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『 毒種が魂を喰らい尽くす時 』
アルテミシア3869)&アリサ・シルヴァンティエ(3826)

 神を神足らしめるものは信仰。
 信仰心が、信者が変われば神の本質は変わる。
 信仰は振る舞いとして現れる。
 信者の振る舞いや信仰心は神を侵す毒にもなるのだ。


 昼間はスタンドグラスを通して入る日の光が温かくそれに照らされ虹色に染まる女神像が見守る。結婚、豊穣そしてそこから育まれる生命の女神を奉じる為の神聖な領域。
 何組もの恋人たちがここで愛を誓い口づけ将来を約束しあう。彼らはこれから幸せになると信じて疑わない。この教会の主とも言える聖女ががかつて己の幸せを信じていたように。

 しかし、そんなものが訪れない。少なくともアリサがアルテミシアの使徒となり今までの「アリサ」が薄っぺらな仮面になった後、ここで愛を誓い合った恋人たちには決して。

 教会内で毎夜重ねられる淫らな交わりは、女神の信徒を堕落させるには十分なほどに教会を、女神を汚した。
 聖女が生娘でなければならない理由は、神だけへ愛を注ぎ人がもつ性という本能の衝動に負けぬようにするための戒律。聖女が汚されればその信仰に雑念が入り神が神聖なものではなくなってしまう。神は精神性を貴ぶ為目の前で行われる淫らな行為はそれだけで神を冒涜する儀式に繋がる。


 しんと静まり返った夜の教会には月光が鋭く差し込み、その光の強さからだろうか、女神像の影と共に入口まで伸びていた。それは奇しくもこれから行われる結婚式を彩るように見えた。
 黒薔薇のドレスを纏った女性が二人。静かにヴァージンロードを歩く。その左右には喪にふくかのように漆黒のドレスを身に纏った女性たちが参列している。誰もかれもここでアリサという偽りの聖女の前の導きで知らず知らずとアルテミシアへの誓いを結婚式で捧げた女達だ。

 結婚の女神からと信じたままアルテミシアからの祝福を受けた女達は闇の祝福と共にその心に植えられた堕落の種が芽吹くとアリサのものへ戻り自ら進んで『手ほどき』を望んだ。アリサはその芽に手技をはじめとした『手ほどき』と言う淫らな水をたっぷり与えた。水を得た種は成長し心を蝕み本格的に堕落させていく。そして女たちはもっと高度な『手ほどき』を望むようになるのだ。

 黒薔薇のドレスを纏うアルテミシア(3869)とアリサ・シルヴァンティエ(3826)が祭壇、女神像の前にやってくるとアリサがすっと跪いた。恭しく首を垂れるその動きは蝶が舞い降りるように美しかった。

「私、アリサ・シルヴァンティエは愛欲と淫欲、そして淫らな行為に身をやつすことに至上の悦びを感じるアルテミシア様だけの淫らな娼婦であることを誓います」

 そのまま這いつくばる様にアルテミシアの足の甲へ口づける。屈辱的であるはずのその言葉と行動に異を唱える者はいない。アリサ自身も恍惚とした表情を浮かべこの行為自体が彼女の身体を火照らせているようだった。

「私の存在全てはアルテミシア様のもの。彼女の為に生き彼女の為に死ぬことは私にとって最上の歓びであることを誓います」

 足の甲に息がかかる様な位置で紡がれる言葉は騎士が生涯の主へ忠誠を誓う時の文言ににていた。唇はそのまま足の爪先に滑りヒールの上から崇拝のキスが落とされる。そこに神聖さなど欠片もなくただただ狂気と背徳だけが充満していた。

「私は未来永劫アルテミシア様だけを愛し、彼女の愛だけを受け入れ溺れることを誓います」

 アルテミシアの顔を見上げ脚にすがりつく様に誓いの言葉を口にすれば、それに応えるようにそっとアルテミシアがドレスを少したくし上げる。潤んだ瞳と上がった息をそのままにアリサは脛に唇をふれさせる。
 それは結婚式と言うには盲目的で狂気的だった。これではアリサが一方的に愛を誓うようだ。それこそ美しき女神に恋い焦がれる人間がそれを月に祈るようなそんな印象さえ受ける。
 アルテミシアはそれこそ優しい女神のように穏やかに微笑み、そっと手を引き立たせるとアリサの胸元にその艶やかな唇をふれさせた。かつての儀式で口付けた場所と同じところだ。アリサの内に甘美な痺れと共にあの時の淫らな記憶がよみがえる。そのキスは所有と堕落の刻印。アルテミシアだけの娼婦である証がより深く刻み付けられる。
 アリサの意思とは関係なく身体が反応する。心だけでなく身体自体がアルテミシアのキスで快楽を感じるようになってしまっているのだろう。その反応に気をよくたのか口付けたまま愉悦の笑みを浮かべたアルテミシアはそっと腰を抱き引き寄せる。

 唇を少しだけ離し吐息だけを走らせてもう片胸にも口づける。首をのけぞらせ甘い声を小さくあげるアリサ。クスリと嘲笑し首筋にもキスを落とす。そのキスは
『アリサはもう私のものよ。彼女が乱れるのは私だけなの』
 と互いが互いを強く求めアリサがアルテミシアのものになったことを彼女が以前仕えていた女神へ見せつけるようでもあった。

 潤んだ瞳から今にもこぼれそうな涙をすくい額に口づけは新しい使徒へのアルテミシアと言う女神からの祝福。そして、最後に唇へ花嫁へ送る愛のキス。
 刻印のキスはここで終わるはずだが今日は特別な日。アルテミシアが指を鳴らすと翼もないのにアリサの身体がふわりと少し浮かび上がる。

「ドレスを持ちなさい。大きく太ももが皆に見えるように」

 その言葉さえもアリサを官能へ導く。快楽で震える唇が小さく肯定の言葉を紡ぎ、アリサはゆっくりとその白い太ももを露わにする。スカートに閉じ込められていた女性特有の甘い香りが教会に広がる。その脚は小鹿のように震えこの後のもっと強い快楽を待っている。

 そっと白くしかしほんのりと桃色に染まったそこを撫でてからアルテミシアは内腿に支配のキスを刻む。明らかな嬌声がアリサの喉から上がった。
 それを合図に教会を甘く淫猥な香りが満たしていく。その声にここまでの行為を見せつけられ参列者があてられたのかもしれない。若しくはアリサの太腿に刻まれ浮かぶ淫魔の刻印の効果かも知れない。
 いずれにせよアリサのタガは完全に外れてしまった。彼女の心、魂は淫らで邪悪なものに作り替えられてしまった。

「アルテミシア様……」

 媚びるように、ねだるように、誘うように主の名を呼ぶアリサ。祭壇にアリサを寝かされるとそれに応えるようにアルテミシアはそっと自分だけの娼婦の顔を両手で包みそっと唇を動かす

「……はい」

 その声なき声にうっとりと嬉しそうな表情を浮かべたアリサが応え、アルテミシアの手をそっと自分の胸へと導く。水音を立て嬌声を唇で封じ何度も深く口付けながら自らもアルテミシアの胸へ手を置き小さく動かす。まるで胸を犯してほしいとねだるようだった。

 そのうちにスカートをたくし上げ淫魔の刻印をこすりつけるように脚を絡ませるアリサ。その瞳は女神像とアルテミシアを捉え縫い付ける。女神が像であることを良い事に目を逸らせない事を知って見せつけているのだ。

 アルテミシアもそれには気が付いている。そしてアリサにおあずけをすると、女神像に口付けた。唇から魔力を注ぎ込み女神を誘惑する。

「あなたの使徒たちはあんなに気持ちよさそうよ?これが命の本来の姿。貴女もこちらに来たいのね。隠さなくていいのよ」

 そこにアリサが恍惚としたまま深く口付けた。何度も何度もアルテミシアが口付けた後を消すようにキスを繰り返す。それは純粋に女神への羨望や嫉妬だった。

「アルテミシア様の寵愛は私だけのものです。女神でもそれを奪う事は許しません」

 結果としてその行為は女神を堕落へと導く決定打になった。

 もう、ここには聖なるものは何もない。女神への祈りはアルテミシアへの信仰に変換され、女神からの祝福は堕落の種を孕んだアルテミシアの祝福を受ける。女神はもう神ではなく本来彼女が受け取るべき祈りをアルテミシアに献上し堕落と廃退の祝福を伝える者でしかない。
 信仰や信者の振る舞いはやがて女神を完全に堕落させるだろう。自らの手で自らを堕落させる哀れな女神。しかし、彼女を堕落の闇から救うものは何もない。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【3869/アルテミシア/女性性/27歳(外見)/女神をも犯す毒蝶】

【3826/アリサ・シルヴァンティエ/女性性/24歳(外見)/使徒をも惑わす堕天使】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ご依頼ありがとうございます。またお会いできてうれしく思います。

今回アルテミシア様の台詞を一部描写してない場面がありますが、こちらの演出によるものです。ミスではありませんのでご理解いただければと思います。

お気に召されましたら幸いですが、もしお気に召さない部分がありましたら何なりとお申し付けください。

今回もご縁を頂き本当にありがとうございました。
女神さえも堕落させたお二人を待つエンディング。
そちらはもう暫くお時間頂きます。
お待ちくださいませ。
PCシチュエーションノベル(ツイン) -
龍川 那月 クリエイターズルームへ
聖獣界ソーン
2016年04月19日

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