時が来たのかなと思うッスね。変わらないと思うッスけど、無駄に多い食材と付け方の分からない家計簿が残るんじゃないッスかね」
 米衛門はそれこそがありふれた日常の穴だと思うが、その時が来たことを受け入れるだろうと思う。
 理由などを考えるまでもなく、素直にシンプルに。
 山で起こりえるひとつの事象を受け入れるように。
 ただ、と米衛門はこうも言った。
「誓約を結べた英雄はオイ達にとってどうでもいい存在でないのは確かッス」
 だから、命を預ける間柄になれるのだろう。
 なかったことになど出来る筈もない。
 世界を超えて巡り会ったのなら、そういうこと。
「世界を超えて……それも、奇跡だったね」
 つくしは自身の指を見た。
 前は前だけ見ればいい、振り返ることはないと思っていたのに、今は共に戦おうと視線を合わせる。
 それこそが、奇跡だったと思う。
 米衛門はその様を見ていたが、やがて、あちらの動きに気づいた。
「そろそろ出るみたいッスね」
 声をかけ、つくしが出易いようにすぐ席を立つ。
 友人のつくしに何となくそうしたいと思ったが、何故そう思ったのかはよく判らない。
 けれど、時を、想いを重ね合う日々が続く先、山の頂上のような場所でそれが見えることもあるだろう。
 その時、その景色を見る時が来たと思えばいいかと思った。

 店を出れば、それぞれの話をそれとなく聞いて話したことは胸に秘め。
 けれど、今よりもずっと想い重ねて明日を待つ。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【御代 つくし(aa0657)  / 女 / 16 / 能力者】
【真壁 久朗(aa0032) / 男 / 24 / 能力者】
【小鉄(aa0213)  / 男 /  24 / 能力者】
【佐倉 樹(aa0340)  / 女 / 19 / 能力者】
【弥刀 一二三(aa1048) / 男 / 20 / 能力者】
【齶田 米衛門(aa1482)  / 男 / 21 / 能力者】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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真名木です。
リンク形式でのパーティーノベルで発注いただき、ありがとうございます。
焼肉食べつつの深い話ということで、会話を拾いつつ、たまに様子見つつという要素を踏まえて描写させていただきました。
尚、能力者→英雄のタイトルでひとつの文章となっています。
浪漫パーティノベル -
真名木風由 クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2016年03月07日

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