▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『夢の中ならなんでもできる……? 』
ブルームーンjb7506

 高校と蒼白い月をバックにして、女性が一人佇むポスターが、街に大きく張り出されている。
 ネットなどで公表されている年齢よりも、時に若く、時に色香の醸し出されるその姿は、美しい、の一言に尽きる。
 彼女の名前はブルームーン。
 世界に名をとどろかせる、スーパーアイドルである。
 
 
 きっかけなんて忘れてしまった。
 ただ、マネージャーや周囲の言うことにあわせて動いていたら、ここまでの人気が出てしまったという感じである。正直な話、彼女自身も驚いているくらいだが、まあみんなに人気のある【アイドル】というのは彼女自身夢見ていたことである。
 もともと人間界のアイドルに憧れ、人間側に与するようになった悪魔――と言う経緯のあるブルームーンである。
 彼女がスーパーアイドルになるのも、自然な流れと言えただろう。
 デビューした彼女は、小悪魔的な魅力を持つ美少女アイドルとして、あっという間にスターダムの頂点にのし上がった。
 デビュー曲は新人賞を総なめにし、初主演の映画はその年のオスカーも獲得した。
 まさにこの世の春とはこのことである。
 
 
 季節は冬。
 年末年始と言えば、クリスマスや年越し、さらに年明け……ライブやイベント、特番が目白押しになっている。
 そんななか、日本有数の広大なドームで行なわれたファースト・クリスマスライブは、チケットが即日完売という状況であり、プラチナチケットとして扱われたというのも茶の間をわかせたニュースになった。
 当日も会場付近でチケットを求める若い男女、いわゆるダフ屋もかなりの人数が出没して、その日のSNSを騒がせたのも記憶に新しい。
 近年視聴率が下がっていた大晦日恒例の歌合戦も彼女の出場が決まってからと言うものSNSなどは大賑わい。更に歌唱曲が今や伝説にもなりつつあるデビューシングルとなれば、ファンが狂喜乱舞しないわけがなかった。
 そんなこともあって結果的に歌合戦でも大絶賛を浴び、それまで視聴率が年々下がっていたという歌合戦も今回はV字回復に成功したのだとか。
 さらに、直後に開催されたニューイヤーのカウントダウンライブもクリスマスライブ以上に盛り上がりをみせた。何しろ世界生中継まで行なわれてしまい、これ以上の盛り上がりはないだろうと言われるくらいだった。
 もちろん、年始の特番にも引っ張りだこ。彼女の姿を見ない日はない、と言われるくらいの勢いで、ブルームーンは芸能界を飛び回っていた。
「皆さん、ありがとうございますわー!」
 どんなに人気が出ても口調はどこかお嬢様らしさがあり、デビュー当時から過去をあまり多く語っていなかった(と言うよりもそう言う風にするようマネージャーにも指導を受けた)こともあって、ミステリアスビューティ、なんていう呼ばれ方もされるブルームーン。
 青い髪と青い瞳は、誰の目をも惹きつけた。
 
 そんな世界的カリスマアイドルになったブルームーンは、今の状況にひどく満足そうに微笑んでいた。
 もともとアイドル志願だったこともあって、芸能界の荒波を越えていけるかは本人にも不安があったのだが、今では彼女の熱狂的なファンが世界各地に数多くいて、彼らのファンコールが彼女の元気の源でもある。
 そう、まるで自分を中心に世界が回っているかのよう。
「猫っかぶりも疲れるわね……」
 とはいえ、むろんそれが彼女のすべてではない。ひとりになれば、いつも被っている猫も脱ぎ捨て、のんびりと自分の時間を楽しむ。
 マスコミには小悪魔キャラとも言われているが、実際にはかなり……いや相当性格が悪い。
「芸能界も色んな人がいるけど、こんな風にちやほやされまくるなんて、ホントに夢みたいよね! ああ、このまま覚めなければいいのに!」
 思わずそんなことも思ってしまう。
 
 けれど――現実というのは結構残酷なモノだ。
 ぱちんと目を開けたブルームーンは、周囲をぐるりと見渡して、そして、ため息を一つつく。
「……本当に、夢だったのね」
 凄く素敵な夢。夢が叶う、夢。
 だけれど今のブルームーンは撃退士で、そこから逃れることはまだ出来ない。
 でも、もし叶うなら。
 本当にアイドルになれるなら。
 そしたら、きっと幸せなのに。
 そう思い、深くため息をつくのであった。
 
 
━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
【jb7506 / ブルームーン / 女性 / 18歳 / スーパーアイドル】



ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛

時季外れになってしまい申し訳ありません!
このたびはご発注ありがとうございました。
夢オチ、とあったので、このようなかたちにさせてもらいました……アイドルを超越した何かのような、そんな存在になったような。
現実感のないくらいのほうが、逆に夢らしいかなと思いましたので。
どうか、本当にアイドルになれることを、そっと祈っております。
では重ねて、ありがとうございました。
初日の出パーティノベル -
四月朔日さくら クリエイターズルームへ
エリュシオン
2016年03月16日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.