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『夜桜の酒席 〜ゆるキャラと魔法少女?〜 』
白虎丸aa0123hero001)&ガルー・A・Aaa0076hero001

●大人の飲み会
 風雅な夜桜を愛でるには恰好の料亭に客が二人――白虎丸(aa0123hero001)とガルー・A・A(aa0076hero001)は春らしい華やかな懐石料理に舌鼓を打ちながら、しっぽりと日本酒を味わっていた。
「料理の味も良し、眺めも良し。ガルー殿が贔屓する店だけあって、とても良い店でござるな」
「ああ、気に入ってくれたんなら良かった。それに、俺様オススメの日本酒も気に入ってくれたみてぇだな。さぁさ、遠慮なく飲め飲め」
「お。かたじけないでござる」
 空になっていた白虎丸の盃にガルーが酒を注ぎ、白虎丸は一旦口を付けてからテーブルに戻した。
 因みに白虎丸は精巧な虎の被り物をしているが飲食をするのには何ら問題が無い。
 なぜならこれはただの被り物ではない――
 口の開閉が可能なハイスペックな被り物なのである。
 ……と言うのは、それはそれとして。
 雰囲気の良い座敷で桜舞い散る和の美しさを肴に、落ち着いて静かにしみじみと浸る優雅なひとときは至福そのもの。
 それに酒の相手も、お互いの能力者共々世話になっている者同士。
 戦場では背中を預ける程頼りにしている存在であり尊敬の念も抱くが、日常でも気の置けない友人だ。
 とあれば、今宵の酒の席が楽しくない筈がない。
 たわいの無い話やお互いの能力者の話をしながら、大人の時間をのんびりと過ごした――のだが。
 
 話の流れは色々あって、まさかの方向へと転換した。

「ん……?」

 ガルーは驚きのあまり、自分の耳を疑った。
 恐る恐る聞き返してみると、

「わかっているでござるよ。秘密なのでござろう……」

 白虎丸は至極大真面目な面持ちで、深く頷いていた。

「いやいや」

 なのでガルーは眉を潜める。何かの冗談だと信じたいと思いながら、

「……一応ちゃんと言っとくが。俺様は魔法少女じゃぁねぇからな?」

 はっきりと告げて。――しかし。

「わかっているでござる。わかっているでござるよ」

 白虎丸は優しさに溢れる声で、うんうん、と頷いていた。
 それはまるで――……、

●『俺はちゃんとわかっているでござる。ガルー殿は日曜の朝に世界平和の為奮闘する伝説の戦士でござると。けれど魔法少女は秘匿義務というものがあるという事も……ちゃんとわかっているでござるよ』
 と、全身から言わんばかりなのだった。
 それにガルーは思わず絶句した。
 ――まさか白虎丸が『自分(ガルー)を魔法少女』だと鵜呑みにして過ごしていたとは。
(しかも女だと思ってたってマジか……? 今迄俺様の事を本当は女だと思って接してきていたって事なのか?)
 だとしたら、これはもはや大事件だ。
 ガルーとしては何としても誤解を解きたいところであるだろう。
(――白虎丸が勘違いしてる切欠はもしかしなくても、……『アレ』だろうなぁ)
『光のリンカー、プリブラック!』
 ガルーは一度、友人と共にプリプリとなり、酒の席を賑わせた事がある。
 勿論、お遊びでだ。
 本物の魔法少女のように実際に変身している訳でもない。いわゆるコスプレというやつである。
「……冗談だと受け取ってくれてるもんだと思ってた。『アレ』でも信じてたなんて、天然だな」
 ガルーはそんなふうに呟きながら、白虎丸を見つめる。
 しかし当の白虎丸は盃の日本酒をしみじみと味わいながら、「ふふ」と微笑みを浮かべていた。
 そこはかとなく、大人の余裕を感じる。
(あ。この反応は、分かってくれてねぇな……)
 白虎丸の反応を見たガルーは微かに瞼を重たげに下げた。
 彼は真面目で誠実な人格者だ。
 しかし一方で、思い込んだら話が通じなくなる部分は少々困る。
「いいか、俺様は女ではないしましてや魔法少女でもない」
 ガルーは念押しの為、
「……あれは(飲みの席での)コスプレだ、そこまではいいな?」
 一つ一つ丁寧に、疑惑の払拭を試みた。
 ――が。
「そういう事にしておくでござるよ」
 白虎丸は話を取り合おうとしなかった。
 ――どうやら勘違いは多分正せそうにない。と、ガルーは悟る。
「ところで……折り入って友として。ガルー殿に相談したい事があるんだが……」
「相談……?」
 思い詰めた白虎丸の様子を見ながら、首を傾げるガルー。
 すると白虎丸は口に付けた盃の酒を一気に飲み干す。
 空になったようなのでガルーが酒を注ごう……としたが、日本酒が切れている事に気付き、ならば先程自分が頼んだ珍しい薬用酒をとくとくと注ぐ。
 くぃーっと気持ちのいい飲みっぷりで早速頂く白虎丸は、ふーっと溜息を漏らした。
「俺の能力者が最近益々俺をゆるキャラにしようと張り切ってるんだ。ゆるキャラではないと何度言っても分かってもらえない……で、ござるよ」
 白虎丸の能力者は、至る所でH.O.P.Eのゆるキャラ(非公認)として広める活動(?)に熱心だ。
 ――と言うのは、友人であるガルーもよく知っている。
「確かに自己紹介の場になると、白ちゃんのこと大体ゆるキャラとして紹介してるもんなぁ」
 ガルーは少し柔らかく微笑んだ。
 白虎丸が少なからず悩んでいる……というのも理解しているが。
「でもまぁ、ゆるキャラ云々もあいつの愛みたいなとこもあると思うぜ」
 ……という能力者の想いの方も理解しているわけで。そんな二人が微笑ましいやら。
 なんて思い、ちびちびと木天蓼の酒を味わいながら。
『木天蓼の酒とは珍しい』と注文したそれは、不思議な味わいだった。
 しかし癖になってついつい酒が進んでしまいそうな独特の美味さがある。
 先程白虎丸に注いだのもこのマタタビ酒であり、彼も相当気に入っているようだった。
 ……が、白虎丸を見てみると顔が真っ赤(被り物の筈なのに)になっている事にガルーは気付くだろう。
「おいおい……飲み過ぎたんじゃねぇの? お冷でも貰――」
「けど!」
 すると突然白虎丸の声のトーンが上がり、ガルーは目を点にする。
「世界の平和を守る為……毎朝頑張るガルー殿に比べたら……こにょにゃやみにゃんてささやかにゃもにょ」
「白虎丸?」
「魔法少女は……魔法少女は……たいへんにゃんでごじゃる……にゃん!」
「ちょ、ちょっと待て。キャラがブレブレだぞ。……それにだから俺様は魔法少女じゃあ――」
「俺、応援してるでごじゃるから。こにょことはみんにゃに秘密にしにゃがら、心にょにゃかで応援してるでごじゃるから!」
 そんなふうに熱くなって言った。どうやら、白虎丸は完全に酔っているようだった。
 彼は酒は飲めないという訳ではない。――酔っ払った原因は際限なく飲み続けてしまっていたから、というのもあるかもしれないが、恐らく、マタタビ酒が決め手となったのだろう。
 あと、多分だが、恐らく日曜日の朝に放映されている番組と魔法少女としてのガルーを混合している。
 そしてそんな応援を受けたガルーはというと……、
「……白虎丸」
 とても胸打たれたような表情をしていた。
(本当、良いヤツだな)
 ……という意味で。胸の奥から熱い何かが込みげてきて、猛烈にじんときていた。
 一応重ね重ねの補足になるが、ガルーは女性ではないし魔法少女でもない。
 だが白虎丸の応援があまりに真摯で、とてもまっすぐだったので効いた。……のかもしれない。
 ――あと、ガルーも実はほろ酔い気味だった。という点もあるかもしれない。自制は効くので酒に潰れる事は滅多にないが、今日は友人と二人だったので、つい少々飲んでしまったのだろう。
 しかし勿論、たとえ酔っていたとしても女性の魔法少女だと認めたという訳ではないのでその辺は要注意。
 ただ、ガルーは思ったのだ。
(ま。今日は気分よく酔ってるみてぇだし、勘違いを正すのはまた今度でいいかな……)
 言い合いをするのではなく、今は白虎丸と共に、まったりと楽しんでいるのが心地いいな、と。
 日本の和を感じる眺めを愛でながら、ゆるり。
 二人はお開きの時間まで、楽しげに話に花を咲かせていたことだろう。

●夜桜の帰り道
「だ、だめでござるよ! ガルー殿にょ肩を借りるにゃんてそんにゃ……」
「だぁから俺様は女じゃねぇよ、っと」

 ガルーは、酔ってふにゃふにゃになった白虎丸の腕を肩に回させ、自分に凭れかけさせた。
 二人の頭上にあるのは優しい光で瞬く、春の星。
 店を後にした頃はもう、もうすっかりと闇色に染まった夜空。
 料亭の桜も見事だったが、帰路につく道筋に植えられている桜並木も、月光に照らされて美しい。


「そういやぁ……」

 桜並木の通り道を歩くガルーは、ふと気になっていた事を思い出し、白虎丸に訊ねてみた。
「お前さんはいつも被り物をしているが、素顔はどんな面をしてるんだ? 前々から興味があったんだ」
 すると、
「にゃ、にゃんのことだかサッパリだ。……で、ごじゃる」
 白虎丸の返事は曖昧で、明らかに誤魔化していた。
「……」
 しかし白虎丸は酔っている状態だ。
 ガルーさえその気になれば、無理矢理被り物を取る事だって出来る。
 だが、ガルーはそうしなかっただろう。

(これもまぁ、また今度でいいか)

 穏やかな表情を浮かべ、静かに春の夜風を感じながら。

「白虎丸。また二人で飲もうな」
 ガルーはにっと口角を上げ乍ら、笑みを深めた。
「もちろんでごじゃるよ」
 すると白虎丸も嬉しそうに、頬が緩んでいた。

 ――魔法少女の誤解を正すのも、素顔を見るのも、またいずれ。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa0123hero001/白虎丸/男性/45/ゆるキャラ(←わかる)】
【aa0076hero001/ガルー・A・A/男性/30/魔法少女(←えっ)】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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たいへんお待たせ致しました……!
納品までお待ち頂けた事を心から感謝しております、瑞木雫です。
いかがでしたでしょうか…?
今回、白虎丸さんがご当地ゆるキャラ(?)なHOPEに行きたいと思ったり、イケメンなガルーさんが魔法少女と聞いて「一体彼の身に何が…!(笑)」と驚愕したり、とても楽しく書かせて頂きました。
ただキャラ崩壊させてしまっていないか等を心配しつつ、口調や雰囲気もイメージと異なっておりましたら遠慮なくおっしゃって頂けると嬉しいです…!
御発注ありがとうございましたーっ!
浪漫パーティノベル -
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2016年04月25日

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