▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『「わわっ、こんなの着るのぉ?」 』
狐中・小鳥ka5484

 依頼を受けた私は、歓楽街の奥に佇む怪しげな劇場を訪れていた。
 渡された衣装はベビードールのようなもので、大事な部分が全部透けてしまう。
 それに下着もすごく小さくて、食い込んじゃうし……

「うー、体型的にぴったりとか言われたけど……嬉しくないんだよ」

 身長130センチのまだ幼い私に、透け透けでつるつるのオトナな衣装は、あまりに不釣り合いに思えた。
 ――でも、仕事だから。
 私は覚えておくように言われた先輩の踊りを見るために、袖からステージの上を覗いてみた。

「す、すごくエッチな踊り……」

 舞台は胸ほどの高さで、両脇をお客さんがびっしりと囲み、手で女の子にちょっかいを出していた。妖しい照明に照らされた壇上で身体をくねらせている女の子は、全身にピアスを施していて、歳は私と同じくらい。

「これ、絶対に違法だよぉ……必ず現場を押さえなくっちゃ」

 一部マニア向けの如何わしいショークラブだという通報は、確かだったようだ。私はこの摘発のために踊り子として現場に潜入していた。

「……なんか、へんな気分になってきたな。今から、私もああいうことするんだ……」

 まるでお友達の女の子の痴態を目の当たりにしたようで、私は緊張したように息を切らせた。

「恥ずかしいけど、私の方に惹きつけておかないとだし、頑張るんだよっ」

 そう、仲間の突入まで、観客たちに外の様子を悟られてはならない。私はよし、と気合を入れて、はける女の子に代わって舞台に出た。

(……ううっ、い、いっぱい見られてるよぉ……)

 客席は暗いが、無数の視線が身体のすみずみまでを暴くのが感じられた。歳に見合わない高いヒールで、私はふらふらと中央のポールに近付く。それを掴んで一回転し、片足を天井へ、高く掲げた。

(……あうう、みんな私のこと見てるぅ……)

 羞恥で堪らなかったが、私は一生懸命それに耐えた。
 今度はポールを両足で挟み、擦りあげるように何度も身体を上下させる。
 観客は恥じらう私にいっそう興奮して、狭い舞台に鼻先を突き出す勢いでショーに見入っている。

(よ、よし。注意はこっちに向いてる……この調子で、)

 私は支柱に沿ってくるくる回り、ベビードールの合わせを紐解いた。
 ひらりと脱ぎ落したそれを爪先、足の指で拾い上げ、客席へ投げ捨てる。

(ああ、今のいままで私が着てた、まだ暖かい服……男の人が拾ってるよぅ……)

 下着姿になった私を、お客さんがまだまだ食い入るように見つめた。
 ポールに絡み付いて、音楽に合わせて腰を振りながら、私は下着の紐も緩めてゆく。
 お客さんが生唾を呑む音すら聞こえそうだった。我慢できない人が、何度も手を出して下着の紐を引っ張る。

(こ、これ以上は流石にっ……皆早く……!)

 もう頭が真っ白になっちゃう……!
 ――その瞬間、入り口の方から仲間の声がした。

「ぁ、間に合った!?」

 仲間の突入が始まったのだ。
 一転、騒然となる店内。逃げ出そうとする客や従業員に気付き、私も捕縛に急行する。

「逃がさないんだから! えいっ!」

 掴み掛って来た男を、回し蹴りで撃退。ぱさりと小さな音がした気がしたが、私は気づかない。
 胸の辺りに、やけにぶるんぶるんと重みを感じるが、いまはそんな事を気にしている場合ではない。
 続けて別の男の振り抜いた拳を宙返りで避けて、その腕に絡み付く。

「んんんっ……!」

 びたーん! 大柄な男は床に叩き付けられた。
 さらに、私は起き上がろうとした男に圧し掛かり、その首に太腿を絡めて締め上げた。

「観念しろー!」
「(ムグフゥ……)」

 男は何故か私にへんな視線を向けている……
 私は少し戸惑ったけど、背後に縄を持った仲間の気配を感じて、ほっとした気持ちで振り返った。

「わぁ、終わったねー! 全員捕まえたし、大成功だよ! ……あれ?」

 ……こんなに頑張ったのに、みんなは私と目を合わせてくれない。
 というか、私の身体ばかり見ている。……なんで?

「?? 私の身体に何かついて……っっ!!」

 首を傾げた拍子に、私は自分がどんな格好をしているか気付いてしまった。

「あ、きゃぁ!? ま、まさか最初から…!?」

 緩んでいた下着は、最初の回し蹴りで外れてしまっていたのだった。
 あうう、恥ずかしいよぉ……

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
狐中・小鳥(ka5484)
 女/12歳/舞刀士

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
清水です、ご依頼に感謝を。ことりちゃんめっちゃカワイイっすね。
全体の雰囲気はどうしようかと考えたのですが、えっちな感じにしてみました。
もう少し歳相応な反応が良いですとか、外見のこだわり(髪型など)あれば基礎設定で捕捉して頂けると、ご希望に近いものを作りやすくなりますので、ご面倒でなければ是非お書き添え下さい。
この度は清水澄良にご縁を賜り、誠にありがとうございました。
WTシングルノベル この商品を注文する
清水澄良 クリエイターズルームへ
ファナティックブラッド
2016年05月24日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.