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『アリシアへの質問 』
春日 啓一ka1621
 
 ● どこかの場所で
 暗く何も無い空間に学校で使うような椅子が二つ。
 スポットライトを浴びる椅子に座った二人の人物。
「ここはどこだ? ってあんたがいるって事は死んだ記憶がねえからこりゃ夢かね……夢ならちょうど良い、あんたにゃ聞きたい事があったからな、答えてくれるなら答えてくれ、でねえと寝覚めが悪いからな」
 春日 啓一(ka1621)は目の前の女性――アリシア・ジーナス(kz0149)へ、そう話しかける。
 嫌に落ち着いた様子の春日に同じように殺意を見せないアリシア。
「あんたは、だれだい?」
 落ち着いた声で春日にそう、問いかけるアリシア。
「そうだったな、直接あったことはなかったな」
 どちらかと言えば他のハンター達のほうがアリシアと合うことが多い。
「春日、春日 啓一だ」
「そうかい、あたしは――リシア・ジーナスさ」
 互いに自己紹介を始める。
「見ての通り――見ての通りなのか……ハンターをしている」
 そうアリシアに告げる春日。
「あたしは――あんたの言葉を借りれば、見ての通り歪虚だ」
 自嘲気味に答えるアリシア。
「さて、ここが何処も判らない場所にあたし達はいる――いや、あたしだけか――」
 春日に話しかけ――何かを考える様子のアリシア。
「俺にも『此処』がどこかはわからねぇ……だが、いい機会だ」
 何かを考え黙りこむアリシアに問いかける春日。
「やろうってのかい? ここで」
 すっと、構える様子のアリシア――とは言うもののただ警戒しているだけのようだ。
「いや――せっかくの機会だから聞いてみたいことがあってな」
 春日のその言葉を聞くと構えを解くアリシア。
「ほぅ? どんなことだ? スリーサイズとかか?」
 春日の言動に興味を持ちからかうよように言うアリシア。
「あー、そういうのはいい――聞きたいことはだな――3っつある」
「ほぅ?」
 興味深そうなアリシア。
「1つ目は――リーナを求めて戦い続けたが、どうしてそれを諦めようとは思わなかったのか?」
 アリシアの前に腕を差し出し指を一本立てて言う春日。
「リーナ……? あの子豚ちゃんのことかい?」
「子豚……ああ、そうだ」
 『子豚……』と口の中でつぶやきながら答える。
「2つ目は――結局の所、過去に何があったのか、レジーナが傍にいたはずじゃないのか?」
 二本目の指を立てる。
「レジーナ……懐かしい言葉だ」
 懐かしそうに『レジーナ』と言うアリシア。
 最後の三本目の指を立てる。
「3つ目――討ち果たされて、安心したのかそれともまだ心残りや未練はあるのか?」
「ああ、あたしは――死んだのか……否、滅ぼされたのか」
 春日の言葉に反応するアリシア。
「できれば――答えて欲しいが――初対面だ、言えないこともあるだろう――無理強いはしない」
「あたしを倒したボーナスとして答えてやるさね」
 春日の言葉に楽しそうに答えるアリシア。
「1つ目は――」
 アリシアは前に差し出された春日の指の一本を優しく折りたたむようにして言う。
「そうさね――歪虚としての『渇望』とあたし自身が求める『気持ち』――そして、あれさね――大人気なくヤケになってたというのもあるさね」
 最後は恥ずかしそうになって答えるアリシア。
 歪虚としての本能、求めると言うアリシアの気持ち、そして手にはらないからこそのムキになってた。
 それがアリシアが『春日』に答えた答だった。
「昔か……そうさね――」
 懐かしむように二本目の春日の指を優しく折りたたむアリシア。
「レジーナ……あの子はいい子さね。昔――あたしが舞台を率いてた時は副官として右腕になってくれてた子だね」
 昔のことを話しだすアリシア。
「『あの事件』――隊が解体する結果になったあの時――あたしとレジーナは……叛意を警戒されて物理的に隔離されてたさね。
 『事件』の処分を不服とした隊員が事を起こさないようにそれぞれ隔離されていたようだ。
 それが答えのようだった。
「倒されてね――」
 清々したように言いながら最後の指を優しく折りたたむアリシア。
「正直な話――呪縛から解かれたいう気持ちが大きさね。歪虚の本能はあたし自身を狂わせ歪めさせるさらさね――だから、本当はあんた達には感謝してるさね」
 そう答えたアリシア。
「さて、どうやら時間のようさね」
「そうなのか?」
 椅子から立ち上がるアリシア。
「最後にあたしが『あたし』だった頃の姿を見せてあげるさね」
 そう言うと――一瞬光ったと思うとそこには生気あるアダをした女性が一人いた。
「そう、実のところ『私』はこ言うのも好きなのよ」
 シンプルな白いワンピースを着た女性――姿からはアリシアだと認識できる。
「……変わるもんだな」
 アリシアの変わった姿に驚く春日。
「そうでしょ? 意外と――乙女なのは好きなのよ。ま、立場もあるしね」
 そうアリシアが微笑んだかと思うとふっと幻のように目の前から消えた。
「……どうやら『俺』も時間のようだな」
 消える春日――残ったのは二脚の椅子だけ。
 
 ブルゲド族のハンター用に用意されたゲルで目を覚ます春日。
 アリシアとの戦闘も終わり一休みしていたところを眠ってしまっていたようだ。
「何かのきっかけで明日は俺があっち側かも知れねえな……今、俺の居場所をくれた人たちには感謝しねえとな」
 そう、感慨深く呟く春日だった。
 
 
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
【ka1621 / 春日 啓一 / 男 / 17 / ハンター】
【kz0149 / アリシア・ジーナス / 女 / 28 / 歪虚】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 どうも、お待たせしました。
 後醍醐です。
 ただ、質問に答えるだけでは味気がないので
 本編では見せなかった人だったらIF的な
 人の時のアリシアを表現しました。
 もしアリシアが――歪虚にならずハンターになっていれば
 見せていたかもしれない姿の一面です。
 そんなIFがあってもいいのかもしれません。
 この度は発注ありがとうございました。
 ご縁がありましたら、またよろしくお願い致します。
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ファナティックブラッド
2016年03月22日

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