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『―― 闇への誘い ―― 』
アリスjc2226

「……ここ、ね」
 アリス(jc2226)は、宝を目当てにとある遺跡に来ていた。
 怪しげな雰囲気を醸し出す幾何学模様の遺跡は、何故かアリスの身体を身震いさせる。
「パッと見ただけでは、普通の遺跡のようだけど……本当に宝なんてあるのかしら?」
 ぐるり、と遺跡内を見渡し、アリスは何か仕掛けがないか、と壁に手を置く。
 ひやりとした感覚がする以外は、特に変化もなく、アリスはため息をつきながら探索を続ける。
「……もしかして、この遺跡ははずれなのかしら? 来るだけ損だったのかもしれないわね……」
 アリスが再びため息をついた時、腹部に銃のようなものが当てられた。
 しかし、豊満なスタイルを持つアリスは気づくことが出来ず、そのまま壁の探索を続けている。
「仕方ないわね、他の場所を――……」
 探してみよう、と言う前に腹部に激しい痛みが走る。
「なっ、何……!?」
 アリスは慌てて痛みの場所を見ると、壁から出現していた銃のようなものからアリスのヘソの中へ何かを射込まれていた。
「……何、これ……」
 アリスが異物を確認すると同時に身体から力が抜け、その場に膝をついてしまう。
(あの銃のようなものから、何かを身体の中に入れられた……?)
 自分の身体を調べようとした時、アリスは自分の腹が膨張していくことに気づいた。
「きゃああっ! な、何なの、これ……!」
 アリスは気づいていないが、彼女の身体の中に入れられたのは魔力を吸収して膨張する結晶。アリスの魔力の強さが災いして、身体の中の結晶はどんどん膨張していく。
「……くっ、ぅ……! と、とにかく、逃げなきゃ……」
 痛む身体を堪え、壁に手をついて、アリスは遺跡から逃げ出そうとする。
 けれど――……。
「きゃああああっ!」
 アリスが逃げようとした瞬間、今まで静寂を貫いていた遺跡が稼働を始め、壁から出現した拘束具のようなものがアリスの身体を捉える。
「なっ、なんなの、は、離しなさい……!
 拘束具から逃れるため、アリスは身体をよじるけれど、激痛のせいで力を奪われ、アリスは思うように力を出すことが出来なかった。
(油断したわ……まさか、この遺跡がこんなに危険な場所だったなんて……)
 後悔しても自分の置かれる状況が変わることはないのだが、それでもアリスは悔やまずにはいられなかった。
(なんとかして逃げなきゃ、このままだと……ここで殺されてしまう……!)
 死というものをまざまざと実感させられ、アリスの頬に嫌な汗が伝う。
(どんどん魔力も奪われている感覚がするし、どうすれば……)
 アリスが必死に思考を巡らせていると、壁からチューブのような機械が現れる。
 それを見た途端、アリスは残っていた最後の希望が打ち砕かれたような感覚に陥った。
「い、いや……! やめて、いや――――ッ」
 アリスの悲鳴もむなしく、再度先ほど射込まれた結晶がアリスの中に入れられる。
「あ、あ……っ」
 しかも今回入れられたのは、ひとつではなく複数。
 そのせいかアリス自身を襲う痛みも、結晶の数だけ激しいものとなる。
「――ッ!」
 感じたことのない痛みに、アリスは悲鳴すらあげられず、口をパクパクとさせるだけ。
(こんな場所に、来るんじゃなかった……あの、宝の地図さえなければ……)
 偶然入手してしまった宝の地図のことを恨みながら、アリスはゆっくりと意識を落としていく。
「……」
 完全にアリスの意識がなくなると、壁に穴が開く。
 人がひとりだけ入れるサイズのそれに、アリスは押し込められ、それと同時に遺跡はシンと静寂に包まれる。
 そして、とある場所からひらりと一枚の地図が現れる。
 その地図は風に乗って遺跡から出ていく。
 まるで、次の犠牲者を待つかのように――……。
 上手い話には裏がある。
 それに気づいた時は既に遅く、この遺跡の動力源として取り込まれた後なのだ。

―― 登場人物 ――

jc2226/アリス/女性/20歳/ダアト

―――――――――――

アリス様

初めまして。
今回執筆させて頂きました水貴透子と申します。
今回はご発注頂き、ありがとうございました。
ダーク&ホラー調をご希望とのことでしたが、
いかがだったでしょうか?
気に入って頂ける内容に仕上がっていれば幸いです。

それでは、また機会がありましたら宜しくお願い致します。
今回は書かせて頂き、ありがとうございました!

2016/4/17

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水貴透子 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2016年04月18日

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