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『 薔薇は愛を知り華ひらく 』
天谷悠里ja0115)&シルヴィア・エインズワースja4157

 恋人の、愛を誓い合った者同士でする深い口づけの後、ガゼボの椅子へ座るシルヴィア・エインズワース(ja4157)の前に天谷悠里(ja0115)が立っている。口づけの余韻は二人の中にはっきりと残り一度外した視線はそっとお互いの姿へと戻る。
 悠里は不思議な感覚だった。
 いつもは騎士の姿のシルヴィアが座る私を見つめている。その表情は凛として、まだ見ぬ英国騎士よりも騎士の様だろうと思う。しかし、今目の前に座っている、白いドレスの女性は同じ人物のはずなのに、全く違って見える。少し赤くなった頬、自分を見上げる瞳はいつもより大きく見え、いつもと違う角度からの光で、いつもの青と微妙に違うように感じる。月の様に清楚で可憐な白いドレスは凛としたいつもの彼女のイメージを残しながらも可愛らしさが引き立ち、黙っていればフランス人形のような愛らしさがある。
 いつもはシルヴィアのものになりたい。自分を奪ってほしい。と言った受け身の感情を持っているのにもかかわらず、今は逆。シルヴィアを自分のものにしたい。彼女を奪い去ってしまいたい。そんな衝動にも似た気持ちがこみ上げてくる。こんな気持ちは初めてで、抱く事があるとも思っていなかったが、思ったよりもというより全くと言っていい程抵抗感はない。

 視線を合わせたまま跪く様に腰を落とし、シルヴィアの頬に手を添えた悠里がそっと唇を奪う。いつもなら言うはずの許可を求めるような言葉はなかったが優しいキスだった。何度かの後、徐々に深く唇を重ねる悠里の口からは何度もシルヴィアの名や愛がこぼれる。自然にあふれ出て止まらないのだろうが、言葉や悠里をシルヴィアの心に刻みつけ、自分だけのものにしたいと言外に言っているにも聞こえた。シルヴィアはそんな悠里の愛の言葉に身を委ね愛の言葉を返しながらそっと抱きしめる。その抱擁は優しく、言葉になった愛を受け止めたいと言っているようだった。

 シルヴィアもまた悠里を見上げながら不思議な感覚でいたのだ。いつも守る様にしてきた悠里を自分が見上げている。それは守られる姫の様で姉に付き従う妹の様だと。いつもの可愛らしいイメージと全く違う艶やかで色気の漂う真紅のドレス。いつもはどこかあどけないその表情は純粋さを残したまま凛として、今の自分よりよっぽど騎士の様ではないかと錯覚しそうなほどだ。守りたい。奪いたいと言った気持ちばかりだが今は彼女に奪われ身を任せたいと心から思う。それ故に言葉のないキスにも異論はなく、そのまま身を委ね。彼女の愛を感じたいと心から思えた。

 愛の言葉と唇を重ねた二人はより添い座りながら余韻を楽しみながら少し会話をしていた。その間も時折どちらからと言う事もなく口づけをし、指先と指先を絡める。勿論まだ溢れて止まらない愛の言葉も会話にはふんだんに織り交ぜられている。それは友人のそれでもなく、恋人のそれでもなく、互いを愛し信じるからこそ出来るパートナー同士の睦言。
 ふと、シルヴィアは互いのドレスを見て思う。以前来た時の二人はまだつぼみだったのかもしれないと。そしてそうすればなんとなくではあるが合点がいくきがした。
 そっと悠里にそのことを耳打ちする。

 白い薔薇のつぼみは『恋をするには若すぎる』

 赤い薔薇のつぼみは『純粋な愛に染まる』

 つまりここで式をするまでの私たちを示し、誓いの口づけをして華は開く。

 白い薔薇は『私はあなたにふさわしい』

 赤い薔薇は『あなたを愛してます』

 悠里は少し驚いたが考えながら話し始める。シルヴィアと私のパーソナルカラーのドレスを最初に来た時は少女たちが用意してくれていた。それなのに、今日は全然違う色のドレスで着た時は似合うか不安だった。シルヴィアに白のドレスは似合っていたけど、いつもと雰囲気が違いすぎてドキドキすると。
 同じことを考えていたというシルヴィアに二人は小さく微笑んだ。
 いつもと違う装いは違う気持ちさせてくれる。誰に言われたでもなく、誰に教えられたでもない。お互いに自分で気が付き知ったいつもと逆の愛の味。悠里は相手を奪う、シルヴィアは奪われる愛の味を知る事が出来たのもこの店の魔法かも知れないと。

 
━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【 ja0115/天谷悠里/女性/18/純粋な愛の赤】


【 ja4157/シルヴィア・エインズワース/女性/23/貞淑な純潔の白】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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今回もご依頼ありがとうございました。
前回の続きと言う事で書かせて頂きました。今回は静かで穏やかな愛を表現するべく、台詞を排し無声映画のようにしてみましたが、いかがでしょうか。

お気に召されましたら幸いですが、もしお気に召さない部分がありましたら何なりとお申し付けください。

今回もご縁を頂き本当にありがとうございました。
お二人の幸せをお祈りしつつまたご縁があることを心よりお待ちしております。
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龍川 那月 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2016年04月08日

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