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『二人の出会い 』
セレニテス・ローシェka4911)&ジン=T=インペリアルka4904

 或る日のとある街の夜。
 二人は依頼を終えて食事をとりにレストランへやってきた。
 窓の外はしとしとと雨が降っている。
「ねえ、ジン。そういえばこんな雨の日じゃなかったかしら」
 セレニテス・ローシェ(ka4911)はどこか懐かしむようにジン=T=インペリアル(ka4904)へ言う。
「そうだな……懐かしい」
 セレニテスと共にジンも窓の外を見る。
「雨の日。トパーズを盗んで逃げてるあなたとぶつかって、色々あって一緒に逃げた出会いの日は」
「そんな事もあったな」
 お互いに懐かしむように窓の外の雨の様子を見ている。
「ほんと大変だったわね……掌の半分はある大きなトパーズ、追いかけてくる用心棒」
「ま、アレだけの物だ、相手も必死になるさ」
 窓の外の雨はまだ続いている。
「ジンが最後に私とトパーズをおとりにして用心棒を不意打ちして逃げたのよね……」
「あの時はああするしかなかった。すまないな」
 すまなそうに言うジン。
「でも、そのおかげでこうやって出会えたから……」
 二人の出会いは突然だった。

 ●運命の時
 時は遡って或る日。
 昼、ジンは『目的』の為に街中で情報収集をしていた。
 気さくに、街に溶け込むような形で。
「きゃっ」
「おっと、嬢ちゃんすまんな」
 ジンは大通りの人混みで少女にぶつかってしまう。
 幸い、肩が当たる程度だったので少女の方も転ぶようなことはなかった。
「いえ……こちらこそすみません」
(田舎から出てきてまだ人混みに慣れてないのかしら……)
 ジンに謝る少女――この少女こそがセレニテスだった。
 ジンとセレニテスの初めての邂逅――それは些細なものだった――後からの事を思えば。
 こうして、二人共は何事なく人混みへと消えていくことになった。
 
 夜――雨が降っていた。
「戻って何をしようかしら……」
 自宅へ戻ったら何をしようかと考えながら道を歩いているセレニテス。
 前から走ってくる男がいるがセレニテスは思案して気がつかない。
 男の方も必死に走っているようで前のセレニテスに気がついていない様子だ」
 故に――。
「キャッ!」
「おっと! ……お昼のお嬢ちゃんか、大丈夫か?」
 セレニテスにぶつかる男――昼にセレニテスにぶつかった男だ。
 ぶつかられたセレニテスは尻餅をついてしまう。
「っつ……」
 運悪く、雨に濡れた道のせいで濡れてしまったようだ。
「すまん、濡れてもうたな」
 と、セレニテスの手をとって立ち上がらせようとして――。
「えっ?」
 男に持ち上げられるセレニテス――突然の出来事にびっくりする。
 さすがのセレニテスもとっさの事で思考が停止している。
「すまんな」
 そう言うと、男がセレニテスをお姫様抱っこの形で抱えて走りだした。
 人を抱えてるにしては早い足取りで走っている。
「逃がすなー!」
 後ろからは怒声が聞こえてくる――それに混じって銃声も。
 異常事態とも言える状況だ。
「え? え?」
 この事態の状況を把握できないセレニテス。
(……一体、何が起こっているの?)
「ちょっと、付き合ってもらうで」
 お姫様抱っこのままセレニテスを抱えて逃げる男。
 後ろからは男を追うカタギには見えない男たち。
「……」
(この人は追われている?)
 男はセレニテスを抱えながらジグザグに走って銃弾を避けながら逃げている。
 抱きかかえられたセレニテスからは追ってくる男たちが見える。
 街の中をセレニテスを抱きながら、表通りから裏通りまで様々な場所を逃げまわる。
 大通りからスラム街、娼館通り――街のあらゆるところを。
(……こんな所は初めて……)
 王国の田舎から出てきたセレニテスにとっては行ったことのない場所まで逃げ回っている。
 銃を撃ちながら追いかけてくる男たちもタフだ。
「ちょっと、激しく揺れたりするけど堪忍な」
「きゃっ!」
 男は抱きかかえながら、飛んだり跳ねたりしながら障害物を避けつつ、抱きかかえているセレニテスにも障害物と銃弾に当たらないように逃げている。
(……どうしよう……)
 この状況にドキドキしているセレニテス。
 されるがままの状態であった。
 街中を駆け抜けて逃げる逃亡劇は結構な時間が経って来た。
「しつこいやつやなー」
 長時間にわたって執拗に追いかけてくる男たちに男はうんざりした様子だ。
「貴方、一体何をしたの?」
 男に問い詰めるセレニテス。
「ん、ちょっとな」
 そう言いながら男は掌の半分ほどある大きいトパーズを見せる。
「もしかして……」
 未だに執拗に追いかけている原因はこれなんだろうと気がついたセレニテス。
「想像通りや――追いかけっこも面倒になったし……ほな、あとはお任せするわ。取り返したって事にでもしといてくれ♪」
 と、お姫様抱っこからおろしてトパーズを渡す男。
「えっと……えー!? 私が!?」
 そう言うと男は闇へと消えた。
 その後、セレニテスは追いかけてきた男たちにトパーズを渡して事なきを得た。
「……散々だったわ……」
 (帰りにいざこざに巻き込まれるわ、服は濡れる……)
 ●後日談
 或る日の朝――。
「今日も良い朝ね」
 天気は快晴のようだ――鳥の鳴き声も心地よい。
 いつものように太陽の陽を浴びて起きるセレニテス。
「ん?」
 視界に朝日に照らされて光っているものが目につく。
「……これは宝石?」
 後日、鑑定してもらうと『パールムーンストーン』の宝石だった。
「……置き手紙?」
 宝石の下に置かれていた置き手紙を読むセレニテス。
 『欲しいモノがあるときはお任せあれ Jing』
 そう書かれた手紙にはジンの連絡先も書いてあった。
「あの時の――」
 そう、あの夜の出来事を思い出すセレニテス。
 お姫様抱っこされて連れ去られるように一緒に逃げたあの夜。
「この宝石はお詫びって言う事ね」
(今になって思えば……色んな所を逃げまわって行ったわね……そうね、お詫びに美味しい料理のお店でも紹介してもらおうかしら)
「ジン君? あの時の――そう、私はセレニテス・ローシェ。それで……」
 連絡先に連絡するセレニテス――。
 
「よ、エレ嬢ちゃん」
「待っててくれたのね」
 待ち合わせ場所にジンが先にいた。
「ご要望ということで、美味しい料理の店を紹介するで」
「楽しみにしているわ」
 こうして二人は『レストラン』へと向かっていく。
 その後、二人はそのレストランをよく利用するのであった。
 
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka4911 / セレニテス・ローシェ / 女 / 15 / 聖導士】
【ka4904 / ジントパーズインペリアル / 男 / 18 / 舞刀士】
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 後醍醐です。
 お待たせしました!
 出会いの話という記念的な重要な内容でしたので試行錯誤しました。
 それ故にうまく書けたちょっとドキドキしております。
 やっぱり抱えられるならお姫様抱っこがいいですよね。
 肩に担がれたら、それこそ人さらいっぽくてロマンがないです。
 イメージとしては某アニメの主人公がヒロインをお姫様抱っこしているようなイメージです。
 そんな感じで街中を逃げまわる二人。
 お待たせしましたが、ご発注ありがとうございました。
 緊張しつつも楽しく書かせて頂きました。
 また、ご縁がありましたらよろしくお願い致します。
浪漫パーティノベル -
後醍醐 クリエイターズルームへ
ファナティックブラッド
2016年04月19日

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