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『【リン舵】ルンシア?プレルン?私たちの共鳴合体! 』
ルンルン・リリカル・秋桜ka5784

●クリムゾンウェスト:地球への帰還を求め
「ここがリグ・サンガマの大地の北の果て。星の傷跡なんですねっ」
 直径数十キロに及ぶ巨大なクレバスと、そこにある大小無数の洞窟を前にしてルンルン・リリカル・秋桜(ka5784) は自らの胸に右手を添えた。
「噂ではヴォイドゲートがあるって聞いちゃってます。……ううん、異世界につながってるっていう話も聞いちゃいました!」
 ぐっ、とその手の平を握りしめる。
 聞いた話の真相は分からない。
 分からないがしかし、眼下の洞窟群を見るルンルンの瞳に決意が宿りいつもより美しい緑色に輝いていた。
 あるいはここクリムゾンウエストに転移される前、リアルブルーにいたころカードゲームチャンプまで登り詰めた闘いの日々に見せた色と同じ輝きだったかもしれない。……チャンピオンは自称だが。
「一人でだって調べて来ちゃいます……きっと地球への帰還の手掛かりも隠されているに違いないと思うんだもの!」
 決意を口にして大地を蹴った。
 ざざざ、とクレバスの斜面を滑り、下り、走る。
 右に左に足場を探し、出っ張る岩を踏切代わりに跳躍する。目指す堅そうな地面に着地し、さらに下の足場へジャンプ……。
「ジュゲームリリカルクルクルマジカル……ルンルン忍法崖下り!」
 何だか忍法を叫ぶ前からぴょんぴょん身軽に跳ねていたようだが、ルンルンが叫んでいるのだからきっとこれはルンルン忍法。ほら、さっきまでよりリズム良くホップステップ。
「だって……だってだって、ご先祖様は大ニンジャ!」
 そして思いっきり海老反りジャンプ!
 宙に一瞬、スタイルの良いシルエットが浮かぶ。
 そうなのです。お嬢様は忍者カードゲームのチャンピオン、ニンジャキャプタールンルン☆なのです。……自称だけど。
 ――ストン。
 着地した目の前に大きな洞窟の入り口。
 どうやらまずここから探索することにしたようだ。

 洞窟内には、大量の正のマテリアルが循環、蓄積して淡く輝きを帯びていた。松明などの明かりは必要ない。
「わあっ。幻想的で素敵な場所……心が奪われちゃいます」
 見たこともない光景に息を飲みつつ進むルンルン。行程は順調すぎるほど順調だった。
「はっ!」
 いや、ちゃんと気付いていた!
 背後から影のような歪虚が尾行し続けていて、たったいま背後から襲い掛かって来たことに。
「ジュゲームリリカルクルクルマジカル…」
 ルンルン、扇符「六花」 を掲げる。たちまち表面に雪の結晶の模様が浮かぶ白銀の符が五枚扇状に広がる。その向こうの瞳、まっすぐ。
「…ルンルン忍法三雷神の術! 今出でよ、めがね、うくれれ、おいーっす」
 詠唱とともに三枚の符を空中に投げ上げる。
 瞬間、ぴしゃーん!
 三つの雷となり迫っていた黒い影――そういう姿をした歪虚を貫いた。
 ちょうど三体、それぞれ一撃で消滅した。
「先に行かせようとしないところを見ると、近いんだと思うんだからっ!」
 確信。
 というか思い込み。
 でも、それでこれまで以上に元気が出る。
 もう敵はいないことを確認すると力強く歩を進めるルンルンだった。

 そして。
「わあっ。これが古代のゲート……」
 ついに洞窟の奥で黒い門を発見。
「特殊召喚を試みちゃいます。ジュゲームリリカル……」
 ルンルン、今度はディーラーシールドを掲げてカードをセットする。
「あ、ちょっと待って」
 おっと、止まった。
「そういえばカードゲームなんかは生贄カードが必要だったりしちゃいますから……じゃん!」
 ルンルン、荷物からお弁当を取り出した。
 ぱかっと開けるとおにぎりとかお稲荷さんとかが詰まっている。
「やっぱり雰囲気は大切だと思いのですっ。それじゃ、お弁当からおにぎり一つを生贄に特殊召喚! ジュゲームリリカル……」
 パクリもぐもぐとおにぎり一つを頬張ってお弁当を片付けておいてから術に入るルンルン。
 はたしてどうなる。


●天儀:未知なる転移門の眠る島
 場面は変わって、空の上。
 雲をかき分け進む飛空船の甲板で、ぴこぴこ狐耳にふんわりくるくるともふもふの狐尻尾を揺らめかせている背中があった。
「ふぇ? あれが未知の転移門の眠る島なの〜?」
 振り返った陰陽師服姿の娘は、プレシア・ベルティーニ(ib3541)。ふわっと長い金髪が風に遊んだ。
 飛空船の空賊団仲間たちはそうだ、だから急いでなどとまくしたてる。
「ふに〜、それじゃみんなの滑空艇を用意するよ〜」
 ふんすー、と倉庫から予備の滑空艇なども引っ張り出す。小さな娘だが、体重を掛けて引っ張ったり力仕事もこなす。全力で頑張る姿は仲間たちからも認められているようだ。
 そして、島の沖に着水。よし、行こうと空賊団長の合図。
 下ろされた小舟と滑空艇の一団が新たな冒険の待つ島へと出発した。

 そして森の中を全員一緒になって探索。
「アヤカシだ!」
「後鬼じゃないか?」
「群れで襲い掛かって来た。行くぞっ!」
 島にいたアヤカシの急襲を受けた。戦闘態勢を取る空賊団の仲間たち。
 後鬼はその名前の通り、背中側に顔の正面がある鬼だ。当然、背中が前なので正面が弱いが……。
 ――ぐる……ぐるぐるぐる、どかん!
 何と、コマのように回転して金棒をぶちかましてくるではないかっ。足を狙ってもジャンプしてかわしてくるという驚異的な機動力も見せる。遠心力を乗せた攻撃も重く、物理ではなかなか手強い状態だ。
 もちろん、仲間の苦戦にブレシアが黙っていない。陰陽衣装のたもとと長い金髪を振りつつ元気いっぱいに敵に向かっていく。
「ボクにまかせてなの〜。 ……ふえ? う、後ろからもなの〜」
 が、あっという間に回り込まれた。完全包囲された形だ。
 どうする、ブレシア?
「それなら……がぶがぶってしちゃえ〜!」
 陰陽符「アラハバキ」をぴっと抜き取る。唱えるは怨霊系の高位式神召喚「黄泉より這い出る者(ヨモツヒラサカ)」!
 瞬間、ずずずと不気味で巨大な影がブレシアの横で身をもたげた。目の部分が落ちくぼみ揺らいでいるが顔も姿もよく分からない。不気味な人型とだけしか認知できない姿だ。
 それが、印を結んで手をかざす!
 ――ぐはっ!
 ヨモツヒラサカから強烈な呪術を受けた後鬼の一匹は口を大きく開けて天を仰ぐと噴水のような血反吐を吐いて倒れた。物理攻撃を弾き返していた回転を見事に破った。
「ふにゅ、どんどんいくの〜」
 ブレシア、絶好調である。
 先ほどの攻撃はまったくがぶがぶってしてないのは内緒だ。

 しかし、絶好調だった反動は大きい。
「洞窟だ!」
「あっ。遺跡がある!」
 仲間は森の奥に洞窟を見つけて探索。その中の広大な広間に古代遺跡を発見して嬉々として調査し始めた。探すのはもちろん、未知の転移門。
 その陰で、プレシアのテンションは上がらない。
「おなかすいたのぉ」
 しょぼん、と狐耳を伏せ一人ぼっちで座り込んでいる。ふさふさ尻尾もへにょりと遺跡の石畳に横たわったまま。
 戦闘であれだけ頑張ったのだから仕方ない。仲間も今度は自分たちが頑張る番だとブレシアをそっとしておいて探索を頑張っている。
 が、見つからない。
 門というのだから大きなものが立っているはずだとあちらこちらを探し四方に散らばっている。
 そんなこんなで、いつの間にか辺りにはプレシア一人。
 静かに一人座っていると、風を感じる。音も感じる。そして匂いも。
「ふぇ?」
 おっと、ここでプレシアの耳と尻尾が立った。
「おにぎりの匂いがしたの〜」
 必死になって先ほど感じた匂いを探す。
 すると、何もなかった石畳にぽわわんと魔法陣が浮かんだ。
 ぱああっ、と足元から差してくる光がブレシアを包む!


●クリムゾンウエスト再び:召喚の失敗?それとも何かの策謀か?
 この時、ルンルン!
「ジュゲームリリカルクルクルマジカル…ルンルン忍法、やって来い来い大ニンジャ!」
 ――ゴゴゴゴ……。
 ルンルンの特殊召喚に黒い門が呼応した。両開きの扉が開いたぞ。
「はっ!」
 しかし、とっさに危険を察知した。
 ばっと黒い門から飛び退る。
 刹那、開いた門扉から小鬼が出てきたのだ!
「罠にはめようとしてもそうはいかないんだからっ!」
 ルンルン、敵が小さいと見るやディーラーシールドを振り回して叩きつぶそうとする。
「え?」
 だが、会心の手応えでぶちかましても小鬼はつぶれることも怪我することもなかった。
「これは一体……はっ。背後から気配がしちゃいますっ!」
 振り返るとここに来るまでに襲ってきた人影のような歪虚が群れを成して襲ってきた。
「はっ!」
 さらに、今度は門から気配。
「そ、そんな……」
 門の中は暗闇で、そこから先の小鬼が大挙してなだれ込んで来たではないか!
「こ……これはいわゆる絶体絶命のピンチのような気がしちゃいます……」
 さすがのルンルンも困惑した。
 背後からの影は歪虚だから倒せる。
 が、前からの鬼はなぜか倒せない。
 どうする?
 その時だったッ!

「ふぇ?」
 歪虚の方を向いたルンルンの背後から人の声がした。
 振り向くと、黒かった門の中から光が差している。出てきた小鬼たちは驚いて振り返り、ルンルンを襲うのすら忘れ去り立ち尽くしていた。
 光条は一本二本と増えていきまばゆさを増した。
 やがて光の奥から小さな手が、くんくんひくつく鼻先が、ぴこぴこ動く狐耳が現れた。
 そして!
「おなかすいたのぉ」
 もふもふ狐プレシアが、その姿を現した。
「特殊召喚、失敗じゃなかった……狐さん、すぐに手伝ってほしいんです!」
 ルンルン、影に雷を放ちながら必死に頼む。
「このアヤカシを倒せばいいの〜?」
「お腹が空いてるならお弁当を後で分けてあげちゃいますから!」
「それなら頑張るの〜。えいっ、がぶがぶしちゃえ〜」
 ぴょこん、と背筋をまっすぐしたプレシアが生き返ったように鬼たちと戦う。ルンルンもこれで楽になった。影に対して本格的に……。
「あっ。回り込んじゃいました」
「ふに? あっちいったの〜」
 歪虚の影とアヤカシの鬼が一つに集まり始めた。闇に包まれパリパリとエネルギーが迸る。
 ――どかーん!
「わ!」
「ふぇ?」
 すべての敵が闇に入り切った瞬間、収束したエネルギーが爆発し固まっていた影が晴れた。
 代わりに、大きな鬼一匹が立っているではないか。
 恐ろしい形相の顔は……なんと、腹にもついている。前に顔が二つある、前鬼である。
「やっちゃいます!」
「消えちゃえ〜」
 ルンルンとプレシア、雷とヨモツヒラサカで攻撃。
『バンガロォッ!』
 が、鬼には全く効かない。大きな金棒を振り上げて二人を狙う。
「そ、それならこっちも合体しちゃうんだから……私、ルンルン。あれをやっつけてくれちゃうって約束してくれたらニンジャ食をごちそうしちゃいます!」
「ふぇ、ニンジャ食? 食べてみたいの〜」
「誓約完了、2人の少女の出会いが奇跡を起こしちゃいます! ジュゲームリリカルクルクルマジカル…ルンルン忍法共鳴合体!」
「ごはんのためなら全力全開☆」
 ぱららら、とカードを自分の周りに展開するルンルン。ふんすっ、と鼻息荒いプレシアの周囲もカードが並んで囲む。
 やがて二つのカードの輪が一つに収束し、一つの人影を作る。
 まばゆい光に迫りくる前鬼も思わず止まって息を飲む。
 そして光が収まった!
「狐ニンジャ、ルンルンプレシア推参ですっ!」
『バンガロォ〜』 
 ぴしり、とポーズを取る狐耳に狐尻尾姿のルンルン。そこに前鬼が突撃してきた!
「ふぇ……食らうといいんだから、『三体集中三角がぶがぶ』〜」
 カードと陰陽符が乱れ散る。
 そこに前鬼が突っ込む。
 ――ぴしゃ、ぴしゃ、ぴしゃ〜ん!
 鬼の周りに三角形の力場が発生し、その頂点から中心部に向かって強烈な雷が走った。
『バンガ……』
 一瞬にして真っ黒になる前鬼。
『……ロォ…』
 どさっ、と崩れ落ち、負のマテリアルと瘴気に分かれて消えてしまった。
 これを見てルンルンプレシアも元に二人に戻るのだった。

 こうして、歪虚のトラップゲートを一つ潰すことに成功した。


●その後
「お稲荷さんおいしいの〜」
 約束のお弁当にありつけたプレシアは幸せそうだ。もっきゅもっきゅおにぎりとか平らげている。
 もちろん、それだけで足りるはずがない。
「……ニンジャ食も食べたいの〜」
「はい、これがニンジャ食ですっ。た〜んと召し上がっちゃってください」
 ルンルン、丸薬を出す。
 プレシア、指をくわえて物足りなさそうに見るだけ。
「ふしぎな味で栄養たっぷりなんだから」
「味はともかくブーツいっぱい食べたいの〜」
 どうやらそんなに量はないらしい。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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ka5784/ルンルン・リリカル・秋桜/女/17/符術師
ib3541/プレシア・ベルティーニ/女/18/陰陽師(獣)

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ルンルン様
プレシア様

 いつもお世話様になっております。
 ファナブラと舵天照のコラボ企画に参加いただき、ありがとうございます。
 あああ、プレシアさんと契約すると食費が大変なことになるなぁかわいそうだなぁ、とか思っていたのですが、ルンルンさんのニンジャっぷりを大切に描いていたらなんか有名な実のような話で落ちることになりました。良かった良かった。

 そんなこんなで、ご発注ありがとうございました♪
■イベントシチュエーションノベル■ -
瀬川潮 クリエイターズルームへ
ファナティックブラッド
2016年06月22日

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