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『二色の愛が混ざり合う日 』
サクラ3853)&エスメラルダ・ポローニオ(3831)

 思いが通じ合った二人ではあったが、互いの忙しさ故なかなか愛を育めずにいた。
 もともと父親を探す為だったが、サイレンソングを爪弾くハープの名奏者にして歌姫、さらにはモデルのサクラ(3853)はその美貌とスタイルの良さで色々な所に出かけなくてはならない。一方のエスメラルダ・ポローニオ(3831)は冒険商人。様々な国を旅し手に入れた商品を遠くの地にいる好事家に売りさばくのが彼女の仕事。一部を除き目の肥えた
好事家達をうならせる為、ダンジョンで自ら商品となるものを手に入れなくてはならない。多くの恋人たちが会えない時間にすれ違い離れていく中で二人は忙しいながらに逢瀬を重ねていった。一日と言わず一晩と言わず、少しでも会えるならその為の労を惜しまず、会えない時間は己の仕事に全力で取り組む。互いを思うからこそ恥じない自分であろうと一生懸命に。それが互いの愛を育て深めていくのだった。

 夜の海。波の音だけが支配する静かの海に二つの人影。サクラとエスメラルダだ。二人の逢瀬はいつも夜の海で重ねられている。服を脱ぎ一糸まとわぬ姿になった海にその身を沈めていく。すると瞬く間にセイレーン本来の姿に戻る。いつも人の姿の彼女も海水に浸れば元に戻るのだ。
「エスメラルダちゃん……」
 エスエラルダも生まれたままの姿でそこにいた。岩場に腰を下ろし足をそっと海に浸す。そして目を閉じた。聞こえるのはサクラの歌声。本来人間には理解できないエスメラルダが歌うセイレーンの歌曲は波の音を伴奏にそれでも心地よく頭にの中に響きわたる。
 暫く聞いていると、エスメラルダはその歌声に夢見心地になったのか頭がぼうっとしてきてしまう。このところハードだったからかもしれないと思うエスメラルダはもっと歌声を堪能しようと意識を強く持とうとする。すると霞のかかったようなぼうっとしているせいか、さっきまでメロディしか分からなかったはずの歌詞が聞こえる気がした。耳を澄ませば済ますほどはっきりと言葉は聞こえてくるのだ。なんて綺麗な歌なんだろう。純粋にそう思えた。まるでサクラの心の様。そう思いながら聴いていると歌が終わった。感想と言うよりは賛辞の声をかけようとそっと目を開けるとそこには
「魚?」
 脚のあるはずの部分が魚になっていた。鱗は足先へ緑から紅色のグラデーションになっている。よく見れば薄桃色の珊瑚と白い真珠で飾られたその姿はサクラの姿に色こそ違えそっくりだ。サクラの方に視線を向ければ先程まで暗くてよく分からなかった夜の海が見渡せるほどにはっきりと見え、星や月の光を受けた水面でサクラの髪がキラキラと輝いている。
「可愛い。みて、エスメラルダちゃん」
 そう言って、サクラが水面を鏡にしてエスメラルダの姿を映し出す。そこにいたのは人ではなく愛らしい人魚だった。穏やかにしかし嬉しそうに微笑むサクラの表情にエスメラルダも微笑み海へと身を投じる。

 夜の黒い波間、誰にも見つからないまま二人の人魚姫は見つめあい愛の言葉を交換する。そしてその言葉を互いの身体に封印するように唇を何度も重ねた。そんな愛の交歓は徐々に深くなり、触れるだけだった口づけも深くなっていく。
「可愛いわ」
 深いキスに慣れないエスメラルダはその度に頬を赤らめ恥ずかしそうにどうしたらいいのかわからないと言った表情をする。それが可愛らしくてサクラは仕方がない。本当に彼女の初めてが自分でよかったとサクラは思う。そんな顔を他の人に見せるなんて知ったら酷く嫉妬してしまうかもしれない。
 そう微笑むサクラにエスメラルダはずっとこのままならいいのにと思ってしまう。そういえば、とエスメラルダはセイレーンに関する伝承を思い出す。ある海沿いの街できいた話だ。
 セイレーンは男と結ばれれば人として稼ぎ、女性を愛したら相手に飛躍を飲ませ永遠に同じセイレーンとして花嫁に迎えるのだと。それがセイレーンの愛の形であり、愛の証。そして、自分の姿をもう一度見る。その姿はサクラと同じ人魚、つまりセイレーンの姿。
「……」
 耳まで真っ赤になってエスメラルダが黙り込む。自分の真意に気が付いたと察した桜がそっと抱きしめる。
「びっくりした?驚かせたならごめんなさい。エスメラルダちゃんちゃんと言うわね。今じゃなくていいのだけれど決心がついたら私の花嫁になってくれないかしら。一緒にセイレーンとして生きてほしいの」
 それは、永遠を約束する愛の告白。エスメラルダは真っ赤な顔したままこくりと頷いた。確認は必要なかった。エスメラルダはそういう事が必要な女性ではない程にしっかりしている。その彼女が頷いたのだからそういうことなのだ。
 二人は愛を交換するように、交歓するようにそっと口づけを交わす。
 その口づけは海の辛さなどみじんもなくただただ甘い口づけだった。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【3853/サクラ/女性性/27歳(外見)/海の如き愛】


【3831/エスメラルダ・ポローニオ/女性性/20歳/太陽の如き愛】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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再度のご依頼ありがとうございました。
互いを想うお二人の愛情が通じ合い、混ざり合い、より大きな愛になっていったらいいなと思いその願いを込めさせていただきました。

お気に召されましたら幸いですが、もしお気に召さない部分がありましたら何なりとお申し付けください。

今回はご縁を頂き本当にありがとうございました。
お二人のどんなエンディングが幸せなものになりますように。
PCシチュエーションノベル(ツイン) -
龍川 那月 クリエイターズルームへ
聖獣界ソーン
2016年04月08日

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